2017年6月20日火曜日

【回転窓】引き継がれる土木プロジェクト

徳川家康が幕府を開いてから江戸の町は急速に発展し、諸説あるようだが1700年頃には80万人以上の人口を抱える巨大都市に成長していたという▼急速な都市化で必要になったのは人々が商いを行ったり住居を構えたりする土地。そのために幕府は埋め立てを盛んに行い、陸地を広げた▼町の中心だった江戸城から海側は埋め立て地が多く、生活に欠かせない飲料水を井戸からくみ上げるのは困難。そこで幕府は多摩川と井の頭池から水を引き、町中に上水道を張り巡らせた。江戸城周辺に住む武士や商人に加え、長屋に住む町人も無料で上水道の恩恵にあずかれた▼多摩川から水を運ぶ玉川上水が完成したのは今からざっと360年前の1654(承応3)年。文献によって違いはあるそうだが、当時の暦で6月20日(新暦7月21日)を完成日とする説もある▼多摩の羽村から東京・四谷まで全長43キロの水路は100メートルの高低差しかなく、引水工事は困難を極めた。当時の土木技術の高さを知る重要な財産だ。一部区間は現在も現役の水道施設として使われている。長い時間を経て使われ続ける玉川上水から学ぶことは多い。

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