2017年1月6日金曜日

【リニア中央新幹線】27年度開業めざし工事本格化へ


 超電導リニアにより東京(品川)~名古屋間を最速40分で結ぶ中央新幹線。長大トンネルや東西のターミナルとなる品川、名古屋両駅の工事が始まり、JR東海が総工費約5兆5235億円をかけて進めるビッグプロジェクトが、27年開業を目指し、いよいよ本格的に動き出した。

 東京(品川)~名古屋間の路線延長は285・6キロ(山梨リニア実験線42・8キロを含む)。約86%の246・6キロをトンネルが占め、高架橋が約8%の23・6キロ、路盤が約2%の4・1キロ。ターミナル駅の品川駅(東京都港区)と名古屋駅(名古屋市中村区)を既設駅などの地下に併設し、神奈川(相模原市)、山梨(甲府市)、長野(飯田市)、岐阜(中津川市)に中間駅を新たに設ける。車両基地は関東(相模原市)と中部(中津川市)の2カ所。付帯施設として変電施設10カ所、保守基地8カ所、非常口13カ所を配置する。


 JR東海は、環境影響評価(アセスメント)手続きを経て、14年10月に工事実施計画認可を受け、事業を軌道に乗せた。16年12月末現在の工事発注件数は、鉄道・運輸機構への委託分を含め19件∥別表参照。長期間を要する南アルプストンネル(約25キロ)、中央アルプストンネル(約23・3キロ)、品川、名古屋両ターミナル駅、大深度地下トンネルのシールド発進立坑になる都市部非常口などで15年12月から順次、工事に着手している。

 3000メートル級の山岳地帯を貫く南アルプス、中央アルプス両トンネル、既設駅の在来線と東海道新幹線の直下約30~40メートルに設ける両ターミナル駅など、いずれの工事も難関が待ち受ける。各工事の安全祈願・起工式で柘植康英JR東海社長は「安全と環境に細心の注意を払い、取り組む」と話し、施工JV代表は「総力を結集して工期内に完成させる」と決意を語った。27年の開業まであと10年。工事は今後、大深度地下トンネルや山岳部の橋りょうなどが発注され、最盛期へと入っていく。

 一方、名古屋から大阪までの延伸計画が、当初予定の45年から最大8年前倒しされることになった。国の16年度第2次補正予算の「未来への投資を実現する経済対策」に、JR東海への財政投融資が盛り込まれたため。鉄道・運輸機構を通じてJR東海へ財政投融資の低利融資を行い、東京(品川)~名古屋間の開業後、連続して名古屋~大阪間の工事に着手できるようにした。

 貸し付け規模は3兆円で、補正予算に1兆5000億円を計上、17年度予算に残る1兆5000億円を盛り込む。JR東海が全額自己負担での建設・運営を掲げてスタートさせたリニア中央新幹線は、国の後押しにより、全線開業が加速する。東京~大阪間が開業すれば、三大都市圏が1時間圏内となり、世界に例がない巨大都市圏が誕生する。

1 件のコメント :

  1. 実に大きなプロジェクトだけど、カレンダー(工程)通りにはいかないのでしょうね。
    難工事、難プロジェクトの極みだと思います。

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