2015年4月30日木曜日

【東京・神宮外苑】動きだす再整備、スポーツ施設を連鎖建替


 ◇国立競技場改築が契機、官民連携で開発誘導◇

 東京都が「明治神宮外苑地区」の再整備に向け、検討に乗りだした。2020年東京五輪のメーン会場となる国立競技場の建て替えを契機に、既存のスポーツ施設を連鎖的に建て替えるとともに、周辺の低未利用地で公共施設の整備や民間施設の誘致を進める。地区南側にあるビル群でも、都が運用する制度を活用して民間施行の開発を誘導。官民連携で地区全体の再編を進める考えだ。

 明治神宮外苑地区は、北側をJR中央線、南側を青山通り(国道246号)に挟まれた地域で、港、新宿の2区にまたがる。築60年以上で老朽化した明治神宮球場と秩父宮ラグビー場があるほか、指定された容積率を使い切っていない公園や緑地も多い。都は4月1日、地区内の地権者との間で、街づくりの検討に向けた基本覚書を交わした。覚書では、東京五輪のある2020年以降に秩父宮ラグビー場の跡地に新しい野球場を建設。その後、明治神宮球場の跡地に新しいラグビー場を建設するなどの構想で合意に至った。

 都は、地区内の公園・緑地への公共施設の整備や民間施設の誘致も同時に進める考えだ。13年12月に創設した「公園まちづくり制度」を活用し、都市計画で開発が制限されている公園・緑地でも大規模施設を建設できるようにする。同制度では、▽敷地の60%以上(1ヘクタール以上)に緑地を確保▽敷地の20%以上が容積率の低未利用地▽都市計画の決定から50年以上―などの条件を満たせば、都の審査を経た上で都市計画を変更して開発制限を緩和できる。ただ、制度を創設してから現時点では活用された実績がない。このため、都の担当者は「定めた条件に曖昧な部分も多いため、運用しながら内容を精査する」と課題も示している。

 地区南側の青山通り沿いでは、公園や緑地で未利用の容積率を隣接地に移転して土地の高度利用を図る制度「再開発等促進区」を活用した開発も促す。同制度は、森ビルが16年6月の着工を目指す「(仮称)愛宕山周辺計画(I地区)建設事業」(東京都港区)や、組合施行で14年5月に着工した「西新宿五丁目中央北地区市街地再開発事業」(東京都新宿区)など活用例が多い。
 都の担当者は「実績が多いので、制度面での心配はない。今後は地権者と協議して街づくりの方向性を決めたい」と話している。


 ◇伊藤忠商事や三井不、エイベックスなどがプロジェクト推進◇

 覚書を交わした民間企業のうち、伊藤忠商事は1980年竣工の東京本社ビルを建て替える見通し。「青山OMスクエア」を所有する三井不動産と日本オラクルは、交通インフラの再整備などで地区内の街づくりに協力する考え。三井不の菰田正信社長は「東京五輪の記憶を残すような街づくりをしたい」と意欲を示している。青山通りの沿道地域では、こうした動きを契機に開発機運が一段と高まりそうだ。覚書で示した対象地を外れたエリアでも、民間主導でビルの建て替えや再開発の検討が進む可能性がある。沿道では現在、エイベックス・グループ・ホールディングスの新本社ビル(港区南青山3の1の30)、東京都民銀行の新本店ビル(南青山3の176ほか)、大本組の新東京本社ビル(南青山5の9の15)などの建設プロジェクトが進行しており、都心部の新たなオフィス集積地に変化しつつある。

 都は、昨年策定した長期ビジョンで「都営青山北町アパート」(港区北青山3の4ほか、敷地面積4ヘクタール)を20年度までに建て替えると発表した。住宅の高層化で生まれる敷地内の余剰地に民間開発を誘導することで、青山通り沿道と一体的な街づくりを進める方針を示し、将来的な民間開発に布石を打った。
 港区も、地下鉄の青山一丁目駅~表参道駅付近の95ヘクタールを対象にした「まちづくりガイドライン」の検討を始めた。地元町会や街づくり協議会の意見を参考にして今秋までに策定する方針。区の担当者は「『気品のある街づくり』がキーワードになる」としている。
 かつて青山通りのランドマークだった黒川紀章氏設計の「青山ベルコモンズ」(港区北青山2の14の6)は昨年の閉館後、今年に入ってから三菱地所が子会社を通して取得した。跡地の開発に当たって、同社の合場直人代表取締役専務は「テナントニーズが丸の内などとは違うため、工夫を凝らしたい。あらかじめ入居するテナントを決めてから開発することも考えている」と話している。

2015年4月28日火曜日

【鯉のぼり】ガンバ大阪の新ホームスタジアムでスイスイ泳ぐ?


 竹中工務店が設計・施工を担当している大阪府吹田市千里万博公園の「(仮称)吹田市立スタジアム」の建設現場に、こいのぼりの幕が掲げられ、付近を通行する市民やサッカー関係者の目を楽しませている。
 こいのぼりは縦3・6メートル、長さ7・2メートルの大きさ。完成後にプロサッカーチーム「ガンバ大阪」のホームスタジアムとして使用される同スタジアム南西面に設置された。5月の節句を祝い、ガンバ大阪の今シーズンの好調維持と勝利を願い職長会が中心となって作成したという。こいのぼりのコンディションが維持できれば、5月末ごろまで掲げる。
 同スタジアムは、スタジアム建設募金団体(吹田市)が13年12月1日に着工。RC造・S造6階建て延べ6万6355平方メートルの規模で、4万人を収容する。15年9月30日の完成を目指している。コンストラクション・マネジメント(CM)業務を安井建築設計事務所が担当している。

【ネパール巨大地震】日本政府が救助チーム派遣/現地で車両提供のゼネコンも

 
動画サイトにアップされた地震後のカトマンズの様子。
ドローンを使って撮影したという

 日本時間の25日午後3時11分ころにネパール中部で起きたマグニチュード7.9の強い地震で甚大な被害が発生したのを受け、国際支援活動が本格化してきた。 国際協力機構(JICA)は、ネパール政府が日本政府に行った支援要請に基づき、国際緊急援助隊救助チームを派遣。26日にチャーター便で成田空港を出発した。チームは団長(外務省)をはじめ副団長5人(警察庁、消防庁、海上保安庁、JICAから各1人)、救急救助要員44人、救助犬ハンドラー5人、通信隊員2人、医療関係者5人、構造評価専門家2人、業務調整員7人の計約70人で構成。派遣期間は1週間を見込んでいる。
訪米中の安倍晋三首相は日本時間27日、ネパールの大地震について「日本としても緊急援助隊を既に派遣しており、今後の復旧・復興に対してしっかりと支援していきたい」と語った。
 海外建設協会のホームページによると、日本のゼネコンでは安藤ハザマがネパールに進出している。同社は首都カトマンズとインドを結ぶ「シンズリ道路」の施工に約20年前から携わり、全4工区を担当。このうち最終の第3工区が完成し、5月下旬に全線供用のセレモニーが現地で予定されている。
 25日の地震発生以降、同社は現地(連絡所、作業所)に常駐している日本人スタッフ(1人)と連絡を取り、無事を確認しているが、電話やインターネットはつながりにくい状況にあるという。現在、現地の大使館、JICAから救援物資運搬のための車両提供の要請があり、ユニック2台(運転手、アシスタント付き)を提供する予定。今後の支援策についてはJICAと東京で協議する。
 建設コンサルタントでは、日本工営が進出していたが、社員、関係者ともに全員無事であることを確認している。

【回転窓】ドローン、上手に利用を


 先週から新聞やテレビをにぎわしている「ドローン」なる言葉。小型無線航空機(UAV)のこと。無線操縦ヘリと違って素人でも操作が簡単で値段も安く、世界中でヒット商品になっている▼こともあろうに首相官邸の屋上に落ちたことに誰も気付かず、警備や危機管理の甘さとともに、UAVそのものが大きくクローズアップされることになった。政府内では規制論議も浮上している▼一方で、情報通信や撮影などの関連機器が高性能・小型化していることもあって、UAVは新しい産業の創出につながるとの期待も大きい。建設業界でもUAVの利用は増加傾向で、「大きな可能性を秘めている」と見る関係者は少なくない▼海外では、注目度の高いプロジェクトで建設現場をUAVで空撮し、写真や動画をネットで公開する例もあるという。ただ重要施設への墜落例も少なくない。もしテロに利用されたら…と思うと、規制もやむなしとの意見が出るのも理解できる▼必要以上に危機感をあおったり規制したりせず、上手に利用していくにはどうすればよいか。行政も民間も、ここが知恵の絞りどころだろう。

【ターニングポイント】東急建設・飯塚恒生社長


 ◇現場主義の原点◇

 「約10年の歳月を費やした東急池上線の地下化と、初めて所長を務めた横浜市営地下鉄あざみ野駅の地下駅の二つの現場かな」。そう話すのは東急建設の飯塚恒生社長。自身の考え方や価値観を方向付けられた現場だという。
 池上線では、戸越銀座~旗の台駅間立体交差化工事で直下地下・直上高架切替工法(STRUM)を初適用。「当時(89年)は何とか無事に施工できたという感じだったが、昨年の(渋谷~代官山駅間地下化)工事では工程通りきちんと仕上げた」と技術の進化、技術者の成長に手応えを示す。
 あざみ野駅舎は当初4年半の工程で計画されたが、工期3年の突貫工事となり「協力会社の方たちと当社の社員が連携して互いに意見を出し合い、現場の作業が進んだ」と振り返る。「従事した全員に感謝しているし、現場を離れてからも助けられている」と語り、人間関係の深化に顔がほころぶ。
 両現場には、飯塚社長が掲げる「現場主義」の原点がある。

【覚悟と着替えを持って参戦するべし】5月17日、群馬県のある場所でドバッと水が!!

矢木沢ダムの放流はダイナミックさがウリ
 群馬県の山間部にある二つのダムで、洪水吐きゲートの作動状況をを点検するための試験放流が実施される。この点検放流は、毎年行われているのだが、ダムマニアの間では「これを見ずして『通』とは名乗れない」と語り継がれる(?)ほど、強烈なインパクトがある。
 5月17日に点検放流を行うのは、群馬県みなかみ町にある矢木沢ダムと奈良俣ダム。矢木沢ダムは最大毎秒約30立方メートル、奈良俣ダムは同10立方メートルの水を洪水吐きゲートから放流する。沼田総合管理所に取材したところ、「矢木沢はスキーのジャンプ台から一気に水が流れるイメージ。奈良俣は水がさらさら流れる感じですね」と担当者の方。矢木沢ダムの放流を見学する場合は「びしょ濡れになる覚悟で来てください」とも。
 矢木沢ダムは駐車場がなく、見学の際は道路の路肩に駐車することになるので、縦列駐車のテクニックが必須。放流時間は午前10時~11時だが、来場者が多くなった場合「昨年度のケースですと、遠い方は駐車した場所から40分程度歩いていただきました」とのこと。トイレも行けないと思っていた方が無難なので、覚悟と着替えを持って参戦するべし。放流時の安全対策として、ゲートが開いている時間はダムに近い道路は、車両の通行ができなくなるのでご注意を。

奈良俣ダムは清涼感が存分に味わえる
矢木沢ダムが『動』の放流なら、奈良俣ダムは『静』の放流。ゲートから放流された水は緩やかな傾斜のスロープを通って下に流れる。矢木沢ダムは道路からの見学になるが、奈良俣ダムは展望台から放流を見学できる。
 点検放流の様子など、水資源機構が管理するダムの映像は、同機構HPの映像コーナーまで。動画の再生にはWindows Media Playerが必要なのでご注意あれ。
 当日、放流を見学に行かれる方、ぜひ撮影した映像と感想文を管理人にご提供ください!!!

【奴は暗闇に潜んでいる】ケニアにキャッツアイ登場(美人三姉妹ではないが・・・)

暗闇で光を放つ「キャッツアイ」
 アフリカ・ケニアに「キャッツアイ」が登場。といっても美人三姉妹窃盗団ではありません。道路上に設置し、夜間に車線などの視認性を高める「道路鋲」というまじめな話。日本政府の無償資金協力で建設したナイロビ西部環状道路に、国際協力機構(JICA)のパイロットプロジェクトの一環で導入された。
 日本ではよく見かける、交差点や車線上の道路鋲。反射板が取り付けられており、その形状からキャッツアイと呼ばれることもあるようだ。道路の安全性向上を目的とするこのプロジェクトではほかに、レーンがわかりやすい白線や遠くからでも見える減速帯(ハンプ)の注意喚起の斜線などを設置した。

道路の真ん中にお宝が!!
 キャッツアイは反射板がついたものと太陽光を利用した発光タイプの2種類。ケニアでの導入を通して、日本製のキャッツアイの効果を検証することと高温の気候にも耐えられるかどうか耐久性能を確かめることを目指している。
 日本式の交通安全がアフリカでも役に立っているとはうれしい限り。道路をつくって「はいどーぞ」ではなく、日本の強みである安全施設や効率的なメンテナンス方法の移転も含めた「インフラパッケージ輸出」がさらに広まってほしい。

2015年4月27日月曜日

【動かざること山の如し・・・でないこともある】弘前城へ急げ/引っ越し前、最後の桜まつり

天守と桜のコラボはやっぱりきれい
  桜の名所として知られる青森県の弘前城。例年よりも開花が早く、20日時点で外堀の桜は満開目前で、今週末は天気さえよければ、お花見には絶好という。夜桜のライトアップやボートの貸し出し、駐車場の受け入れも始まっているが、余裕と時間がある方はぜひ、弘前城に行くことをお勧めする。
 その理由は、天守を現在の位置でしばらく見られなくなるから。数年前から弘前城は、本丸の石垣が外側に膨らむ「はらみ」が目立ちはじめ、崩落の危険が高まっていた。約100年ぶりの大改修のため、天守は5月11日から閉鎖され、引っ越し作業、すなわち「曳き屋工事」が8月下旬からスタートする。移動距離は約70メートル。昨年11月から内堀の埋め立てなど準備工事が始まり、天守を移動させた後は、石垣の修理が始まる。10年がかりの工事だそうで、天守が元の位置に戻ってくるのも5年先になるとか。
 弘前市役所の公園緑地課に聞いたところ、曳き屋工事は、地元の建設会社が施工を担当するそう。石垣の改修も豊富な経験と高い技能が必要で、多くの職人が腕を振るうことだろう。その意味で、今回の工事は伝統の技を次世代に引き継ぐ場にもなる。工事の詳細や工程は特設HP「弘前城が動く」でぜひ。弘前さくらまつりの期間中は天守に入ることは可能だが、それも5月10日まで。5月11日に弘前城の天守は扉を閉め、工事足場の仮設や曳き屋レールの敷設などが始まる。
 来年の4月には引っ越し先で天守が公開されるそうだが、今の姿を目に焼き付けたい方、写真に納めたい方は、桜が満開の弘前城へ急げ!!!
  

【これでトイレも困らない?】首都高で路外PA検討開始/検証通じ優先整備個所リスト化

路外PAの導入イメージ
首都高速道路会社が、ETC(ノンストップ料金収受システム)を活用して首都高速道路の外にパーキングエリア(PA)などの休憩施設を整備する、「路外PA」事業の具体化に乗りだす。路外PAを試行導入し、普及促進策や整備コストの削減策のほか、民間投資を誘導する事業スキームやビジネスモデルなども探る。
 同社が中長期的に取り組む重点施策をまとめた「快適走行ビジョン」(2月公表)では、サービス向上策の一つとして、路外PAの仕組みを具体化させることを目標に設定。今後、実施箇所などを検討する方針を示していた。検討では、首都高速道路上にPAが整備されていない区間で休憩・食事などのサービスを提供するため、路外PAの試行導入とその効果を検証する。
 路外PAの具体化に向け、これまでに一部区間で実施したスマートPAの実験(1~4次)結果を参考に、路外PAの優先整備箇所をリスト化。概算事業費の算出のほか、整備効果や採算性などを比較・分析しながら路外PAを試行導入する最も有力な箇所を絞り込む。
 試行導区間では、路外PAの対象施設への立ち寄り確認設備、ETCによる乗り継ぎ処理装置などの関連機器を設置し、システムを構築する。試行導入の実施期間は6カ月程度を想定。利用状況などのモニタリングを行いながら、課題の抽出と改善策の検討を行う。
 試行結果を踏まえ、路外PAの普及に向けた事業スキームのほか、民間投資の誘導、整備・運営コストの削減、新たなサービス提供などの関連方策を検討する。路外PAを導入する具体的区間の抽出など、今後の事業化の工程やビジネスの展望などを長期ビジョンとして取りまとめる。

【ちょっと一息】発明で巨万の富を築く人、とそうでない人

 仕事で煮詰まったりすると「宝くじが当たらないかなー」と思ったり、「世紀の大発明でひと山当てられれば」と思ったりするのは、一人や二人ではないないはずだ。発明で巨万の富を得た代表格はダイナマイトでおなじみのアルフレッド・ノーベル。生涯で350件もの特許を取得したノーベルは数百億円もの遺産を残し、これがノーベル賞設立のきっかけになったのは有名な話。
 ダイナマイトに負けず劣らず、現代社会に大きな影響を与えるある技術を発明した人物が1791年の4月27日、当時の米国でこの世に生を受けた。それはサミュエル・モールス。「っえ、それは一体だれ!?」とおもったそこのあなた!!あなたは今日から携帯電話を使ってはいけません。モールスは電信機をつくり出した発明家で、トン、ツー、トンでおなじみのモールス符号に名を残す。
 が、今になれば世紀の大発明の電信機も、その当時は特許を認める認めないで大変な騒ぎだったという。米国よりも海外で名声が高く、財産を慈善活動に費やした。電信の特許を他者が利用しても特許料を求めることはほとんどなく、ノーベルが死後、巨万の富を残したのに対して、モールスは50万ドルほどだったという。ちなみにモールスは、発明家だけでなく画家という別の顔ももっていた、というのは豆知識。

【回転窓】幸福って何だろう

 「狙った通りにピッタリと撮れた写真はつまらない」。写真家・土門拳はいわゆる「間のいい」写真を嫌ったという。頭で考えただけの写真では訴える力がないというのだ▼商売柄、カメラを扱うことが多いが、見る人をうならす写真を撮るのは容易ではない。その場の状況やその時の話の内容などを踏まえ、その状況に合った場面を一瞬にして切り取る。一枚の写真が、添えられた文章よりも人々の心に残るということはよくある▼数年前に刊行された『宮本常一が撮った昭和の情景』(上・下巻、毎日新聞社)を見た。民俗学者・宮本常一が1955~1980年の25年間、全国を歩いて庶民の暮らしを撮り続けた10万点以上の写真の中から、850点を収めたものだ▼市井の人々の姿が映し出されているだけの即物的な写真集で、決して何かを狙ったものではないが、強く感じるものがある。写真の中の人々の目の輝きが、今を生きるわれわれとは違って明らかに強い光を放っている▼今よりもずっと貧しかった時代でも、人々は生き生きとした表情をしている。幸福とは何だろうと、あらためて考えてしまう。

【サークル】大建工業 フットサル部

チームみんなで「DAIKEN」の人文字

 ◇モットーは「人のプレー褒めよう」◇

 大建工業の社員を中心に、社員の大学・高校時代の友人や取引先企業にも誘いをかけて04年に発足した「フットサル部」。発足当時は8人だったチームが、この4月時点では38人まで拡大した。メンバーは、首都圏に住む社員が中心で、さまざまな部署から参加しており、月1~2回の活動を通じてさわやかな汗を流している。
 「人のプレーを褒めよう」がモットー。うまくなるために明るく楽しくプレーすることを心掛けている。1回当たりの活動時間は約2時間。経験者・未経験者が一緒になり、練習と試合をそれぞれ1時間ずつこなす。昨年の夏と冬には、横浜市内で行われた20チームほどが参加する大会で優勝するなど、着々と実力も付いてきている。
 「チームの若返りが必須」と話すのは、代表の茅野佑亮さん。さまざまな年代の人が気軽に交流できる企業サークル活動の面白さを伝えることで、メンバーの増員を目指すという。「運動したい人やダイエットしたい人をはじめ、他部署や別会社の方と交流を深めたい人など、サッカー未経験者でもより楽しく活動できるような部にしていきたい」と笑顔で話す。
 「勝負にこだわりつつも、互いにメンバーを思いやる心を忘れずに、全力でプレーしたい」とやる気をみなぎらせている。

【駆け出しのころ】若築建設執行役員東京本社建設事業部門土木部長・佐藤信一氏



 ◇会社や自分の味を加えてこそ◇

 私が中学生のころ、家には土木の学校に通っていたいとこが下宿していまして、カラス口のペンで製図をよく書いていました。それを見て設計は面白そうだと思ったのが、私も理系に進んで土木の道を選んだきっかけだったかもしれません。
 入社して配属されたのは千葉支店です。漁港や港湾などのいくつもの現場を担当する事務所に赴任しました。初めのころの仕事は、ケーソン製作の写真を撮ることなどが中心だったと記憶しています。
 海での工事は気象に大きく影響されます。このため、常に気象情報を把握しておかなければなりません。ある年のことです。例年なら、一年の中でも海が穏やかな8月のお盆を迎えるころまでにケーソンを据え付けます。しかし、この年は8月以降も年度末にかけて、いくつものケーソンを据え付けていく必要がありました。

 その間は、海上で作業ができる日を決めるため、海の状況を見ては天気図とにらめっこしながら検討する日々でした。現在のような気象情報サービスなどもなく、自分で気象台に行って情報を書き写すなどしていました。ですが、どれだけ準備しても、施工できるかどうかは当日になってみないと分からず、予定した作業が中止になることも少なくありませんでした。大変に厳しい半年間でしたが、そうして現場のことを覚えていったのだと思います。
 現場での失敗もいろいろあります。たまたま天気予報の確認が遅れていた日に、台風が発生したのです。夕方に会社からの電話で知り、慌てて引き船を呼んで作業船を安全な所へ移動させる準備に入りました。何とか翌朝の日の出前には移動でき、台風の影響を避けられたのですが、今でもあの電話がなかったらと思うと冷や汗が出ます。人の目がどれだけありがたいか、身に染みました。

 私は、相談できる人、聞いてくれる人、そして話せる人がいることはとても大切だとよく言っています。自分も多くの方々と話をさせていただき、多くのことを教えてもらってきました。それに「こうした改善ができるのでは」といった考えがあるなら、人に話してみることも大事です。すぐには無理だとしても、言うことで変わっていく場合もあります。
 施工者の仕事は、設計されたものを形にすることですが、その中で会社や自分の味を加えていくことが必要だと考えています。それは造り方でも、安全管理でもよいんです。いろんなことにチャレンジできるのが、現場の面白さでもあります。

 (さとう・しんいち)1979年東京都立大工学部土木工学科卒、若築建設入社。06年千葉支店次長兼工事部長、07年東京支店次長兼土木部長、08年同副支店長、13年建設事業部門土木部長、14年現職。千葉県出身、59歳。

入社4年目の1982年に交付された作業主任者技能講習の修了証


【中堅世代】それぞれの建設業・92/名も知られぬ技術に光当てたい

生産効率を高める技術の重要性が高まっている
 建設会社で研究開発部門を歩んできた中田光さん(仮名)は、「土木構造物や建築物そのものを形づくるハード技術は成熟しつつある。今後は建設生産システムの効率性を高める研究開発の比重がより大きくなる」とみている。特にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)などのソフト分野の研究だ。

 ◇◇◇

 経営環境が好転した今こそ、将来を見据えて技術戦略を練り直すことが重要だと思う。
 長く続いた建設不況で、中田さんの会社を含め多くのゼネコンが研究開発投資を抑えてきた。「現場を支える技術力を磨くことに経営資源を集中するべきだ」。業績回復を受けて中田さんは上層部にそう進言してきたが、十分な回答は得られていない。現場に目は向けても、バックヤードの技研への投資には慎重姿勢が続いているように見える。
 かつては技研に配分される予算も人も多かった。20年ほど前の最盛期に比べると、現在の技研の規模は大幅に縮小した。研究スタイルも変わった。昔は一人の専門家が一つの技術をじっくり開発する傾向が強かったが、今は限られた予算と人員、期間の中で成果を出すことを求められる。
 研究職は専門性の強い仕事だけに、目の前のことに没頭しすぎる結果、独りよがりで周りに見向きもされない技術になってしまう場合があることは認める。これからは、研究者にも市場のニーズを的確に捉えるセンスや、社会への発信力が求められるとも思う。
 無駄な部分を削り落とした上で、多様化する市場ニーズに対応できる研究体制を構築する。そのためには新たな投資も必要というのが中田さんの考え方だ。

 ◇◇◇

 専門は土木だが、長年の技研暮らしで建築分野の開発動向も熟知している。異分野の技術者らの橋渡し役を担いながら、研究開発部門の取り組みを社内外にアピールしていきたいとも考えている。
 公共工事の入札に総合評価方式が普及してきたのに伴い、業界各社の中には近年、「他社にわざわざ手の内を見せる必要はない」との考えから自社技術の対外的な発表を控える企業もある。中田さんの会社も、公表の是非を判断する会議を数年前に設置。他社との差別化が期待される技術は、発表内容やタイミングなどを協議する。
 「研究者はこれまでの研究開発の成果を自由にアピールできず、関連情報を外に出さないから、技術営業に支障を来すこともある。結果として適用実績がなかかなか伸びず、宝の持ち腐れのような技術も少なくない」と中田さん。最近は、経営層も技術の社会的露出の重要性をようやく再認識するようになってきたが、まだまだ不十分だと思っている。

 ◇◇◇

 もっとも、やみくもに情報を流しても、きちんと受け手側に伝わらなければ意味がない。「受け手側がどんな情報を求めているかをきちんと整理・把握した上で、その技術のすごさを分かりやすく、簡潔に伝える総合的な情報発信力が重要だ」とも。
 「研究者たちが苦労して開発した技術をより多くの人たちに知ってもらいたい」。中田さんは、今はまだ名も知られぬ技術に光を当てることも、これからの自分の役割だと感じている。

【結】不動テトラ地盤事業本部国際部 ゴ・アン・トゥンさん


 ◇いろいろな考え方が刺激になる◇

 ホーチミン工科大学在学中に日本の奨学金制度を活用し、02年に来日した。大阪外国語大学で日本語を学んだ後、東京大学へ進学。教養学部、工学部を経て大学院工学系研究科に進み、社会基盤学専攻を修了した。
 「大学院には不動テトラの研究員が在籍しており、その人にいろいろと話を聞かせてもらった。地盤について勉強していたこともあり、地盤に強い会社なので入社を決めた」と話す。
 入社後最初の1年半は現場で勤務。現在は地盤改良工事の設計・技術提案書や施工計画書の作成などを担当している。職場のコミュニケーションツールは日本語。「自分の意図がうまく伝えられず、文章を上司に直してもらうこともある。日本人の仕事の進め方を身に付けることは苦労というよりも勉強だ」と前向きに捉える。
 海外プロジェクトで外国の人と仕事をする機会も増えた。「新しい考えに接するチャンス。国ごとに違って刺激になっている」。母国ベトナムにも1年半駐在し、現場の技術支援や施工管理に当たった。「海外に地盤改良技術を積極的に展開するのが社の方針。日本の高度な技術を適用できるよう、設計・施工両面から貢献していきたい」。
 日本で暮らし始めて今年で13年目。好きな言葉は「一期一会」。休日は自宅近くの公園に行き、ランニングで汗を流す。豚骨ラーメンが好物という。「生活に不便はない。日本でずっと働き続けたい」。(ベトナム出身)

2015年4月24日金曜日

【ちょっと一息】ふと思ったのだが・・・

 乾物と干物、違いはなんだろう?どちらも水分量が低いことは間違いない。っと、くだらないことを考えつつ、楽しい週末に向けてもう一踏ん張り。答えが分かる方、コメント欄にお願いします。

【東京駅前が綺麗になる】丸の内交通広場の整備始動!!

交通広場の完成イメージ
 創建当時の姿が復元され、都内の観光スポットとして多くの人を集める東京駅の丸の内駅舎。生まれ変わった駅に歩調を合わせるように、丸の内口に2カ所の交通広場を整備する事業がいよいよ始動する。東京都はJR東日本に委託し、近く工事に着手。2カ所の交通広場の間ではJR東日本が駅前広場を整備中で、いずれも17年度の完成を目指す。
 事業では、千代田区丸の内1~2丁目で東京駅丸の内口の両側の都市計画道路と、駅前の交通広場を整備する。駅の北側には延長105メートルの補助第98号線、南側には延長95メートルの補助第97号線を整備。いずれも道路幅は36メートル。駅前には、補助第98号線の先に5900平方メートル、補助第97号線の先に6300平方メートルの交通広場をそれぞれ整備する。交通広場には路線バスの停留所やタクシー乗り場などを集約する。
 交通広場2カ所に挟まれる空間では、JR東日本が6500平方メートルの駅前広場を整備。駅の前面に芝生や夏季限定の池などを配置する。広場のデザインは、東京都や千代田区の関係者、建築家の内藤廣氏など有識者でつくる会議でまとめた。14年夏から工事を進めている。

【職人を囲い込め!!】ゼネコン各社があの手この手

優秀な職人なしに高品質な工事はあり得ない

 建設現場で働く技能者の不足が深刻化している建設業界で、ゼネコン各社が協力会社の職長や上級技能者の賃金を上乗せする動きを強めている。東日本大震災の被災地での復興事業に加え、2020年東京五輪に向けたインフラ整備、首都圏での再開発などが急激に増えるとみている。安全で高品質の施工を維持するために、現場で作業に当たる職人の地位向上と処遇改善を図り、必要な人材の囲い込みを狙う。

 ◇シニアマイスター制度の導入が拡大◇

 竹中工務店は4月17日、現場で働く優秀な職長「マイスター」の中から特に優れた職長を「シニアマイスター」として認定し、賃金を引き上げると発表した。初認定されたのは21人。同社の現場で150日以上勤務することを条件に、1日当たり3000円を上乗せする。支払いの最低条件となる150日の勤務でも、他の職人より年間45万円も賃金が上がる。東急建設も同日、優良職長認定制度「東急建設マイスター」の見直しを発表。従来はマイスター認定後の報奨金を一律年額10万円としていたが、見直し後は認定時に一時金として10万円を支払い、2年目以降は30万円を上限に支給する。清水建設は従来、現場所長の裁量で対象者と金額(1日当たり500円、1000円、1500円)を決めて賃金を上乗せ支給していたが、4月の改定後は、社長表彰を受けた職長を対象に一律2000円を支給する。建設マスターや登録基幹技能者など公的資格を保有しているとプラス500円(計2500円)とする。支給期間は5年間。社長表彰を受賞した職長はこれまで約50人いる。
 
 優秀な職長・技能者の手当を15年度から増額すると発表したのは西松建設。同社の現場で作業に長く従事する「上級職長」は従来の4倍となる2000円、上級職長の中でも最上位に位置する「西松マイスター」は2・4倍の3000円に引き上げた。上級職長は年間48万円、西松マイスターは72万円を上限に上乗せする。
 他社に先行し、昨年12月と今年1月に職長の賃金の引き上げを発表したのは飛島建設と鹿島。飛島建設は優秀な職長を「とびしまマイスター」に認定する制度を創設し、1月に約40人を認定した。日当は1000円を上乗せする。鹿島は15年度、同社の現場で働く優秀職長を「鹿島マイスター」に認定し、1日1000円の日当を別途支給すると発表。16年度にマイスターの中からさらに優秀な職長約100人を「スーパーマイスター」に認定し、日当を3000円上積みする。既存の報奨金制度も見直し、対象をベテランから若手に拡大。毎年度約200人を選定し、10万円を支給する。

 大林組は17日、若手・中堅世代の技能者の資格取得を支援する報奨金の導入を公表した。登録基幹技能者と1、2級技能者の資格を取得した職人に5万~15万円を支給する。協力会社にも、職人の資格取得に要した費用の一部を補てんし、負担を軽減する。大成建設は今後、業界内の動向を見ながら、協力会社組織「倉友会」の会員企業を対象に、優秀な職長・技能者(認定者)への特別手当の引き上げなどを検討するという。

【東京の道路を冷やせ】五輪開催に向け公道の暑さ対策検討開始

都心の道路がどう変わるのか、検討成果に期待
 2020年に開催される東京五輪では、マラソンや競歩といった公道で行う競技の出場選手や観客を真夏の酷暑からどう守るかが大きな課題になっている。ヒートアイランド現象がますます深刻化している東京都心部。真夏の日中、都心の繁華街やオフィス街は想像を絶する暑さになり、生命の危険すら感じることもある、と言っても過言ではない。

 こうした状況を改善するため、国土交通省は暑さ対策を検討するための有識者会議「アスリート・観客にやさしい道の検討会」を発足させた。路面温度の上昇を抑える舗装技術を採用し、選手の好記録を引き出すとともに、観客の熱中症防止も図る。今夏に都内の道路で競技や観戦に適した遮熱性舗装や保水性舗装の効果を検証。マラソンコースなどへの導入に向けた具体方策作りに乗りだす。五輪後に国内外で日本の環境舗装技術を普及拡大させる狙いもある。

 これまでの環境舗装は車両通行に重点置き開発・実用化されてきた。今夏に行う環境舗装の検証では、道路を実際にランナーに走ってもらい、体調の変化や靴の脱げやすさなどを調べる。有識者会議では、競技に使われる道路の暑さ対策として、植樹による緑化や水を霧状に散布するミストステーションの設置なども議論。観客の利便性や安全性を高めるため、歩道でのオープンカフェ設置や段差・傾斜の解消といったバリアフリー化の具体策も話し合う。

 東京五輪は1年のうちで最も暑い7~8月に開催される。マラソンなど公道を使用する競技の具体的な対象路線はまだ決まっていない。暑さ対策ばかりに目が向くが、実は透水性舗装は表面に多くの空隙があるため摩擦係数が高く「シューズの引っかかりが良くて走りやすくて好記録が狙える」(市民ランナーで事情通のHさん)という。

【ILCってなに?】国際リニアコライダー計画実現へ東京宣言

 

 素粒子物理学の最先端実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」計画を推進する先端加速器科学技術推進協議会(西岡喬会長)と国際研究組織のリニアコライダーコラボレーション(LCC、リン・エバンスディレクター)が、東京都内で国際シンポジウムを開き、早期の誘致実現へ「ILC東京宣言」を発表した。
 ILCは、全長が30キロメートルにも達する直線状の加速器を造り、現状到達可能な最高エネルギーで電子と陽子の衝突実験を行う施設。ビッグバンに迫る高エネルギー反応をつくり出すことで、宇宙創成や時間と空間の謎が解明に近づけるといわれる。施設の誘致を目指す日本では、北上山地(岩手、宮城両県)での建設開始を目指し、LCCが中心となって機器の開発や土木設計に向けた検討を進めている。 
 シンポジウムでは、エバンスディレクターが東京宣言を読み上げ、「ILCは今後の研究発展のために不可欠。われわれ研究者は実現を切望している」とあらためて重要性を強調。日本政府がILCの事業評価を実施していることに謝意を示し、総額1兆円とされる事業費の分担をめぐって各協力する仕組みの構築が必要だと訴えた。

【回転窓】基準は給与・休日・勤務地

働きやすい職場ってなんだろう・・・
 最近の若者が職業を選ぶ際の基準は「給与、休日、勤務地の3点」と同僚に教えられた。要は他社より給料が高く、休みも取れ、転勤のない企業を探すということか。給与の引き上げや、休日出勤・残業の削減、地域限定で働ける社員制度の導入などに力を入れる企業が目立つのもうなずける▼新卒採用戦線は今や売り手市場。特に数が少ない理系学生は役所や他産業も含めて奪い合いといってもよいだろう。各社が待遇や職場環境の改善を急ぐ背景には若手の離職が多いという事情もある▼厚生労働省が行った新規学卒者の離職状況調査によると、建設業に就職した新卒者(11年3月卒業)の3人に1人が3年以内に離職していた。離職理由の上位には労働時間の長さや給与への不満とともに、仕事のミスマッチや将来への不安も並んでいた▼厳しい現実の前で立ちすくむ若者にどう手を差し伸べるのか。難題だが、ここから逃げれば「選ばれる産業」にはなれまい▼建設コンサルタンツ協会が今月、20~30代の若手社員を集め、定着率を高めるための検討を始めた。果たしてどんな提案が出てくるか、期待したい。

2015年4月23日木曜日

【ちょっと一息】ひと箱1000円!?、でも銀歯が取れちゃうことも・・・

 コンビニや駅の売店などで目に付くと、「たまには食べたいな・・・」とついつい思ってしまうお菓子。人それぞれ好みがあると思うが、おそらく多くの人が上位にランクインさせるであろうものが、1914年の4月23日に誕生したのをご存じだろうか。
 それは箱に入ったキャラメル。森永製菓の創業者・森永太一郎がキャラメルを箱詰めして売り出したのが、今をさかのぼること約100年前。キャラメル自体は1899年から売り出していたが、ばら売りや量り売りがほとんど。1908年に缶入りが発売されたが、1914年に満を持して箱入りがこの世に誕生したというわけ。
 森永製菓のHP・ミルクキャラメルの歴史年表によると、1910年ごろの価格比較は、キャラメル1粒が1銭に対し国鉄入場料5銭。箱入りキャラメルは、現在の貨幣価値で1000円もする高価な品だったそうだ。今も昔も、あの甘さは人々の心を惹き付けて離さない。まさに魅惑の味だが、油断している時「あー、銀歯が取れちゃったよー」と苦い経験をしたのは、一人や二人では済まないはず・・・。

【回転窓】季節は初夏へ足早に

これはマグロ(しかも最後の1匹!!)
 神奈川・足柄方面の山中を取材で訪れた。所々に自生するヤマザクラの花もすっかり散り落ち、葉の緑が濃さを増している。季節は初夏へと足早に移り変わりつつあった▼初夏の句として有名な〈目には青葉山ほととぎす初鰹(はつがつお)〉。江戸時代の俳人・山口素堂が詠んだこの句は、初夏の風物を視覚、聴覚、味覚の三つからリズムよく見事に捉えているのだが、「花より団子」の性分からか、初鰹の印象ばかりが強く残る▼黒潮に乗って太平洋を春に北上し、秋に南下する回遊魚であるカツオは、春に水揚げされるものを「初鰹」、秋は「戻り鰹」と区別する。江戸時代には「女房を質に入れても初鰹」といった川柳もはやるなど、古くから日本の食文化を代表する魚として愛され続けてきた▼春先から初夏にかけて初鰹の水揚げはピークを迎えるが、近年は漁獲量も減少傾向にあるという。その原因として、海水温の低下のほか、巻き網漁による外洋での大量捕獲などを指摘する声もある▼四方を海に囲まれた日本では、水産資源の維持・拡大も国家の重要課題の一つ。季節を楽しむ豊かな食文化を次の世代に残したい。

【頑張れ、けんせつ小町!!】女性向け現場用品、続々発売

一見すると普通のヘルメットだが・・・
  産業用ヘルメットメーカーの谷沢製作所(東京都中央区、谷澤和彦社長)は、工事現場で働く女性向けの安全商品「さくらシリーズ」の販売を始めた。商品は▽超軽量の「ヘルメット」▽腰に優しい軽量の「胴ベルト型安全帯」▽落下時の腹部への負担を軽減する「ハーネス型安全帯」-の3種類。購入の申し込みは同社営業部(電話03・3552・5581)へ。
 ヘルメット(さくら仕様)は、首への負担が少ない超軽量の特殊FRP(繊維強化プラスチック)を採用し、重量が320グラム。女性の頭にフィットするよう専用ヘッドバンドを付け、化粧品などで汚れやすい額部分には毎日取り換えることができる「さわやかバンド」(2枚)も標準装備した。あごひもには日焼け跡が残りにくいビニール製の「透明あごひも」を採用した。色は白やピンクなど10種類。定価は8800円。

大きさの違いは一目瞭然。頭が小さい男性もOK!?
 胴ベルト型安全帯(さくら仕様)は、サポートベルトを標準装備し、女性の腰に優しい総重量1300グラム(ランヤード長1100ミリ)の軽量仕様。専用巻き取り器も装備し、常にストラップが引き込まれる状態にあるため、墜落を最短で止められる。定価は1万9500円。
 ハーネス型安全帯(さくら仕様)は、墜落を止めた時の荷重を分散し、腹部への負担を軽減する特別仕様で、重量は1810グラム。工具袋がたくさん付けられ、もものベルトは着脱の簡単なワンタッチバックルを採用した。定価は3万8600円。

【修繕、代行します】四国整備局が老朽インフラの維持管理で自治体支援/初弾は大渡ダム大橋

 


仁淀川の上流部に架かる大渡ダム大橋
 自治体が管理し、老朽化している橋梁の修繕を国が代行する試みが、高知県でスタートする。四国地方整備局は15年度、高知県仁淀川町が管理する「大渡ダム大橋」の修繕を、同町に代わって行う取り組みを開始。全国的にも初めての試みで、老朽インフラの維持管理や修繕が大きな問題としてクローズアップされていることから、注目度が高い事業といえる。
 大渡ダム大橋は、高知県の仁淀川に架かる吊り橋。長さは444メートルで、橋梁形式は1径間単純合成橋+1径間補鋼トラスつり橋+単純合成鈑桁橋3連+2径間連続非合成鈑桁橋の全7径間。1983年の架設から32年が経過し、老朽化による腐食などの損傷が多く発生している。

点検で確認したボルトの腐食
 昨年9月には、同整備局が道路メンテナンス技術集団による直轄診断を実施。橋梁点検車や高所作業車を用いた近接目視による調査を行った。その結果、つり橋のメーンロープやハンガーロープで腐食が進んでいたほか、両ロープのジョイント部のボルトの緩みなども発見した。
 本来は、橋を管理する仁淀川町主体となってが修繕するのだが、つり橋の補修には高度な技術が必要なため、地方公共団体への支援策として同整備局が修繕を代行することにした。
 橋梁やトンネルなどインフラストックの老朽化対策は、多くの施設を管理する自治体にとって財政、技術の両面で頭の痛い問題。国の支援がこれまで以上に求められるのは自然な流れと言える。
 国交省は、この問題への対処策として緊急性があり、技術的にもハードルが高い橋梁を対象に、「直轄診断」と名付けた取り組みを14年度に始動。四国整備局は大渡ダム大橋の診断を行い、15年度から修繕代行を行うことにした。実際にどのような作業を行うのか、ケーブルの交換など具体的な内容は今後詰めるという。

【海上でもよっこらしょ。今度は1800トン】首都高速会社が巨大鋼桁を海上で一括架設

台船で運ばれてきた長さ143mの巨大鋼桁
 首都高速道路会社が建設している首都高速道路の晴海線未整備区間(中央区~江東区)で22日、台船による鋼桁のリフトアップ架設では、過去最大規となる作業が行われた。工場で製作した長さ143メートル、重量1800トンの巨大な鋼桁を台船で運搬。潮の干満差が2m近くなる大潮の時期を狙い、作業工程を組んだという。天候不順で当初予定より2日遅れで行われたリフトアップ。足下が不安定な海上での作業は、施工精度を確保するのも困難だが、技術力と経験を生かし無事作業を完了させた。
 晴海線は、16年度の完成を目指している。新橋と虎ノ門を結ぶ環状2号線が臨海部まで延伸され開通すると、東京都心部から2020年東京五輪の選手村や豊洲新市場へのアクセスが大幅に向上する。首都高速会社は「今後もダイナミックな工法で架設作業を進めながら、早期完工を目指したい」(東京建設局の並川賢治建設部長)考え。
 143メートルに1800トン…。素人には想像が難しい巨大な構造物を、海上で持ち上げて決められた場所に据え付ける様子は、ぜひ多くの人に見てほしかったと思わずにはいられない。

2015年4月22日水曜日

【ちょっと一息】サザエさんって福岡に住んでたの!?

 今からさかのぼること約70年前の今日、九州の地方紙で後に国民的人気作品となる4コマ漫画の連載がスタートした。長谷川町子さんの手による「サザエさん」の誕生日は1946年4月22日で、掲載されたのは福岡のフクニチ新聞。物語の舞台は博多で、主人公のサザエさんは独身だったそう。
 サザエさん=東京(世田谷区桜新町)というイメージが強かったが、それは長谷川さんが連載を始めてから家族で東京に引っ越したのが理由。転居に併せ漫画の舞台も変更。福岡で連載を一度打ち切るとき、最終回でマスオさんと結婚するエピソードが描かれたそうだ。ちなみ掲載紙は夕刊フクニチ→新夕刊→朝日新聞と変遷。話数は6400を超え、1974年2月21日が最後の掲載だという。

【興味はすべての第一歩】鹿島が子ども向けHP開設

お子様も安心してご覧いただけます
鹿島は、子ども向けホームページ「カジマキッズアカデミー」を新設した。将来を担う子どもたちに建設業の果たす役割や魅力を伝え、興味を高めてもらうのが目的。土木、建築の基礎知識や身近な生物について楽しみながら学べるのが特色だ。同社は今後、新しいコンテンツを順次追加し、内容のさらなる充実を図っていく。
 同アカデミーは、「土木と建築ってなに?」(http://www.kajima.co.jp/enjoy/kids_const/)と、「探検しよう!いきものにぎわうまち」(http://www.kajima.co.jp/enjoy/kids_env/)の二つのホームページで構成する。
 「土木と建築ってなに?」では、一問一答形式で土木、建築の基礎知識が学べるほか、夏休みや冬休みの自由研究にも使える実験や観察方法などを紹介するコーナーも用意している。「探検しよう!」は、子どもに身近な花や鳥、虫など60種の写真や特徴、見付けやすい場所を紹介する図鑑を掲載。いきもの探検という体験を通じて実際に観察し、自分だけの地図(いきものマップ)を作ることができる。

【日系ゼネコン、海外で頑張る】大型受注続々、アジア中心に実績伸ばす!!

チャンギ空港複合施設(シンガポール)の完成イメージ
 海外事業の強化に力を注ぐゼネコン各社。国内市場も足元は堅調に推移しているものの、2020年東京五輪後の事業環境を見据え、海外事業を成長戦略の柱の一つに据える企業は多い。経済発展に伴い建設需要が旺盛なアジア各国の拠点を強化し、受注活動に本腰を入れる社が増えており、受注実績も着実に伸び始めている。

 ◇主戦場はシンガポール◇

 14年度はシンガポールで大型案件の受注が相次いだ。清水建設は、現地企業とのJVで同国厚生省が発注した「チャンギ総合病院メディカルセンター新築工事」を国際入札で受注した。同国での施工実績や日本からの技術支援体制などが評価された。東南アジアのハブ空港として機能しているチャンギ国際空港では拡張や新設計画が進んでおり、日本企業が多くの工事を受注した。竹中工務店は現在、第4ターミナルを建設中で、3月には第1ターミナルの拡張工事を受注。大林組は昨年11月、第1ターミナル隣接地に建設する複合商業施設と第1ターミナル拡張工事を現地企業とのJVで受注し、現在工事を進めている。
 鹿島も、現地法人のカジマ・オーバーシーズ・アジア(KOA)が、14年6月に「シンガポール経営大学法学部棟新築工事」、15年2月に「国立伝染病センター新築工事」と連続受注に成功した。土木案件では、地下鉄トムソン線建設プロジェクトを、五洋建設と西松建設がそれぞれ現地企業とのJVで受注した。五洋建設は中心市街地に建設されるオーチャード駅舎とトンネル2本(延長各約860メートル)を担当する。西松建設は、トムソン線の最南端に位置するガーデンズバイザベイ駅の駅舎とトンネル2本(延長各700メートル)などを新設する。
 五洋建設は昨年9月にセンカン総合病院の新築工事も単独受注した。RC造地下2階地上10階建て延べ約28万8000平方メートルの規模で1400床を備える。

五洋建設が施工するシンガポール大型病院の完成予想

 ◇インドネシア、ベトナムでも◇

 アジア地域では、シンガポールに加えインドネシアやベトナムなどでも受注が続いた。昨年10月には、清水建設がインドネシアで最高層となる261・5メートルの超高層ビルの建設工事を現地企業とのJVで受注した。竹中工務店の現地法人インドネシア竹中は、1月に香港の大手不動産会社がインドネシアで計画する超高層ビルの新築工事を現地建設会社とのJVで受注した。CFT・S・RC造地下6階地上40階建て延べ約15万平方メートルの規模で高さ209メートル。
 ベトナムでは、同国初の地下鉄工事を清水建設・前田建設JVが受注した。ホーチミン市人民委員会都市鉄道管理機構が発注した「ホーチミン地下鉄1号線地下工区(延長1・74キロ)」で、軌道トンネルの構築のほか2カ所の駅舎の建設も担当する。東亜建設工業は1月に、ベトナム政府から「ラックフェン港防波堤・防砂堤建設工事(パッケージ10)」を約120億円で受注した。同港の建設は日本、ベトナム両国による初のPPPプロジェクトとして進められており、同社が施工を担当するのは今回で2件目となる。
 このほか香港では、五洋建設が地下鉄の海底トンネル区間の建設工事をJVで受注した。受注金額は約663億円で、うち同社分は約338億円。フィリピンでは、東洋建設が首都マニラの都心を流れる河川の改修工事2件を受注した。1月にベトナム・ノイバイ国際空港第2ターミナルを完成させた大成建設。現在、ミャンマーで日本政府の無償資金協力案件となる気象観測装置を整備中で、マレーシアでは石炭火力発電所建設に伴う土木工事を受注している。アジア各国に目を向け、受注と工事の実績を着実に重ねている。
 

【回転窓】楽しみなロボットの可能性

22日から職場を本館の1階から7階に移した地平さん
 「ご来店いただきありがとうございます」。こう声を掛けられた相手が、実はロボットだったら…。そんな好奇心から今週初め、新聞で読んだ情報を基に東京都中央区の日本橋三越本店へ出掛けてみた▼このロボットは、7階催し物会場でのイベントをPRするため、本館1階に受付嬢として展示された。東芝が開発したロボットで、名前は「地平(ちひら)アイこ」。人間らしい表情がリアルであり、多くの来店客が足を止めて見入っていた▼生活に身近なところで、ロボットの可能性は広がりつつある。今月14日には神奈川県が、生活支援ロボットの共同開発プロジェクトを募集すると発表した。対象分野は介護・医療、高齢者の生活支援、災害対応。いずれもロボットの活用が大いに期待される分野である▼ロボットクリエーターの高橋智隆氏は本紙のインタビューで「ロボットによって全く予期していなかった変化が起きていく」と予測を語った。生活に密接な住空間も例外ではない▼建設関連では現場作業だけでなく、建築や構造物の使われ方、住まわれ方を考えたロボット開発の余地も大きい。技術革新が楽しみだ。

2015年4月21日火曜日

【ちょっと一息】数学者と新聞記者

 米国の求人情報サイト、キャリアキャスト・ドットコムは先週、14年版「職業ランキング」を発表した。政府が発表した統計データをベースに、職場環境や収入、成長性などを加味して1位から200位までを集計。ネットワークの高度化やビジネス規模の拡大を背景に「数学者」が堂々の1位にランク付けされた。2位~5位は大学教授、統計学者、保険数理士、視覚訓練士の順。世の中に学者がどれだけいるのか定かではないが、大学教授を含め「学の世界は安定しているのか~」などと思う。
 ランク上位はさておき、気になるのがワーストランキング。195位コック長、196位アナウンサー、198位下士官兵ときて、199位、ワースト2位に新聞記者が・・・。インターネットの発達で紙媒体の肩身は狭くなるばかり、ということなのだろう。米国と日本で状況は違う(と信じている)。とはいえ、デジタルの海をでどうやって泳ぎ存在感を示していくのか、さまざまなメディアはその点に大きなパワーを掛けていることは間違いない。
 ちなみにこのランキング、あまりに将来が暗くて集計の対象外にしている職業がいくつかあるという。新聞記者がその仲間に張らないように、デジタルの海の末席?端っこ??で細々とブログを更新していこう、と思う今日この頃。

【暗闇を照らす一筋の光】金上野トンネル(高知県四万十町)が貫通/片坂BP開通へ前進

岩盤を貫き光が差し込む瞬間の感動は何物にも代え難いはず
 四国地方整備局中村河川国道事務所が建設している国道56号片坂バイパスの「金上野(きんじょうの)トンネル(仮称)」が17日、貫通した。同バイパスは18年度の供用開始を目指しており、主要構造物である同トンネルの貫通によって、開通に向けて工事が大きく前進した。
 金上野トンネルは、同バイパスの四万十町金上野~黒潮町市野瀬間でNATMによる工事が進む。トンネルの規模は延長1916メートル、内空断面積77・5平方メートル。13年1月に掘削を開始し、約2年3カ月を要して貫通となった。
 17日には、黒潮町側坑口付近の切羽をブレーカーで掘削すると暗い坑内に一筋の光が差し込み、無事貫通した。この後、貫通式が行われ、鏡開きや万歳三唱で工事関係者が貫通を祝った。
 施工を担当する安藤ハザマの小林雄二所長は、発注者や協力企業に感謝の気持ちを述べるとともに「全工期無事故無災害で完成させる」と決意を表明した。

【回転窓】ペンとノートとパソコン


 記者の商売道具で何より欠かせないのはペンとノート。と言いたいところだが、最近は、取材先で話を聞きながら、ペンとノートの代わりにその場でパソコンのキーをたたいて打ち込んでいく若い記者も多いらしい▼駆け出し時代にはパソコンもなく、敏捷(びんしょう)性も衰えた中年記者にはとてもまねできない技。感嘆するほかない。もっともノートだって必ずしもきれいに取れるわけではない。いざ記事を書く段になってノートをめくったら、あまりの悪筆に自分でも判読不能という誠に情けない仕儀に立ち至ることも▼文芸春秋と旺文社が先日、「ノートを借りてみたい東大卒の小説家は?」との共同で行ったアンケートの結果を発表した。男女1014人の回答のうちダントツの276票を集めたのは夏目漱石▼作品の人気の影響も大きいようだが、「分かりやすく要点が書いてありそう」との意見が多かったという。東大合格生のノートが本になるくらいだから、きれいに整理されたノートに憧れる人は多いのだろう▼ノートは汚くても書いた記事で勝負。中年記者としては、とりあえずそう負け惜しみを言っておく。

2015年4月20日月曜日

【ランチ女子会】パシコンが先輩・後輩の交流後押し!!

ランチ女子会で和気あいあい。高木社長も楽しそうです
パシフィックコンサルタンツは17日、15年度に入社した女性社員21人と、先輩女性社員8人による女性ランチ会を行った。グループに分かれて社員同士が交流を深めた。ゲストとして高木茂知社長と藤原憲男プロジェクト事業本部長も参加した。
 女子ランチ会は、新入社員に多くの先輩女性社員がいることを知ってもらい、困った時の相談など今後のネットワークづくりに生かしてほしいとの思いから「ダイバーシティ推進室」が企画した。先輩女性社員が自身のキャリアやこれまでの仕事でうれしかったことを1人ずつ話した後、グループで自由な交流の時間を持った。
 高木社長は「私が入社した時代は、女性は事務職とキーパンチャーの方だけだった。今年は21人の女性社員が入社し、覚醒した感じがする」と語った。

【凛】国土交通省 土地・建設産業局建設業課・伊藤加奈さん


 ◇ギョームラにドボジョがやってきた!!◇

 東京・霞が関の国土交通省に、通称「ギョームラ(業村)」と呼ばれる場所がある。建設業と不動産業という同省が所管する産業について、それぞれに対応した「業法」をベースに施策の企画・立案を担う土地・建設産業局各課の総称だ。そんなギョームラにこの春、配属された。
 北海道出身で入省3年目。北海道大学で交通工学を学んだ「ドボジョ」。大学院ではそこから派生する形で津波防災に関する地域計画を研究した。
 就職活動で、ゼネコンや建設コンサルタントをはじめ、さまざまな民間企業のことを調べてみて思ったのは、民間企業が持つ技術力の高さ。「それを発展させるような仕組み作りをしたい」と考えるようになり、行政の道を選んだ。
 北海道開発局で2年間の経験を積んだ後にギョームラへ。土木施工管理技士など国家資格を担当する窓口に配属され、「わずか数週間の中でも業界の皆さんの関心が高く、影響力が大きい部署なのだと感じた」。同時に、業界の発展に役立つ仕事をしたいという気持ちを強く持つようにもなったという。
 着実に増えているとはいえ、省内でドボジョの存在はまだ少数。仕事上の悩みを打ち明けられる仲間や先輩がいれば安心だ。それだけに「先輩がメールで自分のことを気に掛けてくれるのは本当にうれしい。自分も後輩から相談されたら、誠実に答えられるようでありたい」。(いとう・かな)

【中堅世代】それぞれの建設業・91

仕事を断る異例な状況も長くは続かない…

 ◇50代は若造、会社人生の旬はこれから◇

 ゼネコンで建築営業を担当する坂上真さん(仮名)は、「社内では、『余計な仕事は取ってくるな』とくぎを刺されている」と真顔で話す。本来、顧客を回って1件でも多く工事を受注してくることが、営業マンとして会社から与えられた役割のはずだが、その会社から、仕事放棄の容認とも受け取れるような指示を受けている。
 景気回復によって民間の設備投資も活発化し、仕事の話はあちこちで聞こえてくる。ただ、今の社内は、設計、積算、現場部門も含めて手持ち工事に対応するので手一杯。よほど割のいい仕事以外は無理して取る必要がない状況だ。
 建設コストは高止まりしている。着工後のコスト上昇のリスクも受注額にできる限り織り込みたいため、施主と交わす請負契約が着工間近のぎりぎりになるケースも増えているという。
 顧客から仕事の話を持ち掛けられても、見積もりを出さずに断ることもある。
 「最近では、仕事を出す前に顧客の担当者が複数社の合い見積もりでうちを指名していいか探りを入れてくる。こちらも断り続けて顧客との関係を壊したくないので、担当者レベルでの事前確認は互いのリスク回避策としてありがたい」
 数年前までは、建設需要が縮小を続ける一方で、建設会社の数は変わらず、激しい過当競争になった。採算度外視の安値で請け負うダンピング受注も少なくなかった。供給過多の建設市場では、施工者側が仕事を選別すること、ましてや顧客からの仕事の話を断ることなど考えられなかった。
 今は環境が一変した。「業績が回復基調となって社内の雰囲気にも明るさが戻り、気分も上向いて飲み会の件数も増えてきた」と坂上さん。それでもバブル崩壊後の「失われた20年」を経験した建設業界には、無理に仕事を取って受注拡大に走ろうと考える企業はいないと見ている。
 量を追うにはそれに見合った組織体制を築き、会社の規模も大きくする必要がある。需要の増加傾向が続けば問題はないが、仕事がなくなった時には膨らんだ組織を削るリストラを迫られる。坂上さんの会社も含め、多くの企業が過去に経験したその痛みは、現在の経営層も十分に分かっている。
 2020年の東京五輪前には、今の需要増の流れは失速すると坂上さんはみている。「五輪後を見据え、どこの業界・分野で仕事を開拓するかが営業マンの腕の見せ所だ」。超高齢化社会に対応した介護・福祉関連施設、海外から人や投資を呼び込む訪日外国人向け施設…。狙い目はどこなのか、知恵を絞る日々だ。
 建設業界では人材の高齢化が進み、若手入職者をいかに増やすかが大きな課題になっている。坂上さんは、次代を担う若手確保の必要性は理解するが、中堅以上の世代が今より頑張ればいいとも考える。
 「ゼネコンの社員は、長年培った経験やノウハウと築いた人脈を生かせば、体力的な衰えがあっても60代、70代でも若手に負けない仕事が十分にできる。50歳前後のわれわれはまだまだ若造。会社人生の旬はこれから」と話す坂上さん。
 体力は落ちても若い感覚を持ち続け、まだまだ一花も二花も咲かそうと思っている。

【サークル】コマツ 華道部

「生け花の魅力を発信したい」と話す

 ◇「いつも心にお花を…社内に安らぎ空間創出」◇

 コマツが東京・溜池山王に本社を構えた1951年当時から活動している華道部。部員は14年12月時点で8人。昨年には男性部員も誕生し、「植物男子」として熱心に稽古に励んでいる。
 「いつもココロにお花を」がモットー。本社1階の受付カウンターで来客をいつも暖かく出迎えるのは、部員が生けて飾った花だ。正月やひな祭りなど行事ごとに花を変え、来客だけでなく社員にも季節感を感じてもらえる安らぎの空間を演出している。創立記念日やOB総会などで壇上を彩る花も華道部の担当。晴れの舞台での披露に向けて日々、腕を磨いている。
 「男性部員が誕生したことで、男性の感性に私たちも刺激を受けている」と話すのは、部長の飯塚裕子さん。部員は多い時は20人以上いたこともあり、2部交代制で活動を行うなど今以上に活気にあふれていた時期もあったという。「お花に触れていると、最高の気分転換になる」と華道の魅力を笑顔で語る。
 今後の活動方針は、「社内だけの発表でなく、社外へも生け花の魅力を発信していくこと」。「『お花=女性』と決め付けず、ぜひ多くの方に参加してほしい」とさらなる部員の獲得にも積極的。「いずれは首相官邸のような場所でお花を手掛けてみたい」とひそかな野望も抱いている。

【駆け出しのころ】東洋建設取締役専務執行役員土木事業本部長・森山越郎氏


 ◇身に付いた習慣は変えられない◇

 小さいころはラジオ少年で、真空管などを使ってラジオを作るのが好きでした。ゆくゆくは電子工学を学びたいと考えていましたが、目の関係で断念し、大学は土木工学科に進みました。もともとものづくりが好きでしたから、スケールの大きいものをつくれる土木を選んだのだと思います。
 入社して初めに配属されたのは、本社の調査設計部です。海洋工事で発生する水の濁りがどう拡散していくかといった解析などを行っていました。
 現場勤務となったのは入社5年目で、高架橋建設工事の現場に赴任しました。この現場では、当時はまだ設計手法が確立していなかった工法を適用するため、いろいろな基礎実験や実証実験を重ねました。それこそ昼夜寝ずの日もあって大変でしたが、発注者と共に適用に向けて努力させていただきました。
 若いころは現場でいろいろな失敗もしました。例えば場所打ちコンクリート杭の施工では、杭を決められた位置から50センチもずれて打ってしまったことがありました。
 しっかり確認したはずだったのですが、思い込みによるミスでした。総杭数213本のうち1本だけの失敗とはいえ、現場技術者としては恥ずかしい話です。
 現場にまだコンピューターがなかったころ、架設構造物の計算を行う時などは、夜になってからよく本社に行ってコンピューターを使わせてもらっていました。現場で比較検討を行うには複数の案を必要としますので、現場事務所で電卓をたたいて計算していたら間に合わなかったのです。
 34歳のころに一度、本社の調査設計部長から戻ってくるよう言われたことがありました。でも、断らせていただいたんです。現場の仕事は大変なことが多かったのですが、今振り返るとそれだけものづくりに傾注していたのかもしれません。
 近ごろは電子メールなどが普及し、フェース・トゥー・フェースでのコミュニケーションが希薄になりがちです。ですから会社ではコミュニケーションを密にするよう話しています。
 その基本があいさつをすることで、これは自分が現場で先輩から教えられたことの一つでもあります。それと長年の現場生活で染み付いたのが早起き。営業所長時代にも一番早く出社してしまうので、周りには「習慣だから気にしないでほしい」と言っていました。今もあまり早く出社しては皆に悪いのですが、これからもきっと変えられない習慣だと思っています。
 (もりやま・えつろう)1976年東工大工学部土木工学科卒、東洋建設入社。東京支店東京営業所長、同副支店長、土木本部土木企画部長、執行役員北陸支店長、常務執行役員土木事業本部副本部長兼土木企画部長、取締役専務執行役員関東支店長などを経て、15年4月から現職。東京都出身、62歳。
会社の仲間たちと花見に出掛けた時に㊧

2015年4月19日日曜日

【アルプス山脈をぶち抜け!!】スイス~イタリア間に世界最長の鉄道トンネル、来年開通へ工事着々

岩盤を貫通したTBM(© AlpTransit Gotthard Ltd.) 

 ◇世界最長、57キロの鉄道トンネル◇

 世界最長の鉄道トンネルと言えば青森県と北海道を結ぶ青函トンネル。しかし来年その座を譲ることになるのをご存じだろうか。スイス・チューリヒとイタリ・ミラノをつなぐ新しい高速鉄道路線に、アルプス山脈を貫く全長57キロの「ゴッタルドベーストンネル」が来年開通する。工期20年、総事業費100億ドル、掘削土2820万トン、最大土かぶり2300メートルという超巨大・超高難度工事。掘削は2010年に完了し、現在は鉄道敷設や設備工事が進む。日本でも近い将来、リニア中央新幹線の南アルプストンネル(延長25キロ)工事が始まる。本家アルプスのトンネル「ゴッタルドお姉さん」の成功にあやかりたい。

 ◇トンネルの掘削延長は合計152キロ!!◇

 施工は欧州企業を中心とする複数のコンソーシアムが4工区をそれぞれ担当。径約10メートルの単線トンネルを2本、並走する形で構築した。立坑や両トンネルの接続路、非常用トンネルなどを合計すると掘削延長は152キロにも達する。57キロ×2本の本線トンネルのうち8割を4基のトンネルボーリングマシーン(TBM)で掘り進めた。トンネル内には2つの非常用駅が設置され、地上への避難路につながっている。
トンネル内部では線路敷設などの工事が進む(© AlpTransit Gotthard Ltd.) 

 ◇アルプスの自然環境保護が目的の一つ◇


 全線開通すれば、アルプス山脈を縫うように走る既存鉄道よりも距離が大幅に短縮され、チューリヒ・ミラノ間の旅客列車の所要時間が3時間以下に。路線は貨物との共用で、アルプス山脈を越えるトラック輸送を減らす効果も期待されている。スイス政府は「アルプスの環境保護」を事業の目的のひとつに掲げている。

2015年4月17日金曜日

【回転窓】インフラのストック効果


 東京・霞が関にある国土交通省の庁舎の正面玄関脇で、インフラの「ストック効果」を知ってもらおうというパネル展示が行われている▼〈高速道路ができて養殖マダイの全国シェアが拡大!〉〈十勝の産業を支える交通基盤、生乳生産量が増えた!〉〈水質改善で松江に新たな観光名所が誕生!〉…。それぞれのパネルが、そんな表現で整備後の効果を分かりやすく示している▼ストック効果には「生産拡大効果」と「民間投資誘発効果」があり、相互に連関しながら経済の発展につながっていく▼埼玉県東部の春日部市などでは、世界最大級の地下河川「首都圏外郭放水路」が整備されたことで、水害が1980年代の10分の1以下に減ったという。春日部市は「水害に強い都市基盤」をPRし、物流倉庫や大型ショッピングセンターの誘致に成功している▼海外に流出する可能性があった企業を国内にとどまらせるなど、インフラ整備には立地競争力を高める効果もある。とかく短期需要の「フロー効果」で語られがちな公共投資。ストック効果は建設業の社会的役割をより明確に示すことにもつながるだろう。

【ちょっと一息】雪の大谷はどうやって作るの?/立山黒部アルペンルート、全線開通

雪の大谷ウォークは6月11日まで楽しめる予定
(写真:立山黒部貫光報道発表資料より)
 立山黒部アルペンルートが16日に全線開通し、今年も立山&黒部の観光シーズンがスタートした。10メートルを超す高さの雪壁でおなじみの「雪の大谷」は、立山有料道路室堂地区と呼ばれる場所(バスで行くべし)にあり、長さは約500メートル。2車線の道路を、片側は路線バス、もう片側は歩道として利用する。
 さて、ここで疑問に思うのは、この雪壁をどうやって作っているのか。インターネットの動画投稿サイトなどに映像がアップされていて、海外でも有名な話かもしれないが、せっかく取材したので、ご存じの方も我慢して先を読んでください。

 ◇GPSとブルドーザー◇

 疑問を解決するため取材したのは、富山県道路公社の立山有料道路管理事務所。素人質問にも担当の方は丁寧に回答してくれました(感謝)。
 まず、豪雪で場所が分からなくなった道路をどうやって把握するか。それは「道路のセンターラインの位置を事前に登録して、GPSを使って場所を特定します。そして最初にGPS受信器を搭載したブルドーザーでセンターラインをたどりなが細いライン状に除雪して、道路の線形を出します」と担当者の方。
 作業は山の下側から上に向かって進め、片側1車線分を掘っていく区間と、2車線同時に掘っていく区間があるそうだ。雪の大谷は、GPSでセンターラインを確認した後、2台のブルドーザーが並んで除雪するそうで、取り除いた雪は基本的に「谷に捨てます」との答え。昔は「道路の位置を手作業で測量していたので、時間と手間がかかっていた」そうで、技術の進歩はこんなところにも貢献していたのかと、感心するばかり。

 ◇雪の壁づくりに2カ月半◇

 今年の除雪は1月27日から始まり、全線開通の5日前、4月11日に作業が完了した。除雪は技術と経験が必要な作業なので、「決まった業者さんに、組合を通じて毎年お願いしている」そうだ。
 積雪地では、地域の建設業者が人手不足や経営状況の悪化で減ってしまい、除雪が思うようにできないところもある。だが立山黒部アルペンルートでは、今のところ「そのような心配はないですね」と担当の方。
 雪の大谷ウォークは今のところ、6月11日まで開催を予定している。イベントやお勧め情報は立山黒部アルペンルートのホームページをチェック!!!関係者の方々が苦労に苦労を重ね、高い技術と豊富な経験を生かして作り上げる雪の壁。まだ見たことがない人は、一度出掛けてみてはいかが?


【働き続けるって大変】建設コンサル業界、離職者の5割超が若手・中堅


 ◇時間外労働問題の根深さ如実に◇

 建設コンサルタンツ協会(建コン協、大島一哉会長)が会員企業を対象に行った「所定外労働時間等に関する実態調査」(15年調査)によると、全社員に対する離職者の割合は、202社平均の13年度実績で3・9%となり、12年度の5・1%から減少した。ただ、離職した年代は会社の将来を担う20代、30代の若手・中堅世代が約56%と半数を超え、特に売上高100億円超の大手ではこの世代が離職者の8割近くを占めた。
 正社員の離職率は、全企業ベースで11年度4・6%(有効回答202件)、12年度5・1%(203件)、13年度3・9%(202件)と推移。離職者の年齢層(15年調査)は全会員企業ベースで「20代」が21・9%、「30代」が33・8%に対して、売り上げ規模が100億円以上の企業は「20代」が40・9%、「30代」が36・4%と高い割合となっている。

 ◇「このままでいいのか」将来が不安…◇

 離職理由(有効回答172件)は「本人による職務適性がないとの判断」(16・5%)、「業界や会社の将来への不安」(16・3%)、「労働時間の長さ」(15・8%)を挙げる回答が多くなっている。労働時間に対する不満のうち、災害時などに出動する「緊急対応が多い」との回答も多かった。
 退職後の転職先は、売り上げ規模が40億円未満の小さい企業の離職者は「同業他社」が多く、売り上げ規模が大きい企業の離職者は「地方公務員」が多い。全企業平均で3割程度を占めた「他業界への転職」先を見ると、コンサル業界に近いゼネコンや測量会社などに転職した人は少なく、建設とは無関係の職業に就くケースが8割を占め、業界離れも顕著になっている。
 建コン協内では「20代の離職が多いのは指導する人々の年齢が離れていることもある」と各社の年齢構成のいびつさを指摘する声もあり、若手の離職率を低下させる方策などの検討に入る。会員企業から40歳前の社員を公募して19人を選び、このほど若手技術者の会を発足させた。

【新しいテーマパークができるぞー】名古屋市にレゴランド・ジャパン/17年上半期にオープン予定

1期工事完成後のイメージ
 英国のマーリン・エンターテイメンツ社は15日、「レゴランド・ジャパン」の着工式を名古屋市港区の金城ふ頭で行った。約13haの敷地にアトラクションや飲食施設などを2期に分けて整備する。1期分を17年上半期にオープンさせる予定。設計は同社の創造・開発グループ会社マーリン・マジック・メイキング・チーム、施工を大林組が担当する。
 「レゴランド」は現在、海外の5カ国、6カ所にある。16年にはドバイで7カ所目がオープンする予定。国内では名古屋が初となる。
 建設地は、名古屋市国際展示場に隣接し、1期で現駐車場の約9ha、2期では第1展示館を取り壊した跡地約4haを開発する。
 2~12歳の子どもと家族連れがターゲットで、海外のパークで人気の遊びながら学べるアトラクション、乗り物、レストラン、ショップなどのほか、名古屋城など日本や名古屋で象徴的な建物をブロックで表現した「ミニランド」も整備する。

【ギラヴァンツがうらやましい】北九州市でスタジアム建設がスタート

スタジアムの完成イメージ。17年3月の供用開始をめざしている
 北九州市が計画している「スタジアム整備等PFI事業」建設工事の起工式が16日、小倉北区浅野3丁目の現地で行われた。規模はRC一部S造6階建て延べ約2万4000平方メートル、設計・建設費は約92億円。九電工を代表企業とする特別目的会社「ウインドシップ北九州」が設計・建設と維持管理、運営を担当する。Jリーグのシーズン開幕に合わせ、17年3月に供用する。
 スタジアムは現在、サッカーJリーグ2部(J2)で戦うギラヴァンツ北九州のホームとなるほか、ラグビートップリーグの試合など多目的に利用できる。
 PFIの事業方式はBTO、維持管理・運営期間は32年3月まで。観客席は1万5066席。将来的には海側に増設し2万席まで拡張できる。新たなシンボル施設となるよう、メーンスタンド全面を覆う屋根は船のマストをイメージしたつり構造のデザインとする。

【歌舞伎町に長澤まさみさん現る!!(ゴジラも)】新宿東宝ビルが完成したぞー

長澤まさみさんと、意外に小柄なゴジラさん
 東宝が、東京・新宿の歌舞伎町にあった新宿コマ劇場と新宿東宝会館の跡地で建設を進めていた延べ床面積5万平方メートル超の「新宿東宝ビル」が完成した。
 ビルと靖国道路をつなぐ「歌舞伎町セントラルロード」の開通式典には、東宝の島谷能成社長や東京都の秋山俊行副知事、新宿区の吉住健一区長と中山弘子前区長、設計・施工を担当した竹中工務店の竹中統一代表取締役会長、女優の長澤まさみさんらが出席。関係者によるテープカットも行われた。
実物大(?)のゴジラさんも笑顔でお祝い
 新宿東宝ビルの建設地は新宿区歌舞伎町1の19の1。地下1階地上30階建てで最高高さは130メートル。1階に飲食店舗、2階に遊技場、3~6階に12スクリーンを持つシネマコンプレックス(2347席)、8~30階に約970室のホテルなどが入る。
 8階の屋外テラスには、東宝が手掛ける映画に登場する怪獣「ゴジラ」の頭部をかたどった模型を設置。高さ12メートル、重さ約80トンで、ほぼ実物に近い大きさだという。東宝映像美術が制作した。

2015年4月16日木曜日

【ちょっと一息】体脂肪率のお話

体脂肪率の低さが一流選手の証!?
 サッカー日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督が代表チームに招集した選手の体脂肪率を結果的に公表してしまい、15日になって個人情報の漏洩を謝罪したという。そもそも、ハリル監督が言いたかったのは、国内でプレーする代表選手は身体作りから準備不足だという点で、「おまえらしっかりしろよ」と警鐘を鳴らしたかったのだろう。体脂肪率という言葉は、「多いと悪、低いにこしたことはない」という印象を受ける。実際、脂肪が燃焼しやすくなるなどのコピーが付いた飲料や食品を目にすると、つい手が伸びてしまう人が多いのでは?
 一般の方はさておき、スポーツ選手、特にサッカー選手と体脂肪率の関係が気になって調べてみると、面白いことが分かった。ある大学が行った研究によると、身長や体重がまったく同じで、体脂肪率だけが異なる、すなわち筋肉の付き方が違う複数の人が、急激なストップやターン、急加速や急減速が多いサッカーのようなスポーツをすると、体脂肪率が低い人の方が時間経過によるパフォーマンスの低下が少なくなるという。スポーツ選手にとって体脂肪は、「重り」と同じようなものであり、「体脂肪率が高ければ高いほど、身体を支える筋肉に大きな負荷が掛かり、筋肉疲労によるパフォーマンス低下に大きな影響を受ける」そうだ。
 もちろん、この研究結果がすべてではないだろうが、かなり説得力のあるものではないかと思える。世界の舞台で活躍する一流のサッカー選手は総じてダビデ像のような身体で、体脂肪とは無縁の世界に存在している。幸い、新聞記者に急加速や急ターンをしなければならない機会はなく、体脂肪率を落とせと上司に言われることもないので、今日の話題はまったっくの他人事ということで・・・。
 

【頑張れTEAM NIPPO】世界3大自転車レース「ジロ・デ・イタリア」参戦

転載元「TEAM NIPPOホームページ
NIPPOが活動を支援している自転車ロードレースチーム「NIPPO・ヴィーニファンティーニ」が、世界3大自転車レースの一つである「ジロ・デ・イタリア」に初参戦する。日本企業がメーンスポンサーに入ったチームがジロ・デ・イタリアに参加するのは初めて。チームを指揮する大門宏監督は15日、レースを前に東京・京橋のNIPPO本社で記者会見し、「21に分けられたステージ(区間)の一つでは勝ちたい。可能性は十分にある」と意気込みを語った。
  ジロ・デ・イタリアは、毎年5月に3週間にわたってイタリアを一周する自転車プロロードレースで、ツール・ド・フランスと並ぶメジャー大会。NIPPO・ヴィーニファンティーニは今年、国際自転車競技連合(UCI)の最上位チームが集まるプロフェッショナルチームに次ぐ「プロコンチネンタルチーム」に昇格。平均年齢25歳という若手中心のチーム編成などが評価され、ジロ・デ・イタリアの主催者による特別推薦枠(ワイルドカード)での出場が決定した。
「まずはステージ優勝」と大門監督
  大門監督はチームに所属する17人から9人を選抜。黒枝士輝、石橋学、山本元喜の3人の日本人選手の中から一人が参戦する予定。レースは5月9日にイタリア北西部のリグーリア海岸をスタート。22チームが21ステージを走り、5月31日のゴール・ミラノを目指す。
  ジロ・デ・イタリアは「走行距離が3400キロ、高低差は4万3000メートルの過酷なレース」(大門監督)。日本人の競技レベルでは完走することさえ難しいといい、プロコンチネンタルチームに昇格して1年目でワイルドカードを得ることは異例だという。今回の出場でロードレースが注目を集め、大門監督は「子どもたちが競技を始めるきっかけになればいい」と話す。 
 NIPPOは1987年にロードレースチームを発足。日本初のステージレース「ツール・ド・北海道」のオフィシャルスポンサーも務め、日本のロードレース界を支援している。NIPPOの関係者は「2020年東京五輪の自転車競技で活躍する日本人選手を育てたい。この大会はその一歩」と話す。NIPPOの水島和紀会長もジロ・デ・イタリアのレース期間中に現地を訪れ、選手を激励するという。

【回転窓】「女性役員が当然」になれば

会見する奥山市長
 来年行われる米大統領選にヒラリー・クリントン前国務長官が出馬することになった。出馬表明の様子を動画で見た▼出産や起業などについて話す若者が登場。最後にクリントン氏が「普通の人の擁護者になりたい」と語り掛ける。イメージ戦略と分かっていても、親しみやすさを感じさせる▼米国初の女性大統領への挑戦という点に注目してしまうが、世界を見渡せば、韓国の朴槿恵大統領、ドイツのメルケル首相など女性の指導者は少なくない。仙台市で先月開かれた第3回国連防災世界会議では、ワルストロム国連事務総長特別代表をはじめ、総括記者会見を行った3人が全員女性だった▼その一人、奥山恵美子仙台市長は、「女性を災害弱者として位置付けてきたこれまでの考え方は間違いであり、しっかりとした主体だ」と指摘。女性が力を発揮できるような取り組みが必要だと強調した▼業界団体などの新年度の総会シーズンが始まる。建設業に限った話ではないが、出席者が男性ばかりというケースは少なくない。「女性役員がいて当然」という状況になれば、建設業も現場も様変わりするに違いない。