2014年11月13日木曜日

改正土砂災害防止法が成立/危険箇所公表を義務付け

 8月に広島市北部で起きた大規模土砂災害を教訓に住民の避難誘導の迅速化などを目指す改正土砂災害防止法が12日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。公布から2カ月以内に施行する。都道府県に土砂災害リスクの高い箇所の公表を義務付けるほか、国による自治体への対策支援や関与を強める。
 改正案の柱は、▽土砂災害の危険性のある区域の明示▽円滑な避難勧告などの発令に資する情報の提供▽避難体制の充実・強化-の3点。
 都道府県には、住民の避難態勢を整備する「土砂災害警戒区域」を指定する際に行う基礎調査の結果公表を新たに義務付け、災害リスクが高い箇所の周知を徹底する。基礎調査を適正に行っていない都道府県には国土交通相が是正を求める。改正法に合わせて作る基本方針には、国が都道府県から基礎調査の進ちょく状況の報告を受け、その結果を公表することを盛り込む。
 都道府県が気象庁と共同で発表する「土砂災害警戒情報」も法律に明記し、知事に市町村長への通知や住民への周知を義務付ける。市町村が避難勧告を解除するタイミングなどについて助言を求めてきた場合、国交相と都道府県知事が必要な助言を行うことも義務付ける。
 国には自治体が行う土砂災害対策に対し、情報収集・提供や助言など必要な支援を講じる努力義務を課す。市町村には地域防災計画で土砂災害警戒区域内にある避難場所やその経路を明示するよう求める。
 全国には土砂災害危険区域が約53万カ所あるが、土砂災害警戒区域と、宅地開発などを規制する「土砂災害特別警戒区域」に指定されているのは合わせても約35万カ所にとどまる。国交省は改正法成立を契機に都道府県に区域指定を急ぐよう促す。
 国交省は、負担が増す都道府県の取り組みを支援するため、各都道府県と「土砂災害防止推進会議」を順次設置し、国が所有する地形データの提供などを行う。防災・安全交付金も重点配分し、都道府県が行う基礎調査を今後5年以内に完了させたい考えだ。

0 コメント :

コメントを投稿