2016年6月27日月曜日

【駆け出しのころ】熊谷組執行役員九州支店長・梶山雅生氏

◇人とのつながりを大切に◇

 就職活動でいろいろな会社を訪問させていただいたのですが、そこで「熊谷組はすごい」といったことをよく聞きました。当時の熊谷組は、国内だけでなく、海外でも積極的に事業展開していたころで、実際に訪れた会社の中でも一番に輝いて見えたのが、入社したいと思った理由です。

 最初の現場は、JR京葉線の東京駅乗り入れ部のシールド工事でした。このトンネルは単線トンネルを二つ重ね合わせたマルチフェース(MF)シールドが初めて採用された現場です。

 有識者と発注者である国鉄(当時)の方々、熊谷組の技術陣が設計と実証実験を重ねて技術開発したものであり、私が配属されたのは、まだどのような工法で施工するかを検討している時でした。

 施工は順調に進んだのですが、シールドの先端部に人が一度入らなければいけない状況になったことがありました。ですが、最初というのは気が引けるもので、誰も入りたがらずにいると、先輩の一人が「俺がやる」と言って中に入って行かれたんです。土木の仕事に懸ける人のすごさを見たようで、そうやって皆を引っ張っていくのが工事を進めるのに大事なことだと実感した時でもありました。

 このプロジェクトに技術開発から施工まで一貫して携わることができたのは非常に良い経験となり、その後の仕事の進め方に大きな影響を及ぼしたと思っています。

 その後、東京湾横断道路建設工事を担当しました。ここでは施工管理をしながら、後輩にいろいろ教える立場になっていました。かつて自分が教えられたように、事務所にいるのではなく、現場をしっかり見るよう指導してきたつもりです。私たちの仕事は書類でものができるわけではありません。現場で見て聞いたことを施工管理に生かすのがとても重要です。

 現場では、働いている人同士はもちろんですが、顔見知りでない方が来られてもしっかりあいさつするように言っています。それと上の人が話したことをただ伝達するのではなく、自分の言葉で話すことが大切です。現場事務所で昼に皆が集まっての打ち合わせは発表の場ですから、その前に協力会社の人たちなどと個別にどれだけ打ち合わせしておくか。これが大事です。

 若い人たちには、人とのつながりの中でいろいろなことをやってほしいと期待しています。自らいろいろと発信していくことで、自分自身が成長できるものです。お客さまと接する場合にも、営業だけでなく、現場や管理を担当する人も積極的にお話しさせていただき少しでも会社をアピールしてほしいと思っています。

 (かじやま・まさお)1985年東大農学部農業工学科農業土木専修卒、熊谷組入社。土木事業本部鉄道営業部部長、執行役員鉄道プロジェクト推進室室長、同鉄道プロジェクト推進本部長兼鉄道営業担当、16年5月から現職。福岡県出身、55歳。
東京湾横断道路建設工事のシールド発進式で
(右端が本人)

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