2016年6月29日水曜日

【記者手帖】担い手確保の第一歩

ある建設関連団体がまとめた学生向けインターンシップ(就業体験)の報告書に目を通していて違和感を覚えた◆問題は参加者へのアンケート。「建設業は必要な産業」「建設業は良いイメージがある」という選択肢に誘導するような質問が目立ち、建設業を賞賛する回答が多くを占める結果になっていたからだ。インターンシップに関する質問が「役に立ったか否か」を聞く1問だけだったことにも疑問を感じた◆建設業界では今、若い担い手を確保しようと官民挙げて対策が進められている。業界をPRしたい気持ちは分かるが、若者に振り向いてもらうには、まず若者が建設業の仕事にどのようなイメージを持ち、業界のどこに課題があると感じているのか、生の声をしっかりと受け止めることだろう◆目的が不明確な報告書の中で、ある学生のコメントが目に止まった。「大変そうだけどやりがいのある仕事だと思った」。ひたむきに何かを学び取ろうとしている若者はいる。仕事の魅力と共に業界の課題や欠点も正直に伝え、聞く耳を持って若者と対話することが担い手確保の第一歩ではないか。(ゆ)

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