2017年8月31日木曜日

【回転窓】平和を願う舞踏を

今年はインド独立70周年に当たり、日印友好交流年として日本でもさまざまなイベントが実施されている▼先日インド大使館で舞踏公演を鑑賞する機会を得た。同国北部ジャンムー・カシミール地方のスワンザル財団舞踊団が来日し、現地語によるオペラや音楽、ダンスを披露。スピード感のある動きとしなやかな所作は見る者をうっとりとさせる魅力があった▼オペラは擬人化された鳥や花たちが主役。大雪で苦しめようとする冬の季節に打ち勝って、暖かな春を迎えるというストーリーで、平和への敬意や平穏への願いが込められているそうだ▼カシミール地方は豊かな自然に包まれた美しい場所だ。旅行で訪れた際に見た荘厳なヒマラヤの姿は今も脳裏に焼き付いている。ただ美しい風景とは裏腹に領有権を争う隣国パキスタンとの紛争地帯という側面もある。第2次世界大戦後の国境の線引きがいまだに混乱の火種としてくすぶっている▼同地方の現状は緊張が高まる東アジア情勢とも重なる。武力を背景にけん制し合う状況は打開しなければならない。互いに平和の舞を鑑賞できる時が、一刻も早く訪れることを願う。

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