2017年2月2日木曜日

【回転窓】寒さが生み出す甘み

北海道名寄市でほうれん草を買ってきた。しゃぶしゃぶがおすすめと聞き、熱湯に数秒くぐらせただけで、味付けもせずに食べてみた。えぐみが無く、とても甘くて、すこぶるおいしい▼「なよろ星空雪見法蓮草」として売り出し中という。ハウス栽培だが暖房を使わない。同市ではつい先日も氷点下28度を記録した。野菜は、寒さが厳しいと糖類を蓄積して細胞を凍りにくくし、生き抜こうとする。普通のほうれん草の糖度は4~5度だが、これは最高で13度にもなるそうだ▼先月には、野菜や果物の専門家集団である日本野菜ソムリエ協会の品評会で史上初の最高金賞を獲得した。まだ生産量が少なく、あまり出回っていないが、このおいしさであれば、都内の有名レストランのメニューに加わる日も遠くないだろう▼極寒のイメージが強い北海道だが、冬は生活空間を暖かくしていて意外と快適だ。同市では「なよろの冬を楽しく暮らす条例」を制定。冬を生かした豊かな食生活やウインタースポーツ活動などを呼び掛けている▼冬の厳しさを、豊かさへとしなやかに変換させていく。野菜も人も似ているのかもしれない。

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