2017年3月29日水曜日

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/福島一等書記官に勲章

建設省は23日、在ベトナム日本大使館の福島陽介一等書記官の建設行政に対する功績をたたえ、勲章を授与した。

 レ・クアン・フン建設副大臣は授与式で、福島一等書記官が建設省と日本政府との協力事業に貢献し、ベトナム建設産業の発展に尽くしたことに感謝し、「両国の懸け橋となってくれた。中でも、建設省職員の日本での短期研修を実現し、人材育成での功績は大きい」と述べた。

 福島一等書記官は受章の喜びを語った上で、「建設省幹部らとともに国家的プロジェクトに関わったことが思い出深い」と話し、これまでの建設省の協力に謝意を示した。

セイ・ズン 3月24日)

2017年3月28日火曜日

【回転窓】スマホ片手に西へ東へ

初めは熱中して取り組むが飽きやすい傾向あり。頃合いを見て新しいイベントを用意し、飽きさせないような注意が必要…▼日本生産性本部の職業のあり方研究会が、間もなく社会人生活をスタートする今春入社の新入社員の特徴をこう分析し、「キャラクター捕獲ゲーム型」と命名した。昨年、爆発的にヒットしたスマートフォン向けゲームアプリからのインスピレーションだろう▼就職戦線が氷河期から売り手市場に変化し、企業や行政機関は少しでも優秀な学生を採用しようと躍起になっている。内定を得るのは比較的容易だが、優良企業が狭き門なのは変わりがない▼来春入社の就活戦線も解禁から1カ月余りが経過。大手企業では早くも中盤~終盤戦に入っているともいわれる。職を求める学生と人材を求める企業。そのどちらもがネットを駆使し膨大な情報の中から出会いの糸口を見つけ出そうと腐心する▼このところ街中でスマホをじっと見ながら説明会や面接の会場を探す学生の姿を頻繁に見掛ける。昨夏に大流行したスマホゲームを思い起こさせる光景だが、現実と仮想空間は異なる。どうか後悔のないよう。

【マンUスクールコーチ陣が直接指導】関西ペイント、横浜市内でサッカースクール開催中!!

 関西ペイントは27~31日の5日間、横浜市港北区のしんよこフットボールパークで小学生を対象にしたサッカースクールを開催している。

 同社がグローバルパートナーシップ契約を結ぶ、英マンチェスターユナイテッドが運営するサッカースクールのスタッフ・コーチが直接指導する。

 27日に開かれた午前の部には、社員や顧客の子どもら約30人が参加。前半は、練習の意味やサッカーを楽しむこつなどを講義形式で学んだ。後半は参加者を習熟度に応じて3グループに分け、実際の試合を想定し5対5の練習を行った。

 子どもらを指導したマンUサッカースクールのコーチは「あいにくの天気だったが、すごく良い練習になった。君たちは技術的に良いものを持っているから、練習を怠らずに精進してほしい」と述べた。

 参加した児童は「練習の目的や練習をする意味など細かいことを学べてとても楽しかった。マンUに所属する有名選手を目標に、プロを目指したい」と話し、笑顔を見せた。

【柔軟な勤務制導入】鹿島、日建連けんせつ小町活躍推進表彰で優秀賞

 鹿島は27日、女性の視点で現場の環境改善に取り組む「鹿島たんぽぽ活動」のうち、神奈川県で施工中の京急大師線工事での活動が日本建設業連合会(日建連)の第2回「日建連けんせつ小町活躍推進表彰」で優秀賞を受賞したと発表した。

 柔軟な勤務体制の導入や女性専用設備の整備、現場見学の積極的な受け入れなどが評価された。

 この現場では、妊娠期に現場管理業務を軽減し、育児期にはフレックスタイム制度を利用できるなど、個人のライフサイクルに合った勤務ができるよう配慮している。男性社員も配偶者の出産後2週間の育児休業を取得できるようにし、育児参加を後押しした。

 日々の業務では、共有サーバーやメールの活用により、作業所内で情報共有を図ると同時に、各業務に正・副担当を付け、互いにフォローする体制を構築した。現場方針「業務には組織全体で取り組む」に基づいた現場運営を徹底した結果、職員一人当たりの時間外労働時間が前年度に比べ約10%縮減できたという。

 女性専用設備として、セキュリティー対策を万全にしたパウダールームを現場内に設置。脱衣所を併設したシャワールームやヘアメイクもできるプライベートスペースなどを設けた。

 現場見学会や協力会社の女性技術者の長期研修、女子学生のインターンなどを積極的に受け入れ、実際の職場環境を体感してもらった。

【記者手帖】若い人の育て方

最近、いくつかの企業の人材採用・育成担当者に取材する機会があった。近ごろの若者の特徴を聞くと、「真面目でおとなしい」と口をそろえる。仕事に対する悩みや不平不満を表すわけでもなく、きのうまで黙々と仕事をしていたのに翌日から急に来なくなるということもあるそうだ◆そうしたことを背景に、新入社員研修の期間を延ばすなど若手の教育を充実させる企業が増えている。内容もより丁寧なものへと見直す企業が多いようで、これが定着率の向上につながっているとの見方もある◆駆け出しの頃、「仕事は背中を見て覚えろ」が当たり前だったわが世代からすると、手取り足取りの新人教育には違和感がないでもない。ある程度の放任は、新人であっても一人の大人として扱うことの表れでもあったと思うが、時代の変化とはそういうものかと話を聞きながら感じた◆そんな中、2人の子の小・中学校の卒業式に出席した。保護者控え室にあった子どもからの感謝の手紙の宛名はどちらも「お母さん」だった。人を育てるのは難しい。「背中を見ろ」はやはり考え直さねばならないかもしれない。(ほ)

【アサマ2000で熱戦】建設業スキー大会、団体総合優勝は鹿島

 ◇アサマ2000で110人が熱戦繰り広げる

 第42回建設業スキー大会(主催・建設業スキー大会事務局、後援・日刊建設工業新聞社)が3月3~5日に長野・高峰高原にある「アサマ2000パーク」で開催された。

 選手約110人が参加。団体総合は鹿島が2年ぶりに優勝。個人は2本の合計タイムを競い、女子は安藤ハザマの水谷万里子選手が2年ぶりに栄冠を手にし、男子は大成建設の黒羽秀之介選手が3連覇を達成した。1994年リレハンメル五輪回転の銅メダリスト、ユーレ・コシール氏(スロベニア)がゲスト参加し、大会を盛り上げた。

 本戦は快晴となった5日に全長800メートル、斜度が最大24度、平均14度のパノラマコースで行われた。アサマ2000パークでの大会は4回連続。常連の選手にとっては慣れ親しんだコースだが、今回はコシール氏が旗門のセットを担当。「1本目は直線で縦長な欧州仕様、2本目は横への移動が入るターンを組み込んだセッティング」(コシール氏)にしたという。

 水谷選手は「今までにない旗門のセットだった」ことで気を引き締めた。それでも女子でただ一人2本とも49秒台で滑り切り、実力を見せ付けた。黒羽選手は2本合計で全選手中唯一の1分20秒台の最速タイムをたたき出し、「国際レースのような面白いコースだった」とコシール氏に謝意を示す余裕も見せた。

 団体総合は、得点対象者のタイムに応じた得点の合計で順位が決まる。鹿島は、男女とも上位に選手が名を連ね、総合力で優勝を勝ち取った。

 本戦は、幹事を清水建設とフジタが担当。閉会式で柳田実大会会長(清水建設)は、運営への協力に対する感謝を述べた上で「天候に恵まれ、良いレースができた。力を発揮できなかった人は来年雪辱を果たす意気込みで臨んで下さい」とエールを送った。あさま2000パークの小平忠夫総支配人は、「皆さんが本気で挑んでいることを実感した。宿泊施設を新しくするので、ぜひまたお越しください」と呼び掛けた。コシール氏は「最高のコンディションだった。私のセットにはまった人とはまらなかった人がいましたね」と講評を述べた。

 大会には、コシール氏が所属するグループ・ロシニョール、ICI石井スポーツが特別協賛した。コシール氏は、選手の家族も参加した4日の前夜祭や表彰式・閉会式にも出席。メダルや賞品を贈呈したり、子どもたちとゲームに興じたりするなど交流を深めた。

 次回大会の幹事は安藤ハザマと戸田建設が務める。

 □団体総合優勝・鹿島スキー部の村上麻優子キャプテンの話□
 「初めてキャプテンを務めた。全国から集まった部員みんなで頑張れた。コシールさんや幹事会社のおかげで、すごく盛り上がった大会だった」 

 □個人男子優勝・黒羽選手の話□
 「斜面を生かした変化があったり、振り幅が出ていたり、誰でも滑れるようにしつつターンを深くする要素があったように思う。1本目をミスしたので頑張った。子どもが生まれました。優勝できて良かった」

 □個人女子優勝・水谷選手の話□
 「難しい所があって1本目はミスしてしまった。タイム差を埋めようと頑張った。スタッフが良いコースに仕上げて下さった。合格できた準指導員としても頑張ります」。

【沖縄アリーナ、工事着手へ準備進む】多目的アリーナ施設実施設計技術支援業務、鹿島JVに

沖縄県沖縄市は、ECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式を採用する多目的アリーナ施設の施工予定者を選ぶ「(仮称)沖縄市多目的アリーナ施設等整備実施設計技術支援業務委託」の公募型プロポーザルで鹿島・仲本工業・太田建設・富建JVを選定し、17日付で随意契約を締結したと公表した。契約額は1270万円。業務履行期限は12月28日。

 今後、施工予定者は技術的提案や経済的提案を行い、市、実施設計者との3者で工法や仕様などについて協議を進める。実施設計完了後に見積もりを取り予定価格の範囲内であれば工事請負契約を締結する。

多目的アリーナ施設はプロバスケットボールを中心としたスポーツ興業やコンサート、コンベンションなどを開催できる施設としてコザ運動公園内(山内1丁目、諸見里2丁目)の現在は屋外ステージがある敷地に計画。

 建物規模はRC一部S造5階建て延べ約2万6200平方メートル。移動式を含め最大で1万1000人規模の観客席を備えたメインアリーナ、サブアリーナ、トレーニングルームなどを設ける。関連工事も含めた総工費は約159億円(うち本体工事費約136億円)。工期は約27カ月。20年度の供用を目指す。

 CM(コンストラクション・マネジメント)業務は日建設計コンストラクション・マネジメント(NCM)、実施設計業務は梓設計・創建設計事務所・アトリエ海風JVが担当。

 (パースは完成イメージ、提供:沖縄県沖縄市)

【安倍首相が方針表明】政府、25年までにスタジアム・アリーナ20カ所整備

 政府は、2025年までに数千~数万人の観客を収容できる大型のスタジアムやアリーナを全国に20カ所整備する方針を決めた。安倍晋三首相が24日開かれた未来投資会議で表明した。

 会議の席上、首相は「民間の投資や知恵を呼び込み、(施設の)魅力を高める。地元企業や地方自治体を巻き込んだ取り組みを後押しする」と強調。スタジアムやアリーナを「スポーツ観戦だけでなく、市民スポーツ大会やコンサート、物産展などを開催し、多様な世代が集う地域の交流拠点に生まれ変わらせる」と述べた上で、「法律や予算、税制を総動員し2025年までに(地域拠点としてのスタジアム・アリーナを)20カ所整備する」との目標を明らかにした。

 同日決定した政府の第2期スポーツ基本計画(17~21年度)では、スポーツ産業の市場規模を20年までに直近(12年)の5・5兆円から10兆円、25年までに15兆円へと拡大させる目標を設定。具体策の一つとして、地域活性化の基盤としてのスタジアム・アリーナづくりを位置付けている。

 □アリーナ整備を地域活性化の起爆剤に□

 同日の未来投資会議では、スタジアム・アリーナ関連の提案としてジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)の大河正明チェアマンと、佐原光一豊橋市長がプレゼンテーションを行った。

全国で計画されているスタジアム・アリーナ整備
(未来投資会議・大河チェアマン提出資料より)
 大河チェアマンは「アリーナを核としたBリーグの取り組み」として、①交流人口の増大による地域活性化②日常的に人々が集まる(施設の)多機能化・複合化③地域戦略の起爆剤となる夢のアリーナ-の3項目を戦略目標に設定している現状を説明。その上で、「全国で〝夢のアリーナ〟実現を目指した動きが広がる中で、地域開発の核となるアリーナ建設をリーグも推進する」考えを示した。

 一方、佐原市長は市が検討している新アリーナ構想を説明した。人口減少や高齢化が進む上、「市内外の人を呼び込む施設かない」という現状を踏まえ、地域経済の起爆剤として「2020年代初めの建設を目指し(アリーナ構想の)具体化に向け検討している」とした。

 総合エンターテインメント型のアリーナを豊橋公園内に整備。Bリーグやコンサートなどを観て楽しむ空間にしたい考え。整備や運営には民間のノウハウを積極的に活用して収益性を確保する方針で、空港などの運営に採用が始まっているコンセッション方式の導入も検討する。建設候補地の豊橋公園は美術博物館や陸上競技場などの既存インフラが存在し、豊橋駅から中心市街地を通って容易にアクセスできる。

豊橋市の新アリーナ整備構想イメージ
(未来投資会議・佐原市長提出資料より)
 まちなか立地で施設整備の相乗効果が期待でき、メインアリーナでBリーグ・三遠ネオフェニックスをはじめとするプロスポーツの試合、コンサート、コンベンションといった比較的大規模なイベントを開き、サブアリーナで地域のスポーツ大会や市民活動を開くことで、「世代を超えた交流が可能になる」としている。

 構想実現に向け、佐原市長は政府に対し①アリーナを核としたまちの活性化に対する支援の充実②民間投資に対する税制や資金調達の支援③都市公園内での民間事業者による柔軟な施設運営を可能にする制度整備-を求めている。

2017年3月27日月曜日

【運営権取得、総額1500億円超】国交省、福岡空港コンセッション実施方針決定

 国土交通省は19年4月に民営化する福岡空港(福岡市)の事業実施方針を決めた。公共施設等運営権(コンセッション)方式を採用し、滑走路などの基幹施設と旅客ビルを一体的に運営してもらう。

 事業期間は原則30年間(最長35年間)。運営権者の選定手続きで設定する国に支払う運営権対価の提案条件を見ると、運営権の取得には総額1500億円以上の資金が必要になる見通しだ。

 5月に運営権者を選ぶ公募型プロポーザルの要項を公表し、18年5月に優先交渉権者を選定する。運営権対価の提案条件を、一時支払い金200億円、事業期間計30年間分の年間分割支払い金47億円以上とそれぞれ設定した。同8月に優先交渉権者が設立した特定目的会社(SPC)と契約を結ぶ。

 福岡空港は、国内線26路線・国際線18路線が就航中で、旅客数は15年度実績で2137万人(うち国際線465万人)。滑走路は1本(延長2800メートル)。現在、既設滑走路と並行する2本目の滑走路の増設工事が24年度の完成を目指して進んでいる。国交省は、コンセッションで得られる運営権対価を滑走路増設工事の財源に充てる。

【回転窓】別れと出会いの季節

東京の桜の開花に続いて、各地の公園などがポピーの花摘みでにぎわうニュースも目立ってきた。薄紅、赤、白、黄などの色とりどり。本格的な春がすぐそこまで来ている▼関東では温暖な南房総、千葉県館山市にあるテーマパークの花畑には、関東最大級といわれる10万株、100万本のポピーが咲く。ここのポピーには白、黄、オレンジが多いが、0・1%の割合でピンクの花が混じり、花畑に華やかな彩りを添えてくれる▼年度末を迎え、今年も取材先でお世話になった方から、人事異動に伴う転勤や配置換えの連絡やあいさつを頂いたりすることが増えている。別れを惜しみつつ、新しい職場でも元気にご活躍を、と願うばかりである▼長年慣れ親しんだ職場を退職される方も少なくない。4月からは悠々自適という団体職員の方が「何をしようかね」と少し寂しそうに話していた。春は別れと出会いの季節。4月になればまた、異動する人、入社する人、それを迎える人、皆に新たな出会いが訪れる▼ポピーの花言葉は「いたわり」や「思いやり」。どんな職場でも、そんな優しさに満ちた出会いの輪が広がるよう-。

【凜】宮地エンジニアリング千葉工場製造部・伊藤奈穂美さん

 ◇溶接箇所の美しさで成長分かる◇

 高校の授業の一環でアーク溶接を学び、楽しさと大きなやりがいを感じた。それがきっかけで、将来は「溶接の技能者として働きたいという気持ちが芽生えた」。溶接技能者として働ける就職先を探したものの、女性ということもあって思うようにはいかなかった。だが、「最後の希望」と思って受けた採用試験で今の会社に採用された。

 最初の配属先は、希望していた溶接を担当する部署。しばらくは溶接に関連する基礎的な仕事をやってきた。今年に入ってからは「入社した時から憧れていた完全溶け込み溶接
(フルペネ)をやらせてもらえるようになった」と笑顔で話す。フルペネは強い強度を確保する必要があり、橋梁の品質に大きく影響する重要な作業だ。「技術的には難しいけれど、毎日の作業が楽しい」という。

 「自分自身でものを作っている達成感とやりがいを感じられることに加え、溶接した箇所の美しさなどから、どのくらい自分が成長しているか目で見て分かるところがいい」と溶接の仕事の魅力を語る。

 技術には自分なりのこだわりを持っているが、先輩たちと比べるとまだまだ未熟さは否めない。「これからも腕を磨き、早く先輩に追い付きたい」。

 将来の目標は、上司に一人前になったと認めてもらうこと。「溶接コンクールに出て日本一になりたい」と夢も描く。

 (製造第2グループ、いとう・なほみ)

【サークル】鴻池組・鳳共済会大阪支部将棋部


 ◇プロの講義や指導対局も受ける本格派◇

 2015年4月に、現在、部長を務める東琢さん(大阪本店建築部技術課主任)が1人で設立。その後、大阪支店の中で輪を広げ、現在は6人で活動する。モットーは「楽しく活動すること」。年齢、性別、経験の有無は問わない。

 月に数回、業務時間終了後に部員同士で対局するほか、日本将棋連盟にプロ棋士の派遣を依頼し、講義や指導対局も受けるなど、本格的な活動を展開しているのが特徴だ。実戦の場として各種大会にも積極的に参加し腕を磨く。

 「今後は部内での棋力認定や他社などの将棋ファンとの交流会も実施したい」と東さん。名古屋支店でも将棋部を立ち上げる動きが活発化。4月の発足に向け、サポートしていくという。「名古屋支部が発足すれば、交流戦などの共同企画もしていきたい」。

 若手を増やして部員を10人に拡大し、その後、皆の成長に合わせて日本将棋連盟の支部を作ることも視野に入れているという。「将棋界では『観る将』『撮る将』『描く将』などと後ろに『将』を付けて将棋に関連させた趣味を持つ人が増えている。今後はそういった関連分野にも目を向けていきたい」。

【駆け出しのころ】松井建設執行役員・高岡茂樹氏

 ◇「松井の線」を伝え続ける◇

 小さい頃は東京都文京区で護国寺の音羽幼稚園に通い、その中をよく歩き回っていました。そして母の実家は石川県の本願寺金沢別院に近く、一緒に里帰りすると祖母に連れられて別院の中にいた記憶が残っています。大学で建築を学んで松井建設に入り、社寺建築に携わるようになったのも、頭の中にそうした原風景があったからかもしれません。

 最初に配属されたのは、一般建築の施工図を作成する現業設計課でした。ここで9年間、庁舎や体育館、集合住宅などいろいろな用途の建物の施工図を手掛けました。一般建築の施工図であればどんな仕事が来ても対応できるという自信のようなものが付いた頃のことです。このままでいいのかと自身の進む道を模索する中で「社寺建築部」へ異動を希望しました。これが認められ、社寺建築の世界に入ります。

 まず困ったのは用語が分からないことでした。一般建築の用語と大きく違うだけでなく、仏教であれば宗派ごとに本堂の中の部屋の名称などがみな異なります。これを頭に入れて使い分けないと、プロとは言えません。東京・神田の古本屋に通い、関連書籍を買い集めて勉強したものです。2年目の後半にはもう設計担当としてお客さまの前に出ていました。

 社寺建築部で初めて設計したのは、横浜市内のお寺です。実物と同じスケールの現寸図も書き、大工さんと詳細に打ち合わせて施工していくのですが、出来上がった屋根の反りを見た時、「もう少しおとなしく設計しておけばよかった」と思ったのを覚えています。同時に設計者の微妙な感覚の違いで、実際に出来上がるものがこうも変わるのかと実感した時でもありました。

 例えば軒先の反りは、どれだけいったらどれぐらい幅を増すといった決まりなどなく、これまでの経験や体得してきたもので決まっていきます。当社にはそのようにして先輩たちが培い、伝え続けられてきた「松井の線」というものがあります。お客さまから「松井の設計施工が一番格好いい」とお聞きできた時は本当にうれしい思いがします。

 会社では若い人に「自分の仕事にこだわりを持ってほしい」と言っています。お客さまから聞いてきたイメージは本当にこれで合っているのか。そう何度も自問し、必要であれば大工さんたちにも「これは違う」とはっきり言えなくては駄目です。

 絶対に甘えず、何事にも後悔しないよう常にぶつかっていく前向きな気持ちが大切です。社寺建築は奥が深く、生産性や効率性だけでは考えられない世界でもあります。私の勉強は今も続いています。

 (建設本部副本部長兼社寺建築部長、たかおか・しげき)1972年日本大学卒、松井建設入社。建築本部工務部現業設計課、社寺建築部社寺建築課長、社寺営業部長、社寺建築本部副本部長、執行役員社寺建築本部長などを経て、13年から執行役員建設本部副本部長兼社寺建築部長兼営業本部副本部長、東京都出身、67歳。
20代の頃に神奈川県内の建築現場で
(後列左端が本人)

【4月から基礎工事本格化】JSCが新国立競技場建設現場を公開

大型重機を使って掘削工事が建設現場
(24日午前、東京新宿区で)
 日本スポーツ振興センター(JSC)は24日、2020年東京五輪のメイン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の建設現場を報道機関に公開した。大型クレーンが建ち並ぶ現場では掘削工事が大詰めを迎え、40万m3を超す土砂掘削の約55%が完了。並行して一部着手した基礎工事が4月中旬から本格的に動きだす。
競技場はS一部SRC造地下2階地上5階建て延べ19万4000m2の規模。大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVが基本・実施設計と施工を担当し、昨年12月に本体工事に着手した。

 現在は、1日350~400人の作業員、650tを筆頭に100t超の大型クレーン11台など60台の重機を投入。フィールド部分の土間鉄筋・コンクリート工事やスタンドの掘削・地盤改良工事が進み、東側スタンドの一部では基礎工事が始まった。
 5月中旬には掘削を終え、8月には地上工事がスタート。スタンドの躯体を立ち上げる。来年2月には1000tの大型クレーンを投入して屋根工事を開始。並行して内外装工事、歩行者デッキ工事を進め、19年11月末の完成を目指す。

 JSCの下野博史新国立競技場設置本部総括役は「1日延べ300~350台のダンプトラックが往来し、大型重機も多い。重機災害や公衆災害に十分注意したい」と話した。
新国立競技場の整備スケジュール
(スポーツ庁「新国立競技場整備事業に関する連絡会議」第8回会合資料より)

2017年3月24日金曜日

【辰野作品を後世に】奈良ホテル、木造本館の耐震補強と客室改装を実施

辰野金吾が設計を手掛けた木造本館の外観(提供:奈良ホテル)
奈良ホテル(奈良市、五十嵐晃社長)は、日本銀行本店や東京駅駅舎を手掛けた建築家・辰野金吾が設計した「木造本館」の耐震補強工事と、一部客室のリニューアル工事を実施する。5月ころから3年間の工期で構造部の補強、老朽設備の更新、和室から洋室への変更などを行う。工事は分割して進め、工事個所以外のエリアは営業を続ける。施工は大鉄工業が担当する。

 1909(明治42)年に開業した本館は「関西の迎賓館」として100年以上、宿泊客を迎えてきた。木造2階建て延べ4929㎡の規模で、62室の宿泊客室、ロビー、ティーラウンジ、バー、宴会場3室、メインダイニングルームなどを備える。桃山御殿風檜造りの建物は建物内外のデザインや調度品に明治の雰囲気を色濃く残し、経済産業省が認定する近代化産業遺産に選ばれている。

 2013年11月に施行された建築物耐震改修促進法に基づき建物の耐震性などを調査した結果、改修が必要なことが判明。耐震強度を備えた施設にするため構造部の補強を実施するとともに、建物の文化的価値を損なわない形で客室などの機能性や快適性を高める改修を行うことにした。
本館ロビー「桜の間」(提供:奈良ホテル)
耐震補強は壁面内部に高強度の木製補強壁を埋め込む方法を可能な限り採用する。客室の改装は狭いバスルームをユニットバスに変更。1階にある三つの和室はすべて、洋風のデラックスツインルームにする。ホテルの象徴でもあるマントルピースはレンガ煙突部分を撤去するものの、本体部分はオブジェとして残す。

 設備機器では大正期から使ってきたスチーム暖房を電気ヒーターに切り替える。ラジエターはオブジェとして保存し、明治建築のクラシックな空間づくりに役立てる。
洋室に改装する1階和室㊤と稼働中の洋風ツインルーム
(提供:奈良ホテル)

【回転窓】働き方改革の鍵握るのは

「仕事の量は昔の倍になったのに給与は変わらない」。建設コンサルタントの関係者がそんな愚痴をこぼすのを聞いた▼パソコンや携帯端末の普及と情報通信環境の急速な発展によって文書作成や情報収集、連絡などの作業が効率的になったと実感する人は多かろう。では業務効率化で生み出された余裕時間は何に充てられているのか▼企業の関係者に聞くと、品質に関する発注者からの要求事項の増加が仕事が増える一因だという。業務が効率化していることを発注者も知っているため、従来はなかった要求事項が追加されるケースが多いそうだ▼業務品質向上の重要性は理解するが、企業努力でせっかく生み出した余裕時間が同じ業務のより高い品質要求をクリアするために使われるのは疑問、というのが企業側の言い分。これでは収益や賃金のアップにつながらず、モチベーションも上がらない▼自民党の働き方改革特命委員会が21日にまとめた最終報告には「過剰なサービス・品質への要求に応えようとすることが長時間労働の原因」との文言も。働き方改革を進める上で、発注者の理解はやはり大きな鍵を握っている。

【安全確保へ対応強化】高速道路3社、逆走対策技術公募で28件選定

 東日本、中日本、西日本の高速道路会社3社は23日、高速道で2日に1回のペースで発生している逆走事故の防止技術の公募選定結果を発表した。昨年11月22日から今年2月10日にかけて募集したところ、企業から100件(応募企業82社)の応募があり、この中から28件(26社)を選定。17年度に実際の高速道や車を使って各技術を検証する。18年度から段階的に実用化を目指す。

 公募は、▽道路側で逆走車両に注意喚起。道路上の物理的・視覚的対策技術(テーマI)▽道路側で逆走を発見し、その情報を収集(テーマII)▽自動車側で逆走を発見し、その情報を収集。車載機器で逆走車両に注意喚起(テーマIII)-の3テーマで行った。その結果、テーマIは応募56件(43社)のうち14件(13社)、テーマIIは36件(31社)のうち9件(8社)、テーマIIIは8件(8社)のうち5件(5社)をそれぞれ選定した。

 政府は、20年までに高速道路での逆走事故をなくす目標を掲げている。選定した技術28件と提案企業は次の通り。
大成ロテックの「ウェッジハンプ」
【テーマI】ウェッジハンプ=大成ロテック▽防眩板応用注意喚起=日本ライナー▽LED発光体付ラバーポールウィングサイン=吾妻商会▽路面埋込型ブレード=ダイクレ▽電光表示による逆走警告=能登▽錯視効果を応用した路面標示=積水樹脂▽プレッシャーウォール=JFE建材▽空気式停止バーによる逆走警告=ミドリ総合リサーチ▽開口部ボラード=シー・ティ・マシン▽空中浮遊映像表示による逆走警告=福山コンサルタント、アスカネット▽エアバルーンによる逆走警告=シーキューブ▽オーロラビジョン=三菱電機▽路面標示ゴムマット=キクテック▽リバーシブル注意喚起板=キクテック
古川電気工業の「準ミリ波レーダー逆送検知のイメージ」
 【テーマII】準ミリ波レーダーによる逆走検知=古河電気工業▽マイクロ波センサーによる逆走検知=セフテック▽レーザーセンサーによる逆走検知=デンソー▽3D(3次元)ステレオカメラを活用した画像解析技術による逆走検知=コンピューターシステム研究所▽高解像度カメラの画像処理技術による逆走検知=日本信号▽近赤外線LED照明付カメラの画像処理技術による逆走検知=パナソニックシステムネットワークス▽ドップラーレーダーによる物体検知=パナソニックシステムネットワークス▽ナンバープレート認識カメラ・車両撮影用カメラによる逆走検知=シー・ティ・マシン▽赤外線サーマルカメラの画像処理技術による逆走検知=ワイ・シーソリューション
カーメイトの「逆走警告システムのイメージ」
 【テーマIII】ETC2・0車載器による蓄積型逆走情報提供=沖電気工業▽ETC2・0車載器による逆走情報即時提供=ITS-TEA、沖電気工業▽Bluetoothビーコン発信電波による逆走警告=カーメイト▽ETC2・0車載器による逆走警告=パナソニックシステムネットワークス▽マルチメディア放送による順走車向け逆走警告=アマネク・テレマティクスデザイン。

【収容1・6万人超、延べ2・3万㎡規模】彦根陸上競技場建築基本設計、佐藤総合計画に

滋賀県は「(仮称)彦根総合運動公園第1種陸上競技場建築基本設計業務委託」の委託先を決める簡易公募型プロポーザルで、佐藤総合計画を契約予定者とする選定結果を公表した。

 次点は梓設計。今後は同者との協議がまとまり次第、契約を締結し、業務に着手する予定。順調にいけば、17年度中に基本設計をまとめた後、18年度までの2カ年で実施設計を行い、19年度の工事着手を目指す方針だ。

 事業は、24年に開催される国体・全国障害者スポーツ大会の主会場となる県立彦根総合運動場(彦根市松原町3028)に現在、第2種陸上競技場しかないことから、国体の施設基準を満たす第1種陸上競技場を備えた都市公園として再整備するのが目的。新築する陸上競技場については、陸上競技以外のさまざまな競技やイベントなどの実施を見据えた多目的競技場として整備することを計画している。

 業務内容は、第1種陸上競技場新築・電気設備・機械設備・外構の基本設計と景観に係る環境調査各一式で、施設規模は想定延べ床面積が2万3000平方メートル程度、主構造がRC造(PC造を含む)またはSRC造、収容人数が1万5000人以上(メーンスタンド固定席7000席程度)。予定工事費の上限は88億円に設定している。履行期限は17年12月26日。設計価格は5869万0440円(税込み)。

 プロポーザルには4者が参加。その後の審査で▽滋賀らしい国体・全国障害者スポーツ大会の主会場となる競技場とする▽誰もが利用でき、利用したくなる▽周辺環境と調和し、歴史的・文化的景観に配慮した競技場となる▽ライフサイクルコスト・環境負荷の縮減を図る▽安全で安心な競技場となる-ための方策をテーマとする提案内容などを評価した結果、評価点が最も高かった佐藤総合計画を契約予定者に選定した。

【輝く!けんせつ小町】熊谷組名古屋支店・藤原由布子さん

 ◇積算業務はチームプレーで◇

 熊谷組が積算職の社員採用を開始したのは13年のこと。その2期生として14年に入社した。「大学で建築を学び、インフラ整備などを通じて社会に貢献ができると思い、ゼネコンに就職しました。ただ、積算業務がどんな仕事なのかはあまり理解していませんでした」。

 入社後、東京本社で約1年半、積算業務の研修を受けた。建築物ができるまでの工程など、建築施工の基本的な流れを学ぶとともに、積算業務で必要な歩掛かりや数量拾いの勉強をした。「研修を終える最後の3カ月間は都内の現場事務所に配属され、施工図のチェックや墨出し、現場の写真撮影などを担当しました。現場の仕事のサイクルに最初は慣れなくて大変でした」。

 研修終了後の15年9月に現在の部署に配属された。「今の積算グループは私を含め建築6人、設備1人の社員がいます。まだまだ知識不足で、分からないこともあるので、任された仕事は時間に余裕ある期日前までに前倒しで行うようにしています。比較的自分のペースで時間配分ができ、女性技術者に適した部署かもしれません」。

 積算業務は事業構想の段階から概算費を算出し、企画設計、基本計画、基本設計、実施設計と各段階に進みながら各種の条件に合わせた積算を行う。最終的に見積もった入札額が受注の成否を決め、さらには営業部隊と施工部隊をつなぐ役目も果たす。いわば“縁の下の力持ち”的存在だ。

 「積算業務は前段階の仕様書や図面の確認が最も重要です。見落としがないように計画場所を確認したり、見積要項書、質疑回答書、図面と数量と単位の細部にわたってチェックします。同時に常に各部署の担当者と相談しながら作業を行うので、コミュニケーションも大切です。情報交換を密にしながらチームプレーが求められます」

 名古屋支店に配属されて1年半が過ぎた。仕事にも少しずつ慣れ、やりがいも感じている。特に「担当した案件が受注ができた時はうれしい」という。今は毎月数件の積算業務を抱え、図面を見直す日々が続く。

 「図面だけでは分からないこともたくさんあります。構法が違えば歩掛かりも変わります。そうした分からないことを埋めていくには地道に経験を積むしかありません。上司や先輩社員のように基本計画や基本設計の段階で、さっと構造物のイメージが湧き、概算費が積算できるにように早くなりたいと思っています」。

 (建築事業部建築部積算グループ、ふじわら・ゆうこ)

2017年3月23日木曜日

【火災や水害をリアルに再現】竹中工務店、災害事象の統合VRシステム開発

竹中工務店は、複数災害をVR(仮想現実)世界で事前体験できる統合VRシステムを開発した。地震と火災、津波など連鎖的な発生が予想される複数の災害をVR上で統合し、同一の映像内で確認できる。実際の災害により近い状況で、被災時の人々の避難行動などが把握できるようになり、建物の安全性の向上に役立つと期待される。
maximの仕組み
続きはHP

【i-Con対応技術者を育成】利根沼田テクノアカデミー、ICT施工研修計画

 昨年4月に発足した群馬県沼田市の職人育成塾「利根沼田テクノアカデミー」(桑原敏彦校長)が、ICT(情報通信技術)を活用した施工の研修を計画している。

 国土交通省が推進する建設現場の生産性向上策i-Constructionに対応した技術者を地域で育成するのが狙い。座学と実技を組み合わせてICT施工の一連の流れを体験・実習できるようにする。市内の廃校(旧平川小学校)を利用する。

 ICT施工研修の計画は、同アカデミーの運営に理事として参画している青柳剛群馬県建設業協会会長が22日、国土交通省の有識者委員会に出席して明らかにした。

 同アカデミーは、市から借り受けた旧南郷小学校跡を利用して板金と瓦の2コースで開校。昨年4~6月の3カ月の訓練で外国人技能実習生を含めた27人の1期生を輩出した。本年度はこれに大工と設備の2コースを加え、4職種で実施する。

 これらの職人育成に加え、市から新たに借り受けた平川小跡でドローン(小型無人機)の教習施設を6月に開設する。地域と連携しながら、技能者と技術者の双方を育成する取り組みを展開し、インフラの点検や災害時の調査など、地域が抱える課題を「見える化」する環境づくりを目指していくとしている。

 同アカデミーでの人材育成の第3弾と位置付けるのがICT施工に対応する技術者の育成。座学でi-Constructionの基本的流れや最新の基準・要領などをつかんだ上で、ドローンを活用した3次元(3D)起工測量、3D設計データの作成、ICT建機による施工という一連の流れを体験・実習できるようにする。青柳氏は、協会会員の技術者が地域でICT施工を身近なものとして学習体験することで、生産性向上が企業文化として定着するとみている。

【回転窓】ロックの創始者死去

日頃の取材でお付き合いのある業界や役所の方の中にも、いろいろな趣味をお持ちの方がいる。仕事を離れて趣味の話などをすると、いつもの相手の別の面が見えて面白い▼音楽の趣味などもその一つだろう。学生時代にロックやジャズのバンドを組んでいたり、今も仲間と演奏に興じていたりといった話を聞くことも。普段の堅いお役人の表情とロックンロールの組み合わせに驚かされたこともある▼そんな音楽好きの間を駆け巡ったのが、先日の米ミュージシャン、チャック・ベリー氏死去のニュース。ロックンロールの創始者の一人として知られ、世界中のミュージシャンに影響を与えた人だけに、メディアの扱いも随分大きかった▼影響を受けたのはプロに限らない。特に年配のアマチュアミュージシャンの中には、かつてベリー氏の特徴的なギター奏法やステージ上での独特の動作などをまねた人も多いのでは▼享年90。今年は38年ぶりにアルバムを発表する予定だったと伝えられるから、そのばりばりの現役ぶりには敬服するほかない。押し入れでほこりをかぶったギターを再び引っ張り出した読者もおられようか。

【海面からの高さを2倍に】大船渡港湾口防波堤の復旧完了

完成した大船渡港湾口防波堤
東日本大震災の大津波で浸水した三陸沿岸の大船渡港に、総延長736メートルの大規模な防波堤を復旧する「大船渡港湾口防波堤築造工事」がこのほど完了し、19日、堤防完成を祝う式典が岩手県大船渡市内で開かれた。

 東北地方整備局が直轄事業として工事を進め、津波や高潮などへの安全性を震災前より高めた。新たな防波堤を構築する工事の総事業費は約255億円。

 震災後の12年7月に着工し、南堤や北提などに防波堤の基礎となるケーソンを据え付ける工事を昨年秋までに終えた。

堤防の基礎部分には波の抵抗に耐える「粘り強い構造」を採用した。津波の再来に備え、防波堤の水上部分の高さを震災前の約2倍に相当する11・3メートルとした。

【ひと】国土交通省土地・建設産業局・神澤直子さん

 ◇実態を知ることの重要性痛感◇

 15年4月の着任から一貫して土地に関する税制全般を担当する。税は役所同士の議論と思われがちだが、「実態を知らないと身のある議論ができない」とこの2年の中で痛感してきた。

 例えば、17年度改正のうち、長期保有土地を譲渡し、新たな事業用資産に買い換えた場合の課税繰り延べを認める特例措置の延長。特例がなければ資産の買い換えもできなかった-。そんな声を所管業界だけでなく、製造業や旅館業者などさまざまな企業へのヒアリングで聞き、担当業務の影響度を改めて知った。

 人の役に立つ仕事がしたい。そんな思いから公務員になって10年。どの部署でも「現場の声」を重視する姿勢は変わらない。現場をよく知った上で政策を説明できなければ、机上の空論になるからだ。

 以前の部署でトラックドライバー不足に対応するため、全国に出向いて直接話を聞いた。「日の当たらない所で日本経済を支える人たちに光を当てられるような仕事がしたい」。そんな思いは人一倍強い。

 7歳の息子と4歳の娘の面倒を夫の両親が見てくれている。「周囲の協力があってこそ仕事ができる」。その代わり「土日は子どもたちにたっぷり愛情を注いでいます」と笑顔で語る。

 (不動産市場整備課課長補佐、かんざわ・なおこ)一橋大法学部卒。07年国交省入省。群馬県出身。

【首都高でマラソン&サイクリング】墨田区観光協会理事・久米信行氏に聞く「首都高マラソン構想とは?」

 ◇インフラの評価変える機会に◇

 首都高速道路を舞台に世界最大で世界一楽しく絵になるスポーツイベントを開きたい-。東京都墨田区で観光地域づくりなどに携わる墨田区観光協会理事の久米信行氏(久米繊維工業取締役会長)が、こんな夢のある構想を提唱している。「すみだ北斎首都高マラソン&サイクリング」と名付けられたそのイベントとはどういうものなのか。1月に土木学会主催の地方創生シンポジウムでも紹介された構想を久米氏に聞いた。

 --構想するイベントとは。

 「首都高速道路で行うマラソンとサイクリングの大会で、誰もが楽しんで参加できるのが大きな特徴です。例えば朝のうちはレース、昼からはコスプレを楽しむ人たちが歩き、自転車なら電動ママチャリに乗って参加されてもいい。イベント中、首都高の上には一定の距離ごとに47都道府県それぞれの出店などがあり、参加者は好きな店に寄って休憩できる。まさに『物見遊山』を楽しめる大会です。そしてスタート・ゴール地点はお祭り会場になります」

 --なぜ首都高に着目したのですか。

 「普段は意識しないで見ているもの、利用しているものでも、見方を変えれば違う評価となります。東京の基幹インフラである首都高も同じではないでしょうか。景観を損ねているなどと指摘されることの多い一方で、外国の方を東京に案内すると、首都高を見て『日本はよくこうしたものを造った』と驚かれます。夜に映える首都高はまさに未来空間でもあり、『美しい』と評価する人もいるのです。私は観光協会の活動にも携わっていますので、これは貴重な観光資源と思うようになりました」

 --観光地域づくりにどう生かしますか。

 「日本で今、多くの方々が集まるのは参加型のイベントです。いつもは車が走る空間の首都高に上がり、走ったり歩いたりできるのは大変に面白いと興味を持ってもらえるはずです。実際に新しい橋やトンネルが完成し、その開通前に歩けるイベントなどは大人気です」

 「墨田区は葛飾北斎ゆかりの地であり、昨年11月には『すみだ北斎美術館』がオープンしました。美術館のある地元をもっと盛り上げたくて今回のイベント構想を提案させてもらっていますが、墨田区に限らず、東京、首都圏の観光や経済にもインパクトを与えてくれるイベントになると考えています」

 --実現には課題も多いのでは。

 「毎年2月に開かれる東京マラソンは大人気ですが、警備は大変だと聞いています。これに対して首都高マラソン&サイクリングは高速道路の上での大会なので警備がしやすいと思われます。当然、危ない箇所の対策は必要ですが、あくまで自己責任での参加を前提とします。そのための契約書も出してもらいます」

 「観衆がいないと盛り上がらないといった意見もありますが、走らなくても観衆として参加する人たちがいてもいいと思います。千鳥ケ淵の辺りだけ、あるいは東京タワーが好きなら芝公園の辺りだけを歩いて下りてもいいでしょう」

 --事業性はどうですか。

 「参加費や広告費なども含めて事業性は十分にあると思います。日本ではインフラのメンテナンスコストが大きな課題になっています。私はこの大会を通じたクラウドファンディングでメンテナンスコストの一部も出せると考えています」

 「協力者には小さなプレートを設置できるようにします。そこには自分だけでなく子どもや孫の名前が書かれている。神社や寺に寄進者の名前の入った石などがあるのと同じです。子どもが書いた絵でもいい。自らの貢献が見える化されたストーリーのある参加型イベントであれば、賛同いただける方は多いはずです。応分の負担をしながら楽しみ、しかも子どもや孫に自慢できる。町内会でも自慢げに話せる。これが大切です」

 --今後の展開をどう考えていますか。

 「このイベントが実現したら世界中の老若男女が参加すると思います。首都高がお祭りムード一色になり、皆が笑顔になれるイベントをぜひ実現したいと思っています。私たちのために役立っているありがたいものであるのに、なかなかそう思われないし見られない。実はそれが美しいものであり、楽しい場にもなることを多くの人たちに知っていただきたい」

 「参加することで、インフラを守っていくのも自分たちの役割だという意識改革にもつながってほしいものです。日本には素晴らしいインフラが多くあります。各地で観光地域づくりに役立つさまざまな新しいイベントが企画できるでしょう」。

 (くめ・のぶゆき)1963年東京都墨田区生まれ。慶応大学経済学部卒。イマジニア、日興証券を経て家業の国産Tシャツメーカー・久米繊維工業社長に。現在は取締役会長。明治大学商学部講師、東京商工会議所起業・創業支援委員、同墨田支部副会長(IT分科会)、新日本フィルハーモニー交響楽団評議員などを務める。『すぐやる技術』『入社3年目までの仕事術』『すぐやる人だけがチャンスを手に入れる』など著書多数。