2015年5月11日月曜日

【海外で新領域に挑む】長大が比・ミンダナオ島で地域開発参入

養鰻場で大きくなったウナギをすくう岩崎社長(手前)、永冶社長(手前から3人目)ら
 長大とグループ会社の基礎地盤コンサルタンツ(東京都江東区、岩崎公俊社長)は、フィリピン・ミンダナオ島で産業育成や雇用創出を含めた地域開発・振興事業に本格参入する。小水力発電などで提携している現地ゼネコンのエクイパルコ(ロニー・ラグナダ社長)などと、地域開発を目的とした包括提携の覚書(MOU)を交換。エクイパルコの拠点がある同島北東部・ブトゥアン市周辺で、従来型のインフラ整備にとどまらない民間主導の地域開発に取り組む。
 長大とエクイパルコ、事業企画・投資などを手掛ける現地のツインピーク(高野元秀社長)は、既に小水力発電や上水供給、工業団地開発などの事業で提携関係にある。1日付で調印したMOUでは、3社に基礎地盤コンサルなどが加わり、農業・水産業の振興による産業育成や雇用創出、経済発展などを目指す。
 具体的には、エクイパルコなどが設立した稲作・精米事業を展開する特別目的会社(SPC)「アグサン・グリーンフィールド・リソーシス」と、ウナギとエビの養殖事業を手掛けるSPC「カバドバラン・アクアテック・リソーシス」に長大が出資する。出資の金額や時期などは今後詰める。
 長大はSPCへの出資だけでなく、日系企業の事業参画支援、調査や計画立案などのコンサルティングを展開。既に始動している電力、上水といった基礎インフラ整備と連動させ、ブトゥアン市で「民間主導型官民連携(PPP)による地域開発」を具体化させる。
 今回の包括提携ついて長大の永冶泰司社長は「ブトゥアン市は環境や条件が非常に良く、パートナーにも恵まれている。貧困は紛争の火種になることも多い。この地でコンパクトな地域振興のモデルを作り、地域と共に長大グループも成長を目指す」としている。
 ミンダナオ島はフィリピンで2番目に大きい島で、フィリピン諸島の南端に位置する。農・林・漁業が主要産業だが、インフラ整備の遅れや政情不安、紛争によって経済発展はフィリピンの中でも遅れている。ただ、北東部に位置するブトゥアン市は政情が安定しており、豊富な農業・水産資源を背景に成長のポテンシャルは高いとされる。
 長大は、現地企業と幅広い領域で共同事業を展開することで、地域開発・振興に関するノウハウを蓄積。同島の他地域や東南アジア各国での事業参画につなげる考えだ。

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