2015年8月18日火曜日

【記者手帖】涼しさの発見を楽しむ


 今年の夏も暑い。梅雨明け後、日本列島は高気圧に覆われ、各地で気温が上昇。最高気温が35度以上の猛暑日になる地点が相次いだ。東京都心も猛暑日が8日連続と、1875年の観測開始以降の最長記録を更新した◆暑さから逃れるためにはクーラーを使うのが一般的だろう。炎暑の屋外から冷房の効いた室内に入る快感と喜びは格別だ。でもクーラーが苦手で冷房病を訴える人も少なくない。確かに冷房が強く効いた空間に長時間いると、冷えやだるさを感じることも◆冷房とは別の室内環境の調整方法として「涼房」を提唱する研究者らがいる。日射の遮へい性を高め、通風・換気の効果や水・緑の活用により室内に涼しさをもたらす方法だ。涼房だけではしのげない場合、エアコンなどの機器を弱めに使い、室内に小さな冷たさを取り込む。住まい手自らが積極的に建築環境を調整することが大切だという◆「涼しさ」の語感には冷房にはない情緒がある。風鈴の音色にも涼しさを感じる独特の感性が日本人には備わっている。涼しさの発見を楽しめる居住文化・建築文化を大事にしたい。

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