2015年7月25日土曜日

【現場探訪】JR安達駅駅舎・東西自由通路新設工事(福島県二本松市)/施工は鉄建

83トンの自由通路を吊り上げ旋回
◇S造橋を短時間・高精度に一括架設◇

 長さ32メートル・重さ83トンの跨(こ)線橋をわずか11分で一括架設―。福島県二本松市のJR東北線安達駅の新設工事現場で19日明け方、地上で組まれたS造の東西自由通路が、超大型クレーンで架設された。線路をまたぐ工事のため、作業時間は線路閉鎖、き電停止をしている33分間。厳しい制約時間に加え、ミリ単位の高い施工精度も求められた。リハーサルを繰り返し、課題を一つ一つ解決して迎えた本番当日。不安定な天候の中でも練習の成果が結実し、短時間での一括架設を成し遂げた。
 現場は二本松市油井下中ノ内65。JR安達駅の駅舎(線路を挟み東側と西側で構成)と東西自由通路を新設する。規模はS造2階建て延べ1318平方メートル。工期は2月10日~16年2月19日。新駅は12月に開業する予定で、その後は旧駅舎の解体などが行われる。工事の発注・監督はJR東日本東北工事事務所、施工は鉄建東北支店が担当している。
 工事の山場となったのが自由通路(跨線橋)の一括架設だ。東側のヤードでS造の自由通路(高さ4・6メートル、幅6メートル、長さ32メートル、重さ83トン)を組み立てた上で、1200トンづりの超大型クレーンでつり上げ、東側駅舎の上空まで旋回して一時待機。線路閉鎖、き電停止を完了した後、再びクレーンを旋回させ、東西2階の据え付け位置に架設する。

一括架設作業の様子
「時間との勝負だ」。安達駅作業所の澤野正所長(鉄建)がこう指摘するように作業に使える時間は極めて短い。上下線ともに終電と始発の間で線路を閉鎖し、き電を停止してからの作業。その時間は午前4時45分~5時28分の43分間。実際の作業時間は4時50分~5時23分の33分間で、うち一括架設は4時50分~5時18分の28分間を予定していた。
 19日明け方は小雨が舞う不安定な天候。ただ風がほぼなく、クレーンでの作業に支障はない。4時1分にクレーンが機動して重さ83トンの自由通路をつり上げ、4時11分には一時待機の状態に持ち込んだ。
電車の遅延もなく予定通りの時間に線路を閉鎖。き電の停止が早く完了し、4時47分には旋回を再開した。クレーンにつられている自由通路を東西それぞれの据え付け位置にミリ単位で誘導。自由通路が据え付け位置にぴたりとはまり、4時58分に一括架設を終えた。

所要時間11分で所定の位置にぴたりと収まった自由通路
作業時間はわずか11分。リハーサルによる課題の抽出と解決策の立案、作業員(約40人)の明確な役割分担など事前の準備を徹底した結果、予定時間の28分を大幅に短縮した。
 無事に一括架設を終えた澤野所長は「速いペースで高精度の施工ができた。練習の成果だ。安心した」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。同時に「地元の人の期待が高い。無事故で良いものを造り、皆さんに喜んでもらいたい」と表情を引き締めた。

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