2015年10月29日木曜日

【回転窓】民意の行き先


 居酒屋で隣り合わせた客と政治の話になった。安保法制のごたごたを例に「政治が有権者の声を聞いていない」というのが相手の主張。ちょっと違和感を覚えた。少なくとも今年は統一地方選の年。その結果が最も優先されるべき民意というのが日本の仕組みだ▼東日本大震災の影響で東北地方の被災地では地方選が続いている。先週末には宮城県議選があり、共産党の躍進が話題となった。ただ、過半数は割ったものの、自民党が圧倒的多数を占める状況は変わらない▼今回はむしろ、過去最低を記録した投票率にこそ、民意の本音が表れているようだ。さらに、もっと気になることがある。選択肢が狭いことである▼今月、宮城県女川町や岩手県釜石市の首長が無投票で再選された。両首長とも復興にリーダーシップを発揮しており、その手腕が認められての再選ではあろう。とはいえ被災地は将来の道筋を定める渦中にある▼何事もライバルがいてこそ質が高まる。現職が勝つにせよ、選挙戦を通じ議論が盛り上がる方がより良い方向へつながるだろう。選択肢があった上で勝つべき人が勝つ。そうあってほしい。

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