2016年6月8日水曜日

【回転窓】どこを向いて仕事をするか

三菱自動車に端を発した車の燃費不正問題が尾を引いている。先週末には不正行為を明らかにしていたスズキの本社にも国土交通省の立ち入り検査が行われた▼そもそも、自動車メーカーが公表する燃費とは誠に怪しい代物である。車を買って運転してみればすぐ分かることだが、「リッター○○km」とCMなどでも宣伝している燃費を普通に走って実現するのはまず不可能▼停止・発進を繰り返すこともなく、エアコンも不使用という条件で測った燃費が実際とかけ離れるのは当然といえば当然だ。メーカーの業界団体も、実燃費とは平均3割ほども違うことを公式に認めているそうだから、何をか言わんやである▼消費者の環境意識が高まり、節約志向もまた切実。そこにつけ込むかのように、極めて特殊な条件で測定した燃費をあたかも実際の燃費であるかのように宣伝する行為は、データ偽装と同様に不誠実な振る舞いといえないか▼透けて見えるのは、消費者を置き去りにした「企業本位」のメーカーの姿勢と監督行政だろう。どこを向いて仕事をすべきか、車に限らず日本の産業界全体が問われていよう。

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