2017年6月26日月曜日

【スポーツを〝地域資源に〟】日本政策投資銀行・桂田隆行氏に聞く「スポーツ施設づくりのポイントは?」

 全国各地で健康増進・スポーツ施設の整備への機運が高まっている。それぞれの地域で、地方創生や高齢化社会の課題解決、コミュニティー形成などへの対応を求められる中、健康増進・スポーツ施設は地域の交流拠点として大きなポテンシャルを秘めている。

 地域の内外からさまざまな人々が集えるような魅力ある施設づくりが最近のトレンドだ。地域に愛される施設づくりのポイントは何か。日本政策投資銀行地域企画部の桂田隆行参事役に聞いた。

 日本政策投資銀行は多機能複合型交流施設「スマート・ベニュー2801R3301」というコンセプトを打ち出しています。

 「地域の街づくりの拠点としてスタジアム・アリーナなどのスポーツ施設を生かそうという発想です。とりわけ地方に言えることですが、従来のスポーツ施設は一般的に街の郊外部に整備されることが多く、観光振興やコミュニティー形成、健康づくりといった街を形作る他の観点との連動が考慮されていませんでした。スポーツ施設を市街地活性化のツールとして機能させるためには、『まちなか』に立地し、『収益性』を意識した施設として整備しなければいけません。そういった施設を『スマート・ベニュー』と呼ぶことにしました」

 「スマート・ベニューは、スポーツだけで使われる訳ではありません。地域のイベントやお祭り、コンサート、展示会などに利用できる多機能性を追求していく必要があります。さらに複合化という意味では、その施設の周辺域にショッピングや飲食、公共施設などが一緒に設けられることで利便性が高まり、イベントが開かれない時でも集客を見込めるようになります」

 スマート・ベニューを具現化するため、どんなことに注意すべきですか。

 「我々が提案しているのは、あくまでもスポーツを地域の交流拠点づくりのツール、コンテンツの一つと捉えるということです。何もスタジアム・アリーナに限らずとも、スポーツによる地域活性化の方法はさまざまです。スタジアム・アリーナの整備を前面に押し出した計画の進め方では、地域での協議が紛糾してしまうことも考えられます。都心には都心、地方には地方にふさわしい施設があります。スポーツというツール、コンテンツを、地域の実情に応じて活用してほしいと訴えています」

 「施設整備に関する地域の協議会や勉強会に出席する際には、『スポーツの自己主張のための施設は正しいのでしょうか』という問い掛けをするようにしています。スポーツを『する』『みる』『ささえる』それぞれのための施設であることはもちろんですが、それ以外の人々が訪れることができる拠点でもあるべきです。周辺域のエリアマネジメントも一つのポイントです。さまざまな人が訪れるきっかけをつかめて、喜ばれるような施設であってほしいのです」

 多様な機能を入れることで中途半端な施設になってしまうとの指摘もあるようです。

 「地域の交流拠点づくりという観点に立った場合、専門性が際立った施設で果たして良いのでしょうか。時間は掛かるかもしれませんが、地域のさまざまな人たちの意見を聞きながらプロジェクトを進めていかなければなりません。そうした意味で最初の段階のコンセプトづくりが大切です。『何のための施設なのか』という出発点に立ち返りながら、地域で納得して施設づくりを進めることが肝心です」

 政府主導でスポーツ施設を「稼げる施設」に変革するための取り組みも行われています。

 「スマート・ベニューでイメージしているのは、地域の拠点となって地域全体を盛り立てていく施設です。必ずしも施設だけがもうかるべきだとは思いません。地域全体で稼げる施設にはなってほしいと考えています。だからこそ最初のコンセプトが大事なのです。その施設の地域での意義を、地域の皆さんがしっかり納得できれば、地域で負担しながら施設を運営・維持していけるような形をつくれるのではないでしょうか」

 このところ全国各地でスポーツ施設の整備計画がめじろ押しです。

 「まだ検討を始めて1、2年に過ぎない施設計画がたくさんあるのが現状です。スマート・ベニューの実現に向けた全国的な動きは進み始めたばかりです。いずれにしても、施設のコンセプトの方向性を間違えてしまうと、地域の人々から愛される施設にならない可能性があります。例えば、プロ野球球団の広島カープは、なぜ広島市民から愛されているのでしょうか。その野球スタイルも理由の一つでしょうが、広島カープという存在を市民の代表だと思う感覚が浸透しているからではないでしょうか。施設整備を進める側から、スポーツのための情報発信だけでなく、もっと広く文化醸成のためのメッセージを届ける必要があります。地域の人々にスポーツを『地域資源』と感じてもらうことが大切なのです」。

 □全国の「まちなか」で施設整備プロジェクトが進展中□
後楽園球場の開業は約80年前。
東京ドームシティは機能拡張で成長を続けてきた
スポーツ施設を核とした街づくりの成功事例として、桂田氏が真っ先に挙げるのが「東京ドームシティ」(東京都文京区)だ。日本初のドーム型スタジアム「東京ドーム」を中心に、多目的ホール「後楽園ホール」、ホテル、遊園地、温浴施設、ショッピングモール、レストラン街などで構成する一大レジャー拠点をつくり出し、スポーツ観戦以外の来場者の誘致にも成功した。

 地方での事例としては、市庁舎やアリーナなどの複合施設「アオーレ長岡」(新潟県長岡市)を高く評価する。JR長岡駅の至近地に、さまざまな市民交流機能を盛り込んだ施設だ。JR小倉駅近くで今年3月にグランドオープンしたサッカースタジアム「ミクニワールドスタジアム北九州」(北九州市小倉北区)には、周辺施設との相乗効果による市街地活性化に大きな期待をかける。

 同じく3月にオープンした「01THE BAYS」(横浜市中区)は、横浜01DeNAベイスターズが横浜スタジアムに隣接する国有建物を借り受けて整備したユニークな施設だ。新産業創出プラットフォームと銘打ち、フィットネススタジオやカフェに加え、クリエーターやクリエーティブ企業が入居するシェアオフィスを配置。球団と連携し、新たな街づくりや文化創出を目指すという。

 政府は2025年までに大型のスタジアム・アリーナを全国に20カ所整備する方針を示している。こうした後押しを受け、各地で多くの施設整備計画が立ち上がっている。
「桜スタジアムプロジェクト」の完成イメージ
(ⓒ2016桜スタジアム建設募金団体)
現在検討中の施設で桂田氏が期待するプロジェクトに挙げたのが、愛知県豊橋市が豊橋公園内で計画している新アリーナ構想と、サッカースタジアムのキンチョウスタジアム(大阪市東住吉区)の増設・改修計画「桜スタジアムプロジェクト」。前者は中心市街地に近接する「まちなか」施設として2020年代初めごろの建設を目標に検討中。後者は募金を通じて次世代スタジアムの整備を目指すチャレンジングな試みとして注目を集めている。

【工事は16年2月から】新国立競技場、屋根鉄骨工事へ施工検証中

検証で組み立てている大屋根の根元鉄骨
(ⓒ 大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV)
日本スポーツ振興センター(JSC)が進めている新国立競技場(東京都新宿区霞ケ丘町10の1ほか)の整備事業で、設計・施工者の大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVが18年2月に始まる大屋根の鉄骨工事に向け、実寸大の部材を使った施工検証を行っている。品質・安全を確保しながら短工期で竣工させるため、施工計画や作業工程・手順などを事前に確認するのが目的。夏頃までに完了させる。

 新国立競技場の屋根部は108スパンの部材で構成。1スパン(付属設備除く)当たり全長60メートル、幅15メートル、重さ130トンの規模で、「根元鉄骨」と「ユニット鉄骨」で組成する。

 いずれの鉄骨も地組みする。根元鉄骨は競技場外側から300トンクローラークレーンでつり上げてスタンドの地上躯体に固定。ユニット鉄骨は競技場のフィールドに組み立てヤードを設け、14スパン分を同時に組み立てる。作業期間は1スパン当たり9日間を想定。組み終えたユニット鉄骨は、フィールドに設置した1000トンクローラークレーンで揚重し、根元鉄骨の先端に接合する。

 ユニット鉄骨には、下弦材と補強するラチス材の鉄骨に木材を地上ではめ込む方針。屋根下地(野地板)やキャットウオーク、スピーカーや照明機器などの設備も地上で組み込み、高所での作業量を低減する。工期は、根元鉄骨が18年2月初旬~同5月末、ユニット鉄骨が同5月初旬~19年2月末。屋根工事全体では同5月中の完了を目指す。
大屋根鉄骨工事のイメージ
(ⓒ 大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV)
大成建設JVは6月初旬から現場での検証を開始した。屋根部の北東側2スパンを検証のモデル範囲に位置付けた。同範囲は、屋根空洞部内周のカーブの開始地点で、むくりを持つため難工事とされる場所。実際の工事でもこの近辺から施工を進めるという。

 このほか、屋根部材の先端が設置後に自重で50センチ前後下がると見ており、その予測値と実際の変状の値も検証する。

 JSCが23日に開いた定期ブリーフィングで、小林祥二大成建設東京支店新国立競技場整備事業作業所長は「ユニット鉄骨の組み立てヤードは十分な広さがない。その中でいかに効率的にスムーズに施工を進めるかが工程を順守する上で最も重要。事前に検証することで今後の工事にフィードバックしていきたい」と語った。

 新国立競技場の規模はS一部SRC造地下2階地上5階建て延べ19万4000平方メートル。現在は、スタンド全面で地下部の基礎工事が進められており、スタンド西側の一部では床付け工事も進行中だ。19年11月末までの施設の完成・引き渡しを目指している。

【回転窓】2人の若きリーダー

先日、国土交通省主催の建設産業女性活躍推進会議で、就労環境の整備を通じて女性の戦力化を積極的に進める企業のトップから貴重な話を伺えた。三承工業(岐阜市)の西岡徹人社長と由井電気工業(東京都渋谷区)の由井健太郎社長の2人。ともに1970年代生まれの若手経営者だ▼三承工業は企業風土の改善などによって全社員が輝く働きがいのある会社づくりに注力。子どもと一緒に出勤できる独自制度など仕事と家庭の両立を支援している▼由井電気工業は女性が楽しく長く働きたくなるような会社を目指す。社員の要望を取り入れた魅力的なオフィスに改装したり、カジュアルウエアのデザイナーと共同で女性用作業着を開発したりしている▼いずれも形式的でマスコット的な女性配置を一切せず、女性社員が長期的なキャリアを描けるような仕組みづくりを実践。社長自ら意識を改め、社員の仕事への意欲を高める取り組みに力を注ぎ続けている▼両社とも、女性社員の増加・活躍とともに業績も順調に上向いてきた。経営の改善は人の改善。それには「まずは社長の意識変革」という2人の姿が印象深かった。

【サークル】上海フジテック サッカー部

 ◇初出場の大会で優勝、さらに飛躍を◇

 キャプテンを務める周武峰さん(製造一部)の呼び掛けに応じて2015年に発足した上海フジテックサッカー部。設立当初はメンバーも少なく、練習試合もままならなかったが、製造一部を中心に品質管理部や購買部、生産技術部、総務部からメンバーが集まり、現在は約20人で活動する。

 部のモットーは「個々の能力を高め、大会で上位を狙うこと」。本格的に活動を始めたことをきっかけに、会社近くの敷地を利用して練習に汗を流すほか、今年はチームで初となる大会出場も果たした。

 初出場の大会では、順調に決勝まで上り詰め、見事優勝を飾った。周さんは「初出場の大会で優勝できたのは非常にうれしい。これもひとえにチームが一丸となって戦えたから。最後まで応援してくれたチアリーダーも含め、みんなに感謝している」と喜びをかみしめる。

 「大会では、素晴らしいパフォーマンスを発揮できた。これがきっかけとなって、社内にもサッカーに興味のある人が増えてきており、メンバーの拡大につなげたい。そして来年の試合を見据え、さらに練習に力を入れていきたい」とさらに情熱を燃やす。

【建設業の心温まる物語】マツナガ・大野悠也さん(愛知県)

 ◇自分が成長できるかどうかは自分次第◇

 入社2年目の冬の出来事です。私は内勤で働くことが多いのですが、ある現場の竣工が迫っており、工程を間に合わせるために少しでも力を借りたいとのことから、2週間ほど現場に常駐することになりました。

 内勤で働いていた私は現場のことが分からず、図面も読みとれず、なかなか皆さんの役に立つことができません。職方さんから言われるがままに、物を持って支えたり、資材を運んだりして日々を過ごしていました。こんな状態でいいのか、と考えていました。

 そんなある日の夜、上司Aさんが現場にやってきました。そして私の様子をみて変だと思ったのか「大野くん、がんばっているのか?」と声をかけてくれました。私は「現場の現状が何も理解できません。そのため、皆さんの役にも立てず働いている気がしないんです」と打ち明けました。するとAさんは、「分からないことを分からないままにしておくな。自分が成長できるかどうかは他人じゃなく自分次第なのだから。とにかく行動を起こせ」と言っていただけました。

 私は、甘えていた自分に気づき、ハッとしました。それからというもの、私は職方さん達に積極的に質問し、行動するように心掛けました。そうすると、今まで冷たく感じていた職方さんが次第に親しみやすくなってきたのです。また、日に日に成長していく自分を感じることができました。あの時、Aさんの言葉があったから今の私があります。今でも、そしてこれからもあの言葉は忘れられません。

【建設業の心温まる物語】東組・小野田好晃さん(和歌山県)

 ◇どんな勉強をしたらお父さんみたいな工事の仕事ができるの?◇

 私が勤務する建設会社は浚渫工事、防波堤工事など海洋工事を得意としています。海、そして地域の方々への感謝の気持ちを表す目的で行っている地域貢献活動として、ヒラメの稚魚3000尾の放流体験イベント会を開催しました。

 その日は、地域の子供たち約30人とともに、7歳から13歳の我が子3人も参加しました。子ども達はヒラメを素手で触った経験がなく、目を輝かせていました。その後、10歳の娘がそのときの様子についての作文を書いてくれました。

 「ヒラメを触ったらぬるっとしていた」「ヒラメの口に手を噛まれてビックリしました。痛いと思って見たら血が出てなく思ったより痛くなかった」「早く大きくなったヒラメを刺身で食べたいな~」という楽しい作文を見て、家族みんなで笑いました。

 それをきっかけに娘は、「どうしたら海の魚が増えるのかな?」「どんな勉強をしたらお父さんみたいな工事の仕事ができるの?」「今、お父さんが作っている物って何?」
 と、私に質問してくるようになりました。

 私は「魚を増やすためには、海や川などの魚が生活しやすい環境を作ってあげたり、稚魚の放流をしたり自然環境を整備し、みんなで海、川、山などを保全することが大切だね。今、お父さんは防波堤を作っているよ。台風や地震などで大波や高潮が起きても、港や家や道路を守ることが仕事だよ」と答えました。

 魚の放流体験をきっかけに娘が建設の仕事に興味を持ってくれたことを、とても嬉しく思いました。

【建設業の心温まる物語】神室工業・高橋孝浩さん(山形県)

 ◇地域のため、子ども達のために橋を造る◇

 山形県真室川町にある安久土橋の架替工事の上部工事を行いました。前年度までに橋台、橋脚、桁が完成しており、その年には上部工を施工することになりました。橋の近くには真室川小学校があり、子ども達は通学の時、いつも工事現場を見ながら通っていました。

 子ども達が工事現場に興味津々な様子を見て、私は何か子ども達の思い出に残ることができないかと考えました。そして、小学校の先生と毎週の工程打ち合わせの際、「子ども達の記念に残るイベントを企画したい」と提案したのです。

 それは、橋面全体に小学生208名全員の絵を描いてもらうという企画です。子ども達の絵がずっと橋の上に残るのです。先生はすぐに賛成して下さいました。

 工事が進み、床版のコンクリート打設が終わりました。その後、1年生から6年生までの子ども達に、橋全体を分担して絵やメッセージを描いてもらいました。

 クラス毎、前もってテーマを決めていて、動物や魚、虹の絵など、また、「安久土橋完成おめでとう」や「安久土橋最高、ありがとう」などというメッセージを書いてくれました。そんな子ども達の絵やメッセージを見ると橋の完成を楽しみにしてくれているのだな、と感動しました。

 工事竣工後、子ども達に完成した橋を見学してもらい、橋の上で記念写真を撮りました。子どもは工事現場に興味があるということを改めて感じました。子ども達の心に残ることができて、とてもうれしく思いました。

 地域のため、子ども達のために橋を造って本当に良かったと思いました。

【駆け出しのころ】大豊建設執行役員東京支店長・竹内清氏


 ◇自分の時間も大切に仕事を◇

 東京・木場に生まれ、父が材木会社を経営していたため、小さい頃から外で汗水垂らして働く大人たちの姿を見て育ちました。そのせいか、学生時代のアルバイトもトラックの運転手や建設現場でブロック職人として働くなどほとんどが「ガテン系」の仕事ばかりでした。

 建設会社に就職して現場で働きたいという思いが強く、大豊建設に入社して配属された現場では、地下足袋を履いて走り回っていたほどです。それも職長さんたちが履くような留め具が12個付いた12枚こはぜの地下足袋です。入社2年目に担当した現場の所長に「職員なのだから地下足袋はよせ」と怒られるまで履いていました。

 若い頃は現場で上司や先輩が仕事の一つ一つを丁寧に教えてくれるというよりは、職人さんと一緒になって動きながら覚えていったのだと思います。そうした職人さんとも時には口論になることもあり、怒った職人さんが現場から帰ってしまったこともあります。当時はそのことが工程にどんな影響を及ぼすのかにまで考えが及ばず、当然、後から周りの先輩に厳しく注意されました。

 今振り返ると、現場ではいつも一生懸命だったと思います。お盆と正月の休みになると体調を崩して寝込んでしまうことがよくあり、それだけ普段は気が張っていたのかもしれません。

 これまでに東京都の上下水道工事や臨海副都心での工事など多くの現場に携わってきました。山岳土木などと比べて比較的工期の短い都市土木の現場をいくつも経験してきたのですが、神奈川県内の横浜磯子火力発電所の工事には4年携わりました。

 その後、海外の現場にも赴任しました。会社から突然、「来週から台湾に行くように」と言われ、当社がちょうど台湾で進めていた新幹線建設工事の現場に赴任するものだと思っていたら、原子力発電所の建設工事でした。

 日本では発注者、職員、作業員とのコミュニケーションを大切にして現場運営をしてきましたが、いきなり台湾の現場に入り、英語も中国語も分からずに苦労の連続で、最初の頃は日本に帰りたいと思っていたものです。しかし、現地の作業員さんともだんだんとコミュニケーションが取れるようになり、「郷に入っては郷に従え」を痛感するよい経験になりました。

 若い人たちは今、私たちが走ってきた時代とは異なる環境で働いています。ですから、会社では「自分の時間をつくるように仕事をしなさい」と言っています。コミュニケーションを大切にし、「できれば先輩の話を聞くように」ともよく話しています。世代によってコミュニケーションの取り方は違ってきており、私たちも頭を切り換えることが必要だと思っています。

 (たけうち・きよし)1981年芝浦工業大学工学部土木工学科卒、大豊建設入社。東京支店土木部長、土木本部土木営業部長、名古屋支店副支店長兼営業部長、執行役員名古屋支店長などを経て、17年4月から現職。東京都出身、59歳。
赴任していた台湾では休日、現場に近い海でダイビングを楽しんでいた

2017年6月23日金曜日

【回転窓】インフラに責任を持つ

本紙の連載や最終面に掲載される記事には、取材・執筆に当たった記者の個人名が明記されることが多い。読者の中には、それを覚えていて下さり、取材先で名刺交換した際、「あの記事を書かれた方でしたか」などと言っていただけることがある▼署名入りの記事は、取材する記者のモチベーション向上という意味合いに加え、記事に対する責任を記者として強く意識することにもつながる。一度、新聞に名前が載れば、インターネット上で拡散するなど思わぬ広がりを見せることもあり、それだけに緊張感も増す▼建設工事でも、構造物に設置した銘板に施工者や担当した技術者の氏名が記されることがある。今、こうした取り組みを広げ、工事に携わる人たちの誇りややる気を醸成していこうという動きがある▼銘板に会社名や自分の名前が残れば、支えてくれる家族に「これがお父さんの仕事だ」と誇りを持って話すこともできる。建設産業の将来を担う若者の目標にもなろう▼同時にインフラを「誰がつくったか」が明らかになる。維持管理段階に入ったインフラに建設業界が「責任を持つ」と宣言することでもある。

【環2は地上ルートで暫定開通へ】東京都、豊洲移転・築地再開発の課題整理

 東京都は22日、築地中央卸売市場(中央区)の豊洲新市場(江東区)への移転に向けた課題を整理する関係局長会議を庁内で開いた。

 本線トンネルの一部が築地市場用地を経由する計画となっている都道環状2号については、トンネルの代わりに地上部道路を整備し、2020年東京五輪までの暫定開通を目指す方針を確認した。

 豊洲市場の地下ピット(地下空間)に講じる安全対策では、専門家会議が示した第2案(換気による水銀などガス濃度の上昇防止、コンクリートによる水銀などガスの侵入低減)を基本とする。

 小池百合子知事は「ここからがスタート。各局が連携し、スピード感を持ってしっかりとした体制をつくる。責任を明確にしながら横の連携を強化してもらいたい」と呼び掛けた。

 村松明典中央卸売市場長は、「専門家会議で示された各種追加対策工事の内容を早急に精査し、発注手続きに入る。地下ピットの対策では工期・工事費の面で優れる第2案(契約・工事期間8カ月、工事費15億~20億円)を基本に年度内の完了を目指す」と明言した。

 さらに「環境アセスメントの手続きでも環境局との調整の上、速やかに変更届を提出する。農林水産相の認可手続きに向けた調整も進める。同時に施設の使い勝手の向上策も講じる」と強調した。

 村松市場長は、豊洲市場周辺地区のにぎわい創出も重要な課題だと指摘。市場隣接地での整備を計画している大型商業施設「千客万来施設」の設置に向け、「事業者(万葉倶楽部を代表とするグループ)との調整を進める。江東区とも協力し、公園の活用などによるにぎわいづくりでさまざま検討を行う」との方針も示した。

 西倉鉄也建設局長は、東京臨海部と都心部を結ぶ環2の整備目標などを説明。「地上部道路による五輪までの開通に向け、関係各局・関係機関との調整に努める。市場の移転時期、築地再開発などの状況を踏まえ、整備方法を検討する」との見通しを示した。

 西倉局長は、築地に近い浜離宮恩賜庭園の活用についても触れ、「立地特性を踏まえ、築地のブランド力との相乗効果が発揮できるよう各局と連携し、さらなる魅力向上に取り組む」と述べた。

【池原義郎氏を悼む】本紙企画シリーズ「再生への実践シナリオ」語録から

 5月20日に89歳で死去した建築家の池原義郎氏(早稲田大学名誉教授、日本芸術院会員)。芸術性あふれる多くの作品を創造するとともに、早大で長年にわたり次代の建築界を担う人材の教育・育成に力を注いできた。

 都市やまちづくりへの見識も深く、日刊建設工業新聞の創刊80周年を記念した企画シリーズ「再生への実践シナリオ」(2008~09年)では、各界の識者4人と21世紀に目指すべき都市像などについて対談してもらった。本紙に掲載した単独インタビューも含むシリーズ記事の中から、改めて“池原語録”をたどる。

 □もっと柔らかい発想でまちづくりを進めていかなければならない□

 「私は子供のころ、東京の渋谷で育った。当時、子供が歩ける範囲は世田谷の辺りまでで、その範囲で東京を感じていた。遠くから『ボーッ』という音が聞こえた。驚いておやじに尋ねると、品川や芝浦のあたりの港に停泊している船の汽笛だという。谷や坂しか見えない渋谷で、音のするかなたに海を想像したものだ。昼間は視覚の世界であったが、夜になると聴覚の世界となった。山手線の電車が近づいてくる音や駅員の放送で昼間と違う広がりの空間を感じることが出来たし、げたの音で人の動きも想像された。初めて円山町花街の芸者さんとすれ違った時は、化粧のにおいでその界隈を想像し、百軒店の路地を歩けば、その近代的な盛り場を感じることができた。

 今の都市空間には、そうした直接の感触でとらえる要素がなくなってしまった。昔は日常生活の中に時間軸や季節軸があった。今の時代はもっと拡大した感覚軸があるのかもしれないが、個体直接のものから遠く、隔たりを感じてしまう」

 「『汎東京湾都市』を実現させるために、東京湾岸の都県の区分けを超えた特別な行政区の拠点をつくり、各自治体の連携した都市運営を行うことはできないだろうか」

 「これまでの都市計画では、用途や機能ごとに土地の利用の仕方を分類し配置する『ゾーニング計画』の手法が原則であった。その結果、都市が機能分化してしまい、さまざまな問題や歪(ひず)みを生んでしまった。これからは、もっと柔らかい発想でまちづくりを進めていかなければならない。さまざまな種類の人々が集まり、生き生きとした創意によって市民のための生活空間を作ることが重要である」。

 (2008年1月7日付、シリーズ企画第1弾のインタビューで)

 □これまで日本人が歴史の中で脈々と蓄積してきた感覚を再認識するべきだと思うのです□

 「もともと日本人はいい感覚を持っていました。直感力と言った方がいいかもしれない。江戸時代には家康という巨人がいて、すごく大きな地図をつくりました。城の近くの高台を武士の居留地として押さえ、低地に町人が暮らす街をつくりました。ところが、江戸の下町の人たちは非常に賢くて、与えられた状況の中で、したたかに生き抜いていくわけです。家康のつくった空間図式の中で自分たちの楽しみの場所をつくっていった。そういう天才的な才能を持っていたのです。

 いま、世の中はおカネの時代になって、おカネが全部の筋書きをつくって、それだけで終わっている。もう一度ここで反省し、いまのおカネで動いている姿の皮を一枚剥いでみる。そうして、これまで日本人が歴史の中で脈々と蓄積してきた感覚を再認識すべきだと思うのです。

 東京湾に森の島をつくり、軸をつくると言っても、その軸は非常に日本的で精神的なものです。ベルリンの街の中心部を貫くウンター・デン・リンデン・シュトラッセみたいな軸はない。何が軸になっているかというと、認識です。心の軸と言ってもいいかもしれません。森の島があって、それからお台場があって、東京タワーがあり、皇居がある。反対側は木更津や房総半島に延びていきます。東京に住んでいる人は頭に地図を持っていますから、それぞれ頭の中にそれぞれの心の軸を設定できる。それが本当の豊かさにつながっていくのではないかと思います」

 (2008年3月25日付、建築家・安藤忠雄氏との対談で)

 □親水性の護岸にすれば、豊かな楽しい水のまちづくりができるのではないかと話をしました□

「私は旧制中学時代に戦争の時を過ごし、学徒動員で汐留の貨物駅で荷物の運搬荷役をし、下町の市民街と水辺に開く工場地帯を走りまわっていました。いま、隅田川沿いの工場跡地の再開発事業などを見ておりますと、『ああ、ここまできたか』という感があります」

 「私は子どもの頃、よく市電に乗りました。当時7銭払えばどこまでも乗れるので、更にバスに乗りかえながら小松川橋を渡って浦安の方まで行ったことがあります。そのときに、錦糸町を越えるとまさに水の街で一面が田んぼでした。年に数回、増水して水びたしになるので、外壁が1メートルぐらいのところまで色が変わっている。住民は出水にもう慣れているのですね。そのくらい水と一緒に生活をしていた。でも最近は都市に洪水があると困るというのでカミソリ護岸になっていますね。そのせいで、今では水が風景には見えなくなってしまいました」

 「この前、都市環境が専門の尾島俊雄さんと対談をした時に、尾島さんはこの地域周辺を元の水の街に戻すべきだと言っておられました。比較的簡単な技術で水位を一定に保つことができるそうです。よく考えてみれば、オランダでは、昔から風車と水門という、素朴な技術で水位の調節を行っていますよね。そうして親水性の護岸にすれば、江戸時代にあった水際の風景を取り戻すことができますし、下町の豊かな楽しい水の街づくりができるのではないかと二人で話をしました。今の東京は膨大な人口を抱え込んではいますが、そういうようなことをもう一度考え直していけば、まだまだ良い街になるはずです」

 (2008年6月27日付、小野邦久都市再生機構理事長〈当時〉との対談で)

 □臨海部の豊洲やお台場…以前、この地区を地下鉄でつないではどうかと提案したことがあります□

 「都市環境を考えるとき、地下の空間は非常に重要であります。東京の地図を見ると、臨海部の豊洲やお台場のあたりは地上の橋でつながっていますが、地下ではほとんどつながっていません。以前、この地区を地下鉄でつないではどうかと提案したことがあります。

 2016年のオリンピック招致に伴い、晴海のメーン会場、有明の選手村が計画されるならば、現在のゆりかもめや車での交通アクセスでは容量不足ですし、豊洲新市場を中心としたこれから開発されるエリアへの十分な集客力を生み出すためにも新たなマストラが必要です。さらに、勝ちどき駅や豊洲駅は、周辺の業務施設等の建設に伴い、朝の通勤ラッシュでホームがあふれ、対策が急務となっています。この新たな1本の地下鉄は『都市の地下茎』ともいえる生命ラインとなり、地上の新しい都市の発芽を促すものとなるではないかと考え、提案しました」

 「日本の地下鉄の地下道の空間は地上との関係が切れてしまっていて、人通りが少ないと怖い道ですね。残念ですが新しい都市をつくる、あるいは新しく都市を再生していくのだという視点はほとんど感じられません。最初にイメージも何もなく、ゾーニング計画から入っていきます。何をもってゾーニングしているのかというと、やっぱり目先のそろばんですよ」

 「東京湾に浮かぶ人工の島を『海の森』にしようという計画があります。…例えばの話ですが、霞が関の首都機能をこの島に移し、その跡地を緑にしていけば、都心部で緑がつながっていきますよね」

 (2008年5月28日付、尾島俊雄早大名誉教授との対談で)

 □持続するものというのはやはり、心なのだということになる□

 「われわれ建築家の大先輩、村野藤吾がこんな言葉を残しています。『建築のディテールで大切なものとして私がいつも心がけている点は、触りとかタッチとかというところを気にするのです』。目ではなく、手で触るということを大切にしていたのです。

 同じ建築家の白井晟一さんは『掌は人間の身体のうちで心を許される唯一の部分である』と言っている。やっぱり目は出てこないのですね。掌なのです。手は非常に生命的なもの、そこに通い合うものを感じるのですね」

 「…とかく造形や表現の世界では目が主役になっていく。視覚ですね。視覚というのはとかく論理的なものを見るのには長(た)けているけれど、その奥に柔らかく沈んでいるものは見えない。奥のものを見るには体や手が必要です。そういう意味で、……持続するものというのはやはり心なのだということになる。

 いま東京はどんどん開発が進められています。それも、経済の論理に従ってどんどん変わっていく。そこが何であったかという事実は、何も頭の中に記述されていない。超高層マンション群や事務所群は、せいぜい持続しても30年ほどでしょう。経済の形態ががらりと変わっていく。以前は人々が都市の外へと逃げていって、どうやって引き寄せるかというのが問題であったのに、あっという間に集まって、ビルやマンションが雨後のたけのこのように成長してきますよね。

 たしかに『持続性』という言葉は盛んに今使われている。その持続性ということは何かというと、結局は物理的な環境でのことに止まっている。だから空気は汚してはいけない、大気の温度は何とかしなければいけない、それからエネルギーはもっと軽減しなければならない、水もみんなそうだということになる。それらを都市がもういっぺん考え直さなければいけないのです。だけど、市民としての心が消えてしまっている。いま、本当に持続性のある都市になり得るのかどうかと考えてしまいます」

 (2009年10月14日付、彫刻家・安田侃氏との対談で)

 ◇偲ぶ会、6月27日に早大大隈講堂で◇

 日本芸術院会員池原義郎名誉教授を偲(しの)ぶ会(代表・中川武早大名誉教授)が27日午後1時、東京都新宿区戸塚町1の104の早大大隈講堂大講堂で開かれる。連絡先は建築学科連絡事務室(電話03・5286・3008)。

【積女ASSALだより】ヤマウラ・吉村保奈美さん


 ◇交流会はパワーもらえる場所◇

 ヤマウラは長野県のゼネコンで、2020年には創業100年を迎えます。4月で入社3年目となり、積算チームで商品住宅の見積作成や積算事務所から納品されたデータのチェック業務などを行っています。

 文系出身だったため、入社した時は建築の知識は全く無く、ゼロからのスタートでした。まだまだわからないことが多いですが、日々の業務の中で先輩方にアドバイスを受けたり、建設現場への視察で分かることが増えてきたりして、楽しく仕事をしています。

 一昨年から参加している積女の交流会は、同業の女性たちの仕事に対する熱意に触れられ、パワーをもらえる場所です。これからもASSALを通じてたくさんの「積女」に出会えることを楽しみにしています。

 (よしむら・ほなみ)

 次回は日本設計の鈴木由香さんを紹介します。

2017年6月22日木曜日

【暑さ本番へ準備】六本木ヒルズ(東京都港区)でドライミスト運転開始

 森ビルは、20日に六本木ヒルズ(東京都港区)の広場「66プラザ」で省エネルギー型外気冷却システム「ドライミスト」の運転を開始した。

 来街者の快適性向上と省エネルギーの推進が目的。06年から実施している取り組みで、今年は装置を増設し、噴霧面積を従来の180平方メートルから4倍の720平方メートルに拡大した。

 増設工事は東京都が実施する「クールスポット創出支援事業」の対象事業に認定された。民間企業の取り組みが同事業の対象となるのは珍しいという。

 ドライシステムは、樹木の蒸散によって周囲の気温が下がる原理を応用。噴霧した超微細な水滴が気化する際に周囲の熱を奪うことで気温を低下させる。気温など一定の条件が満たされた場合、自動制御で運転を開始・停止する。

 噴霧の開始条件は、気温が27・5度以上で、湿度が70%未満、風速が秒速4メートル未満など。停止条件は、気温が25・5度以下で湿度が75%以上、風速が秒速4メートル以上の場合。降雨時は開始条件を満たしていても、作動しない。

 森ビルによると、ドライシステムによって、噴霧したエリアで気温が約2~3度低下するなどの効果が得られるという。消費電力量はエアコンの約25分の1で、環境負荷の低減にも一役買う。噴霧時間は午後6時半まで。今年は9月末まで運転する見通しだが、気候の状況などによって変更する場合がある。

【19年春開業めざす】横浜市、新港・大黒ふ頭のクルーズ船受入機能強化

大黒ふ頭地区大型テントの完成イメージ
横浜市港湾局は20日、中区の「新港ふ頭地区」と鶴見区の「大黒ふ頭地区」の2カ所の整備事業が、国土交通省の「国際クルーズ旅客受入機能高度化事業」の17年度第1回募集で採択されたと発表した。新港ふ頭はボーディングブリッジ、大黒ふ頭は大型テントと駐車場を整備する計画。2施設とも19年春の開業を予定している。

 訪日クルーズ旅客数500万人の実現を目指す国交省が、17年度にスタートさせた補助事業。クルーズ旅客の利便性・安全性の確保を図る目的で、移動式ボーディングブリッジや屋根付き通路、荷物搬送機器、旅客上屋などの改修、バス・タクシーの駐車場整備などに要する経費を補助する。地方自治体や民間事業者が対象で、今回は全国で24港29地区の事業が採択された。国費の合計は8億7100万円。

 事業計画によると、新港ふ頭に整備するボーディングブリッジの事業費は5000万円で、うち国費は1666万6000円。大黒ふ頭にはCIQ(税関、出入国管理、検疫)施設となる大型テントと駐車場を整備する計画で事業費は4億6250万円。うち国費は1億5416万4000円となる。

【回転窓】マンホールカードから広がる世界

「マンホールカード」をご存じだろうか。ちょっとしたブームになりつつあるのだ▼全国至る所にあるマンホールだが、ふたのデザインは場所によってさまざま。岡山市では桃太郎、広島市なら野球の広島カープと地域色を生かしたものも多く、それをカードに印刷している。これまで170種類が作られ、現地に行かないと手に入らない。マンホール愛好家「マンホーラー」が各地を回って集めている▼栃木県足利市では史跡足利学校を描いたカードなど2種類を配布している。昨年8月に計1200枚を用意したが、今月16日に在庫が切れた。「あまりの勢いで無くなったので驚いた。遠くからも来てくれて喜んでいる」と市の担当者▼今月28日には栃木県でマンホールカードを集めて回るバスツアーが催される。主催する平成エンタープライズ(埼玉県富士見市)は、カレンダーの一番下、月最後の水曜日を「下水」と見立て、毎月実施していくという▼地下に広がる下水の世界。一般市民の理解を深めるのはなかなか難しい。マンホールを入り口に関心を高め、支える人や技術も知ってもらう。そんな展開を期待したい。

【張り替え予定は2018年6月】日産スタジアム、ピッチ全面にハイブリッド芝導入へ

横浜市は、港北区小机町にある横浜国際総合競技場(日産スタジアム)のピッチを全面ハイブリッド化する。国内で導入事例が少なく、維持管理手法を含め日産スタジアムに適した技術を確立する必要があるため、約1年間をかけて「フィールド芝開発・育成事業」を実施する。

 19日付で委託先を決めるための公募型プロポーザルを公告した。2019年に開催されるラグビーワールドカップ日本大会で最大10試合程度が行われることを想定し、良好なピッチが維持できるハイブリッド芝の仕様と育成方法を18年夏までに確立する。

 市は、せん断抵抗力や表面硬度、衝撃吸収力、ボールの転がりなどでラグビーやサッカーの競技に適した水準を確保した上で、Jリーグが規定する芝生補強材を使うハイブリッド芝の導入を想定している。芝苗の確保・育成面積は日産スタジアムのピッチ全面(約7700㎡)と新横浜公園内ほ場(1000㎡)の合計8700㎡。委託先と契約後、7月~来年6月を育苗期間とし、来年6月にほ場からの切り出し・運搬作業を実施する。芝の張り替えは来年6月を予定しているが、張り替え後のピッチでは芝の育成と並行してJリーグの試合やラグビーワールドカップの1年前イベントなど、複数の試合・イベントが実施される。2020年オリンピックのサッカー競技会場にも決まっていることから、張り替え後から2020年にかけては日常の維持管理作業を通じて、良好なピッチ状態に保ち続けることが必須条件となる。
2018年6月にはピッチ全面がハイブリッド化される
(写真はⓒ tokyo2020)
ハイブリッド芝の開発・育成事業の履行期間は契約日~2018年3月31日を2017年度分、2018年4月1日~7月15日を2018年度分とする。概算事業費は2億3000万円と試算している。横浜市によると、ラグビーワールドカップの開催に当たり、国際競技団体や大会組織委員会から、多数の試合が予想される日産スタジアムのピッチ状態を良好に保つため、総天然芝に比べ耐久性が高いハイブリッド芝を使用するよう要請を受けていたという。

 ハイブリッド芝は、東京都調布市にある東京スタジアム(味の素スタジアム)や神戸市兵庫区にある御崎公園球技場(ノエビアスタジアム神戸)などで導入検討が進む。都は3月に「東京スタジアムのフィールド芝導入実験業務」をオフィスショウ(東京都渋谷区)に委託。神戸市は17年度予算に芝をハイブリッド化するための工事費2億2000万円を計上、12月ころの着工を計画している。

2017年6月21日水曜日

【建設機械、おっきいなぁ~】常陽建設、園児ら招いて現場見学会

 常陽建設(茨城県取手市、飯田憲一社長)が、土木工事の現場に園児を招き見学会を開いた。園児が訪れたのは茨城県下妻市で施工中の「H28鎌庭管内土砂改良工事」。建設産業に親しみを持ってもらい、仕事の魅力を身近で感じてもらうことが狙い。石下保育園・幼稚園の園児67人などが参加した。

 園児らはまず、万能土質改良機による土砂改良の様子を見学。その後、バックホウや重ダンプ、高所作業車の試乗体験などを楽しんだ。参加した園児は「大きなダンプカーの荷台が上げ下げする様子が面白かった」と感想を話した。

 工事場所は中居指。工事は関東地方整備局下館河川事務所が発注した。工事は、15年9月の関東・東北豪雨の水害を教訓に同局が進める「鬼怒川緊急対策プロジェクト」に位置付けられており、改良された土砂は堤防の材料として使われる。工期は9月29日まで。

 同社の品村正人現場代理人は「園児たちが喜んでくれてよかった。今回の体験が建設業に対する良い印象につながってもらえれば」と話した。

【回転窓】学生の自主運営イベント

学生時代に打ちこんだことの思い出は、どんなに年数を経ようとも色あせることがない。このイベントを企画・開催している学生たちもきっと同じであろう▼千葉県北西部を流れる利根運河の水辺公園を会場に2012年から毎年開かれているのが「利根運河シアターナイト」。運河沿いにキャンパスを構える東京理科大理工学部の建築学科に通う学生たちが、地域の人たちと触れ合う場を創造しようと始めたイベントである▼昨年は「夢境(ゆめざかい)」をテーマに掲げ、8月末に学生がプロデュースした朝市や、制作したアート作品の展示、映画上映などが行われた。夜には500個の灯籠も流して水と光の幻想的な空間が演出され、地域住民と共に一夜限りの野外イベントを楽しんだ▼企画はもちろん、費用の工面や出店者との折衝なども含めすべて学生の自主運営。その企画力と行動力には頭が下がる。今でこそ全国の大学が地域との交流促進に積極的だが、こうした学生が主体の取り組みには、地域住民も共感を覚えるに違いない▼東京理科大理工学部が創設50周年を迎える今年のイベントは9月23日に開催される。

【動画配信など積極展開】建設関連各社、広報活動で新機軸

 建設関連各社が広報活動で新たな取り組みを展開している。インターネットの動画投稿サイト・ユーチューブを活用し、「食べられる建物」の建設プロジェクトを再現したドラマや、タレントを起用したダンスの動画を公開するなど、建設業になじみのない若い世代にイメージの刷新をアピールしている。

 戸田建設は4月、同社のPR動画「世にもおかしな建築物PROJECT」をユーチューブで公開した。動画は、建設会社に勤める2児の父・山本が子どもから「食べられる建物」を作ってほしいとせがまれるところから始まる。山本は仲間を説得し、お菓子を材料に建物を造るプロジェクトが始動。実際の建設プロセスを忠実にたどり、食べられる建物を実現していく。

 建物のデザインコンセプトにある秘密が隠されており、最後のシーンで明らかになる。時間は約4分。出演者は全員、同社の社員で現実の役職に応じた役回りを演じている。施工は東京製菓学校でお菓子作りのプロの指導を受けて行ったという。

 動画制作を手掛けた価値創造戦略ユニットの担当者は、「当社のイメージを刷新し、『真面目』『堅実』の中にも遊び心があり、個性にあふれた集団であることをアピールしたい。建設業になじみのない若い世代のイメージ刷新にもつなげたい」としている。

 東急建設は、建設業の社会的な役割や使命などをPRする動画を制作し、6月に同社のウェブサイトやユーチューブで公開した。若手社員による企画で、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のダンスユニット「エグスプロージョン」が出演。同社と協力会社の社員と共に、人々の生活を守る建設業の魅力を歌とダンスで表現している。

 動画のテーマは「建設業の変」。「指差呼称」など安全を重視する現場の姿、中高年男性が多い業界イメージの中でも若い男性や女性も働いているといった建設業の実情を身近に感じてもらえるよう、切れのあるダンスとユニークな歌詞となっている。

 ◇HPリニューアルで情報発信力強化◇ 

 本年度に入り、ホームページを拡充している企業も目立つ。近年の就職活動はインターネットが主要なツール。学生との最初の窓口となるのが企業のホームページで、各社とも工夫を凝らしている。

世紀東急工業は、ホームページを全面的にリニューアルした。トップページのデザインや構成、各ページを全面的に刷新し、使いやすさを大幅に向上させた。

 採用サイトも刷新。先輩のメッセージや仕事内容、教育・研修制度などを詳しく紹介し、入社後の姿を想像しやすいようにした。

 丹下都市建築設計もホームページをリニューアル。丹下健三時代から現在までの国内外の作品の紹介にとどまらず、完成に至るまでのストーリーや建築設計、都市設計に懸ける思いを掲載している。

三菱地所設計は、歴史的建造物を活用・継承する再開発プロジェクトの経験を通して確立した設計手法を「歴史的建造物の継承設計」と定義し、ホームページで公開した。

 同社は明治以降に建てられた建造物の活用・継承を伴う再開発プロジェクトなどを20件以上手掛けている。設計ノウハウを紹介し、各地に残る歴史的建造物の保存・活用・継承を促すことで、次世代に地域の歴史と文化を伝えていく。

【初弾は24港29地区】国交省、外航クルーズ船受け入れで拠点設備投資補助

国土交通省は20日、外航クルーズ船の受け入れに必要な港湾の設備投資費用を補助する「国際クルーズ旅客受入機能高度化事業」の初弾として、24港29地区の事業を採択した。

 地方自治体や民間事業者が取り組む旅客ターミナルの設備改修や屋根付き通路の新設、既設の老朽倉庫や危険物取り扱い施設の撤去・移設などにかかる費用の3分の1を補助する。

 国交省は17年度予算で創設した補助事業の経費に国費10億円を計上。今回の初弾では24港29地区の事業に国費約8.7億円(事業費約26億円)を充てる。時期は未定だが、17年度に残りの予算の範囲内で2回目の募集も行う予定だ。

 外航クルーズ船の受け入れ拠点整備は政府の成長戦略として推進中。クルーズ船で来日する年間の外国人旅行者数を20年に過去最高だった16年(約199万人)の2.5倍となる500万人にまで増やす目標を掲げる。今回の補助事業は具体策の一つ。その初弾として選定した24港29地区の事業の概要は同省のホームページで公開している。

 先の通常国会で成立した改正港湾法では、外航クルーズ船の受け入れ拠点整備を官民連携で加速させる制度も創設した。地方自治体などの港湾管理者がクルーズ船会社に岸壁の優先使用権を与える代わりに旅客ターミナルを整備してもらうスキームを導入した。

【こちら人事部】戸田建設/「人」が決め手で志望増加

富士教育訓練センターで行った実地研修の様子
1881年創業で、4年後の2021年に140周年を迎える戸田建設。3月の機構改革で本社に「戦略事業推進室」を新設し、建設事業に加え、投資開発事業、洋上風力発電など新事業のほか、グループ事業を一段と加速させている。

 同社のブランドメッセージは「人がつくる。人でつくる。」。山田武史人事部人事1課課長は「機械化が進み、生産性が上がっても、建物や構造物は作業所に関わる多くの関係者が協力し、『人』の手によって造られている。メッセージにはそうした思いが込められている」という。

 新卒採用で求めるのは、「ものづくりを楽しめる人材」であり、同社グループのグローバルビジョン「“喜び”を実現する企業グループ」を理解し、実現に向け共に歩んでいくことのできる人材だ。「多くの『人』と協力しながら、大きなことを成し遂げることに、やりがいや楽しさ、喜びを見いだせる人、バイタリティーのある人材に来てほしい」と山田課長は力を込める。

 採用活動では、採用実績のある大学を中心に、就職担当教授を直接訪問して求人票を渡すなど、丁寧な対応を心掛けている。大学ごとに複数のリクルーターを任命し、会社説明会への同席や面談、内定後のフォローを担当してもらう。

 人事部人事1課の福間加純さんは、「当社社員の人間性が決め手となって志望したという学生も多い。採用ページやパンフレットでは、具体的なキャリアプランとともに、社員の考えや人柄が伝わる内容にしている」と話す。

 会社説明会やインターンシップでは、座談会や懇談会といった採用担当者以外の一般社員と話ができる時間を設けている。「入社後のミスマッチが発生しないよう、知りたいことをフランクに質問してもらう」と福間さん。OB・OG訪問も適宜受け付けている。

 新入社員の手厚い研修制度にも定評がある。事務系社員を含め、入社直後は作業所配属が基本。建設会社の根本であり、最も大切な作業所の仕事を経験させるようにしているという。全職種共通の研修では、入社時のビジネスマナーなどの基本教育に加え、作業所をより深く理解するために富士教育訓練センターでの実地研修も行っている。

 さらに本年度からは、建築技術系新入社員の研修制度を拡充。7~12月に本社で集合研修を実施することにした。「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)という名目で作業所任せにしてきた新入社員への教育を体系的なものとし、カリキュラムの目的を明確にした」(山田課長)という。富士教育訓練センターでの実地研修も2回に増やす。

 福間さんは「会社を選ぶ際には知名度や規模、処遇なども選択の要素になるが、『人』も重要なポイントになる」と強調。「社風が自分に合いそう、この人と一緒に働きたいという直感的なものも大切。就職活動では、できるだけ多くの人に会って話を聞いてほしい」とアドバイスしている。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】 男性131人、女性30人(2017年度実績)

 【3年以内離職率】14・7%(2013年度新卒)

 【平均勤続年数】 男性21年、女性13年(2016年3月末時点)

 【平均年齢】   45・0歳(2016年3月末時点)

2017年6月20日火曜日

【いわき中央~広野間27km】20年度完成目指し常磐道4車線化起工

 福島・宮城両県沿岸を縦断する常磐自動車道の暫定2車線区間(いわき中央~岩沼間128km)のうち、福島第1原発南側のいわき中央~広野間(27km)を4車線化する工事が始まった。

 東日本高速道路会社が17日、福島県いわき市内で着工式を開き、工事を本格始動させた。昨年6月の4車線化事業の認可から約1年での着工。国土交通省東北地方整備局が建設中の復興道路・復興支援道路と同じ2020年度の完成を目指す。

 広野以北では宮城県の山元インターチェンジ(IC)までの2車線区間(87km)に6カ所の追い越し車線を新設。山元~岩沼間(14km)を4車線に広げる。同社は山元~岩沼間の4車線化にも近く着工するための準備を進めている。

 いわき中央~広野間が4車線化されれば、東日本大震災や福島第1原発事故の復旧・復興の障壁になりかねない高速道路の渋滞が大きく緩和されるとみられている。

【回転窓】引き継がれる土木プロジェクト

徳川家康が幕府を開いてから江戸の町は急速に発展し、諸説あるようだが1700年頃には80万人以上の人口を抱える巨大都市に成長していたという▼急速な都市化で必要になったのは人々が商いを行ったり住居を構えたりする土地。そのために幕府は埋め立てを盛んに行い、陸地を広げた▼町の中心だった江戸城から海側は埋め立て地が多く、生活に欠かせない飲料水を井戸からくみ上げるのは困難。そこで幕府は多摩川と井の頭池から水を引き、町中に上水道を張り巡らせた。江戸城周辺に住む武士や商人に加え、長屋に住む町人も無料で上水道の恩恵にあずかれた▼多摩川から水を運ぶ玉川上水が完成したのは今からざっと360年前の1654(承応3)年。文献によって違いはあるそうだが、当時の暦で6月20日(新暦7月21日)を完成日とする説もある▼多摩の羽村から東京・四谷まで全長43キロの水路は100メートルの高低差しかなく、引水工事は困難を極めた。当時の土木技術の高さを知る重要な財産だ。一部区間は現在も現役の水道施設として使われている。長い時間を経て使われ続ける玉川上水から学ぶことは多い。

【記者手帖】良いマナーは伝染する

あるコーヒーチェーン店でよく原稿を書く。常連客にいつもアイスコーヒーを注文する人がいる。飲み終わるとガムシロップとミルクのパック、ストローをナプキンに包んでごみ箱に捨て、グラスと灰皿を片付け、テーブルをきれいに拭いて去っていく。すると、他の客も彼のまねをし始めた◆その結果、テーブルは店員の手を経ずともきれいに保たれている。マナーの良さには伝染性があることを実感する。人は礼儀正しい振る舞いに接すると、自分も同じ水準の礼儀を持って振る舞おうと心掛けるらしい◆安全大会の季節。各地で連日、各社の大会が開かれている。それぞれ現場の状況はまちまちだろうが、良いマナーの人たちが集う現場とそうでない現場とでは安全衛生面にも大きな違いが生じてこよう。マナーの良い人たちが一緒に仕事をする方が良いに決まっている◆建設業界には、担い手確保の大号令が響き渡っている。休日の確保など難しい課題はあるが、良いマナーを伝染させることはすぐに実践できる。気持ち良く仕事ができる現場作りも、担い手確保策の一つになるだろう。(石)

【ダムマニア、集う】ダム工学会、都内でwith Dam★Night開く

イベントの終盤には会場に集まった全員で「ダム・ラブ」ポーズ
ダム工学会は16日、東京都中央区の月島社会教育会館で「with Dam★Night 2017」を開いた。ダムマニアなど定員の130人を超す人たちが集まり大盛況。日本ダム協会から任命されたダムマイスターや、国土交通省の三橋さゆり氏、由井修二氏がダムの魅力について講演した。

 終盤、シークレットゲストとしてタレントの上杉周大氏が登場。自身の番組から生まれた「ダム・ラブ」のフレーズとポーズのパフォーマンスを参加者全員で行った。

 with Dam★Nightは市民、ダムファン、技術者、研究者の交流を通し、ダムに関する知識・情報を外部へ発信することで、より多くの人にダムに親しんでもらうことを目的に2010年から開催されている。