2015年9月7日月曜日

【駆け出しのころ】みらい建設工業常務執行役員営業本部長・花田哲氏


 ◇技術を磨き信頼されるプロに◇

 父が海を好きだったこともあり、子どものころは毎年、家族で海水浴に行っていました。大学ではスキューバダイビングの同好会に入り、伊豆半島や伊豆七島、沖縄などの海に年間50~60日ほどは潜っていました。そうして海と触れ合っているうち、漠然と海に近い仕事ができればと考えるようになったのが、マリコンに入社した動機です。当時の会社は積極的に海外事業も展開していたため、機会があれば海外で力を試してみたいという思いもありました。

 最初の現場は、鳥取県賀露港(現鳥取港)に沖合防波堤を造る工事でした。現場で私は海の中での作業にどうしても興味があり、自らボンベを背負って潜っていました。上司や先輩がよく許してくれたと思うのですが、実際に見てみないと分からないことも多く、潜水士の人たちからさまざまなことを教えてもらったものです。

 この現場では、発注者の所長にもよく指導していただきました。新入社員の私に多くのことを教えて下さり、沖合防波堤を造る意義などについて薫陶を受けました。この方とは現場が終わってからお会いする機会がなかったのですが、20年以上たってから再会できた時には、当時のことをいろいろお話しさせていただきました。

 次に配属となった現場は、広島東部流通業務団地埋立工事です。私は主に公共岸壁の担当でしたが、工業団地内の汚水処理場建設などにも携わりました。先輩に支援してもらいながら工法の提案や工程管理、歩掛かり、原価管理など基本的なことを学び、現場の鍛冶屋さんからも部材を軽量化してコストダウンする方法などを教わりました。作業のやりやすさはコストダウンにもつながる。このことがよく分かり、普段から作業員の人たちとのコミュニケーションが大切だと実感しました。

 建設産業はインフラ整備や災害復旧など人の役に立つ仕事をしています。後輩や次代の業界を担う若者には、そうした自信と誇りを持って仕事に励んでほしいと思います。顧客や発注者などから信頼を得るには、それなりの技術的なスキルを持っていなくてはなりません。しっかりと技術を磨き、信頼されるプロの技術者になることが大切です。

 かつて担当したトンネル工事の現場で、地盤が固く、なかなか掘削を進められずに苦労したことがあります。そんな時、他の現場でお世話になった先輩から、困難な現場でも一歩ずつ進んでいれば必ず終わる、とアドバイスをもらいました。この言葉には救われました。何か苦しいことがあると、今もこの言葉を思い出しています。

 (はなだ・てつ)1980年武蔵工大(現東京都市大)工学部土木工学科卒、三井不動産建設(現みらい建設工業)入社。建設本部営業部長兼MF事業本部営業部長、執行役員建設本部副本部長などを経て、15年4月から常務執行役員営業本部長兼MF事業本部副本部長。福岡県出身、59歳。

広島東部流通団地埋立工事の竣工式典で。
「海に近い仕事がしたい」との思いで入社した

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