2016年7月4日月曜日

【回転窓】農業を育む公共事業

福井県北東部に位置する九頭竜川下流域。広大な耕作地は1級河川九頭竜川からのかんがいで潤い、粒が大きく味わい豊かな米をはじめ、多くの実りをもたらす▼九頭竜川下流域農業用水再編推進協議会によると、かんがいの歴史は平安時代にまでさかのぼる。江戸時代に入っても事業は続き、利水をめぐる激しい争いもあった。血と汗によって定められた厳しいおきては、幕府も侵すことが難しかったという▼戦後の国営事業で整備されたインフラを改修する農業用水再編事業が1999年度に始動。用水路は「土地の血管」として地中のパイプラインに生まれ変わった▼「農家が大変喜んでいる。お礼申し上げたかった」。シールド掘削など施工に携わった会員企業がいる土地改良建設協会(宮本洋一会長)にこのほど、同協議会から感謝状が贈呈された▼コシヒカリの発祥地・福井の白米おにぎり、ラッキョウ、ミニトマト、スイカ…。協会の懇親会場では、地元関係者から振る舞われた九頭竜川の恵みに大勢の建設技術者らが舌鼓を打った。農業を支え、感謝される公共事業がまた一つ地域の歴史に刻まれた。

0 コメント :

コメントを投稿