2017年4月28日金曜日

【温泉街再生の起爆剤に】富士屋旅館(神奈川県湯河原町)をリノベーション

改修前の富士屋旅館。
18年4月のオープンを予定している
神奈川県湯河原町で廃業した老舗旅館の再生事業がスタートした。湯河原温泉を代表する高級旅館で02年に営業を停止していた「富士屋旅館」(宮上橋上557)を全面改修し、18年4月のリニューアルオープンを目指す。新たに設立された特別目的会社(SPC)「富士屋旅館合同目的会社」が土地・建物を取得して再生事業を行う。改修と運営は、飲食店や宿泊施設の経営などを手掛ける際コーポレーション(東京都目黒区、中島武代表取締役)が担当する。

 再生事業には横浜銀行や地域経済活性化支援機構(REVIC)などが共同で設立した「かながわ観光活性化ファンド」が出資・投資する。

 富士屋旅館は湯河原温泉郷の中心地にあり、建物の一部は明治時代に建築された歴史的建造物。02年の廃業以来閉鎖されていた。3月にSPCが前所有者から土地・建物を取得した。リノベーションでは歴史的外観を残しつつ宿泊施設を改修するほか、レストランやカフェなどを新設し、「おもてなし機能」の強化を図る計画。現在、際コーポレーションが現地調査を進めており、改修設計なども自社で行う予定だ。

 出資するファンドは16年3月、REVICと横浜銀行、横浜キャピタル、REVICキャピタルの4者が構成員となって設立した「かながわ観光活性化投資事業有限責任組合」で、存続期間は6年6カ月。設立目的は神奈川県内の経済・雇用を支える観光産業の発展に向けた取り組み支援で、富士屋旅館の再生支援が出資第1号案件となる。際コーポレーションは長崎県の五島列島でリノベーションでホテルを再生した実績がある。

 湯河原町は富士屋旅館のリノベーションを起爆剤に温泉街の再生にも着手する。3月29日に町と湯河原温泉まちづくり協議会、ノオト、横浜銀行、REVICの5者が「湯河原の歴史的資源を活用した地域活性化に向けた連携協定」を締結した。温泉郷の中心通り「湯元通り」のパブリックスペース整備や空き家・空き店舗への新たな事業者誘致などで、温泉街の面的な活性化を図る計画だ。

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