2015年11月6日金曜日

【回転窓】公助を補う共助を支える


 東京都内で行われたマンション耐震セミナーを訪れると、管理組合の幹部で席が埋まっていた。東日本大震災以降、建築物の防災に対する関心はやはり高まっているのだろう▼東京都の集計によると、都内の特定緊急輸送路沿いの建物の耐震化率は8割を超えたが、セミナーでは多くのマンションで耐震化が進んでいない現状が報告された。インフラの老朽化が急速に進む現状を考えても、都市防災は脆弱と言わざるを得ない▼政府の中央防災会議は、首都圏で震度6強の地震が発生した場合、都内の焼失・倒壊家屋は最大27万棟に上ると推定する。これに対し、東京を守る東京消防庁が所管する消防車、救急車は全部合わせても約1900台しかないそうだ▼ある大手デベロッパーの幹部は「民間が開発した街には公設消防隊の手は回ってこない。共助の精神で守ることが求められる」と話す。人口1000万を超す東京の防災・減災は行政に頼る公助だけでは限界がある▼公助を補うのは、民間の企業や住民らが互いに助け合う共助。共助を支える上で防災・減災分野の知見を持つ建設業の役割はますます大きい。

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