2015年9月11日金曜日

【回転窓】個人の力を磨く入札契約制度

 2020年東京五輪のメーン会場となる新国立競技場の整備問題。当初の計画が白紙撤回された末に、新たな整備計画が固まり、公募型プロポーザル方式で設計・施工を一括で担う事業者の選定手続きが始まった▼設計には一つとして同じものがなく、規格品を買う物品購入とは違い、金額の多寡だけでその良しあしを判断するのは難しい。選定には金額を競う入札は不向きとされ、企業の創造性や技術力から最適者を選ぶプロポーザル方式が普及しつつある▼ただ、技術力を重視しながら価格も織り込んで落札者を決める総合評価方式という選定方法もある。地方自治体などの中には、やはり価格を重視して入札で設計者を選ぶところも依然少なくない▼対応する企業はどう見ているのか。ある建設コンサルタントの関係者は「入札は切磋琢磨せっさたくまにならない」と断言する。価格を競っても技術者個人の能力向上にはつながらないからという▼日本の優れた技術力を支えているのは、それぞれ個人の技術者の能力でもある。国際競争力の強化や技術力の継承のために、個人の力を磨く視点も入札契約制度には欠かせない。


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