2016年4月1日金曜日

【何かを変えなきゃ、前に進むには】建設業界、多様な働き方支援広がる

建設業界で多様な働き方を支援する取り組みが活発化している―。

 日刊建設工業新聞社が建設関連企業115社を対象に2月に実施したアンケートで、社員のワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の調和)の充実や就業環境の改善に向けた施策を尋ねたところ、育児・介護中のフレックス勤務や残業の抑制対策を導入している企業も目立った。在宅勤務を認める企業もあった。女性の活躍が広がる中、出産や育児、介護などさまざまなライフイベントで以前に増して男性の協力が欠かせない。

 ◇フレックスや在宅勤務が拡大◇

 大成建設は「男性の育児休業の有給化、在宅勤務を検討中」と回答。日本オーチス・エレベータは「男性の育児休暇を推進している」と答えた。三菱電機ビルテクノサービスは「男女にかかわらず家庭事情などでやむを得ず退職した社員が復職できる制度(キャリアカムバック)」を導入しており、女性を中心に近年、制度の活用が増えているという。

 女性が働きやすい環境の整備も一段と加速している。鹿島は現場で働く女性技術者・技能者による職場環境改善提案活動「鹿島たんぽぽ活動」を積極展開。「育児や介護で休業中の社員に社内メール・イントラネットを閲覧できるパソコンの貸与や事業所内に託児所の設置を検討している」と回答した。日本工営もオフィスへの託児所の設置を検討していた。

 フレックス制を採用する企業も増えつつある。石本建築事務所は「裁量勤務制・フレックスタイム勤務制」、三菱地所設計は「妊娠・育児・介護者を対象としたフレックス・短時間フレックス制度」をそれぞれ導入済みだ。

 フレックス制に前向きな企業も多く、西松建設、パシフィックコンサルタンツ、日建設計などが導入を検討していた。建設技術研究所は「在宅勤務制度や夏季の朝型勤務制度を試行導入し、効率的な働き方を推進している」という。

 長時間労働の是正は建設業界でも大きな課題の一つ。定時で仕事を切り上げる「ノー残業デー」は多くの企業が導入していた。富士古河E&Cはノー残業デーに加え、「スモール残業デー(残業2時間以内)」という独自の取り組みを展開している。

 ◇長時間勤務の常態化、どう克服◇

 残業を管理するマネジメント層の指導を徹底する企業もある。東急建設は「新任役職者に対するタイムマネジメント研修を実施。時間外労働に基準を設け、基準時間を超えた人の上司に対し注意喚起メールを発信している」、三井住友建設は「長時間労働の削減への施策として、タイムマネジメント教育を実施している」と回答した。

 前田道路は「就労管理システムを導入し、上長の許可がなければパソコンの電源が就業時間を超えると強制的にシャットダウンする」という対策を採用。現場の土曜閉所に積極的に取り組んでいる企業も多かった。

 メンタルヘルスを重視する企業もある。高砂熱学工業が「メンタルヘルスケアを推進している」と回答。住友電設は、ストレスチェックなど健康増進につながるさまざまな対策を講じていた。

 奥村組は職場ごとに1週間単位で業務量を調整する「ワンウィークミーティング」、エイト日本技術開発は有給休暇取得促進策として、各自が記念日を設定して休みやすくする「アニバーサリー休暇制度」を導入・検討中と回答するなど、ユニークな取り組みもあった。

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