2016年5月16日月曜日

【回転窓】清潔志向も結構だが…

除菌に抗菌と「清潔志向」も度を超せば人をひ弱にする。「水清ければ魚棲(す)まず」である。これも昨今の行き過ぎとも思える清潔志向の表れではないか-▼先週、ツバメの巣を人が落としたり巣作りを妨げたりすることで生息数が減っているらしいとのニュースを新聞で読んだ。軒下のツバメの巣を嫌うのは、泥やふんが「不衛生」だから▼日本野鳥の会の調査によると、ツバメが子育てに失敗する原因の大きな一つに、人のそうした行為があるそうだ。人が原因となる子育て失敗率は、都市部では農村部の約7倍にも上るというから、都会人の異様な「きれい好き」ぶりが際立つ▼初夏のさわやかな風とともに南からツバメがやってくる季節である。ここ何年か、東京ではその姿が目に見えて少なくなったように感じる。泥を取れる農地や巣を作りやすい建物が減ったことが原因とも聞いたが、人による巣の破壊も案外大きいのかもしれない▼泥やふんを年中まき散らすわけではない。人のふんに比べたら、量も臭いも微々たるものだろう。清潔志向も結構だが、小さな生き物の営みをもっとおおらかに見守りたい。

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