2015年11月11日水曜日

【回転窓】急がれる建設業の交通事故防止策


 1980年代から90年代初めにかけて、多くの人が熱中して見た〈トレンディードラマ〉。人気俳優たちによる恋物語が定番だが、久しぶりにその一つを見て目を疑ってしまった▼ワインを飲んで語り合った主人公たちが、そのまま車を運転して移動したと見られるシーンがあったからだ。当時はまだ飲酒運転に対する認識が甘かったのか、今なら放送後に大変な騒ぎとなるのは間違いない▼法規制の強化や安全意識の向上などを背景に、日本の交通事故による死亡者数は減少傾向にある。その推移を見る限り、交通事故防止に関わるさまざまな施策は大きな効果を上げてきたといえよう▼だが、厚生労働省は建設業の死亡災害に占める交通事故死の割合が増加しているため、関係機関や業界団体などに防止策を徹底するよう要請した(本紙8月24日付1面)。12年からの3年間で100人以上が死亡。大半は建設現場と事務所間の往復時に発生した事故という▼原因はスリップ、長距離移動、夜勤明け、居眠りが上位。ドラマと違い、現実の世界に〈認識が甘かった〉は通用しない。一層の交通事故対策が急がれる。

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