2017年3月7日火曜日

【記者手帖】伝える姿勢はいかに

ある行政機関を担当していた入社当時、前任者にならい、連日夜遅くまで庁内を取材で回っていた。教えられたわけではないが、そうした取材で得られるものは大きく、空振りに終わっても欠かさず顔を出すようにしていた◆夜の取材での一番の収穫は、日中には聞けなかった担当者の本音が聞けることだ。その時はあまり重要と見ていなかった情報でも、後で役立つことがある。こんな記者としての経験や教訓を次世代にどう伝えていくか。会社で中堅世代となった今、よく考えるようになった◆「自分も若い時にこんな苦労をしたから、君たちもその程度は当たり前」といった趣旨の言葉を聞くことがある。年長者として、未熟な部下や後輩をそう諭したい気持ちは分かる。だが、経験の継承は、苦労話をただ聞かせれば済むというものではない。相手の立場も十分に考えた伝え方が求められよう◆自身の苦労はもちろん、成功体験からも課題を見つけ、より良い方法を考えることこそ年長者の役割のはず。答えを出すのは簡単ではないが、自分に問い掛け続ける姿勢は忘れたくない。(も)

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