2016年2月1日月曜日

【回転窓】クジラが教える環境汚染

 哺乳動物で肺呼吸を行うにもかかわらず、陸に上がると死んでしまうクジラ。浮力がなくなる陸上では自分の重さで肺が圧迫され、呼吸困難に陥ってしまうためといわれる▼陸上では生きていけないクジラが自ら海岸に打ち上がってしまう「ストランディング」現象が増えている。日本でも年間300件以上の報告がある。原因は、サメなどの天敵に襲われる、地磁気の乱れによる方向感覚の喪失、感染症など▼日本埋立浚渫協会の機関誌「マリンボイス」(292号)に国立科学博物館研究員の田島木綿子さんがストランディング現象のことを書いている。田島さんは、人間社会が作り出した化学物質が環境汚染物質となり、それを吸収した海洋生物が免疫低下を引き起こしていると指摘▼環境汚染物質が高濃度に蓄積したクジラが感染症にかかり、それが一つの群れに広がり大量死した欧米の例も紹介している。田島さんはこうした現状を多くの人に知ってほしいと訴える▼人間だけが快適な生活を送り生き残っても明るい未来はない。多様な生物が共存共栄できるようにするために自分は何ができるのだろうか。

0 コメント :

コメントを投稿