2016年4月4日月曜日

【ダイバーシティー推進に注力】建設関連各社、女性・外国人採用へ制度改革

 建設関連各社が進めるダイバーシティー(人材の多様化)施策で、女性の採用人数が増加している。

 日刊建設工業新聞社が115社に行ったアンケートによると、今春(16年4月)の女性新卒採用数は計1377人。15年4月(1228人)に比べ11・2%増と大幅に増加した。

 業種別で最も伸び率が高かったのがゼネコンで前年比30・4%増。業績改善と事業拡大に伴い新卒採用枠そのものが拡大しているのに加え、目標数値を達成するため多くの企業がハード・ソフト両面の環境整備を進めていることが奏功し始めている。

 ◇女性の新卒採用、さらに増加◇

 16年4月の女性新卒採用数を業種別にみると、▽ゼネコン(33社)=600人▽設備関連(22社)=189人▽設計事務所(19社)=71人▽コンサルタント(14社)=167人▽道路舗装(8社)=25人▽建機・建機レンタル(7社)=132人▽セメント(6社)=48人▽住設(6社)=145人。1社当たりの女性採用数が最も多いのが住設で24・2人。次いで建機・建機レンタル(18・9人)、ゼネコン(18・2人)と続く。

 女性の採用を「増やしている」と回答したのは115社中71社(61・7%)。前回調査(60・2%)から微増となった。このうち、ゼネコンは27社。清水建設は「研修やセミナーなどを通じてキャリアアップのフォローを行っている」、鹿島は「キャリア支援や研修、男性の意識改革のための研修や講演を実施」と回答。女性社員の継続的な就業と育成を図っている。

 女性が働きやすい環境づくりとして、「女性の配属先での専用トイレや更衣室の整備」(鴻池組)、「妊娠・出産・育児を行う女性職員が復職しやすい制度を整備予定」(新日本空調)、「個々の事情に配慮した始業・就業時間を融通する制度など、仕事と家庭の両立支援施策を検討」(長大)、などの回答があった。

 各社が女性採用に積極的になっていることから、「他社も旺盛に採用しているため、新卒採用では苦戦している」(西松建設)との声も寄せられた。女性採用数が他業種に比べ少なかった道路舗装では、「業界全体で受け入れ設備などを整備する必要がある」と指摘する声が多数あった。

◇外国人採用は応募数底上げに課題◇

 今春の外国籍新卒採用数は135人で、前年の131人からほぼ横ばい。外国籍社員の登用・採用動向については、「横ばい」と回答した企業が77社(67・0%)と最も多く、「増やしている」との回答は20社にとどまった。

 増やしていると答えた企業のうち、建設技術研究所は「外国人留学生採用枠を設定」との回答を寄せた。日本語能力が十分でなくても、優秀な学生は契約社員として採用し、入社後に日本語学校に通わせて正社員化を図っているという。

 外国籍社員の採用については、「海外拠点があるため、将来を視野に入れ採用しようと考えているが、募集がない」(東光電気工事)、「例年、機械・電気・建築分野で東南アジアを中心とした留学生の採用を実施しているが、対象となる学生からの応募が少ない」(富士古河E&C)とその難しさを指摘する声もあった。就労ビザの取得や日本語習得などを課題に挙げる回答も多く、外国籍社員の採用が増えるのには時間がかかりそうだ。

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