2016年11月28日月曜日

【スタジアム・アリーナ整備、全国で胎動】栃木、山梨、京都で新たな動き

栃木、山梨両県と京都府の3自治体で、アリーナやスタジアムの新設プロジェクトをめぐる動きが具体化している。栃木県はスポーツ施設を集約・再整備する「総合スポーツゾーン整備事業」のうち、東エリア整備運営PFIの事業者を決定。京都府は亀岡市に建設する京都スタジアムの実施設計者を決めた。山梨県では球技専用の新スタジアム建設に向け設置した検討委員会が、建設候補地を2カ所に絞り込んだ。スタジアム・アリーナの整備を目指す胎動は全国各地で活発化している。

 ◇総合スポーツゾーン東エリア整備PFI、日立キャピタルGに◇

 栃木県は25日、宇都宮市西川田地区にある栃木県総合運動公園や元競馬場などにスポーツ施設を集約・再整備する「総合スポーツゾーン整備事業」のうち、BTO(建設・移管・運営)方式のPFIを採用する「総合スポーツゾーン東エリア整備運営事業」の事業者を決める一般競争入札で、参加した2者から日立キャピタルグループ(代表企業・日立キャピタル)を落札者に決めた。総合評価点は785・9点、落札額は292億8342万4728円。

整備場所は宇都宮市今宮4丁目。総合スポーツゾーンの東エリアに、新体育館(メインアリーナ=観客席5000席以上、サブアリーナ=同300席以上)、屋内運動場(50メートル、25メートル)、関連施設、外構などを一体的に整備・運営する。

 事業期間は設計・運営期間(開館準備期間を含む)が21年3月末まで、運営・維持管理期間が21年4月1日~36年3月末をそれぞれ予定している。

 日立キャピタルグループの代表企業は日立キャピタル。構成員は9社(梓設計、大成建設、美津
濃、日本水泳振興会、ハリマビステム、安藤設計、中村土建、渡辺建設、環境整備)、協力企業は4社(ブレイン、コクヨ北関東販売、ベルモール、大谷石産業)。

 ◇京都スタジアム、実施設計は東畑建築事務所に◇

 京都府は24日、「京都スタジアム(仮称)実施設計等業務」の公募型プロポーザルで、東畑建築事務所を受託候補者とする選定結果を公表した。基本設計の一部修正と実施設計を行う業務で、今後は同者との協議がまとまり次第、契約を締結し、業務に着手する予定だ。基本案作成業務は東畑建築事務所、基本設計業務は日建設計が担当した。

 京都スタジアム(仮称)は、府内におけるスポーツの広域・基幹的施設を整備し、スポーツ振興や青少年の健全育成などを図る目的で計画。建設地については中・北部地域の活性化を図る観点から当初、JR亀岡駅北側の保津川沿川を候補地としていたが、治水や生態系保全の観点から亀岡駅北土地区画整理事業地内(亀岡市追分町)の約3・2ヘクタールに変更した。

 計画によると、スタジアムの規模はRC一部S造延べ3万4000平方メートル程度を想定。サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールが可能なフィールド配置で2万席以上の一般席を確保するとしたほか、2000平方メートル程度のにぎわい機能(商業施設等)や防災拠点機能なども導入する考えで、工期は約20カ月、工事費は130億円以下(税込み)を見込んでいる。

 業務内容は、こうした構想・設計内容と予定地の変更を踏まえた一部修正基本設計と各工事(建築、電気設備、機械設備、昇降機設備、フィールド、外構、スタジアム諸設備、クライミングウォール施設)の実施設計。納期は基本設計が17年1月31日(関係機関との協議図面は16年12月28日)、実施設計が17年3月31日。委託上限額は2億円(税込み)。

 プロポーザルには梓設計、東畑建築事務所、日本設計、類設計室の4者が参加。受託候補者に決まった東畑建築事務所の提案は、これまでのスタジアムの整備状況を踏まえた工夫により実現性の高い計画となっていることや、にぎわい・まちづくりへの貢献についても十分に詰められた内容となっていることなどが評価され、100点満点中90・76点の評価点を獲得した。

 ◇山梨新球技場、建設候補地に2カ所提示◇

 山梨県は24日に開いた第5回総合球技場検討委員会で、新スタジアムの建設候補地としてリニア中央新幹線の駅周辺と小瀬スポーツ公園の2カ所を提示した。引き続き検討を進め、年内にも報告書をまとめる。

 候補地の選定条件は収容人数約2万人、敷地面積は約9万平方メートル。内訳は本体3万平方メートル、駐車場6万平方メートル(約2000台)を想定。リニア駅から半径4キロ以内で、県有地(取得予定含む)などの活用可能性がありリニア開業時までに整備可能なことなどの条件で絞り込みを行った。

 リニア駅周辺(甲府市大津町)の現況は農地。リニア駅南側の観光交流・産業振興ゾーン内にあり、市街化調整区域、農振農用地。駅周辺整備地外に必要最小限の駐車場用地の確保を検討する。小瀬スポーツ公園周辺(甲府市小瀬町ほか)の現況も農地で市街化調整区域、農振農用地。取得が必要な用地は本体分の約3万平方メートルで、駐車スペースは公園駐車場を利用する計画だ。 

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