2017年6月12日月曜日

【どうなる、大会関係者や観客移動】東京五輪、輸送計画の技術検討本格化

 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた交通輸送計画の検討が本格始動した。大会組織委員会と東京都は9日、交通工学の学識者や警察、高速道路会社などで構成する「交通輸送技術検討会」の初会合を開催。17年度内に大会開催を踏まえた交通マネジメントの方向性を取りまとめる。

大会日程はオリンピックが2020年7月24日~8月9日、パラリンピックが同8月25日~9月6日。期間中、オリンピックでは各国の選手やチーム役員などで1万8200人、メディア関連で2万5800人、大会スポンサー関連で1万7100人、大会スタッフでは16万8000人という人数を想定。現時点で延べ780万人の観客が集まると見積もっている。

選手や大会関係者、メディアの輸送で、大会組織委らは「過去の大会で設置されたオリンピックパークやメディア村が存在せず、選手村や競技会場、メディアセンターが既成市街地や物流拠点である臨海部に点在する」ことが課題と認識。夏の行楽シーズンと大会期間が重なる上、1年の中でも首都高速道路は交通量や事故が多く混雑しやすい傾向があるとし、「日常の都市活動への影響を最小限に抑えながら、大会輸送を安全・円滑に行うことが不可欠だ」としている。

 観客輸送では、多くの競技会場が公共交通機関の駅から徒歩圏内に配置され、平日の朝夕時間帯は通勤と観戦の移動が重なり各路線で混雑が予想される。特に競技会場が集中する臨海副都心エリアは「局所的に需要が集中し混雑する恐れがあり、観客輸送と一般輸送を両立することが必要だ」と見ている。
競技会場と大会ルート(高速道路)の関係図
大会組織委らは、過度な交通需要集中を防いで混雑緩和を実現する「交通需要マネジメント(TDM)」と、混雑想定個所で通行抑制・制限を行い交通量をコントロールする「交通システムマネジメント(TSM)」を組み合わせ、大会関係者や観客の円滑な移動・輸送と安定的な都市活動の両立を目指す。同検討会はTDMで①ベース交通量の削減目標②特に需要を抑える必要がある日の交通量削減方法③観客と一般利用者の集中抑制策-などを、TSMでは①大会関係者専用レーンを設置した場合の影響②特定エリアへの交通流入コントロール策-などを、それぞれ検討する。
国際放送センターが置かれる東京ビッグサイト
(ⓒ tokyo2020)
大会期間中、車両移動で利用が見込まれる首都高速道路の場合、オリンピック・パラリンピックの開催と重なる7~9月の交通状況を見ると、2015年度実績で1日当たりの交通量は7月が99・2万台、8月が97・9万台、9月が97・5万台。1カ月で1100件前後の事故が発生しており、1年の中でも7~9月の3カ月は事故が特に多かった。
東京・晴海の選手村建設予定地(ⓒ tokyo2020)
競技会場と公共交通機関の関係を見ると、臨海副都心エリアは国際放送センターが立地し、水泳や体操、テニスなどの11施設が配置され選手村なども整備される一方、鉄道駅は数が限られ、輸送能力にも課題がある。

 同検討会は今後、テーマごとにワーキングループ(WG)を立ち上げ、具体的な協議を推進。WGの検討成果を踏まえ、17年度内に「交通マネジメントの方向性(案)」を取りまとめ、大会組織委などに提言する。

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