2017年5月24日水曜日

【回転窓】「夢の技術」発信しては

今から3年前、本紙が「50年後に実現させたい夢の技術」をテーマに募った60のアイデアが「建設再興-新時代の技術産業へ」と題した企画特集号に掲載されている(2014年10月15日発行)▼例えば、樹脂ではなく実際の土砂を使ってあらゆる起伏や斜面などを成形するのが「3Dプリンター型建機」。層を重ねて上方に成形するだけでなく、地下を削って下方にも構造物を造ることができ、実現したら画期的な技術になるだろう▼軟らかい状態ではラップのように薄くて簡単に曲げられるが、硬化させると高強度になるのが「自由自在な素材」。空気を透過させ、呼吸するように最適な温度の空気を室内に取り込める▼建設会社や行政機関などで働く人たちから寄せられたアイデアはどれも興味深く、建設技術の未来を予感させてくれるものばかりだった。今読み返しても、近い将来に実現してほしいと期待が膨らむ▼経営環境が厳しい時代を経てきた建設産業は長い間、どこか「夢」を語れないでいたのかもしれない。未来を託す担い手たちを確保・育成していくためにも、そろそろ「夢」を広く発信していってもいい。

【施工は竹中工務店JV】三菱地所、6月1日にホークスタウン跡地商業施設(福岡市)着工

三菱地所は、福岡ヤフオクドームに隣接する福岡市中央区地行浜で進めているホークスタウンモール跡地複合再開発計画の大規模商業施設の地鎮祭を6月1日に開く。竹中工務店・錢高組・小林建設・松本組・坂下組JVの施工で着工する。建物規模は2棟総延べ約12万5000平方メートル。設計・監理は三菱地所設計が担当。18年度下期の開業を目指す。

 商業施設棟は本体棟がS・RC造4階建て、アネックス棟が同8階建て。同社の旗艦商業施設ブランドである「MARK IS(マークイズ)」を冠し、賃貸面積は約4万8000平方メートル。同社グループで最大級、福岡市の天神地区以西で最大規模の商業施設となる。建設地は中央区地行浜2の2の1。跡地では商業施設棟以外に三菱地所レジデンスによる高層分譲マンション2棟の建設も計画している。

【体育館など3施設検討】鹿児島県、大規模スポーツ施設整備で6月にも有識者委初会合

鹿児島県は、大規模スポーツ施設のあり方検討に着手する。6月にも有識者らで構成する検討委員会の初会合を開き、総合体育館、ドーム球場、サッカースタジアムの3施設の必要性や実現可能性などを検討する。

 このうち総合体育館については三反園訓知事がこれまでも必要性を認識していると発言しており、優先的に検討を進める見込みだ。

 県は本年度一般会計当初予算に大規模スポーツ施設のあり方検討事業として319万4000円を新規計上し、現在は有識者らで構成する検討委員会の設置準備を庁内で進めている。初会合は三反園知事が6月上旬ごろに開催したいと表明しているため、これを念頭に日程調整しているもよう。検討内容や検討期間などは初会合で決めるとし、現段階では明らかにしていない。

 施設のうち総合体育館は前知事時代にメインアリーナ、サブアリーナ、武道場などで構成する施設の基本構想をまとめたが白紙撤回した経緯があり、優先的に検討する。必要性を議論し、必要性が認められれば機能や立地場所など踏み込んだ検討に入る。

 ドーム球場に関しては採算面など課題も多いため、実現の可能性などを慎重に検討する。サッカースタジアムは鹿児島市が有識者や競技団体の代表らで構成する協議会を設置し、本年度末の提言に向け議論を進めているため、この進ちょく状況も見ながら必要に応じて対応を検討する。

【研究室訪問】東京大学工学部建築学科・伊藤毅研究室


 ◇「領域史」研究を切り開く◇

 東京大学工学部建築学科の伊藤毅研究室は、東大初の「都市史」を専門とする研究室だ。

 伊藤教授は、時代・地域を問わず幅広いテーマを扱い、世界各地で現地調査を実施。2013年には「都市史学会」を立ち上げ、建築と土木、都市をつなぐインフラに着目した都市史研究を深めている。これまで優秀な研究者を輩出しているほか、「建築史を素養として身に付け、卒業後は建築設計の道に進む学生が多い」(伊藤教授)という。

 伊藤教授の研究の出発点は日本の都市史だが、1999年から一年間、コロンビア大学客員研究員として米国で過ごしたことをきっかけに、海外の都市にも目を向け始めた。植民都市として栄えたキューバの首都ハバナや、13、14世紀に成立したフランス南西部の新都市「バスティード」の調査を実施した。

 東大の建築と土木の研究者が連携して進める研究プログラムに参加したことを機に、建築と土木と都市をつなぐ「インフラ」に着目。オランダ北部フリースラント州に多数現存するテルプと呼ばれる人工の丘の上につくられた集落や、イタリア北東部ポー川水系の都市、17世紀に開かれた南仏ラングドック地方のミディ運河とその周りに成立した都市の研究などを進めている。

 物理的な範囲だけでは都市を捉え切れないとの考えから、伊藤教授は「領域」という視点を提唱する。地図上の線だけでなく、山や川など自然地理的、また言語など社会的な区切りによって生まれる区域を含めた「領域史」という新たな学問体系を切り開こうと意気込んでいる。

 12年に、日本近世史が専門の吉田伸之東大名誉教授と共に日本建築学会賞(業績)を受賞した。受賞業績は「学的融合による都市史研究プラットホームの構築」。両氏が編集を担い、幅広い分野の歴史研究者が執筆した書籍『伝統都市』全4巻(10年)の成果を中心に、都市をテーマに建築学と歴史学が融合した学際的な研究領域を開拓したと評価された。13年には「都市史学会」を設立し、日本史と建築史だけでなく東洋史や西洋史、美術史、土木史、都市計画史などの専門家も加わった研究ネットワークを築いているところだ。

 ◇世界各地で調査実施、小さなインフラを提唱◇

 最近では、カリブ海・アンティル諸島の調査に着手した。独自の社会を持ちながらも周囲の島や大陸と連携して生存してきた島とその周囲の海を含めた領域を対象とし、植民地時代から独立を経て近現代に至る歴史を踏まえた島のあり方を探る「島嶼(とうしょ)論」を展開していきたいとしている。

 ゼミの学生は、テーマごとに設置された研究会に自由に参加。調査に同行して研究手法を学び、自らの卒論・学位論文の研究に生かす。現地では毎晩ミーティングを行い、白熱した議論が2~3時間続くこともあるほどだ。博士課程には毎年20人程度が所属し、伊藤教授の都市史研究を近くで学びたいと訪れる留学生も多い。伊藤教授は「研究室の自慢は学生が優秀なこと。自分の問題意識から出発して自由に取り組んでいる」と笑顔を見せる。

南仏ラングドック州カスペタン村
で行った現地調査の様子
 災害は都市にもともと存在するものと考える伊藤教授は、11年の東日本大震災が都市史研究を見直すきっかけになったと話す。近代以降、人がつくり上げてきた重厚長大なインフラをもってしても、都市が内包する危機を抑えることはできないことが明らかになった今、都市とインフラはどこを目指すべきか。

 伊藤教授は、オランダのテルプのように住民の共同体だけで維持できる「小さなインフラ」を提示する。

 「震災後、政府は広範囲に大堤防を建設しようとしているが、資金的に不可能に近いだろう。近隣の住民が利益を享受する小規模なインフラが必要だと考える。当然あるとされてきたインフラや大地といった前提がなくなったらどうするか、都市のあり方を問い直す時代が来ている。今こそ複雑な全体像に目を向ける領域論的アプローチが求められている」。

 (いとう・たけし)52年京都府生まれ。77年東京大学工学部建築学科卒、79年同大学院修士課程修了。84年同大助手、87年工学博士取得、94年同大助教授、99年コロンビア大学客員研究員、00年東京大学教授。

【こちら人事部】五洋建設/「進取の精神の実践」可能なフィールド提供

新入社員研修では現場で行う朝礼の演習も実施している
 1896(明治29)年に水野甚次郎が前身となる水野組を広島県呉市で創業。「創造する心に国境はない」との信念の下、国境を越えた海と大地で、さまざまなジャンルの建設工事や開発事業に取り組んできた。「グローバルな臨海部ナンバーワン・コントラクター」を目指す五洋建設は、4年後の2021年に創業125年を迎える。

 採用や新入社員研修を担当する大塚健経営管理本部人事部担当部長は、「求める人材は『自ら考え、行動する人』」と強調する。自身で目標を設定し、主体的に業務を遂行できる人材に期待しているという。

 若い職員にも責任ある仕事を任せるのが同社の方針。「経営理念の一つに『進取の精神の実践』とある通り、失敗を恐れずチャレンジしてほしい。若手のころから、何事にも果敢に取り組む姿勢は大きな成長を促す」と力を込める。

 そうした人材を獲得するため、同社では出身校ごとにリクルーター活動を実施。職場訪問やOB訪問を受け付けている。企業説明会、学内セミナー、合同企業セミナーにも積極的に参加。企業側からの一方的な説明にならないよう、対話型の説明会も実施している。

 「スマートフォンが普及するようになってからは、採用パンフレットは拡張現実(AR)アプリを使い、『見る』から『視る』へと映像コンテンツを切り替えた」と大塚担当部長。建設業を理解してもらうためのインターンシップ制度も国内外で実施しているという。

 研修制度も充実している。入社直後の全職種合同での新入社員研修を経て、3カ月目に職種別の研修、6カ月目に全職種合同のフォローアップ研修を行う。2年目は全職種合同の研修、3年目は職種別の研修を行う。

 技術系の職種は、専門スキルを習得するための専門研修を別途実施。入社後12年間はOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)制度を導入し、若年層の成長を促す施策を取っている。

 大塚担当部長は、「学生の皆さんには海洋土木のイメージが強いようだが、陸上土木も同規模の事業比率で多種多様な仕事がある」と魅力をアピールする。建築は、臨海部での強みを生かした大型物流施設や工場が多く、文化・スポーツ施設などのランドマーク施設の実績も増えているという。

 土木・建築とも各国で数々の大規模工事を手掛けてきた。「海外に挑戦したい人は、そのチャンスがある。思い切って自分がやりたい仕事ができる会社だ。自分の夢を持つことが大切。その夢があれば、実現のための目標やプロセスが明確になり、仕事のやりがいが増していく」とエールを送る。

 「面接では学生時代に経験したことを自信を持って話してほしい。皆さんが経験してきたことはさまざまだが、われわれは皆さんの話す姿に映る熱意を見ている」とアドバイスしている。

 《新卒採用概要》
 
 新卒採用者数=男性136人、女性27人(17年度実績)
 
 3年以内離職率=8・1%(14年度新卒)
 
 平均勤続年数=男性19・2年、女性17・1年(17年3月末時点)
 
 平均年齢=43・4歳(17年3月末時点)

2017年5月23日火曜日

【回転窓】社内運動会、復活の効果は

5月の大型連休が終わってから6月の梅雨入りまでの間は、秋と並んで小中学校の運動会シーズン。読者の中にも、もう終わったあるいはもうすぐという方がおられよう▼わが子の晴れ姿を写真やビデオに収めようと、機材片手に奮闘する人も多いが、最近は家族席の場所取りや撮影スペースの確保をめぐる保護者同士のトラブルも増えていると聞く。家族ごとにテントを張るケースも多いとか。校庭にテントがひしめき合う光景に「まるで野外フェスのよう」との声も▼過熱する場所取り合戦に歯止めを掛けようと、学校側は保護者に注意を呼び掛けたり、抽選を導入したり。子どもそっちのけで保護者と学校、あるいは保護者同士がいざこざを起こすなど論外だが、時代とともに運動会の風景も様変わりしたと感じる▼運動会と言えば、社内行事として運動会を復活させる企業が近年増えているらしい。かつては多くの企業が開いていたが、参加者減少やコスト削減などでしばらく下火だった▼ここへ来ての復活には、親睦を深める、一致団結の機会を設けるなどさまざまな狙いがあるようだ。さて、果たしてその効果は-。

2017年5月22日月曜日

【業界イメージ刷新の一助に】全建協連、ユニフォームデザイン事業を展開

全国建設業協同組合連合会(全建協連、青柳剛会長)は19日、東京都千代田区の東海大学校友会館で定時総会を開き、17年度の予算・事業計画を決定した。事業計画を踏まえた活動指針として、業界のイメージを刷新するユニフォームデザインプロジェクトを展開していくことを新たに打ち出した。

 青柳会長は総会後に記者会見し、プロジェクトの狙いについて、「工事現場を格好良くプロデュースしたい。作業着でも電車に乗れる、街を歩けるようになれば、社員のモチベーションもアップし、リクルートの有効なツールにもなる」と述べ、ファッションから建設業への理解促進につなげていく考えを表明。「10月ぐらいにはユニフォームデザインをお披露目できるようにしたい」と述べた。継続的な事業に育てる意向も示した。

 技術者、技能労働者のキャリアパスややりがいにつながる活動も摸索。長野や群馬で具体的な取り組みが始まった施工担当技術者の名前が入った銘板の設置を拡充する活動の支援や情報提供も展開する。

【大劇場隣接地に200室規模】阪急電鉄ら、宝塚ホテル(兵庫県宝塚市)を移転・新築

 阪急電鉄と阪急阪神ホテルズは、老朽化している宝塚ホテル(兵庫県宝塚市梅野町)の移転・新築計画をまとめた。

 宝塚大劇場の西側隣接地(栄町1丁目)に約200室の新ホテルを建設する計画で、設計を日建設計が担当。今後、施工者を決定し、9月から敷地整備工事、18年春からホテル新築工事を進める。開業は20年春を予定している。

 1926年に開業した現ホテル(129室)は、建築家の古塚正治氏が設計を手掛け、当時は先進的な洋館ホテルとして注目を集めた。その後、ホテル機能の充実、規模の拡大を図りながら90年以上にわたって営業を続けてきたが、躯体や基幹設備の老朽化が著しく、現行法上の耐震基準も満たしていないため、建て替えることになった。

 計画地は、一般客が利用する宝塚大劇場の西駐車場(敷地面積約1万2300平方メートル)。施設規模はRC一部S造地下1階地上5階建て延べ約2万3000平方メートルを想定し、阪神間モダニズムと称される現ホテルのデザインを継承する。切妻屋根の壁面などに描かれている植物モチーフのレリーフをはじめ、ドーマ窓や半円形屋根、アーチ天井を持つ回廊・階段の手すりに施された装飾などを復元する予定だ。

 1、2階が宴会場や料飲施設、3~5階が200室程度の客室となる。宝塚歌劇の観劇やビジネスユースなど、幅広いニーズに対応したルームタイプを備える。宴会場は、宝塚大劇場のオフィシャルホテルとして、宝塚歌劇のディナーショーを開催できる大宴会場と、地域のコミュニティホテルとして利用可能な中・小宴会場の計4室を設置。料飲施設はカフェレストラン&バイキングのほか、日本料理や鉄板焼、ラウンジの計4施設が入る。

 ホテル建設に先立ち、西駐車場の代替となる立体駐車場を北側敷地に建設中で、9月14日の移転後、敷地整備工事に着手する。現ホテルは新ホテル開業まで営業を続ける。

【有識者委で工法・工期検討】松本城天守耐震化、17年度内に基本計画策定

長野県松本市は、国宝松本城天守(丸の内4の1)の耐震診断で、一部の耐震性能不足が判明したことから、本年度末までに耐震化基本計画を策定する。

 7月をめどに有識者による「耐震対策委員会」を設け、耐震化の工法・工期などを検討する。

 市は文化庁の重要文化財(建造物)耐震診断指針に基づき、文化材建造物保存技術協会に委託して14~16年度に耐震診断調査を行った。その結果、「乾小天守」が規定の耐震基準を満たさなかった。

 耐震化基本計画策定後、18年度に耐震化の基本設計に着手する。工期は採用する工法などに左右されるため未定だが、最短で19年度末ごろの完成を想定している。

【回転窓】車内ルールも出張の心得

取材の担当先によっては、毎年決まった時期に遠方への出張が続くことがある。移動時間が長いほど、さまざまな場面に遭遇する機会も増える▼カチッ、パンッ、カチカチッ。先日乗った新幹線の車内。熱心にキーボードをたたく元気な音が響いていた。「もう少し静かにできますか」。隣席の男性の指摘で控えめな音量になったが、しばらくすると指摘した男性から小さくないいびきが聞こえ始めた▼公共交通機関は、互いを尊重し気遣う暗黙のルールの上で、見知らぬ同士が空間と時間を共有する。耳障りなキーボードの打撃音の抑制を求めるのは当然の権利だし、眠りに誘われやすい車内や機内で疲れた体を休めるのも自由だろう▼ただ、物理的に音量を下げられるキーボードの音と違い、本人の知らぬ間に自然に出てしまういびきは難題である。被害者は発生源が目を覚ますのをじっと待つか、トラブルへの発展を覚悟で発生源に直接訴え出るか▼記者にとって、移動時の車内は取材内容の整理や原稿作成を進めたりする貴重な時間と場所である。もちろん休息にも。車内の平和を乱さぬよう自戒しつつきょうも遠方へ。

【凜】三和シヤッター工業営業推進本部・福井千穂さん


 ◇一人でも多くファン増やしたい◇

 大学では経済学を専攻。就職活動の際、住宅設備メーカーや金融機関など幅広く検討したが、中でも会社説明会や面接で雰囲気が良い会社だと感じた三和シヤッター工業を選んだ。

 入社3年目。現在は営業推進グループの学校・医療福祉チームに所属し、主に病院や介護施設へ商品を提案している。

 まだ販売している商品すべてに精通しているわけではない。ある会社に営業に行った時に、相手からの商品に対する細かい質問に答えられず、悔しい思いをしたという。その悔しさをばねに、商品知識を増強している最中だ。

 同社は軽量・重量シャッターが主力商品。その中で、営業を担当している病院や介護施設で求められる商品は引き戸やトイレブースなどが中心で、毛色が異なる。「シャッター以外の商品も販売していることを知らないお客さまも多いので、資料を丁寧に作り込んで提案している」といい、営業のためにさまざまな工夫も凝らしている。

 目標は「お客さまに一人でも多く三和シヤッター工業のファンになってもらうこと」。日々の営業活動の中で顧客と積極的にコミュニケーションを取り、ファンを増やしていきたいと思っている。

 関西出身ということもあり、東京で暮らすのは初めて。「東京近郊にある観光地を巡ってみたい」と笑顔で話す。

 (営業推進部、ふくい・ちほ)

【中堅世代】それぞれの建設業・168

職場で日々成長が感じられるのは幸せなこと…
 ◇頭と体を使う充実感得られた◇

 ものづくりの世界に興味を抱き、大学で建築分野を専攻した兵藤幸音さん(仮名)。就職活動をした10年ほど前は、建設産業は市場の縮小傾向が続いていた。女性が就労するための環境も、今と違って十分には整っておらず、周囲からは他分野への就職を勧められた。

 大学の友人たちを見ても建設会社を志望する人は少なく、自身も建築分野とは全く関係のない小売業の会社に就職した。事務や営業関係の業務を任された。上司や先輩たちにも親切な人が多く、特に不満もなかった。だが、数年が過ぎた頃、ルーティンワークを繰り返す日常に疑問が湧き、手に職が付かない将来に不安を感じるようになった。

 日々の仕事の中で技能を身に付け、自分の成長を実感する。それができない現状へのいら立ちが募り、次の行き先を見つける前に退社を決断。とにかく現場に出られる企業を探し、最終的に設備工事関係の専門会社に転職した。

 今、サブコンの技術職員として現場管理を任されている。職人に代わって玉掛け作業を手伝ったり、現地で設備の据え付けを行ったりすることもある。ものづくりを通して日々いろいろなことを経験し、知識を吸収できることに喜びと生きがいを感じる。「現場勤務は体力的に厳しいと思う時もあるけれど、それ以上に頭と体を使って働く日々の充実感は、以前の職場では得られなかった」。

 大学で建築を勉強しただけに、将来は設計部門に異動して図面作成に携わりたいと考えている。そのためにも今、現場を経験することは自分にとってプラスになると思う。個人の感性によるところが大きい意匠関係の設計などと違い、設備関係の図面は現場を深く理解することが求められる。

 「配管などの設備の納まりが現場と合っていないひどい図面もあり、職人から怒鳴りつけられることもある。現場のことをろくに知らず、空調の効いた室内で描いた図面がよい図面であるはずがない。社歴がいくら長くても、現場経験のない設計担当者ではものづくりの本質を理解するのは難しいだろう」

 今は現場の経験知を高めることに没頭する毎日だ。玉掛け作業は、職人の動作を見よう見まねで自己流でやっていたため、講習会を受けて正しいやり方を頭と体にたたき込んだ。現場の安心・安全を確保し、作業効率を高めるには、横着せずに正しいやり方を実践することが第一。基本を身に付けているからこそ、応用してより高度な技能を必要とする作業が行えると信じている。

 女性技術者として現場に出て5年以上たつ。一人前にはまだまだ遠いが、この業界で働き続ける自信と体力は付いてきた。周囲からはまだ心配する声も聞こえてくるが、仕事に打ち込む姿を見て応援してくれる。

 一方で、両親からは「結婚」というプレッシャーが強まりつつある。特に「婚活」は意識していない。ものづくりの仕事のやりがいと喜びに共感し、理解してくれる伴侶が見つかるまで、自然の流れに任せようと思っている。

【サークル】YKKAPカヌーサークル「武志軍団」

 ◇楽しくけが無く、結果にもこだわる◇

 YKKAPの東北製造所(宮城県大崎市)の社員寮のメンバーが中心となり、2004年に結成した。

 熱い志を持つメンバーの集まりということと、芸人グループ「たけし軍団」のような結束力の強い集団を目指すという意味を込めて「武志軍団」と名付けた。

 現在約20人が在籍。東北製造所の勤務者が中心だが、東京や黒部製造所(富山県黒部市)などに転勤で異動したメンバーも引き続き所属している。

 「『楽しくけが無く』を第一に活動している」と話すのは、代表の浅尾昌彦さん(東北製造所アルミ素材製造部生産管理室)。メンバーの親交を深めることを念頭に活動しているが、勝敗にもこだわる。「勝利の先に見えてくる最高の楽しみを求めて日々の練習に励んでいる」という。

 宮城県加美町で開かれるドラゴンカヌー大会に毎年出場。東北地方で開催される大会にも積極的に参加している。目標は、7月のドラゴンカヌー大会での優勝だ。約35チームが出場する規模の大きい大会だけに激しい戦いが予想されるが、「優勝という目標のためチーム一丸となって一生懸命努力していく」(浅尾さん)と意気盛んだ。

【駆け出しのころ】フジタ取締役常務執行役員建設本部副本部長・平野徹氏

 ◇建物づくりはやっぱりすごい◇

 入社して最初に配属されたのは関東支店です。その初日に群馬県内にある温泉旅館の増築工事現場に行くよう言われ、現場から迎えに来てくれたのがパンチパーマの先輩でした。私はその温泉地がどこにあるのかもよく分からず、しかも先輩の運転する車が高速道路を下りて国道、脇道へと進んでいくうちに辺りは真っ暗に。一体どこに連れて行かれるのかと不安でたまりませんでした。ようやく到着した所は、現場が宿舎に借りている古い家屋。その場で帰りたくなったのを覚えています。

 この老舗旅館の館内にはバンドの生演奏で歌えるクラブがありました。私たちは日中の仕事を終えると風呂に入り、ここで夜8時ごろからお客さんを呼び込むための「サクラ」としてよく歌っていました。これも仕事のうちで、いわゆる営業協力です。

 楽しかった思い出ですが、現場では建築技術者らしい仕事ができず、谷川岳に沈む夕日を見ながら「これでいいのか」と思い悩んでいました。最後に車寄せ部の施工管理を任せてもらえた時はうれしかったものです。

 竣工披露パーティーで旅館の会長から頂いた言葉は今も忘れません。私たち一人一人の名前を呼び、「皆さんは台風の時、寝ずに番をしてくれた」などと言って下さいました。これを聞いて「建物づくりはやっぱりすごい」と感動し、この世界にすっかりはまってしまいました。

 結婚したばかりのころ、ある地方の現場を自分から希望して担当させていただいたこともあります。ここは山留め工事のある現場でした。私にはそれまで経験がなく、このままでは建築技術者として遅れてしまうと思っていたため、自ら手を挙げました。建築技術というのは、本を読んだだけでは分かりません。やはり実地に経験していかないと身に付いていかないものです。

 私もこれまでに多くの失敗をしてきましたが、若い人たちに伝えたいのは、失敗しても自分一人で抱え込まないということです。抱えていると事態はどんどん悪化してしまいます。悪いことこそ上司や先輩に早く言うことが大切です。

 そしてこれからの時代は「ただひたすら走ろう」といった教育ではなく、現在のスポーツ界がさまざまなデータも駆使しながらアスリートを育てるように、現場職員の指導育成も科学的に行っていくことが重要です。そうやって職員もアスリートにならなければいけません。これまでのように「10年掛かりで一人前」では通用しません。「こうしたらここまでいける」といったことを科学的に示していくことが必要でしょう。スポーツ科学なども勉強し、人材の育成につなげていけたらと思っています。

 (ひらの・とおる)1981年日大理工学部建築学科卒、フジタ工業(現フジタ)入社。東京支店建築部次長、同建築部長、首都圏支社東京支店副支店長兼首都圏支社建設統括部統括部長、執行役員建設本部副本部長などを経て、15年4月から現職。宮城県出身、59歳。
入社して最初に担当した現場のメンバーと(前列右端が本人)

2017年5月19日金曜日

【川崎市、事業可能性調査業務を発注】等々力緑地の施設整備・維持運営に民活導入検討

等々力緑地には競技場やアリーナ、ミュージアムなどの施設がある。
写真は等々力陸上競技場(提供:川崎市)
川崎市建設緑政局が「平成29年度等々力緑地官民連携事業可能性調査業務」の委託先を決める公募型企画提案(プロポーザル)による選定手続き開始した。参加意向申出書は24日まで等々力緑地再編整備室事業推進担当への持参か郵送で受け付ける。企画提案書の提出期間は6月5~16日。7月19日にヒアリングを行い、同26日に選定結果を通知する。委託契約は7月末を予定している。

 神奈川県か東京都に本社、支店、営業所がある企業が参加できる。PFIのアドバイザリー業務の実績も必要。

 中原区等々力1の1にある等々力緑地の施設整備・維持運営についてPFIやPPPなどの民間活用の導入可能性を調査する。業務内容は等々力緑地の状況分析、各施設の需要予測、事業方法案の検討、VFM(バリュー・フォー・マネー)の算出、事業スキームの検討などの支援。履行期限は18年3月29日。委託料は2000万円(税込み)が上限。

 等々力緑地にある主な施設は、硬式野球場(工事中、収容人数約1万人)、陸上競技場(約2万7000人)、とどろきアリーナ(約6500人)、市民ミュージアムなど。加えて今後、6・3ヘクタールを公園区域に編入する予定。

【6月23日、都内で認定式】建築設備技術遺産、新たに3件認定

新晃工業の「新晃SRD型エアディフューザー」
建築設備技術者協会(JABMEE、野部達夫会長)は、建築設備の「技術」「役割」「文化」を多くの人たちに知ってもらうことを目的に選定している「建築設備技術遺産」の17年度認定遺産を決めた。認定委員会(委員長・鎌田元康東大名誉教授)が「新晃SRD型エアディフューザ」(新晃工業)など3件を認定した。認定式は、6月23日に東京都港区の明治記念館で開く総会の終了後に行われる。
河村電器産業の「ホーム分電函」
認定されたのは、▽新晃SRD型エアディフューザ▽ホーム分電函(BBK-3)▽TOTOミュージアム所蔵の光電センサー内蔵自動水栓-の3件。建築設備技術遺産は、空調・衛生・電気・搬送の4領域に関する技術と技術者の歴史的な足跡を示す「事物」「資料」が認定対象で、今回が6回目の認定。
TOTOの「光電センサー内蔵自動水栓」
今回認定された3件の管理者は次の通り。

 ▽新晃SRD型エアディフューザ=新晃工業

 ▽ホーム分電函(BBK-3)=河村電器産業

 ▽TOTOミュージアム所蔵の光電センサー内蔵自動水栓=TOTOミュージアム。

【立候補ファイル作成へ準備進む】札幌市、冬季五輪会場整備計画検討業務発注

フィギュアスケート会場に挙がった真駒内公園屋内競技場のイメージ
(札幌市・開催提案書より)
札幌市が「冬季オリンピック・パラリンピック会場整備計画検討業務」の委託先を決める公募型プロポーザル手続きを開始した。業務では、2026年の招致を目指している冬季オリンピック・パラリンピックに向けた施設整備について整備費用の試算などより具体的な検討を行い、立候補ファイルの下地となる会場整備計画を作成する。選手村の整備では建設予定地としている札幌ドーム隣接地のほかに、真駒内地区での整備についても可能性を探る。

 6月7日までスポーツ局招致推進部調整課で持参か郵送による参加申請書と企画提案書の提出を受け付ける。同9日に書類審査を、14日にプレゼンテーションを行い、最優秀提案者を選定する。

 市の競争入札参加資格がある単体かグループが参加できる。「役務(建設関連サービス業)」の「建設関連調査サービス業」と「建築設計・監理業務」に登録があること。

 市は昨年11月に日本オリンピック委員会(JOC)に開催概要計画などをまとめた開催提案書を提出した。業務では、開催提案書で示した主要な競技場や選手村、メディアセンターなどの整備計画について、後利用や札幌のまちづくりなどの観点から検討や見直しを行う。履行期限は18年3月30日。業務委託費の上限は1400万円。

 主要施設のうち選手村では、札幌ドーム隣接地のほかに真駒内地区を新たな建設候補地に加え、整備の可能性を探る。真駒内地区には築40年を超える都市再生機構の集合住宅や道営住宅などがあり、これらの建て替えによる選手村整備について検討する。

 開催概要計画によると、札幌ドーム隣接地に整備した場合の選手村は延べ約15万平方メートル、4500人を収容する規模を想定している。各競技場の整備計画では、イニシャルコストとランニングコストについて調査した上で、仮設施設と恒久施設のうちいずれか適した施設整備の方法を判断する。大会後の後利用の需要や、後利用する場合の事業主体についても検討する。

 スキーやアルペンなどの屋外競技では、それぞれの競技に適したコースの選定と設計を行う。

【建設業WelCOME!】振興基金情報誌に職種別キャラ登場

 建設業振興基金が全国のハローワークなどで配布している無料情報誌「建設業WelCOME!」に職種別キャラクターが登場した。現在配布中の4・5月号で、建設業の仕上げ系10職種について、それぞれの特色を表したキャラクターを添えて説明している。

 隔月で発刊している情報誌は、厚生労働省から受託している「建設労働者緊急育成支援事業」で未就業者向けに実施する無料職業訓練の参加者を募集するのが目的。毎回、最新の訓練スケジュールや、建設業に親しみを持ってもらえるような記事を掲載している。

 4・5月号では、「職種別キャラクター図鑑」として、見開きで軽天・ボード貼り工、クロス・床貼り・金物工、タイル工、造園工、左官工、耐火被覆・断熱工、塗装工、防水工、設備工、木工の10職種を紹介している。

 振興基金の担当者は「かっこいいイラストで各職種を紹介することによって、建設業を知らない人たちにも身近な存在として感じてもらえるようにしたいと考えた」と話している。

 情報誌は、全国のハローワーク、建設業協会のほか、一部のコンビニエンスストアなど750カ所で配布している。

【回転窓】マグロの皮の財布

クロマグロの完全養殖に成功した近畿大学が、民間企業と共同で養殖マグロの皮を使った商品を開発した。ブランド名は英語で魚を意味する「PISCINE(ピサイン)」。財布や名刺入れとして販売されている▼従来は捨てられてきたものを有効利用する取り組み。限りある資源を大切にし、廃棄物を減らすためにも、こうした取り組みは重要だろう▼農水産物に限らず、捨てられてきたものの二次利用は多様な産業分野で行われるようになっている。もちろん建設分野でも、解体コンクリート塊、建設発生木材、建設泥土などの転用・再利用が進む▼再利用を普及させる際に大きな課題となるのがコスト。昨年10月に建設副産物リサイクル広報推進会議が主催した技術発表会で、完全リサイクルコンクリートの研究者が「リサイクル製品はコストがかかる」と語っていた▼廃棄物の利活用は商品化までに多くの工夫が必要で、コストも高くなりがち。ピサインも皮に柔軟性を持たせる「なめし」の工程に一苦労があったそうだ。それでも、ものを無駄なく使った魅力ある商品の登場が、循環型社会を後押しすると信じたい。

2017年5月18日木曜日

【回転窓】外国人で労働力補完?

 先日、10年ぶりに外資系リゾートホテルに宿泊した。そこで驚いたのが、施設内で働く外国人の多さ▼前回は従業員のほとんどが日本人だったと記憶するが、今回は清掃やベッドメーキングはほぼ外国人が担当。フロントやロビー、レストランなど宿泊客に直接サービスを提供する職場でも外国人の姿を多く見掛けた▼この10年余りで日本人の就職先としてのホテル業界の魅力が低下したのか。インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加に合わせてホテル側が外国人従業員の比率を戦略的に高めているのか。頭の中で勝手な分析をしながら、生産年齢人口の減少が止まらない日本の先行きに不安を感じた▼国立社会保障・人口問題研究所が4月に公表した「日本の将来推計人口」によると、2053年に総人口は1億人(15年時点1億2709万人)を下回り、65年には8808万人にまで落ち込む。総人口に占める65歳以上の割合も38・4%(同26・6%)に高まると予測する▼建設業に限らず人材確保は社会全体の重要課題の一つ。一定の労働力を維持していくためにも、働き方改革や生産性向上の取り組みが待ったなしだ。

2017年5月17日水曜日

【回転窓】クールビズの設定温度

 先週11日、首相官邸で開かれた副大臣会議で飛び出したとされる発言には驚かされた▼夏場にノーネクタイなどの軽装で働く「クールビズ」の設定室温28度について、「快適ではない」との指摘があったという。「何となく28度という目安でスタートして、それが独り歩きしてしまった」との発言も。いろいろな職場からは「今さら何を言っているのか」との声が聞こえてきそうである▼早速、山本公一環境相は翌日の記者会見で「28度には根拠がある」と反論。「(クールビズを始めた2005年)当時のオフィスの室温が平均26度で、ネクタイを外せば体感温度は2度違うことを含め数字が出た」と説明した(12日時事通信)▼省エネに代表される環境対策は、生活者に「我慢」を強いるだけでは息の長い取り組みにはならない。さまざまな工夫をして快適に働き、地球温暖化の防止に貢献する-。こんなクールビズのストーリー性が働く人たちの心理をうまく突いたことが、普及を後押してきた要因でもあろう▼今年のクールビズは5月に始まったばかり。その矢先に、出鼻をくじかれるようなやり取りはごめん被りたい。

2017年5月16日火曜日

【回転窓】時差ビズに期待する

 よく考えてみれば、いや考えなくても相当に異様な光景といえるだろう。朝の通勤の超満員電車のことである。あの密室空間に、大量の赤の他人が男も女も一緒くたに詰め込まれる▼見知らぬ者同士、家族でも恋人でもない男女がかなりの時間、体を密着させるような場面は、日常生活では満員電車以外にはほぼ考えられない。鉄道各社の輸送力増強の取り組みによって混雑率は低下傾向とはいうものの、数字と「実感」とはまた別だろう▼東京都が先月末、朝の通勤電車の混雑緩和に向け「時差ビズ」と銘打った運動を始めた。企業に時差出勤や職場外で働くテレワークの導入を呼び掛けるという▼環境相時代に夏の軽装運動「クールビズ」を定着させた小池百合子知事の自信がにじむネーミングである。もっとも、昨年の知事選で公約に掲げていた「満員電車ゼロ」から見ると、時差ビスの中身は少し新味とインパクトに欠ける感じが否めない▼蒸し暑さが増すこれからの季節は満員電車の不快感も急上昇しよう。男性サラリーマンの上着とネクタイを剥ぎ取ったクールビズの成功の再来を期待しつつ、知事のお手並み拝見。

2017年5月15日月曜日

【回転窓】古くて新しい建造物

世界遺産に登録されている奈良の薬師寺。その主要伽藍(がらん)の一つ「食堂(じきどう)」は僧侶が食事をし修行する場として奈良時代前半に建てられたが、973年に火災で焼失。1005年に再建された後、再びその姿を消した▼1968年から白鳳伽藍の復興を進めてきた薬師寺は2015年春、食堂の再建事業を始動。学識者、建築家、ゼネコンがタッグを組み、文献や絵画を参考に創建当時の姿の再現を目指した▼伝統建築を復元するために導入されたのが最新のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)だ。寺院建築特有の優美な意匠をはじめ、骨組みの構造、設備を細部までモデル化。堂宮大工が培ってきた伝統技法と鉄骨造りの現代技術を融合した施工を高いレベルで実現し、関係者の意思疎通や生産性向上にも寄与した▼外観は奈良時代の意匠を凝らした造りで、内部は現代技術を活用して広い空間を確保。現代の技を取り入れながら伝統の技で復元した古くて新しい建造物がこの春完成した▼落慶法要は26~28日、一般公開は7月1日~11月30日。将来に残る「平成の国宝」。拝観できる日を楽しみに待ちたい。

【国の発展に貢献したい】八光建設工業ベトナム人社員が2級土木施工管理技士合格

 ベトナムのホーチミン工科大学を卒業し、15年7月に港湾土木工事を手掛ける八光建設工業(広島市東区、岡本正勝社長)に入社したフン・ハァ・クエンさん(25)が、2級土木施工管理技士の検定試験に合格した。

 研修を受けながらベトナム人の同僚と猛勉強を続け、1回目の挑戦で合格率約30%(実地試験)の難関を突破。「言葉を覚えるのが難しく、特に土木の専門用語に苦労した」と振り返る。

 「将来はベトナムに帰り、八光建設工業の社員として国の発展に貢献したい」と夢を膨らませている。

続きはHP

【凜】三菱電機ビルテクノサービスファシリティ事業本部・御厨藍子さん

 ◇幅広い知識身につけ、業務に生かしたい◇

 高校生の時に実家をリフォームしたことがきっかけで空間づくりに興味を持ち、大学で建築学科の環境コースを専攻。就職活動の際、照明をはじめとしたビル全体の空間づくりができる三菱電機ビルテクノサービスに魅力を感じた。

 入社5年目。現在、エンジニアリング統括部ビルマネジメント技術部計装設計グループに所属し、空調の自動制御といった計装業務で支社の業務を支援している。このほか、年に4回、本社で行われる全社研修の講師も務める。

 全社研修の講師は入社1年目から担当しているが、現場で経験を積んだベテラン社員からの専門的な質問にうまく答えることができず、悔しい思いをしたこともある。その悔しさをばねに、自らが担当する計装業務を中心に知識を増強。日々の勉強に加え、4年目に異動した支社で現場を経験したことで「さらに知識が深まった」といい、今後の全社研修では「自信を持って質問に答えたい」と笑顔で話す。

 同社では入社6年目に異動することが通例。今まで経験してきた業務とは毛色の違った仕事に就く可能性もあるが、「幅広い知識を身に付け、今後のキャリア形成に役立てたい」と意欲を見せる。

 九州出身ということもあり、福岡ソフトバンクホークスの大ファン。年に6~7回は球場で観戦するなど応援に力を入れている。

 (みくりや・あいこ)

【中堅世代】それぞれの建設業・167

現場に足を運び、働く人に直接話を聞くことが原点
 ◇現場と同じ目線、これからも◇

 国の各省庁がある東京・霞が関の官庁街。それぞれの役所に課せられたミッションがある。その中にあって国土交通省は、霞が関を拠点にしながら、地方整備局、地方運輸局をはじめとする全国の出先機関を合わせて総勢6万人もの職員を抱えている。自ら各種インフラの整備を担い、災害時には現地に駆け付けて活躍する。そんな組織の強みは「現場力」と表現されることも多い。

 省内で中堅世代に差し掛かってきた天野晶子さん(仮名)。小さいころから親に「人のためになる仕事をするようになりなさい」と言われて育った。国立大の法学部に学んだ身にとっては、公務員は一つの選択肢となっていた。就職先を決める際に官庁訪問を行い、各省の担当者に話を聞いた。そうした中で国交省の仕事は「道路でも港湾でも成果が目に見える」と魅力的に映った。陸海空のすべてをフィールドにする幅の広さもある。国民にも関心を持ってもらえそうだ。好奇心も人一倍強かっただけに、全国に現場を持つ仕事に興味が湧いた。

 国交省への就職が内定し、卒業にもめどが立った頃、道路工事の警備員のアルバイトに就いた。それまでのアルバイトを辞め、あえてその仕事を選んだのは、少しでも現場の感覚を養っておきたいと思ったからだという。「現場の人とコミュニケーションがしっかり取れないようでは、仕事が回らないと考えた」。

 アルバイト先では、資材を運ぶトラックの運転手の人たちなどに積極的に話し掛けた。最初は「誰?」と不思議そうな顔で見られたが、慣れてくると次第に打ち解け、いろいろな話を聞くことができるようになった。

 この時の体験は以後、公務員生活を送る上での礎となった。「現場で働く人たちや国民がどういう考えを持っているか。同じ目線でそれを捉えることができる公務員になろうと決心した」。

 国交省に入省してから、さまざまな仕事を手掛けることができた。航空交渉、トラック、省全体の政策の取りまとめ、土地問題…。どんな仕事であっても現場感覚を重視してきた。「自分が担当する政策が所管する業界や国民生活にどう役に立っているのか。それが分からないと机上の空論になってしまう」。だから、どんな政策を遂行する上でも、関係する業界の人たちの話を聞きに行くことを怠らないようにしている。

 自動車や建設産業など、国交省が所管する業界では将来の人手不足が大きな問題になっている。「現場で働く人たちは、普段は目立たない存在だが、確実に日本経済を支えている」と思う。「そんな人たちが正当に評価され、光が当たるような世の中にしていきたい」と考えている。

 あの警備員のアルバイト経験がやはり原点だ。現場に足を運び、働く人たちに直接話を聞く。それを基に、政策として何をすべきかを見定める。公務員として、そんな姿勢をこれからも持ち続けたいと思っている。

【サークル】鴻池組ワンダーフォーゲル部


 ◇山の楽しさ発信し若手・女性入部を◇

 社内の内勤者を中心に活動している。16年度末時点の部員数は17人。代表を務める設計本部建築設計第一部の溜池博樹課長が「いろいろ聞いてみたが発足当時のことを知る人はいない」というほど歴史がある、会社公認の部だ。

 活動期間は3~11月。月1回ほどのペースで登山するなど活発に活動しており、「関西圏の山は行き尽くした感がある」(溜池さん)という。昨年は関西圏を飛び出して三重県の御在所岳に登り、頂上で名古屋支部のメンバーと合流する企画が実現。本年度はさらに足を延ばし四国や信州の山に登ろうと現在、メンバーで話し合っている。

 部の活動は充実しているが、悩ましいのはメンバーの年齢構成。新規入部希望者が少ないため平均年齢は上昇気味で、若手や女性の勧誘が必要と常々感じているそう。

 「活動のモットーは『安全第一』と『決して無理はしないこと』。多くの人に山の楽しさを知ってほしい」と溜池さん。「当日キャンセルOK」や「日帰りで行ける山の選定」など誰でも気軽に参加できる環境を整えるだけではなく、本年度は部員の増強を図るため、活動をアピールする社内へのPRにも積極的に取り組むつもりだ。

【駆け出しのころ】熊谷組執行役員建築事業本部副本部長・大野雅紀氏

 ◇達成すべき物事を見付けて◇

 大学の建築学科に入ったのはものづくりに興味を持っていたからですが、建築家の清家清さんがコーヒーのテレビコマーシャルに「違いがわかる男」として出演されていたのがとても印象的でした。

 熊谷組に入社したのは昭和57(1982)年です。当時の建設業は斜陽産業と言われ、就職難の時代だったと記憶しています。私が就職試験を受けたのは1社だけで、「落ちたらどうしようか」と心配でしたが、多くのゼネコンの中でも元気が良かった熊谷組に魅力を感じ、入社していずれは海外で働いてみたいとも考えていました。

 最初に配属されたのは九州支店の建築現場です。山を切り開いて大型保養施設を建設する工事で、ここでは敷地があまりに広くて高低差も大きく、一般的な建築の測量とは異なっていたため、造成を担当していた土木の人たちに測量をお願いしていました。ある日、建築の主任が土木の後輩に頭を下げているのを見て、私は「これぐらいのことならできます」とつい言ってしまったんです。

 そうして測量を任されることになり、何とかやり遂げることができたものの、「絶対に間違えられない」と毎日が気が気でありませんでした。夜も「本当に合っているのか」と測量のことが頭から離れず、相当に思い悩みました。

 そんな中、機会があって鹿児島の開聞岳に登ったことが大きな転機となります。「薩摩富士」と呼ばれるきれいな山で、ここから私たちの現場が遠くに見えたのです。小さな点でしかなかったのですが、それを見て「自分は何でこんな小さな所で悩んでいるのか。世界はもっと広いんだ」と気付き、それまでの悩みを吹っ切ることができました。今でもこの時の感動を忘れられず、いい経験になりました。

 九州支店に10年いた後は、当時の関東4支店(東京、北関東、東関東、横浜)、東北支店、北陸支店で建築施工に携わります。社内でもこれほど異動した建築技術者は珍しいかもしれません。東日本大震災が起きた時は東北支店で建築部長を務めていました。

 辞書で調べると、人間の能力は「物事を達成する力」とあります。物事とは人によって異なり、これを見付けることが人生であると思います。見付けた時に本当の自分に会えるのではないでしょうか。だから、一つの失敗で落ち込むことはありません。

 私たちと若い人たちとでは育ってきた環境が違い、同じ道を同じように歩かせては皆がバテてしまいます。これからは目指すものが一緒でも違うルートを登っていくのでしょう。それを見付けてあげるのも私たちの大切な役割だと思っています。

 (おおの・まさき)1982年東京理科大理工学部建築学科卒、熊谷組入社。東北支店建築事業部建築部長、北陸支店建築部北陸新幹線糸魚川駅新築工事作業所長などを経て、16年4月から執行役員建築事業本部副本部長兼建築統括部長兼建築統括部建築部長。島根県出身、57歳。
最初の現場で思い悩んでいた時、山に登ったことが大きな転機になった
(鹿児島県の開聞岳で)

2017年5月12日金曜日

【回転窓】多様な人材呼び込む契機に

 建設現場の生産性を抜本的に向上させるi-Constructionが本格始動して1年がたつ。工事にICT(情報通新技術)を全面的に取り入れるなど、従来の常識にとらわれない取り組みが、多様な人材を呼び込む上でも大きな効果をもたらし始めている▼先日取材した土木系の専門訓練機関で、ICTを活用した施工実習を取り入れたところ、土木以外に工業高校で機械や情報を学んだ若者からも関心を持たれたと聞いた▼i-Constructionの大きな目的として、生産性向上によって長時間労働や休日出勤などを見直す働き方改革がある。建設業界のイメージを3K(きつい、汚い、危険)から新3K(給料、休暇、希望)へと刷新し、将来にわたって活躍する人材を確保する狙いだ▼国土交通省主導で発足した官民の推進組織には、建設関連以外にもさまざまな分野の企業が参加する。i-Constructionによって土木の新たな可能性への期待が芽生えた表れといえよう▼将来の担い手確保・育成は喫緊の課題。今までにない建設現場の姿を示すことが、多様な人材が集まる契機になるだろう。

【今後の運営方針は】芝浦工大・堀越英嗣建築学部長に聞く


 ◇時代の要求に応える人材育てる◇

 創立90周年を機に、三つの建築系学科を集約し、「建築学部」を創設した芝浦工業大学。4月からは東京ベイエリアの豊洲キャンパスに第1期生を迎え、同一キャンパスで4年を過ごす一貫教育に乗りだした。初代の建築学部長に就いた堀越英嗣教授は「利用者の視点で課題を見付け、多様な要求に応えられる力を身に付けた学生を育てたい」と語り、「先輩、後輩が刺激を与え合い、自ら考え、行動を起こしてほしい」と期待を込める。

 --建築学部が誕生した。

 「従来は工学部に建築学科と建築工学科、システム理工学部に環境システム学科、デザイン工学部にデザイン工学科の四つの建築系学科が存在した。環境システム学科は大宮キャンパスで4年間の一貫教育を実施してきたが、建築、建築工学、デザイン工学の3学科は1~2年が大宮キャンパス、3年から豊洲キャンパスで学ぶ形になっていた。学生は先輩の卒業研究を手伝いながら、後ろ姿を見て育つ。キャンパスが分かれていると、こうした関わりが薄くなる。新しい時代の建築教育に向けてコンパクトに連携した教育をしようと3学科の一本化が決まった」

 --豊洲キャンパスに機能を集約した。

 「豊洲の周辺は多くの開発計画があり、これから2020年東京五輪の競技施設も建設される。門前仲町や月島などの下町、銀座などの古くからの繁華街が身近にあり、地域と建築の関係、古い街並みと新しい街並みとの共存という『これからの都市の暮らし』を考えるきっかけとなる地域でもあり、気付きを増やせる場所だ」

 「キャンパス内にガラス張りの新製図室『アーキテクチャープラザ』を新設した。学生には地面に近いところで外を歩く人の姿や緑の木々などの街を見ながら、図面を描く前にじっくりと考える大切さを学んでほしい。建築とは社会と切り離された存在ではなく、利用者の視点でモノを捉え直すことが求められる。利用者の多様な要求に応えられる力を身に付けてもらいたい」

 --他校の教育とどう差別化を図る。

 「1~2年は教養課程を学び、3年から専門課程に移るのが原則だが、専門に目覚め、改めて教養課程を学ぶ必要性を感じることも多い。専門課程の履修を前倒しで行い、気付きの中で学生がいつでも教養課程を学び直せるカリキュラムを編成した。学生が自ら興味を持ち、自主的に多様な学び方ができる仕組みをつくった。他学部の学生との交流も増え、刺激を受ける。これも多くの学生がいる豊洲だからできることだ」

 「社会に出て、問題に向き合うと人は考える。建築設計業務の発注ではプロポーザル方式の採用が増えている。アイデアを出せて、現場にも臨め、努力を惜しまない人材が企業から求められている。PBL(課題解決型学習)に力を入れる。何かを与えたらやり遂げる能力を持つ人材を育成したい。多彩な専門分野の教員が集まり、それぞれの分野で深い研究を行っている人が多い。専門分野で『生きた教科書』となる先生がいることは重要で、それによって学生の学びの選択肢も増える。芝浦工大の売りの一つにしたい」

 --グローバル人材の育成も重要になる。

 「世界レベルの教育研究を行う国の『スーパーグローバル大学創成支援事業』の採択校になり、多様な国から留学生を積極的に受け入れている。素材を把握し、構造計算もできるオールラウンドプレーヤーを育成するのが日本の建築教育の強みだ。三つのコースのうち、APコースは多様な価値観と国際的な知見で社会の課題を解決する建築技術者を養成する。ものをまとめるという意味の『アーキ』と技術を意味する『テクチャー』が融合してアーキテクチャーだ。日本の建築士は災害時にも一人の技術者として皆をまとめ上げ、問題を解決できる能力がある。こうした教育方法はアジア各国のニーズに合う。トータルで考えることができる人間をつくる」

 --時代に合った教育も求められる。

 「建築に対するニーズは時代によって変わっていく。エネルギー政策は転換点にあり、人口も減少する。この10年は特に変わるだろう。高度経済成長期にはモノを作ることが優先されたが、今は作られたモノをどう更新するかが問われる。これからは作り手の時代から使い手の時代になる。作る段階で使い方のサイクルを考える教育が必要になる。今のうちから技術を磨かなければならない」

 「使い手の目線を持つことが大切になる。きめ細かい建築には女性目線が重要になる。女性教員、女子学生を増やしたい。自主的に空き家改修プロジェクトに関わっている学生もいる。自ら課題を探し、解決しようとする若い人たちの取り組みを、教育にフィードバックしたい。地域からの要望に応える社会とつながった教育を目指す。複雑なものを技術力と能力でまとめ上げる『アーキテクチャー』教育を貫く」。

 □2学科1領域を統合、1学部1学科3コースに□

4月に工学部建築学科と建築工学科、デザイン工学部デザイン工学科(建築・空間デザイン領域)の2学科1領域を統合・再編し、豊洲キャンパス(東京都江東区豊洲3の7の5)に「建築学部建築学科」として開設された。1学部1学科でAP(先進的プロジェクトデザイン)、SA(空間・建築デザイン)、UA(都市・建築デザイン)の3コース制。入学定員は240人(APコース30人、SAコース105人、UAコース105人)。各コースに大学院がある。

ガラス張りの「プラザ」で活動を公開する
教員数は34人。建築デザイン、建築計画、都市デザイン、都市計画、建築史、建築生産、建築環境設備、建築材料、建築構造、プロジェクトデザインの専門家が在籍する。3年次の「プロジェクトゼミ」と4年次の「卒業研究」では、所属するコースにかかわらず、全研究室(10分野29研究室)から、自らの専門分野を主体的に選択できる。

 進路は建築設計事務所、デザイン事務所、ゼネコン、ハウスメーカー、各種コンサルタント、国家公務員、地方公務員など。

 新たな製図室棟「アーキテクチャープラザ」はS一部RC造平屋624m2。設計監理は日建設計、施工は鹿島が担当した。大きなガラス面で室内での教育活動を外に公開し、学生が主役となり、建物が背景となるよう意図。内装は、学生が材料や構造を直接見て学べる工夫が施されている。

【コンセッション方式導入へ作業本格化】有明アリーナ運営等PFIアドバイザリー業務、みずほ総研に

有明アリーナの完成イメージ
(2015年10月時点、ⓒ東京都)
東京都財務局は、10日に希望制指名競争入札を開札した「有明アリーナ運営事業等に係るPFIアドバイザリー業務」の落札者を948万円でみずほ総合研究所に決めた。入札には計5者が参加した。

 2020年東京五輪のバレーボール・車いすバスケットボール会場として建設中の「有明アリーナ」(江東区有明1)の管理・運営を、コンセッション(公共施設等運営権)方式で行うための検討を委託。民間企業へのヒアリング、コンセッション方式の実施方針条例案・実施方針案の作成、運営権対価の試算、事業者の募集、検討委員会の開催などの支援を任せる。履行期限は18年3月30日。

 都は17年度中にコンセッション方式の実施方針を策定し、18年度に事業者の公募・選定手続きを行う。

【MICE関連など4施設併設制度検討】政府、カジノ整備で要件案提示

IR実施法案は今年の臨時国会に提出される見通しだ
(写真はイメージ、本文とは関係ありません)
政府は、カジノを含む統合型リゾート(IR)施設を構成する個別施設の要件案をまとめた。IR施設を実際に整備する民間事業者に対し、カジノの整備に合わせて▽国際会議・展示場などのMICE(国際的なイベント)関連施設▽劇場・博物館などのレクリエーション施設▽国内旅行の提案施設▽ホテルなどの宿泊施設-の4施設を併設してもらう制度を検討する。

 このほか、昨年の臨時国会で成立した統合型リゾート(IR)整備推進法で定めたIR施設整備手続きの細則案もまとめた。最初に原則として都道府県(政令市も可能)がIR施設を実際に整備する民間事業者を選定。事業者からの提案に基づいて具体的な整備事業計画を作り、最終的に国土交通相が計画を認定する。計画の認定数については上限を設ける方向で制度設計を進める。

 政府は早ければ今年の臨時国会にIR施設の要件を盛り込んだIR実施法案を提出する。

【積女ASSALだより】大林組・石井芳野さん


 ◇過去の物件巡りが楽しみ◇

 入社以来10年、積算業務に携わり、産休・育休を挟んで今、再び数量算出を担当しています。復職時には受け入れてくださった職場の皆さんに感謝するとともに、専門性の高い積算業務にあって、ブランクを経てなお職責を果たせるだろうかとの不安がありました。

 そのため、一から積算を学び直し、気付いたことがあります。建築積算とは、建築の上流から下流まで、社会にとって価値ある建築物を残すための、いわば建築物生産活動の基幹なのです。

 入社当時は建築職に就きながらパソコンと向き合う日々に物足りなさを感じていましたが、改めて自分の仕事に自信を持てるようになりました。今では過去に積算した物件を息子と見て回るのが休日の楽しみの一つです。

 (いしい・よしの)

2017年5月11日木曜日

【使命とやりがい再確認】関電工社員、南極観測隊任務終え帰国

南極での活動を終え帰国した岡本さん㊧と内山さん
関電工の社員2人が南極観測隊の任務を終えて帰国した。営業統轄本部品質工事管理部の岡本龍也さんと内山宣昭さんで、岡本さんは第57次越冬隊(任期15年12月~17年3月)、内山さんは第58次夏隊(16年11月~17年3月)に参加。基地内の電気・空調設備の設営や保守管理などを担当してきた。

昭和基地で作業する岡本さん
(提供:関電工)
南極での活動について、岡本さんは「現地では予期していなかったトラブルにも多く遭遇した。これまで経験したことのない設備工事にも携わり、苦労も少なくなかった」と振り返った。一方、「現地で生活を送る中、自分が電気というライフラインを守っているということを改めてかみしめた」と話した。

昭和基地の看板前での一枚
(提供:関電工)
内山さんは「4カ月という短い期間だったが、南極の厳しい環境は想像を超えており、肉体的にも精神的にもつらかった。それでも昭和基地の設備工事を通じ、環境を維持・改善していることにやりがいを感じた。今後、機会があれば越冬隊として参加したい」と語った。

 同社は1986年の第28次から越冬隊に21回、夏隊に9回、社員を派遣。現在も東京営業本部東京総支社西部支社の齋藤健二さんが18年3月まで越冬隊として参加している。

【上野駅を大規模改造】京成電鉄、東京五輪見据え設備投資加速

 京成電鉄は、2020年東京五輪の開催を見据え設備投資を加速させる。

 インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加を見込み、スカイライナーで成田空港に接続する京成上野駅(東京都台東区)内部のリニューアルを推進中。ほかの駅でも駅施設のバリアフリー化やトイレの洋式化などを展開する。

 こうした取り組みの事業費を含めた17年度の設備投資の総額は前年度比33%増の157億円。

 同社を代表するターミナル駅の京成上野駅(地下2階建て延べ約1万3000平方メートル)は上野公園内に位置し、周辺には博物館や美術館、動物園や音楽ホールなど文化・芸術施設が立ち並ぶ。

 こうした立地特性を踏まえ、リニューアルのデザインコンセプトには「『緑や文化との融合』をテーマとした魅力ある駅空間の創造」を掲げた。上野公園の木々や文化施設の石造りのイメージをデザインに取り入れ、内装に木目調のシートや、石を模したタイルを使用する。

利用者へのサービス向上を目指し、改札外のコンコースに観光案内所を新設するほか、幅広の自動改札機の増設や、店舗区画のリニューアルと多機能トイレの整備に取り組む。リニューアルの設計は大林組、施工は大林組・京成建設JVが担当。工期は4月から19年3月まで。

 インバウンド対応の取り組みとして、鬼越駅と京成大和田駅では駅舎のバリアフリー化、成田空港と京成大和田駅ではインバウンド向けにトイレの洋式化や温水洗浄便座の設置を進める。

 このほか、安全対策にも注力する。9日に公表した17年度の設備投資計画によると、押上線の四ツ木駅~青砥駅間(東京都葛飾区、延長2・2キロ)の連続立体交差事業の具体化に向け、用地取得と並行して準備工事に着手。安全性の維持向上のため、軌道や電気、踏切など各種設備の更新・改良も行う。大規模地震への対策の一環で、お花茶屋駅の駅舎と京成成田駅~空港第2ビル駅間の高架橋の柱と橋脚の耐震化工事なども展開する。

【回転窓】渋谷で描く夢

東京・渋谷の東急百貨店本店で小学生を対象とした絵画コンクールが行われていた。テーマは「渋谷の未来」▼渋谷駅周辺では駅舎や街区の大規模開発が進む。未来が造られている真っ最中に、その先を子どもたちに考えてもらう企画。最優秀賞には、地上が緑に覆われた街を描いた小澤神威さんの「渋谷の森」が選ばれた。車や鉄道は地下を走らせ、緑豊かな街にしようというアイデアだ▼新幹線のような鉄道が縦横無尽に走り、高層ビルの間をロープウエーが結ぶ。さらに自動で動くスクランブル交差点など自由な発想が満載で、見ていて楽しかった。7月末から、優秀作品をラッピングした循環シャトルバスが走るという▼上京したてのころ、渋谷に出掛けるたびに道に迷った。街の中心が谷地にあるため随所に坂があり、細い路地も多い。多くの工事が行われている今は、迷宮度合いに拍車が掛かっている印象だ。ただ、そこがこの街の魅力でもある▼駅前で工事中のビルを楽しそうに眺めている児童がいた。子どもの夢に負けない新たなわくわく感をどう生み出していくか。巨大ビルが増える中でそれが試されている。

【ぜひ建設業界へ】土木技術者女性の会、女子学生向け就職支援冊子作成

 建設関連業で働く女性技術者でつくる土木技術者女性の会(渡辺弘子会長)は、土木技術者を目指す女子学生のための就職支援冊子「Civil Engineerへの扉 2017年版」を作成した。

 冊子は1999年版、2006年版に続く3回目の発行で、11年ぶりの改訂。5000部を作り、4月下旬に全国の高等専門学校、大学、学・協会など女性の就職支援に関わる機関(660カ所)に郵送した。希望者には無料で配布する。

 2017年版はA5サイズ36ページ。建設コンサルタントや測量業、総合建設業といった土木業界のさまざまな分野や地域で働く女性技術者からのメッセージを中心に、就職前の準備や入社後の働き方など就職活動の参考となる情報を提供している。

 具体的には、▽土木分野の仕事▽現役で活躍している女性技術者14人によるロールモデル▽土木技術者女性の会の紹介-などを掲載。イラストや写真、図表などを多用して分かりやすくする工夫を凝らした。希望者は専用サイトへ。

【元気に大きく育ってね】竹中土木ら、岩手県大船渡市で小学生と稚アユ放流

 竹中土木、竹中道路、不動テトラ、菱和建設で構成する盛川災害復旧関係連絡協議会は6日、岩手県大船渡市の盛川中井大橋で「第5回稚アユ放流会」を行った=写真。地元の盛川漁業協同組合との共催。

 同市立赤崎小学校内にある放課後学童施設「にこにこ浜っこクラブ」の児童21人と、協議会関係者など合わせて41人がアユの稚魚約1万2000匹を盛川へ放流した。

 児童たちは川の流れに負けじと泳ぐ稚魚へ「元気に大きく育ってね」と声を掛けて見送った。

 同協議会は13年から東日本大震災の災害復旧のため、仮設道路工事や地盤改良工事、河川堤防盛り土および護岸被覆工事を施工している。その中で、地域住民とともに環境保全や河川愛護について考え、盛川に親しむ目的で稚魚放流会を毎年開いている。

 協議会幹事会社である竹中土木の岸田裕・盛川河川災害復旧作業所長は「堤防のかさ上げ工事で川に近づき難くなる中、子どもたちにはアユの稚魚放流を通して自然と触れ合い、川と親しんでほしい」と話した。

2017年5月10日水曜日

【回転窓】お客さまは神様か

「お客さまは神様です」。ご存じ昭和歌謡界の大スター、三波春夫さんの名せりふである。このせりふ、ビジネスの世界でもしばしば用いられる▼顧客の要求は至上命令、どんな無理難題にも応えなければ-。そんな意味合いが込められていよう。だが、三波さんがこの言葉に込めた真意はどうも違うようである▼「あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な芸をお見せすることはできない」。マネジャーを務めた長女の美夕紀さんが、ご本人から生前に聞かされた言葉を三波春夫オフィシャルサイトで紹介している▼お客さまとは聴衆のこと。ステージの演者と客席のオーディエンスの関係を表現したのがあのフレーズで、飲食店の客や営業先のクライアントとは意味が違うと。ご自身も誤解を解くべく折に触れ真意を語っていたそうだ▼昨今の過労死問題や宅配便現場の疲弊などの底流には多かれ少なかれこの言葉があろう。受注産業の建設業も例外ではない。芸を極めるための心構えが独り歩きして過重労働の遠因になっているとしたら、泉下のスターも居心地が悪いに違いない。

【施工は東急建設JVら】南町田プロジェクト商業施設新築・駅改良(東京都町田市)が起工

 東京急行電鉄は9日、東京都町田市の東急田園都市線南町田駅南側で計画している「南町田プロジェクト商業施設新築工事及び駅改良工事」に着手し、現地で起工式を行った。

 2月に閉館した商業施設「グランベリーモール」を再整備するほか、南町田駅のリニューアル工事を行う。

 施工は中央敷地に整備する商業施設が東急建設・鉄建建設・京王建設・東急リニューアルJV、駅前敷地に整備する商業施設と駅改良工事は東急建設が担当する。設計は商業施設がいずれも東急設計コンサルタント、駅改良は東急電鉄が担当。商業施設は19年9月、駅改良は同12月の竣工を目指す。

 商業施設の建設地は町田市鶴間3の3の1ほか(敷地面積8・6ヘクタール)。既存のシネマコンプレックス(06年3月開業)以外の施設規模や配置を大規模に変える計画で、シネコンを含む総延べ床面積は約15万1000平方メートルの規模となる。敷地中央には約2100台を収容できる駐車場(5層)を整備し、駐車場を囲む形で2~3層を中心としたアウトレットモールなどの店舗を配置する。店舗数は従前の倍となる約200を予定している。

駅改良工事では商業施設と融合した駅空間にするとともに、ホームドアやエスカレーターを設置するなど利便性の向上を図る。南北自由通路の整備も行う。

 東急電鉄は町田市と連携し、商業施設と都市公園が一体となった新たなにぎわい拠点の形成を目指す「南町田拠点創出まちづくりプロジェクト」を進めている。

 両者と東急レクリエーションが施行者となり、「町田都市計画事業南町田駅周辺土地区画整理事業」(18・2ヘクタール)を実施。1月には基盤整備工事に着手済みで、道路や公園の再整備、調整池の増設などを行う。施工は東急建設が担当。商業施設とともに19年度後半の街開きを目指す。

【建設業界は「人の役に立つ」が首位】マイナビ、大学生の業界イメージ調査結果発表

就職・転職情報サービスを展開するマイナビは、18年卒業予定の大学生と大学院生を対象に、業界イメージ調査を実施した。

 建設・設備工事業界に対する回答を見ると、プラスイメージは「人の役に立つ」が34.4%で最も多く、続いて「社会全体への影響」(22.1%)、「社会貢献・環境への取り組み」(19.7%)、「宣伝力・ブランドイメージ」(17.7%)の順だった。 一方、マイナスイメージは回答者の32.1%が「休日・休暇・労働時間」を挙げ、「女性の活躍」(20.2%)や「給与・待遇」(11.5%)の回答割合も多かった。

 この調査は全国の大学・大学院に通う学生を対象に実施。ウェブのアンケートフォームに入力してもらう方法で1773人から回答を得た。調査時期は4月12~18日。回答数は文系男子358人、理系男子453人、文系女子454人、理系女子508人。現在就職活動に入っている大学4年生と大学院2年生にターゲットを絞っている。


回答者全体のうち、就職先として建設・設備工事業界を検討した割合は12.6%。インターンシップ(就業体験)や個別セミナー、面接などを通じて業界へのイメージが変化したかどうかは、6.1%が「良い方向に変わった」、17.4%が「変わらない」、3.6%が「悪い方向に変わった」とした。

 良い方向に変わった理由は「インターンシップでとても親切に研修してくれた」「文系でも活躍できるフィールドがあると分かった」「想像していたより泥臭くなかった」など。一方、悪い方向に変わった理由には「長時間労働が多いと感じた」「転勤が大変そう」「改革やイノベーションが感じられない」などの回答が寄せられた。

【技能教育リポート】山形県立産業技術短期大学校の土木エンジ科始動

 山形県立産業技術短期大学校(山形市、尾形健明校長)に4月、「土木エンジニアリング科」が発足した。県内の大学や専門学校に土木系学科のない山形県が、地元建設産業界の要望を受けて構想した公共職業訓練初の土木系高度職業訓練専門課程だ。

 2年間のカリキュラムで、社会資本の長寿命化や自然災害、除排雪といった新たなニーズや地域特有の課題に対する知識や素養を身に付けた担い手を養成する。

 第1期生は、この春に高校を卒業したばかりの若者を中心に総勢21人(普通高卒9人、工業高卒12人)。大方の予想に反して普通高校の卒業生が多く、青森や秋田から入学した学生や女性も2人いる。

 ◇全国初の「土木エンジ科」設置◇

 多様な人材を呼び込めた背景には、土木の基礎知識の修得に加え、ICT(情報通信技術)やCAD、ドローン(小型無人機)といった新しい技術を駆使した施工を管理できる人材を育成しようと設定した独特のカリキュラムがあるようだ。昨年のオープンキャンパスでも、建設産業がかつての「労働集約型」から「技術集約型」に変化しているとの説明を聞き、就職先としての可能性に関心を示した情報や機械系の工業高校生も少なくなかったようだ。

 2年間のカリキュラムは、高度職業訓練の基準を満たす2800時間を確保。うち半分は、施工管理、測量・設計と実践経験を含めた実習に充てる。「実験や研究が主体となる大学と違い、施工管理で即戦力になる人材を毎年、業界に送り出せるようにしたい」と語るのは、学科主任の鈴木賢一教授。在学中には、2級土木施工管理技士(学科)や測量士補の試験の合格も目指す。

 21人の学生に講師は6人。少人数指導の体制も特色で、県内建設産業で働く人たちや、ほかにも県内外の大学の教員や国土交通省、山形県県土整備部の職員なども授業内容に応じて講師に招き、土木技術者として働く心構えや専門の知識や技術を学ぶ。

 青森から期待を抱いて入ってきた菊池果歩さんは、「土木に関するいろいろなことを学んで資格も取り、どんな仕事に就きたいかを見定めたい」と話す。県内工業高在籍時にインターンシップ(就業体験)に出向いた会社への就職を希望する佐藤圭人さんは、「将来は現場監督としてダムやトンネルなどの施工に携わってみたい」と意欲を示す。