2016年9月30日金曜日

【回転窓】復職を受け入れる度量

 転職を経験した方であれば、一度や二度は元の会社に戻りたいと思ったことがあるのではないか。期待を込めた再就職先が思い描いていたものとはかけ離れ、元の会社の良さにあらためて気付かされる。そんなケースは往々にしてあろう▼高校を卒業して建設会社に就職した若者の多くが3年もたたずに辞めていくと聞く。中には、数カ月しか持たずに去っていく人もいるとか。若者の定着率を高めるために、処遇や教育、休暇の取得などにどう取り組むか-。経営者の悩みは尽きない▼先日取材したある専門工事会社の社長がこんなことを話していた。「辞めるのはやむを得ない。でも辞める時には必ず、『もしその気があるならいつでも戻ってこい』と声を掛ける」▼縁あって出会った若者が外の世界を経験することも一つのキャリアと捉えているそうだ。実際にその会社では、3人ほどが戻ってきて、今では立派な職長となって活躍している人もいるという▼担い手確保・育成が課題となっている建設産業界。「去る者は追わず」もよいが、復職を受け入れる度量もまた、経営者にとって必要な資質ではないか。

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