2016年1月27日水曜日

【世界最長つり橋に照準】国交省と橋建協がトルコで技術セミナー開く

 国土交通省と日本橋梁建設協会(橋建協、石井孝会長)が今月14日、トルコ政府と首都アンカラにあるホテルで「日・トルコ橋梁技術セミナー」を共催した。

 日本からは国交省の中神陽一官房技術参事官や平井節生総合政策局海外プロジェクト推進課長をはじめ、IHIなど橋建協の会員企業が参加。年内にも国際競争入札が行われるアジア~欧州大陸間の「ダーダネルス海峡大橋」建設・運営事業の受注を目指し、日本企業が保有する長大橋建設の技術や実績を官民でPRした。


 ◇ダーダネルス海峡大橋建設のBOT受注狙う◇

 今回の橋梁技術セミナーは、昨年5月にインフラ輸出のトップセールスでトルコを訪問した太田昭宏国交相(当時)とビルギン運輸海事通信相との会談での合意事項を踏まえて行われた。会談でトルコ側は、ダーダネルス海峡大橋の建設を含む計画中の大型インフラ事業に、技術力に優れた日本企業が積極的に参画するよう求めていた。

 橋梁技術セミナーでの日本側の目的は、ダーダネルス海峡大橋を含めた高速道路のBOT(建設・運営・譲渡)事業への日本企業の売り込みだ。完成すれば世界最長のつり橋となるダーダネルス海峡大橋の建設は、トルコ建国100周年を迎える2023年までに供用開始を目指す国家プロジェクト。橋の規模は延長3623メートル、車線数6(上下各3車線)、事業費は1500億~2000億円に上るとされる。

 国交省は、受注に向けて日本企業を売り込む今年の最優先海外プロジェクトに、ダーダネルス海峡大橋のBOT事業を位置付けている。

 セミナーには、橋建協の会員企業の立場でIHIやIHIインフラシステム、JFEエンジニアリングが出席。国際協力機構(JICA)や官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)、日本高速道路インターナショナル(JEXWAY)、本州四国連絡高速道路会社も参加した。

 トルコ政府道路総局のカルタル総裁や現地インフラ企業の担当者に対し、国交省は、日本が高速道路ネットワークの整備を国の責任とコントロールの下で進めてきた歴史と経験を強調。橋建協は、会員各社が会場内に設置した展示ブースなども活用し、世界最高水準とされる長大橋の施工技術をPRした。特にIHIグループは、IHIインフラシステムが建設中のつり橋「イズミット湾横断橋」(延長2682メートル)の設計・施工を担当するなど、トルコの長大橋事業で豊富な実績を持つ。

 国交省によると、日本企業がダーダネルス海峡大橋のBOT事業に参画した場合、JICAやJOINには資金調達、JEXWAYには運営、本州四国連絡高速道路会社にはメンテナンスの面でそれぞれの経験や優位性を生かし、受注企業をサポートすることを期待している。

 国交省は今後、ダーダネルス海峡大橋BOT事業の入札が年内にも行われるのに合わせ、日本企業を売り込む政府間対話を継続的に行っていく方針だ。トルコ政府が4月にイズミット湾横断橋の完成式典の開催を現地で予定していることから、国会の審議日程に支障を来さなければ、石井啓一国交相の出席も検討。これに合わせてトルコ政府要人へのトップセールスを行う戦略も構想している。

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