2016年10月31日月曜日

【実施設計が大詰め】新国立競技場、12月上旬本体着工へ/隈研吾氏「満足できるものになる」

 日本スポーツ振興センター(JSC)が進めている新国立競技場(東京都新宿区ほか)の整備事業で、設計・施工者の大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVの関係者らが28日に東京都内で記者会見した。

 今後の工事工程の詳細や現時点での実施設計の検討状況を説明。準備工事を経て12月上旬の本体着工、19年11月の完成を目指す。

 公表された工程表によると、12月に山留め・掘削工事に入り、引き続き17年4月に地下工事に取り掛かる。同年8月には地上工事が始まり、躯体工事を経て18年2月に屋根工事と内装仕上げ工事に着手し、同年4月に外装仕上げ工事も始める。これと並行し、歩行者デッキ工事も同年4月に始める予定だ。

 実施設計の検討状況では、新たに屋根の庇(ひさし)の図面や歩行者デッキの整備イメージ、VIPゾーンの意匠設計のイメージなどを公表した。設計のコンセプトについて隈研吾氏は「外苑の緑に調和させるとともに、市民に開かれたスタジアムを印象付けるため、木材など温かみのある素材やディテールにこだわった」と話した。

 屋根の庇は、外苑の緑に溶け込むような薄さと軽やかさを重視した。隈氏によると「庇の先端の納まりは非常に時間を割き、シャープなものとなるように検討した」。屋根部材の一部となる木材に雨水が直接掛からない角度なども綿密に調整したという。

 歩行者デッキの一部には、大きな空洞「グリーンボイド」を設け、デッキ下の広場空間を明るく照らすような工夫もした。新国立競技場と隣接する東京体育館の間には、幅12メートルの広々としたデッキ「グリーンブリッジ」を架ける。競技場周辺の植栽計画も、完成後のメンテナンスを念頭に配置の検討を進めている。

 VIPゾーンでは、エントランス部には木材を使った「折り紙天井」や「大和張りの天井」と呼ぶ日本らしさを感じさせるデザインを採用。大和張りの天井について、隈氏は「板が段差になっている日本独特の緻密なディテールだ。日本の匠(たくみ)の技も見せていきたい」と話した。VIPラウンジでも障子と格子を採用するなどし、温かみと開放感を演出するという。

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