2017年3月8日水曜日

【回転窓】花筏にFM生かす

散った花びらが水面に浮かび流れていくのを筏に見立て「花筏(いかだ)」と言う。春の季語。全国に桜の名所は多いが、美しい花筏を観賞できるスポットは限られる▼青森県弘前市の弘前公園はその一つ。2600本もの桜が咲き、例年4月下旬~5月上旬には花びらが公園外堀を埋め尽くす。この光景は幻想的で見た人の心をつかみ、人気のフェイスブックページ「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」でも紹介された▼だが水に漬かった花びらが変色するのは早く、花筏の見頃はわずか3日ほど。観光資源の花筏をもっと多くの人に楽しんでもらいたい。こうして準用河川に指定した外堀の水流を調整することにより水面の花びらをいったん流して処理し、新たに落ちる花びらで花筏をつくることが考えられた▼実はこれ、市職員のアイデアで実現したものだという。弘前市は、ファシリティーマネジメント(FM)を先進的に実践している。歴史的・文化的価値の保存と新たな価値の創造へ-。そんな意識が皆に徹底されているからこその提案であろう▼今年も、水面いっぱいに広がった桜色の絨毯(じゅうたん)が見られる季節を間もなく迎える。

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