2016年4月6日水曜日

【山岳トンネル工事の強い味方】奥村組、油圧削岩機のガイドセル固定装置開発

 奥村組が発破による山岳トンネル掘削工事で、爆薬の装てんに必要な穴を開ける油圧削岩機の制御装置「ガイドセル」の先端を切羽に固定する新装置を開発した。

 削孔中に生じるガイドセルのずれを抑制し、削孔精度を向上できる。発破による掘削断面の大幅な過不足を抑制することが可能で、効率的な施工につながる。

 爆薬装填に必要な装薬孔は油圧削岩機で削孔する。切羽を削孔するビット付きロッド(削孔ロッド)を搭載したガイドセルの先端を固定用パッドで切羽の削孔位置と方向に合わせて固定。削孔ビットを押し付けながら打撃・回転させて削孔する。

 開発した「ガイドセル先端固定装置」は、3点支持・爪形状の固定用治具、治具を切羽に押し付ける油圧ジャッキ、治具を切羽に正対させるばね機構で構成。ガイドセルに搭載されている固定用パッドに代えて装着する。

 油圧ジャッキは常に一定の圧力を維持。削孔ビットを切羽に押し付けた反力でガイドセルが後方に移動した場合でも、油圧ジャッキが自動的に伸長し、軸の押し付け荷重を保持してガイドセルのずれを抑制する。

 押し付けの反力でガイドセルが後方へ移動し、先端が固定位置から離れて不安定になると、削孔の方向制御が低下して計画通りの削孔ができず、発破後の掘削断面が計画より増大または減少する原因となる。削孔長が長くなるほど計画位置とのずれが大きくなり、削孔精度の向上が欠かせない。


実際の工事に適用した結果、従来方法に比べ、計画位置からのずれを4分の1程度に低減できることを確認。口元から1・5メートルの削孔位置では従来方法でずれが最大80ミリだったのに対し、新装置の導入により最大20ミリ以内となった。同様に2・5メートルの場合は、最大130ミリのずれが30ミリ以内に収まったという。

 急速施工を目的に、1回の発破による掘進長を通常より伸ばして施工する「長孔発破」を支える技術として、新装置の採用を積極的に提案していく。

0 コメント :

コメントを投稿