2016年10月4日火曜日

【記者手帖】生涯活躍のまちの成否は

大都市の高齢者が希望して地方に移り住み、健康で活動的な生活を送るとともに、医療・介護が必要になった時には継続的なケアを受ける-。そんな地域づくりを目指す「日本版CCRC(継続ケア付きリタイアメントコミュニティー)」の推進組織が各地で相次ぎ発足している◆今年4月、改正地域再生法で「生涯活躍のまち」として制度化されたことが背景にある。地方には、観光客は増加しているのに居住人口は減っている地域が少なくない。そうした自治体が地域再生施策として構想を推進するケースが多い◆CCRCは米国生まれ。リゾート開発の発想からゴルフ場周辺にシニア向け住宅を整備する事業から始まったとされる。居住者の高齢化が進み、大学や金融機関なども参画して健康寿命を延ばす取り組みを総合的に行うようになった◆背景の違う日本でも成功するかどうか。「リタイア後は大都市に住む必要はない。地域に貢献したい」と考える人もいよう。一方で、高齢になって住み慣れた都市を離れることに抵抗感を抱く人もいるだろう。移住者を引き付ける魅力ある地域をどうつくるかが問われる。(巳)

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