2017年9月6日水曜日

【回転窓】治水の選択肢

豪雨災害が後を絶たない。政府が最大級の警戒を呼び掛ける「特別警報」は今夏も鳴り響いた。被害を重く受け止め、国土交通省水管理・国土保全局は、治山治水予算を前年度比16%増とする18年度概算要求に踏み切った▼新規事業に雨竜川(北海道)など三つのダム再生を計上。調査開始から45年以上が経過している城原川ダム(佐賀県)を建設段階に移行する方針も表明した▼ストックを有効活用する再生事業と同じように、ダムの新設を求める声が高まっている。「脱ダム」などと言われ政策に翻弄(ほんろう)された経験と、頻発する豪雨災害を踏まえ、ある建設関係団体の幹部は「治水の選択肢を広げるべきだ」と訴える▼城原川を含め、事業化された直轄ダムは数えるほどしかない。記録的な大雨が日常化する中、人口が集積する首都圏であっても堤体建設が進むのは八ツ場ダム(群馬県)だけにとどまる▼甚大な被害をもたらした紀伊半島豪雨から6年、広島市の土砂災害から3年。気候変動で豪雨災害は多発化と激甚化の一途をたどっている。被災者を減らすために何をするべきか。ダムの必要性がもっと注目されていい。

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