2017年8月24日木曜日

【どうなってるの!?、五輪施設整備】最終回の6回目は札幌ドームや埼玉スタジアムなど5会場

 「どうなってるの!?、五輪施設整備」シリーズ、最終回の6回目は札幌ドームや埼玉スタジアム2002など5会場の現状や今後の見通しなどを紹介する。

札幌ドーム
天然芝ピッチにした札幌ドーム(ⓒ tokyo2020)
【所在地】  北海道札幌市豊平区羊ケ丘1

 【開催競技】 サッカー
札幌ドームの全景(ⓒ tokyo2020)
【施設動向】 サッカーと野球2つのプロチームの本拠地となっているドーム型スタジアム。施設は札幌市が所有し、札幌市と民間が出資する第三セクターが運営管理を行っている。約4万人が入場可能で、2019年ラグビーW杯でも使用される。札幌市が札幌ドーム保全計画を策定していて、ホヴァリングサッカーステージの天然芝の更新、サッカー用照明設備の更新などが予定されている。新たな照明をLEDタイプにして明るさ向上と使用電力の低減を図り、ラグビーW杯や東京五輪に備える。
宮城スタジアム
宮城スタジアムの全景(ⓒ tokyo2020)
【所在地】  宮城県宮城郡利府町菅谷字舘40の1

 【開催競技】 サッカー
宮城スタジアムのトラックとフィールド(ⓒ tokyo2020)
【施設動向】 2000年に完成した陸上競技・球技兼用スタジアム。施設規模はSRC・RC・S造6階建て延べ5万7564㎡で、収容人数は約4万9000人。宮城県が建設し、「宮城県スポーツ振興財団」らによるグループが指定管理者となり運営管理を行っている。

 宮城県はスタジアムの大規模改修に着手し、五輪競技の開催基準を満たす照明設備や2面の大型ビジョンの設置、芝の張り替え、仮設メディア・センターなどの整備を行う方針だ。

 2017年度6月補正予算に芝改修の設計委託費を計上した。17年度内に芝の改修設計を終え、来年度以降に芝改修工事を発注するとともに、設備改修を行うための設計なども委託する。
埼玉スタジアム2002
6万人以上を収容する国内最大規模の球技専用スタジアム
【所在地】  さいたま市緑区美園2の1

 【開催競技】 サッカー
スタジアムの内部(ⓒ tokyo2020)
【施設動向】 6万3700人を収用できるサッカー専用スタジアム。規模はRC造6階建て延べ6万0867m2。埼玉県が所有し、埼玉県公園緑地協会が指定管理者となり運営管理を行っている。

 東京五輪に向け、埼玉県が大規模改修事業を進めていて、初弾の設計業務として「埼玉スタジアム2002コンコースほか改修工事設計業務」と「同外壁ほか改修工事設計業務」の2件が2015年6月に発注された。改修工事は分割発注され、2015年度は外壁の修繕やスタンド改修などを実施。以降も改修に向けた設計業務や設備改修工事などが順次、進められている。
横浜国際総合競技場
横浜国際総合競技場の全景
【所在地】  神奈川県横浜市港北区小机町3300

 【開催競技】 サッカー

 【施設動向】 国内最大の7万2327席の観客席を有する陸上競技と球技の兼用スタジアム。横浜市が所有し、横浜市体育協会・管理JV(ハリマビステム、東京ビジネスサービス、シンテイ警備、西田装美)共同事業体が指定管理者となり運営管理を行っている。

 2019年にラグビーワールドカップ(W杯)の決勝戦も行われる。改修工事の基本・実施設計は松田平田設計が担当。改修工事の内容は特定天井改修(観客席上部、2階正面玄関前天井)とフィールド床補強、大会関連諸室空調設備更新。特定天井は新たな耐震基準に沿った補強を進める。フィールド床は地下部分から補強し、フィールド上への重機などの乗り入れを可能にする。
来夏までにピッチはハイブリッド芝に切り替わる予定だ
(ⓒ tokyo2020)
ラグビーW杯、五輪サッカーと国際的な試合が続き、サッカーJリーグ・横浜F・マリノスもリーグ戦などで使用する。横浜市はピッチ状態を良好に保つため、総天然芝に比べ耐久性が高い、天延芝と人工芝を組み合わせた「ハイブリッド芝」の導入を決定。8月1日に「フィールド芝開発・育成事業」を1億1900万円で東洋グリーンに委託した。

 計画ではピッチ全面(7700㎡)と新横浜公園内ほ場(1000㎡)の合計8700㎡をハイブリッド化する。来年6月までを育苗期間とし、その後ほ場からの切り出し・運搬作業を実施してピッチ全面をハイブリッド芝に切り替える予定。芝の育苗と並行してハイブリッド芝の維持管理・育成手法も確立する。
茨城県立カシマサッカースタジアム
カシマサッカースタジアムの全景(提供:茨城県)
【所在地】  茨城県鹿嶋市神向寺後山26の2

 【開催競技】 サッカー

 【施設動向】 日本初の本格的なサッカー専用スタジアムとして1993年4月に誕生。規模はRC・SRC・S造6階建て述べ8万5019㎡。約4万人の観客を収容する。茨城県が所有し、鹿島アントラーズFCが指定管理者となり運営管理を行っている。7月10日に国際オリンピック委員会(IOC)理事会で、東京五輪のサッカー競技会場として正式に承認された。東日本大震災の被害から復興した競技会場であることなどが評価された。
カシマスタジアムのスタンドとピッチ(ⓒ tokyo2020)
県はスタジアムの経年劣化に対応するため、改修工事を継続的に実施している。6月には屋根鉄骨修繕第4期工事を4億1900万円で常総開発工業に発注。スタジアムを覆う屋根のうち南東側10スパン分、延べ1500㎡を改修する。県は座席や階段、トイレの改修、屋根鉄骨修繕の5期工事も17年度内に発注する計画を立てている。

 さらにJリーグが進めるスタジアムのスマート化プロジェクトに関連し、7月に高密度wi-fiが導入された。455基の公衆無線LANアクセスポイント(AP)を整備。スタジアム全観戦エリアと近隣エリアで高速データ通信が可能になった。


「どうなってるの!?、五輪施設整備」の回目はこちらから。

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