2016年11月22日火曜日

【記者手帖】「コピペ」の誘惑

大学生のころ、レポートの課題の締め切りに追われ、誘惑に駆られたことがある。「参考文献をそのまま切り貼りしてしまおうか…」。パソコン操作でよくやるコピー・アンド・ペースト、通称「コピペ」である。コピペによるレポート作成はもちろん固く禁じられていた◆先日取材したあるシンポジウムで、大学で教えている建築家が学生のコピペレポートについて経験談を語っていた。「コピペの中にも、情報の取捨選択がうまい『頭のいいコピペ』というものを目にすることがある。そんな時、一概に駄目だと言うことをためらってしまう」◆コピペ元の文章にも良い部分と悪い部分がある。情報を組み合わせて良い面を引き出すことは一種の才能ではないかということらしい。確かに、とも思う。欲しい情報をインターネットで瞬時に得られる時代に、それは「優れた能力」には違いない◆しかし、何のためになるのかと疑問にも思う。自分の力で情報を集め、新しいものを生み出す。それは苦労も多いが、楽しい作業でもある。記者の仕事と同じだろう。(裡)

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