2015年10月28日水曜日

【回転窓】農業の未来は

 北陸地方の農家から収穫したばかりのコシヒカリを頂いた。この秋は刈り入れ前の天候不良の影響で白く濁った粒が混じるなど「満足のいく出来ではない」という。お天気相手の商売の苦労を思う。それでも炊きたての新米の味わいは格別。香り、つや、弾力が違う▼環太平洋経済連携協定(TPP)で大筋合意した関税分野の全容が先に政府から公表された。日本の農林水産物の関税撤廃率は81%。守るはずだったコメなど重要5項目でも3割の品目は関税がなくなるという。農業者らの不安は当然だろう▼食料品が安く買えると期待する声も聞くが、口に入るものである。安ければよいという単純な話ではない。ただでさえ低い食料自給率はどうなるのか。農業は国土保全にも深く関わるだけに、安全上の問題も軽視できまい▼政府は、TPP対策を盛り込む15年度補正予算案の検討を始めた。来夏の参院選をにらんだばらまきにならないか、早くも心配する声が出ているようだ▼農業は担い手不足と高齢化が建設業以上に深刻。まじめに努力した農業者が報われる政策を取らなければ、流れは変わらないだろう。

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