2017年1月10日火曜日

【回転窓】静寂の森と祝祭の建築

ここ数年、初詣で明治神宮を参拝するのを恒例行事にしている。多くの参拝客で参道が埋め尽くされて社殿は遠いが、その間、豊かな森を堪能できる▼参拝の帰りに、近くにある国立代々木競技場を久しぶりに訪れた。デザインと構造が高いレベルで融合した圧倒的な存在感。支柱から屋根全体をつり下げ、内部に柱を持たない空間は、いつ見ても大胆でダイナミックで美しい▼1964年東京五輪を機に建設された建築家丹下健三の代表作だ。内外の建築界に影響を与えた20世紀を代表する建築に間違いない。この体育館を世界文化遺産にしようという動きがある▼国内の著名建築家らが昨年9月、「代々木屋内競技場を世界遺産にする会」を発足させ、活動を始めた。2020年までに世界遺産登録が実現すれば、前回五輪のレガシー(遺産)が次の五輪に華を添えることになる▼2020年に鎮座100年を迎える明治神宮。静寂の森に隣接する新国立競技場も東京五輪のメイン会場として選手や観客、多くの人が感動を共有する祝祭の場になるだろう。だからこそ新競技場の誕生を楽しみに待ち、歓喜をもって迎えたい。

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