2015年10月20日火曜日

【回転窓】留飲を下げるだけの政治


 〈首相、軽減税率を指示〉。先週水曜、新聞各紙の夕刊は、2017年4月の消費税率引き上げ(8%↓10%)と同時に軽減税率を導入することを検討するよう安倍晋三首相が指示したとそろって1面トップで報じた▼主要各紙の見出しは判で押したようにほぼ同じ。少し前にも似た光景が…と既視感を覚え、思い出したのが、7月にあった新国立競技場整備計画の白紙撤回。建設費膨張で国民の批判が頂点に達したのを見計らったように、首相が計画を白紙に戻して見直すよう指示した▼今度は庶民の懐を直撃する消費税の話である。いったん払った税をマイナンバーカードを使って還付するとの財務省案が不評なのを見て首相がこれを撤回し、本来の軽減税率導入を指示。財務省案を推す党税調会長の首も事前にすげ替えた▼どちらも、不人気政策で下がった内閣支持率を上げるために首相の「指導力」を演出した安手な芝居といったら、うがち過ぎだろうか▼こういうちゃぶ台返しは痛快だが、話が振り出しに戻っただけ。指摘されてきた問題が解決したわけではない。留飲を下げるだけの政治は誠にむなしい。

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