2017年6月12日月曜日

【回転窓】21世紀の建築の行方


1920年代に近代建築の方向性が定まり、建築の20世紀が始まった。同様に建築の21世紀の始まりもずれ込む。いろんな評価基準があり、それが定まるのは2020年代ぐらいでは-▼そんな予言で始まった21世紀の建築界。20世紀を引きずる2000年代は、細さ、薄さ、軽さ、透明または内部と外部の反転を指向する建築が主流になるとみられてきた。だが2011年の東日本大震災がその方向に疑問を投げ掛けた▼建築家たちはこぞって「生命的」「原始的」「根源的」といった言葉を持ち出した。20世紀型の思考を断ち切り、建築を自然へと近づけようとしている▼建築家フランク・ロイド・ライト(1867~1959年)は自身の作品を「有機的建築」と称し、自然と建築の共生を唱え続けた。都市への人口集中が安全性を低下させるとし、大都市は要らないとも言い切った▼今月8日はライト生誕150年。各地で記念イベントが企画・開催されている。人間的な豊かさを提供してくれる建築思想は色あせず、今もなお世界中の人々の心を引きつける。建築の21世紀のヒントは既に示されているのかもしれない。

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