2016年7月29日金曜日

【土木工事が変わる】国交省、土木5分野でCIM指針策定へ

ICT浚渫工のイメージ
3D測量によって詳細は海底地形を把握する
 ◇ICT活用でルール作り進む◇

 造り方が変わると新たな基準類も必要になる-。国交省が「i-Construction」のトップランナー施策の一つに位置付けた「ICT土工」では、土工事のすべてのプロセスにICTを全面導入する。このため国交省は、公共測量や監督・検査基準などに関する15の新基準とICT建機のリース料を含む積算基準を3月末に整備した。

 16年度から直轄土工工事のうち予定価格3億円以上の大規模工事でICT土工を原則化。3億円未満の中小規模の工事でも施工者の希望に応じて適用する。先行するICT土工に続き、他の工種にもICTの活用を広げるため新たなルールづくりが始まっている。

 港湾分野では工事の特徴を踏まえ、機械化施工が進む浚渫工へのICT導入を検討している。6月に「港湾におけるICT導入検討委員会」の初会合が開かれ、浚渫工にICTを全面導入するための環境整備に着手。3Dデータを前提とする新たな基準類・運用指針を作成し、17年度に試行工事を始める。

 浚渫工の一連のプロセスに3Dデータを活用。海底地形を面的に把握できるナローマルチビームで施工前の地形や施工後の出来形を3D測量したり、3Dデータを用いて浚渫機械などを管理したりすることなどを想定している。

 新基準としては、▽マルチビームを用いた測量マニュアル▽数量算出要領▽港湾積算基準(改定)▽3Dデータを用いた出来形管理要領▽3Dデータを用いた出来形管理の監督・検査要領-などを検討。11月に開催予定の次回会合に新基準案を示し、年度内に新基準の運用指針を策定。17年度から試行工事・業務に入る。浚渫工のほか防波堤や埋め立てなどの工事へのICT導入も検討する。

 建設生産プロセスすべてに3次元データを連動させるために、カギを握るツールがCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)だ。CIMの導入・普及に向けて国交省は6月、産官学による「CIM導入推進委員会」を設置した。これまでのCIMに関する検討、16年度から導入したICT土工の現場での検証成果を踏まえ、CIMの導入推進に関する実施方針・方策、CIM導入に必要な基準類を整備する。17年3月にガイドラインの策定や要領基準の改定を予定している。

 具体的な検討は▽CIM導入ガイドライン策定▽要領基準改定▽現地での検証-の三つのワーキンググループ(WG)が担う。ガイドライン策定WGでは土工、河川、ダム、橋梁、トンネルの5分野を対象にCIMモデルの作成方法など技術的な目安などを盛り込んだガイドラインを策定する。17年度以降、ガイドラインに基づきCIMを現場導入し、効果を検証する。

 要領基準改定WGはCIM導入に伴い必要となる基準類を整備・改定する。CIMの導入・活用に向けた入札契約方式や、CIMデータの国際標準化への対応なども検討する。現地での検証WGはICT土工の現場に適用したガイドライン素案や新基準類を検証し、課題や知見を整理。その結果を新たに整備する基準類に反映させる。

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