2015年8月10日月曜日

【首都圏Look at】東京・足立区がまちづくりにエリアデザイン導入

エリアデザインを導入する区内7地域
 ◇民間開発核に活力創生◇

 東京・足立区が13年から街づくりに導入している「エリアデザイン」。エリアごとに定めた将来像を踏まえ、区民のニーズに合致した施設整備を進めながら地域主導の街づくりを後押しする仕組みで、各エリアにある区有地などの大規模用地での民間開発を核にエリアの活性化を図る。区の担当者は「超高齢化社会が進む中、エリアデザインを通して世代が変わっても活力が失われない街づくりを進める。元気な街、住み続けられる街を目指したい」と意気込みを語る。


 区内でエリアデザインを導入する地域は、▽綾瀬▽六町▽江北▽花畑▽千住▽西新井・梅島▽竹の塚―の七つ。区は「民間の力を借りて地域の活性化を図る。区内の各エリアでどのような施設が求められているのかを示すことが、民間事業者へのPRにもなる」(担当者)とエリアデザインを推進するメリットを挙げる。
 江北エリアでは、4月に大学病院の「東京女子医科大学東医療センター」を誘致する方向で学校法人東京女子医科大学と覚書を交わした。病床数は495を想定。16年度中に建設候補地を選定した後、17年度に区が土地を取得し、病院側に貸与する。
 花畑エリアでは、文教大学が都市再生機構の保有地を約52億円で取得し、最大約4700人が学べる校舎を整備する。20年度の開校を目指している。
 千住エリアでは五つの大学を誘致している。大学連携でにぎわいの創出を図り、区のイメージアップにつなげる。


 これらのエリアでは、病院や大学の誘致によって医療サービスや教育機能の充実を図るだけでなく、核となる施設周辺のにぎわいを生み出し、地域の活力再生につなげるのが狙いだ。
 西新井・梅島エリアでは、東武伊勢崎線西新井駅西口で駅前広場を整備。線路で分断された東西地域をつなぐ連絡通路の整備も計画している。都営住宅の跡地を有効活用し、西新井公園の再整備や補助第254号線と255号線を結ぶ「(仮称)南北線」の事業化も進める。基盤整備を進めながら、街づくりの機運を高めたい考えだ。
 竹の塚エリアでは、東武伊勢崎線竹の塚駅周辺の立体交差(高架)事業が進んでいる。駅東側の都市機構の竹の塚団地やエリア内の区有地を活用し、区北部の玄関口にふさわしい施設開発を誘導。線路で分断されていた東西エリアの一体化を図り、回遊性の高い街づくりを推進する。
 綾瀬エリアでは、旧こども家庭支援センター用地(東綾瀬1の5の17、敷地面積7376平方メートル)で住宅開発を進める予定だったが、近隣でマンション開発事業が計画されていることから、住宅の過剰供給を避けるため、区有地の活用計画を再考することにした。


 区の担当者は「住民のニーズや周辺での民間開発で何が起きているのかを把握し、住民と区の意向に沿った民間開発を誘導するためには、地域の関係者らとのヒアリングを随時行う必要がある」と強調する。
 六町エリアでは、つくばエクスプレス六町駅前の区有地(敷地面積3600平方メートル)を活用し、六町駅の知名度向上と街の活性化を目指す。
 本年度は、六町エリアでの事業の可能性を調査する「サウンディング調査」を行い、地元の意見を反映させて区有地の開発計画案を作成した後、事業者を募る考えだ。

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