2016年9月29日木曜日

【回転窓】鳥獣被害と担い手問題

 猟師に、仕留めたニホンジカをさばくところを見せてもらった。見事な手際。あっという間に生き物が食べ物に変わった▼最近、駆除の要請が多く寄せられるそうだ。ニホンジカは生息密度が一定レベルに達すると急激に増えるという。農作物の被害額は年間約65億円に上る▼青森県では、江戸から明治期にかけての狩猟が原因で地域内では絶滅したが、10年ほど前から目撃情報が寄せられるようになった。被害も出ている。シカはかわいらしいイメージが強い。人間側の警戒心が薄いからこそ、増え過ぎる前の対策が急務というのが同県の見方だ▼都会にいれば狩猟とは縁遠いが、近年は野生の鳥獣を食材にするジビエ料理の認知度や人気が高まっている。有害とされている野生鳥獣も、おいしくいただけば大事な資源。地域活性化に生かそうという動きも進んでいるようだ▼一方で、捕獲の担い手である狩猟者は減少傾向にあり、高齢化も進んでいる。対策を講じる側の方が絶滅の危機にあるというのは皮肉なこと。やらなければいけないことがあるのに、担い手が足りない。多くに共通する悩みがここにもある。

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