2015年9月10日木曜日

【回転窓】首都機能と地方創生

 各国の政治・経済の中心地である首都。時の権力者たちの思惑も交錯しながら一国を代表する都市が形づくられてきた。日本では1603年に徳川家康が江戸に幕府を開き、明治維新での東京遷都によって、名実共に東京が首都と認知された▼開府以降、江戸に首都機能が蓄積され、その流れは現代に至る。近年は行き過ぎた東京一極集中を是正しようと、首都機能移転が政策課題に挙がる。かつて国は移転候補地として3地域を選定したが、最終候補地を絞り込めず、その後の議論は停滞した▼国土の均衡ある発展や災害対応などの観点から、首都機能の移転・分散の必要性を指摘する意見は根強い。しかし、江戸・東京と400年以上にわたって築き上げられた首都の形を崩し、社会システムを再構築するのはそう簡単ではない▼政府は「地方創生」の一環で、首都圏に集積する国の関係機関の一部を地方に移す検討を進めている。地域の産業振興や雇用創出につなげる狙いだが、実現性は不透明だ▼既存の組織・システムが機能不全に陥る前に、新たな国のかたちを示すことができるか。国の本気度が試される。


0 コメント :

コメントを投稿