2016年6月22日水曜日

【さてどうなる?】ヒースロー空港拡張コンセプト設計案、4者が最終候補に

ザハ・ハディド・アーキテクツの提案
 ロンドン・ヒースロー空港は、計画している空港拡張事業のコンセプトデザイン提案を募集し、このほど最終候補の設計事務所4者を選定した。長年の課題だった英国首都圏の空港機能強化に向け、15年7月に政府の諮問委員会は滑走路の新設を答申したが、現時点で計画は承認されていない。ヒースロー空港は未来の姿を示すことで進展に弾みをつけるのが狙い。

 最終候補に選ばれたのはザハ・ハディド、グリムショー、HOK、ベノイの4者。HOKは本拠地米国で多数の実績を持つほか、仙台空港や中部国際空港のターミナルの設計にも参加した。ベノイは現在建設中のシンガポール・チャンギ空港第4ターミナル、ザハ・ハディド事務所は北京の新空港を設計している。グリムショーはトルコ・イスタンブール新空港のコンセプト設計などを担当した。

HOKの提案
 諮問委は事業費を176億ポンド(約2・7兆円)と試算。計画では敷地北西部に第3滑走路を新設し、国際旅客ターミナルを新たに建設する。既存のターミナルビルとの連結や管制塔、駐車場なども含まれる。空港会社は、持続可能性と革新的な旅客サービスを実現しながら、現実的なコストと計画のフレキシビリティーを備えた設計案を求めた。4者からさらに詳細な提案を受け、7月に最優秀提案を決める予定だ。

 騒音や土地収用をめぐり計画に反対する声があるほか、ロンドン郊外のガトウィック空港も滑走路の増設を主張しており、政府がどちらを選択するか判断が待たれている。

 経緯を調査した議会の交通委員会は5月、ヒースロー計画を支持する内容の報告書を発表した。エルマン委員長は「2036年までに世界で新たに50本の滑走路が建設され、対応旅客数が10億人増えると言われている。中東や東アジア、北米がハブ空港としてのヒースローの地位を脅かしている」と指摘。計画の遅れは英国経済に大きな損失を与えると警鐘を鳴らし、政府に早期の決断を促した。

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