2016年11月15日火曜日

【中堅世代】それぞれの建設業・151

国内では五輪施設計画の見直しが進んでいるが…
 ◇五輪には海外の仲間を招待したい◇

 東京オリンピックが、国民にあまり歓迎されていないように感じて寂しい-。

 プラント建設会社に身を置いて20年余がたつ田村正和さん(仮名)。海外での仕事が多く、最近は出張先で海外の取引先と話をする際、2020年東京五輪が話題になることが多い。だが、国内では建設費の高騰を背景にした会場計画の見直しが話題の中心。開催機運の盛り上がりが低下するのではないかと心配だ。

 前回、1964年の東京五輪が開かれたのは生まれる前のこと。当時の熱狂ぶりは知る由もないが、「スポーツ好きだった父が楽しそうに思い出話をしてくれたのは、おぼろげながら覚えている」。父の影響を受けて始めた野球は今でも続けており、最近は登山も始めるなど、自身もスポーツ好きになった。

 今の会社に入り、、中東や東南アジアなどで数々の仕事をこなしてきた。「人と話すのが得意ではない」と言い、仕事で最も苦労をするのが取引先とのコミュニケーションだ。「それでも、取引先から信頼を得て良好な関係を構築するためには、仕事の話だけでは不十分。お互いが笑顔になれる世間話ができないといけない」と常々思っている。

 そんな中で変化があったのが、13年9月に20年東京五輪の開催が決まってからだ。インドネシアでプラント建設の受注が決まり、取引先の接待中に東京五輪が話題になった。

 「インドネシアをはじめ東南アジアの選手がオリンピックで活躍している印象があまりなかったため、興味がないと思っていた。実際には思いのほか話が弾み、驚いた」と振り返る。

 それからは、東京五輪がしばしば話題に上がるようになった。特に「東京という日本の中心都市で競技が行われることに興味があるようだ」。中には、競技観戦だけでなく、東京の街を観光してみたいという人もおり、「当事者のようにうれしく感じた」という。

 8月に小池百合子東京都知事が就任して以降、都政改革の一環で五輪施設計画の見直しが進んでいる。

 「コストを見直すのは良いことだが、計画がスムーズに進んでいないという印象が強い。国内にオリンピックは開催しない方がよいという人が増えるのではないか」と海外の取引先と話をするたびに心配になる。「楽しみにしているのはわれわれ日本国民だけでない。海外の多くの人たちも同じ。行政もそのことを念頭に置いて、真剣に議論して早期決着を図ってほしい」。

 4年後の五輪開催が待ち遠しい。「仕事で仲良くなった海外の人たちを招待して、日本の良いところをたくさん見てもらいたい。もしかしたら、今後の仕事にもつながるかもしれない」。今、そんなことを考えている。

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