2016年3月25日金曜日

【回転窓】次は政治が応える番

大家に誘われて花見に出掛けた貧乏長屋の面々が飲まされたのは番茶を水で割った「お茶け」、肴はかまぼこと卵焼きに見立てた大根の漬物とたくあん。「蒲鉾はボリボリ、卵焼きはバリバリかい」。落語「長屋の花見」の一場面である▼桜の開花の便りが届き始め、お花見シーズン到来だが、庶民の懐具合はいまひとつのようだ。今春闘の交渉では、賃金水準を引き上げるベースアップ(ベア)を昨年より小幅にする企業が目立っている▼企業の慎重姿勢の背景には、円高や株安の進行など経済の先行き不透明感がある。日本商工会議所の三村明夫会頭は、与党幹部による賃上げ要請に「中小企業が賃上げや設備投資を行える条件を整えてほしい」と答えたという▼ゼネコンの中には「経済の好循環の維持に寄与することは企業の社会的使命」とベアを決めたところもあるが、建設業界も決して先行きが安心とは言い切れない▼23日の国会で安倍晋三首相は、大手企業の相次ぐ慎重回答に「もう少し期待をしていた」と不満を漏らしたそうだが、無為無策では仕方あるまい。次は企業の努力に政治が応える番だろう。

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