2017年4月27日木曜日

【回転窓】盆栽が伝える文化

さいたま市できょうから第8回世界盆栽大会が開かれる。日本での開催は大宮市(現さいたま市)での第1回大会以来28年ぶり▼メイン会場の「日本の盆栽水石至宝展」では、推定樹齢が1000年を超す真柏・銘「飛龍」を筆頭に日本を代表する名品を展示。内外の著名な盆栽作家が制限時間内に盆栽の形を作り上げるデモンストレーションもある▼同市が舞台となるのは「大宮盆栽村」があるからだ。東京・千駄木の植木職人が、関東大震災を機に望ましい環境を探して移住したのが出発点という。現在も6軒の盆栽園があり、「盆栽町」と地名にもなっている▼国会議事堂では、開会日に中央広間の台座に松の盆栽を置く習慣がある。四つある台座のうち三つは板垣退助らの銅像が備え付けられているが、一つは空席。優れた政治家の輩出を待つ意味を込めて盆栽を飾るそうだ▼成長する樹木を年月をかけて理想の姿に仕上げる盆栽。時には荒ぶる自然と折り合いながら生きてきた日本人気質と重なる気がする。世界の政治が揺れている昨今。しなやかにいなしつつ、きれいな形を作り上げる。そんな所作が求められている。

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