2018年1月31日水曜日

【回転窓】国家資格の受験機会拡充

当の本人は誇らしくもあり、少し照れくさくもあるかもしれない。工業系高校の校舎を囲むフェンスに掲示されている二つの横断幕を見て、そんな生徒たちの顔が目に浮かんできた▼横断幕に書かれていたのは、電気工事コンテスト関東大会に出場した生徒と、電気主任技術者の資格試験に合格した生徒の名前。後者の幕には「難関 国家資格合格」とある。生徒の頑張りをたたえつつ、合格者をもっと出そうという学校側の熱の入れようが伝わってくるようだ▼身近な地域にある学校とはいえ、そこで学ぶ生徒が挑んだ大会や資格試験などの結果を知る機会はほとんどない。ホームページを見れば入手できる情報もあるが、横断幕や垂れ幕は学校と地域をつなぐ貴重な掲示板の役割を果たしているとも言えよう▼建設業法に基づく施工管理技術検定は、来年度から建築と土木に続きすべての種目で2級学科試験が年2回に増える。この見直しで期待されるのが高校生の受験・合格者増である▼資格取得はこれからのキャリア形成を大きく後押ししてくれる。担い手を確保・育成していくためにも受験機会の拡充策を歓迎したい。

【有楽町に新ランドマーク】東京ミッドタウン日比谷、2月1日竣工

明日竣工する東京ミッドタウン日比谷
グランドオープンは3月29日を予定している
三井不動産が東京・有楽町の三信ビルディングと日比谷三井ビルディングの跡地で建設していた延べ約19万m2規模の複合施設「東京ミッドタウン日比谷」が2月1日に竣工する。

 東京圏で初めて国家戦略特区街区の区域認定を受けた案件。マスターデザインアーキテクトはホプキンスアーキテクツ、都市計画・基本設計・デザイン監修は日建設計、実施設計・監理・施工は鹿島が担当した。3月29日にグランドオープンする。

 所在地は千代田区有楽町1の1の2(敷地面積1万0702m2)。建物はS・SRC・RC(CFT)造地下4階地上35階建て延べ18万9245m2の規模。オフィスや商業施設、シネマコンプレックスなどで構成する。

 竣工に先駆け、30日に三井不動産の菰田正信社長が現地で記者会見し、「東京ミッドタウン日比谷が東京の活性化の核となる」と期待を述べた。

「パークビューガーデン」㊤と「BASE Q」内部

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/建設省が17年を総括

 建設省は16日、ハノイ市で17年の総括と18年の事業計画の発表を行った。会議にはグエン・スアン・フック首相が出席した。

 レ・クアン・フン副大臣は冒頭、17年を総括して「社会情勢とマクロ経済の安定、インフレの抑制により建設産業は好調だった」と評価。政府の投資促進や事業環境改善に向けた政策が有効に実施され、建設業の成長につながったとした。

 18年は、建設省の各部署がイニシアチブをとって計画の実行、関連法令の整備を進める。建設プロジェクトの管理、都市開発・住宅建設の計画・法令に沿った実行、不動産・建材市場の管理、国営企業の株式化推進などに取り組むと報告された。
 17年時点の全国の都市化率は前年から0.9ポイント上昇して37.5%で、16年の第12回共産党大会で示された国家目標をほぼ達成した。都市マスタープランの策定率は100%で、ゾーニング計画は77%(前年比2ポイント増)、詳細計画は38%(3ポイント増)となった。
 都市部の水道普及率は1ポイント増の84.5%で、廃棄物処理率は0.5ポイント増の85.5%。上水道の損失率は0.5ポイント減の23%だった。一人当たり住宅面積は23.4m2となり前年より0.6m2増加。セメント消費量は7%増の8100万tと計画量を達成した。

セイ・ズン、1月26日)

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/死亡事故毎年20%以上減へ

韓国政府は、大手建設会社100社に今年から死亡事故を年間20%ずつ減らすことを義務付けた。労働災害死亡事故減少対策を「国民生命守り3大プロジェクト」の一つに位置付けて推進する。

 16年の韓国における労働災害事故死者数は969人。政府は、これを22年までに500人以下まで減らす目標を掲げ、対策を推進する。特に建設、造船、化学、金属・機械製造の業種を対象に、集中的な安全管理を強化する。

 建設大手100社には、死亡事故を毎年20%以上減らす「目標管理制」の導入を推進。死亡事故を繰り返す場合は、全国現場単位で安全監督を実施する。

 発注者と元請業者の安全管理義務や役割を強いる一方、現場労働者の責任も強化。公共工事の現場でヘルメットや安全帯を着用しないなど、安全規則を2回違反すると、即時退去措置を講じる。事故が多発する移動式クレーンなどの建設機械設備の管理も強化し、後方確認装置など安全装置の設置を義務付ける。

CNEWS、1月24日)

【回転窓】見果てぬ宇宙への夢

空気の澄み渡ったこの時期、晴れた夜に空を見上げると、きれいに瞬く星々が見られる。光があふれる都心ではなかなか難しいが、少し郊外に出れば美しい夜空を十分楽しむことができる▼東京大学らが10年以上前から推進してきた天体観測プロジェクトで先週、口径6・5メートル、高さ15メートルという巨大な「光赤外線望遠鏡(TAO望遠鏡)」が完成した▼重さ約200トンに達する望遠鏡は、銀河が誕生する時に放たれる光を観測可能な性能があり、宇宙誕生の様子が観察できると期待されている。兵庫県播磨町で仮組みされた望遠鏡はこの後、南米チリに運ばれて、北部にあるチャナントール山山頂の観測所に設置される▼標高5000メートルを超える同山頂は、宇宙からの赤外線を吸収する水蒸気がほとんどないことから天体観測に適した環境といえるが、その分、生きものにとっては過酷な環境であり、作業には酸素ボンベが常時必要という。山頂まで資材を運び上げ、望遠鏡を組み立てるのだろうが、事故なく無事の完成を願いたい▼飽くなき探求心が新たな発見を生み出す原動力になる。この姿勢はものづくりの仕事も同じだと思う。

【見学の思い出にかきかき】三重県四日市市、中央緑地フットボール場で子ども見学会

 三重県四日市市は、今夏の全国高校総体、21年の三重国体に向け整備を進めている「四日市市中央緑地フットボール場」(日永東)で29日、現場見学会を開いた。

 市立日永小学校3年生の児童約70人が参加、現場を体験し、建設業を身近に感じていた。施工はフジタ・アイトム建設・杉本組JVが担当している。

 冒頭、高野卓哉四日市市教育委員会国体推進課長が「サッカー場がどうつくられるのか知ってもらい、夢を描く手伝いをしたい」とあいさつ。冨元貴志JV所長(フジタ)は「ものづくりに興味を持つきっかけになれば」と話した。

 児童たちは、工事の内容を聞いた後、バックホウの操作や測量を体験。施工前の人工芝の下に記念のメッセージを書き入れたり、既に張られている人工芝でボールを蹴ってミニゲームを楽しんだりした。

 児童の一人は「学校に帰って、楽しかったことをみんなにも伝えたい」と話していた。
 同フットボール場は、昨年3月から整備されているJFA(日本サッカー協会)公認人工芝3面のサッカー場。Aフィールドはサブトラック付き、Bフィールドはアメリカンフットボール兼用、Cフィールドはラグビー兼用になる。B、Cフィールドは5月1日、Aフィールドは7月1日にオープンする予定。

【坂倉建築を保存・再生】鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)に新ミュージアム

 ◇県立近代美術館鎌倉館をリニューアル◇

 鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)は、境内にあり16年3月末に閉館した旧神奈川県立近代美術館鎌倉館を再生し、19年春をめどに「鎌倉文華館鶴岡ミュージアム」としてオープンする。

 現在、耐震工事などに入っている。文華館では展示や文化イベントのほか、資料や作品の収集・保存、調査研究などを行う予定。県重要文化財に指定されている旧鎌倉館の建築価値を保存しながら、新たな文化活動の拠点づくりを目指す。

 所在地は鎌倉市雪ノ下2の1の31(鶴岡八幡宮境内)。旧鎌倉館は1951年、日本初の公立近代美術館として開館。建物は日本の近代建築を代表する建築家・坂倉準三の作品として知られている。敷地面積は4243平方メートル。建物はS造2階建て延べ1575平方メートル(本館棟)の規模で、施工は馬淵建設(横浜市南区)が担当した。

 同館は、立地する鶴岡八幡宮の境内が国の史跡に指定されていることもあり、改修工事などを行って美術館として継続利用することが困難な状況だった。一方で建物の歴史的・文化的価値の高さから存続を求める声が多数寄せられたこともあり、県と八幡宮は要望も踏まえて、耐震改修や存続を視野に活用策の検討を続けた。県は16年12月、神社側が耐震等改修後に文化的施設として利用する方針を明らかにし、地域貢献につなげる方針を打ち出したことから、無償譲渡を決めた。

【北・東側ゲートには震災被災地産材使用】新国立競技場、3月末から木製部分の施工開始

 日本スポーツ振興センター(JSC)は、2020年東京五輪のメインスタジアムとなる新国立競技場(新宿区ほか)の建設で、47都道府県から調達した国産木材を使用する。

 調達した木材の加工・防腐処理を順次行っている段階で、3月末から木製部分の施工に入る。

 全国から計145立方メートルの木材(認証材)を集め、スタジアム周囲の軒・ひさしなどに活用する。エントランスゲートのうち、北・東側ゲートには11年の東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島各県、南側ゲートには16年に熊本地震があった熊本県の木材を用いる。

2018年1月29日月曜日

【回転窓】つながりを保つ「またね」

「きょう一日、ありがとうございました!」。少年サッカーの大会で、1試合終えた子どもたちが相手チームのコーチや関係者に大きな声であいさつをしていた▼このあいさつ、普段は練習や大会を終えた時に保護者に向かって行っているものという。「あいさつはとても大切」というコーチの教えを忠実に実践し、まだ試合が残っているのにいつものあいさつをする子どもたちのほほえましい光景に、保護者たちも大いに和んだ▼建設関係団体が主催する新年賀詞交歓会や懇談会が各地で開かれている。「また一年よろしく」「インフルエンザ大丈夫?」。会合で顔を合わせた取材先の方々が、短くてもそうしてあいさつの声を掛けてくださると、記者としてもうれしいものである▼「またね」「またお会いしましょう」-。以前に取材で会った人から、別れ際のあいさつにそんな一言を添えるよう努めていると聞いた。さりげないが、再会を前提に人とのつながりを促すとても温かい言葉だと感じた▼転勤に人事異動と今年も間もなく別れの季節が来る。「またね」。あいさつの言葉に気持ちを込め、人のつながりを保ちたい。

【国際規格リンク、来年12月オープンへ】関空アイスアリーナ整備事業、MULプロパティら4社グループに

大阪府泉佐野市は「関空アイスアリーナ整備事業」の事業者を決める公募型プロポーザルで、MULプロパティ・安井建築設計事務所・淺沼組・日本土木建設グループを最優秀提案者として選定した。

 関西国際空港に近接するりんくうタウンに国際規格のアイススケート場を、実施設計・施工・リース一括方式で整備・運営する。グループ構成企業は、リース・実施設計・工事監理・建設の各業務をそれぞれ担当する。

 施設概要は2階建て延べ4800平方メートル程度でメインリンク(国際競技規格)とサブリンク(一般滑走用)を整備する。1階には会議室や事務室兼救護室、軽食・休憩スペース、トレーニングルームなど、2階には500席以上の観客席を設ける。リース施設の賃貸借期間は20年以上を予定する。

 基本設計段階の概算工事費は15億9500万円(税抜き)。市は17年12月補正予算で、施設借り上げ料に28億3393万9000円の債務負担行為を設定している。

 予定では2月に実施設計に着手し、9月に着工する。19年9月に工事を完了し、同10月に供用を開始する見通しだ。

【凜】NIPPO新本社ビル建築工事作業所・中村瞳さん

 ◇社内初の女性現場所長に◇

 幼い頃から内装工事業者として現場で汗を流す父の姿を見てきた。自然と建設に関心を持つようになり、大学は建築学科へ。「現場でものづくりに携わりたい」と建設会社への就職を希望した。

 NIPPOを知ったのは、学生時代から力を入れていたテニスがきっかけ。会社選びの際、ホームページに大きく映し出された東京都江東区の有明テニスコートを見て興味が湧いた。

 人事担当者の人柄も良く、「体育会系の自分には合っている」と感じ、入社を決意した。建築部門では初の女性技術者誕生だ。

 最初に配属された都内の老人ホーム新築現場では、現場で飛び交う専門用語が分からず右往左往することも多かった。仕事が長時間に及ぶこともあったが「外で動き回るのはイメージしていた通り。職人さんも優しく、大変だと思ったことはない」と話す。

 現在の職場は、東京都中央区で進む本社ビル建築工事作業所。プレキャスト(PCa)コンクリート造のビルの躯体工事を担当している。「外装や躯体工事の精度が仕上げに影響する」ことから、気を引き締めて日々、仕事と向き合っている。

 「結婚、出産しても現場の仕事を続けたい」

 周囲からは社内初の女性現場所長にとの声もある。「期待に応えられるように頑張ります」と笑顔で話す。

 (なかむら・ひとみ)

【建設業の心温まる物語】平賀工業(岡山県)・平賀久康さん

 ◇今は亡き父からの一番のプレゼント◇

 私は高校を卒業して建築の専門学校に行き、大阪に本社があるゼネコンに就職しました。そこで現場監督を10年ほど経験しました。

 私は四国で家族とともに暮らしていましたが、ある日、岡山に住む母から「お父さんが倒れたから戻ってきて家業である左官業を継いでくれ」と電話がありました。突然のことでとてもびっくりしました。

 父は中学校を卒業後、左官の腕を磨き、その後会社を設立していたのです。私は悩んだ結果、実家に戻り父の家業を継ぐことを決意しました。しかし、左官の仕事は今まで行っていた現場監督とは畑違いの仕事です。私は、なんとなく現場監督の方が、格上という意識があり、左官という職種になかなか慣れませんでした。

 その後、父は車いす生活になってしまいました。私は、これからどうすればよいのか、思い悩みながらも、忙しくて愚痴を言う暇もないまま、がむしゃらに左官の仕事を行っていました。

 私が左官の仕事をし始めて10年ほどたったある日、父から「東京に行くから連れていってやる」と言われました。東京に何をしに行くのかと、不思議に思いました。東京に行く理由、それは、黄綬褒章を天皇陛下から授与されることになったのです。

 その日、私は父の車いすを押しながら皇居にいました。父が黄綬褒章を授与される瞬間に立ち会うことができたことは、最高の思い出です。いつも厳しい父でしたが、父を誇りに思うとともに、今は亡き父からの一番のプレゼントです。親子二代で受賞できるよう、今後ますますがんばる決意です。

【建設業の心温まる物語】小田鐵網(愛知県)・大島芳崇さん

 ◇不安な思いから救ってくれた若手社員の成長に感謝◇

 のり面工事の現場で起工測量を行っていた時の話です。当時は元気な社員が多く、いけないことですが、のり肩まで命綱も安全帯も着けずにスパイク付きの長靴で登っていって測量をしていました。私もそのうちの一人でした。

 しかし、年を重ねるごとに体が衰え、体形も変わり、体がきつくなってきていました。会社の中の地位が上になり、若手をひっぱっていかなければならない立場になってきたため、「怖い」「しんどい」とはいえません。そのうち、起工測量に出掛けることが、憂鬱(ゆううつ)に感じるようになりました。

 そんなある日、若手社員の一人Aくんが、私の気持ちを察して次のように言いました。

 「大島さん、無理せんでいいですよ。俺たちが上に登って測量テープをのり尻に垂らすからポイントに目盛りのゼロを当ててくれればいいです。のり長は俺たちで読むから野帳に展開図書いて寸法記入してください」

 そう言うなり、Aくんは測量テープを持ってひょいひょいとのり面をのり肩まで登っていきました。

 私は高所の恐怖から解放され、不安な思いもなくなり、ただただAくんに感謝するばかりでした。

 そして入社当時は右も左も分からなかった新人が、その時ほど大きく頼もしく思えたことはありませんでした。人の気持ちを考えられる、優しく立派な技術者に育ち、大変うれしい気持ちになりました。

【建設業の心温まる物語】亀田組(石川県)・亀田重樹さん

 ◇どんな会社か理解してもらえるチャンス◇

 20年ほど前に、県道改良工事を施工したときのお話です。道路の両側にある開口水路をふたつきの水路にして道路幅を1メートル拡幅する工事でした。当時私は入社して2年目くらいで、工事の内容や施工方法を理解しておらず、先輩社員の指示に従うだけで精いっぱいの毎日でした。

 工事をしている道路は地域の生活道路だったため、朝は小中高生や出勤する住民の通行で混雑していました。その上、車がぎりぎり2台通過できるかどうかの狭い県道でした。わたしが子供のころから歩行者が通行しにくい道路で、たまに水路に落ちてしまう人がいたほどです。

 そんな状況のため、工事中は毎朝のように、近隣の方々から苦情を言われ、工事がなかなか進まず、工事が始まってから10年近くかかっていました。

 私は近隣住民に迷惑をかけているのでせめて何か手伝いができないかと思い、朝の小学生の通学パトロール、ゴミ出しの手伝い、高齢の方の手伝いなどを長い間続けていました。その気持ちがようやく通じ、工事が完了するころには地域の方々から「道路を広げてくれてありがとう」とお礼を言われることが多くなりました。

 長い年月をかけて、こつこつと進捗(しんちょく)する工事を進める事は苦労が多いです。しかし、「地域の方々に自社のことを理解してもらうことができるチャンスをいただいているんだな」と思えるようになりました。今では私の息子がその道路を元気に登校しています。

【サークル】先端建設技術センター teamACTEC


 ◇楽しく走るがモットー、練習会場は皇居外周◇

 ランニングイベントに個人参加していた職員同士で16年5月に合同練習会を開いたのが、先端建設技術センター(佐藤直良理事長)のランニングクラブ「teamACTEC」が発足したきっかけ。以来、東京都千代田区の皇居外周(1周5km)で月1回、練習会を開いている。

 フルマラソンやハーフマラソンなどに出場するメンバーも多いが、普段は走らない職員も参加するようになるなど、徐々にその数が増えていった。国土交通省やゼネコンなどからの出向者も多い組織の中で、約20人がこれまでに月例練習会で汗を流した経験を持つ。

 活動のモットーは「楽しく走って、楽しく飲む」と話すのは、クラブ代表で自身もフルマラソンに挑戦している総務部主任主事の吉井久美子さん。目下の悩みは女性メンバーが少ないことだが、「いきなりランニングではハードルが上がるので、ウオーキングでの参加も大歓迎です」。

 職員全員が楽しめるリレーラン&ウオーキングイベントを3月に開催しようと企画中。初の駅伝大会参戦も計画する。本年度は緑の水玉模様をあしらったチームシャツを新調した。

【駆け出しのころ】徳倉建設常務執行役員・岡田夏樹氏

 ◇いろいろな経験積み視野広げる◇

 大学進学時に建築を選んだのは特別な理由があった訳ではありませんが、漠然と「ものづくり」には関心がありました。大学で意匠を学び、89年に入社。最初は何も分からず、右往左往する毎日でした。職人さんに質問されても即答できず、先輩社員や上司にその質問を伝え、答えをまた職人さんに伝えました。12階建てのマンションの建築現場では最上階から現場事務所にいる先輩に聞きに行くため、1日に何往復もしました。

 こうした繰り返しの中で、現場で必要な知識を見て、聞いて、体で感じ、少しずつ覚えていきました。工事が終盤になり、足場が取れ、これまで造ってきた建物の容姿が見えた時の感動は今も忘れられません。完成後、家族を連れて現場に行き、この建物を建設したんだと言ってよく見せたものです。

 建築技術者としての転機は、33歳の時に担当した長崎県対馬の小・中学校合同施設工事です。数年前から現場所長になっていたのですが、まったく知らない土地に単身で乗り込み、下請業者探しからするというのは初めての経験でした。

 電話帳から設備業者をまず探し、その業者から鉄筋や型枠など各専門工事業者を紹介してもらいました。職人が足りない時は支店にも応援を要請し、資材の手配も綿密な工程表を作成し対応しました。ただ、ある時、資材を積んだ船が座礁して届かないこともありました。

 それ以前にも愛知県内で現場所長を担当させてもらいましたが、その時は本社の支援があり、何よりも先輩方が長年築いてきた協力会社との強い信頼関係がありました。その大
きな土台の上で、仕事をさせてもらっていたことが、この現場に来てよく分かりました。

 同時に近隣住民とのコミュニケーションの大切さも知りました。建設する施設は地元の漁師や農家の子どもたちや孫が通う学校です。それだけにみなさん親切にしてくれて、単身の私を夕飯にも誘ってくれました。そこでいろいろな話ができたことも思い出深いです。

 現在、建築部門の現場と営業部門の両方のマネジメントを担当しています。営業を担当して、分かったことがたくさんあります。

 現場担当者は図面を見ながら、与えられた予算内で良質なものを効率的に造ることが求められます。一方、営業担当者は細い糸のようなものを見つけ、そこから少しずつ手繰り寄せ、工事を受注します。苦労の多い仕事です。

 専門性を極めるということも大事ですが、従来の殻を破って新たな業務に挑戦し、経験することも大切です。それによって見えていなかったものが見え、新たな視野が広がります。若い人たちにはぜひいろいろな経験をしてほしいと思います。

 (おかだ・なつき)1989年愛知工業大工学部建築学科卒、徳倉建設入社。建築現場を担当し、06年本店建築部工事長、09年同建築部副部長、12年副本店長兼本店建築部長、13年執行役員副本店長兼本店建築部長を経て、17年常務執行役員建築事業本部本部長代行建築全般担当。名古屋市出身。51歳。〈建築事業本部長代行建築全般担当〉
自分が建設に携わった建物は、必ず家族を連れて見せに行っていた
(長崎・対馬で)

2018年1月26日金曜日

【回転窓】都会の「お互いさま」

「駒沢方面です。一緒に乗っていきませんか」。首都圏に大雪が降った22日の夜、東京の渋谷駅前でタクシーを待つ人に一人の中年男性が呼び掛けていた▼降雪で電車やバスなどの公共交通機関は大混乱。駅前のタクシー乗り場には帰宅を急ぐ人が長蛇の列をつくった。降りしきる雪の中でタクシーを待ちわびていた高齢の女性たちが男性の声に手を挙げて一緒に乗っていった▼タクシーは1台に3~4人が乗れる。緊急時には皆が同様の声掛けを行えば輸送力は3~4倍になる。困った時はお互いさま、袖振り合うも多生の縁である。多くの人が相身互いの精神を持てば、都会も今よりもっと暮らしやすくなろう▼見知らぬ者同士がタクシーを共同で利用する「相乗りタクシー」の実証実験を国土交通省が東京都内で始めた。利用者がスマートフォンの専用アプリを使って乗車地と目的地を設定すると、同じ方向へ行く客を選んでマッチングしてくれるという▼1人で乗るより運賃は割安。タクシーが使いやすくなり、輸送効率も向上すると国交省はみている。先進技術を駆使する都会の「お互いさま」。実験結果に期待しよう。

【最新技術導入の需要開拓活発に】メーカー各社、建設分野でしのぎ削る

 建設現場でICT(情報通信技術)やロボットを活用する動きが広がる中、機械やシステムが不具合を起こす前に検知し、最悪の事態を回避する「予兆保全」などの新ビジネスが脚光を浴び始めている。現場作業を補完するロボットスーツや高所点検を効率化するドローン(小型無人機)などは人間の作業負担が減る一方で、ひとたび不具合が生じれば生産活動が停止してしまうリスクもある。日進月歩で進化する技術を建設現場にどう活用していくのか。新規需要を探る動きは活発になっている。

 17~19日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた「ロボデックス-ロボット開発・活用展」。会場には人工知能(AI)やロボット、IoT(モノのインターネット)システムなどが所狭しと並べられ、担当者らが製品を熱心にアピールした。
 生産現場で自動化、ロボット化の動きが拡大する中、機械に不具合が生じる前に予兆を見つけ出し、対策を促す「予兆保全」ビジネスに目を付ける企業が出始めている。

信和産業らが出展した「エッジノードディスカバリーセグ」は、非破壊検査の「アコースティック・エミッション(AE)法」で、ロボットなどの精密機械や工場の生産設備、橋・道路などの土木構造物に現れる“損傷の芽”を見つける。製品本体から伸びるセンサーを、対象物に固定し、監視の頻度を設定すれば自動的に定点観測を行う。

 不具合を検出するとランプで警告。利用者は1日に何度かパソコンで観測結果を確認するだけで、不具合の予兆を察知できる。信和産業の担当者は「技術革新が進むにつれ、事故や不具合で受ける被害規模が大きくなっている」と指摘。先端技術が普及すればするほど、不具合の予兆をいち早くとらえる予兆保全ビジネスの商機が拡大すると展望している。

 東京理科大学の教授らが立ち上げたベンチャー企業・イノフィスは、「マッスルスーツ」を出展した。重量物の上げ下ろしを補助するウェアラブルロボットで、作業時の腰への負担が減らせる。購入先の7割は介護業界だが、建設・物流業界からの引き合いも急増しているという。

 同社の担当者は「中国やアジアでも高齢化問題は顕在化してくる。市場は世界に広がる」と製品の将来性に自信を見せる。

 産業機械などを扱うJUKIは、工場作業を自動化する需要の高まりを受け、部品棚から生産ラインまで、制御基盤などの電子部品を運ぶロボット・システムを展示した。トピー工業らも床下・設備点検ロボット「エニーライト」を出展し、来場者の関心を引いていた。

 エニーライトは住宅の床下や工場のエアダクト内などを走らせ、搭載した高性能カメラで内部の様子を撮影・把握できる。住宅リフォーム業界などを中心に導入が広がる。赤外線サーモグラフィーカメラを積んだドローンで太陽光発電パネルの損傷を検出する、エアロエムズの「ドローン設備点検システム」にも人だかりができていた。

 上空からドローンで太陽光パネルをチェックし、4~5日かかっていた4000枚の点検を4時間で終えられる。同社の担当者は「太陽光発電の新設案件は減ったが、維持管理費を下げる要望は増えている。建物の外壁点検・修繕にドローンを使う動きも活発になってきた」と市場の広がりを説く。

【〝奥村くみ〟さんの活躍にこうご期待】奥村組がTVCM初制作、森川葵さんが建設LOVEな理系女子に


 実力派女優・森川葵さんが建設LOVEな新人理系女子に-。奥村組が初のテレビCMを制作した。CMは森川さん演じる「奥村くみ」が、物流センターやトンネルの建設現場などでのさまざまな出会いを通じ、大切な何かを見つけていくストーリー。全4話(各30秒)構成で、同社がメインスポンサーとして協賛する28日開催の「第37回大阪国際女子マラソン」番組内で放映される。CMや楽曲を提供した竹原ピストルさんの情報は同社ホームページのCMギャラリーまで。
森川さん演じる新人理系女子「奥村くみ」の活躍にこうご期待
 奥村組の新入社員・奥村くみを演じる森川さんは、高校時代に工業科でインテリアを学んでいたため、ものづくりへの思いは人一倍。シンガー・ソングライターの竹原ピストルさんがCM用にオリジナル楽曲「いくぜ!いくか!いこうよ!」を提供した。

 企業のコンセプトCM(30秒・60秒)も併せて制作した。1907年の創業以来、「堅実経営」と「誠実施工」を信条に、建設の仕事に真摯(しんし)に向き合ってきた誇りと情熱を、CM中に表れる「建設が、好きだ。」というメッセージに込めたという。

【官民連携でプロジェクト実施へ】横浜マリノス、横浜市・神奈川県横須賀市でトレーニング施設整備

 横浜マリノス(横浜市港北区、古川宏一郎社長)と横浜市、神奈川県横須賀市の3者は25日、サッカーJリーグ・横浜F・マリノスが使用するトレーニング施設の整備プロジェクトを実施すると発表した。

  新横浜公園(横浜市港北区)のトレーニング施設を拡充するとともに、JR久里浜駅周辺(横須賀市)でもグラウンドやクラブハウスなどの建設を検討する。

 新横浜公園では、第一運動公園広場の施設拡充についてマリノスと横浜市が協議を開始し、早期実現を目指す。費用はマリノスが負担する。第一運動広場は約1万5000平方メートルの広さで、使用可能種目はサッカー、ラグビー。マリノスの提案によるとグラウンドを2面化しトレーニング機能を拡充するとともに、市民がスポーツに親しむ機会を増やす。

 横須賀市は、JR久里浜駅西側のくりはまみんなの公園(久里浜1の381の4)を整備地に想定している。敷地面積は2万2628平方メートル。グラウンドはフルピッチ2面とハーフピッチ1面を想定。1000人程度収容のスタンドやトレーニングジムなどを完備したクラブハウスなども設置する計画。グラウンドやスタンド、クラブハウスなど市民も利用する施設は横須賀市が公園施設として整備し、クラブの専用施設はマリノスが建設する。

 クラブハウスの規模や整備時期などは未定。今後、横須賀市とマリノスが詳細を協議し、年内にも協定を結ぶ見通し。

2018年1月25日木曜日

【回転窓】情報を発信する者の責任

小説家は元来うそつきだが、書いたことには責任を持たなければならない-。東京メトロが先日開いた地下鉄開通90周年の記念講演会で、作家の浅田次郎さんが、自身が考える小説家のあり方をそう話していた▼作家の想像から生み出される小説の世界は現実ではない。ただ、その世界観を構築する上では、背景にあるものや関連する事象を調べ尽くし、「誠実なうそを組み上げる」といった過程が重要になる▼地下鉄を題材とした浅田作品では、地下鉄の歴史から地下鉄が社会・経済や市民に与えた影響までを深く考察しながらストーリーが展開する。史実には残っていないが、作家自身が小説で描いた出来事がどこかで起こっていたと確信しているからこそ、読者も共感を覚えるのだろう▼日々の出来事がネットですぐさま世界中に発信される昨今、事実と異なるうその情報も拡散する。米国では大統領が就任1年を機に、うそだったと見なした報道を「フェイクニュース大賞」として発表。メディアとの対立が深まっている▼立場は違っても、社会に影響を与える情報の発信者にはその内容への責任が等しく求められよう。

【施工は戸田建設】東京音楽大学キャンパス整備、緑の環境プラン部門大賞受賞

 戸田建設が施工中の東京音楽大学中目黒・代官山キャンパス整備(東京都目黒区)の緑化プラン「みどりの鎌倉街道」が、都市緑化機構らが主催する緑の環境プラン大賞で「おもてなしの庭」部門の大賞を受賞した。

 同部門は東京都限定の特別企画で、「花と緑で観光客を迎える」プランを募集した。同社開発計画部開発計画1課の戸田千春さんが資料作成とプレゼンテーションを担当。「多くの樹木・草花により、都心でありながら四季折々の風景を感じることができる。さまざまな生きものたちが集まって、ここで奏でられる音楽とみどりとともに、人々をおもてなしする空間を提案した」という。

 昨年12月4日に明治記念館(東京都港区)で秋篠宮家の眞子さまご臨席の下、石井啓一国土交通相ら関係者が出席し表彰式が行われ、東京音楽大学の鈴木勝利理事長に表彰状が贈られた。中目黒・代官山キャンパスは19年4月の開校を目指し、工事が順調に進んでいる。設計は日建設計・戸田建設JV、施工は戸田建設東京支店が担当している。

【イベントなどで交流の場提供】ケイアイスター不動産、業界で働く女性支援

 関東地方を中心に不動産販売を手掛けるケイアイスター不動産(埼玉県本庄市、塙圭二社長)が、不動産業界で働く女性の活躍を後押しする取り組みを展開している。

 女性の就業環境を整備することで、産業成長の原動力にしたい狙いがある。17年12月には不動産関連企業で働いていたり、不動産に興味があったりする女性が参加するコミュニティー「ふどうさん女子」を設立。情報交換や交流の場となるイベントを東京・銀座で毎月開いている。

 ふどうさん女子がこれまで実施した2回のイベントでは「理想の家」と「住宅ローン」をテーマに設定した。各回とも20~30代を中心に20人以上が参加したという。

 今後は不動産の知識だけでなく、女性が前向きに人生を楽しめるような生き方や働き方、お金の計画などについても情報を発信する方針だ。次回のイベントの開催日時は2月15日午後7時から。詳細はふどうさん女子のホームページで近く公開する。

【インバウンド増加追い風に】札幌市内、中規模ホテルの建設ラッシュに沸く

インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加を追い風に、札幌市内でホテル建設が加速している。

 昨年5月には、京王電鉄が北海道初進出となる新ブランドホテル「京王プレリアホテル札幌」の計画を発表するなど、昨年1年間で8件の開発計画が具体化した。

 ホテル建設ラッシュに湧く建設業界だが、建設会社の中には「近いうちにホテル建設は終息するのではないか」と、先行きを懸念する声もある。活況はいつまで続くのか、ホテル建設の動向に注目が集まっている。

 札幌市内では1月現在、13件のホテル建設が進行中だ。計画されているホテルの規模は延べ6000平方メートル前後の中規模プロジェクトが中心。規模の大きい案件は、京王電鉄の「京王プレリアホテル札幌」(延べ1万5805平方メートル)やJA三井リース建物とサンケイビルの「札幌市中央区南5条計画」(1万1067平方メートル)などが1万平方メートルを超える。

 札幌市内でもホテル業者が「採算性の高いホテルにできる」として特に進出を狙うのが、JR札幌駅と市営地下鉄南北線中島公園駅に挟まれた、大通公園やススキノを中心とするエリアだ。札幌市で効率良く運営できるホテルの規模は120~150室程度とされており、用途地域などで指定されている容積率などから見た場合、この規模のホテルが建設可能な場所は大通公園・ススキノエリアに限定される。

 旺盛なホテル建設の背景にあるのが、インバウンドの増加だ。札幌市内でホテル開発を進める企業の多くが、進出の動機として「増加し続けているインバウンドへの対応」を真っ先に挙げる。

 ◇土地高騰やスタッフ不足に懸念の声も◇

 札幌への観光客数は国内外問わず増えており、特にインバウンドの増加は著しい。国土交通省の統計によると、新千歳空港の利用者数は2011年度以降5年連続で増加し、15年度の利用者数は2000万人を突破。このうち国際線利用者数は全体の1割程度にとどまるものの、増加率は18~35%で推移しており、国内線の増加率1~9%程度を大きく上回る。

 インバウンドの増加によるホテル需要の高まりを受け、ホテルなど観光関連の施設開発は急増。建設各社は工事受注を狙うが、中には現在の建設ラッシュがいつまで続くのか、先行きを不安視する声も少なくない。

 「活況を呈しているホテル建設だが、今後は札幌都市部での新たなホテル建設は、より難しさを増していくだろう」。そう推測するのは地元建設会社の民間建設営業担当者だ。

 担当者はホテルスタッフや建設地の不足などを理由に今後、ホテルの建設ラッシュが終息する可能性を指摘。その上で「ホテル経営はホテルを建設する業者と別に、ホテルオペレーターが行うケースが多い。ホテルスタッフの不足は深刻で、安定して人材が確保できるオペレーターは多くない。加えて札幌中心部ではホテル建設に適した土地の価格が高騰しており、それがホテル建設へのハードルを一層高くしている」と、ホテル業界が抱える課題を分析する。

 札幌への進出を狙うホテル各社が人材や土地の争奪戦で苦境を強いられる中、さらなるインバウンドを見込んで複数棟のホテル建設を打ち出しているのが、外国人をメインターゲットに設定しているホテルだ。

 22日に札幌市の狸小路商店街沿いで北海道1号店となる「からくさホテル札幌」を開業したザイマックスは、同じ狸小路商店街沿いで早くも、2棟目のホテルを計画中だ。

 ザイマックスの佐藤亮祐執行役員からくさホテル事業部長は「インバウンドはまだまだ伸びる余地があり、今後も札幌でのホテル建設は続くだろう」と強気に見通す。「建設ラッシュで札幌市内の客室数そのものが増加しても、外国人観光客のニーズに対応した客室は圧倒的に不足している」と問題点を指摘。需要に応じた客室を提供することで稼働率の高いホテル経営を目指す考えだ。

 東南アジアを中心にホテル運営を展開しているレッド・プラネット・ホテルズ・リミテッド傘下のレッド・プラネット・ジャパンは、ススキノ周辺で2棟のホテルを建設中だ。同じ都市に同じコンセプトのホテルを複数棟建設する試みは、札幌が初めてという。

 同社の王生(いくるみ)貴久取締役兼最高財務責任者は「当社は東南アジアで知名度が高く、今後も東南アジアを中心に多くの外国人観光客が(北海道を)訪れると見込んでいる」と話し、2棟のホテル開業に前向きな姿勢を見せる。

 「外国人観光客のトレンドは『体験』。『爆買い』と呼ばれる現象が起きた東京と違い、札幌には買い物だけではなく食事や気候、ウインタースポーツといった体験型の観光がある。魅力的な体験を提供できる都市はリピーターも多い」と外国人観光客から見た札幌の魅力を分析する。

2018年1月24日水曜日

【日立台、三協フロンテア柏スタジアムに】三協フロンテア、レイソルとネーミングライツ契約締結

 ユニットハウスの製造販売などを手掛ける三協フロンテア(千葉県柏市、長妻貴嗣社長)は、サッカーJリーグ・柏レイソルとホームスタジアムのネーミングライツ契約を結んだ。契約期間は2月1日から2021年1月31日まで3年間。スタジアムの名称は「三協フロンテア柏スタジアム」、略称は「三協F柏」となる。

 長妻社長は「柏で創業以来、国内に500以上の拠点を構え、海外にも活動を広げてきた。柏市をはじめ近隣の方々のご厚意に応えるため、(柏レイソルの)スポンサーという形で恩返しをさせていただく」などとコメントした。

 同社は建設現場などで使用するユニットハウスをはじめ、トランクルームや立体駐車装置、植物工場の製造・販売・レンタルを手掛ける。社員数は約1250人。2017年3月期の連結業績は売上高371億円、営業利益52億円、経常利益52億円、純利益30億円。

 レイソルのホームスタジアム(日立柏サッカー場)の収容人員は1万5349人。Jリーグの多くのクラブが自治体の施設を使用し試合を開催している中、レイソルはスタジアムを自ら保有・運営している。

【インフラツーリズムで地域振興】新丸山ダム工事事務所、旅行会社対象のダム視察会開催へ

 中部地方整備局新丸山ダム工事事務所は26日、旅行会社を対象としたダムなどの視察会を初開催する。ダムとその周辺地域の地域資源などを活用したダムツーリズム展開を目指す。

 同事務所とダムの水源地域内にある岐阜県内の2市2町(瑞穂市、恵那市、八百津町、御嵩町)らは昨年8月、丸山ダムや工事が本格化する新丸山ダム建設事業を地域振興に活用することを目的に「新丸山ダム水源地域協議会」を設置した。

 検討の一環として、旅行会社と連携し、ダム事業や周辺の自然・文化・伝統といった観光資源を利用したダムツアーへの参加を考えている。当日は、旅行会社の関係者を招き丸山ダム、関西電力の新丸山発電所、八百津町の古い街並みと買い物、瑞穂市の美濃歌舞伎博物館相生座を見学する。

【回転窓】希代の論客を悼む

〈未来は予測できないからクライシスやデインジャーに満ちているのです。それでは消費者も企業家も将来について確率的な計算ができない。そこで公共事業や教育なども含めた公共活動が必要になるのです〉▼今から4年前、元東京大学教授で評論家の西部邁氏が藤井聡京都大学大学院教授との対談で語った言葉である(本紙2014年10月27日付)。だから〈公共事業や公共活動を無視していると未来をまったく予測できなくなる〉とも▼1990年代後半に公共事業バッシングの風が吹き荒れる中、大衆社会論を展開していた西部氏は土木学会誌に寄稿。先に紹介した土木学会創立100周年記念の対談シリーズ「築土構木の思想」でも公共事業の必要性などについて持論を述べた。その本質を突く指摘の数々を聞き、取材の時間がたつのがとても早く感じたのを覚えている▼21日に西部氏の死去が報じられた。保守派の論客として知られ、評論活動だけでなくテレビの討論番組にも出演。鋭い批判が注目を集めた▼〈公共活動〉がなぜ欠かせないか。こうした大切なことを分かりやすく解説してくれた希代の論客を悼む。

【AIロボがお出迎え】戸田建設、技研(茨城県つくば市)に対話型ロボ導入

 戸田建設は、筑波技術研究所(茨城県つくば市)に人工知能(AI)を搭載したコミュニケーションロボット「unibo(ユニボ)」を導入した。

 ユニボに同社の作業着とヘルメットを着用させ、受付や施設紹介に活用。研究所員の業務効率化を図るとともに、施設見学の来訪者や子どもたちとのコミュニケーションツールとして利用する。

 ユニボはAIによってユーザーの趣味嗜好(しこう)を学習できる。日常会話のほか、ビデオ・音声通話、スケジュール管理、天気情報などの機能をもつ。

 技研に導入したユニボは主に受付で、音声操作により担当者を呼び出す業務や、目的の施設への行き方を画面と音声で案内。プレゼンテーションソフトと連携し、見学者に施設の概要を紹介する。親しみを感じる動作やデザインなども訪問者から好評という。

 技研には約500人が訪れる。施設案内は専門性が高く、これまでは訪問者への応対を全て研究所員が担ってきた。ユニボが業務の一部を行うことで、研究所員は技術の詳細説明に注力できるようになった。

 今後、技研だけでなく作業所でも業務効率化や生産性向上を目指し、コミュニケーションロボットを幅広い分野で有効活用する考えだ。

【今回の依頼主は〝悪の科学者〟!!】前田建設ファンタジー営業部、4年半の沈黙破り新規案件受注

連載ではマジンガーZの世界観で入札方式を解説
(ⓒ永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会)
 前田建設の社内プロジェクト「ファンタジー営業部」が、全国の劇場で上映中の「マジンガーZ/INFINITY」とコラボレーションし、新作のウェブ連載を始めた。悪の科学者ドクター・ヘルの依頼を受け、原価開示方式で透明性を守りながらドクター・ヘル配下の軍団をマネジメントし、光子力研究所の改造に挑む。

 4年半ぶりの連載は全3話。謎の復活を遂げたドクター・ヘルが打診してきた人類との共存共栄という要求に対し、意見が分かれる各国の合意に向けた時間を稼ぐため、ドクター・ヘルに光子力エネルギーを提供するというストーリーだ。

 ファンタジー営業部のミッションは、光子力エネルギー供給のため光子力研究所の改造工事。人類との共存共栄というドクター・ヘルの要求を満たすため、前田建設がCMr(コンストラクションマネージャー)として、ドクター・ヘル配下で調査・設計担当の鉄十字軍団と施工担当の鉄仮面軍団をマネジメント。ドクター・ヘルに対する各国の疑念を払しょくするため、原価開示方式を採用して業務遂行を目指す。

 第1話は、マジンガーZ/INFINITY公式ホームページで公開中。第2話は24日、第3話は31日、それぞれ午後6時ころに更新する。前田建設ファンタジー営業部公式HPでも適宜更新する予定。

 ファンタジー営業部は「建設に興味のない方に、建設技術や仕事の中身を知ってほしいというこれまでの目的に加え、建設業で働く人たちにも、コストプラスフィー契約・オープンブック方式や原価開示方式など新たな入札契約方式の趣旨を気軽に理解する補助教材にもなれば」とコメントしている。

【こちら人事部】フジタ/情熱持って頑張れる人に

 ◇若手のうちから活躍期待◇

 1910年に広島で創業し、100年以上の歴史を積み重ねてきたフジタ。2013年に大和ハウスグループの一員となり、15年に大和小田急建設と合併して以降、業績を伸ばしている。

 その中で今後、必要になるのが人材の確保だ。採用を担当する管理本部人事部の黒川佳祐さんは「60年余りの実績がある『海外事業』と、脱請負を掲げて取り組んできた『開発事業』が当社の強み。加えて、新規事業も積極的に展開し、会社としてさらに成長していくため、優秀な人材の獲得に力を入れている」と話す。

 同社が求める人材は、▽「スピード感」を持って物事に取り組む▽責任を持って達成するまで「やり切る」▽結果を「検証」して次の行動につなげる-の3点。これらを基に採用活動を展開。さらに黒川さんは、「フジタは若手社員にも責任のある仕事を任せる。主体性を持ち、困難な壁にも粘り強くチャレンジする人を求めている」と説明。その上で「女性や外国籍の人材も区別なく採用している」と話す。

 「現実をしっかりと見つめ、学生の目線に合った対応をすることを心掛けている」と黒川さん。その上で、「まずはフジタを知ってもらう機会を増やすため、説明会や広報活動など多くのチャンネルを設けている」。説明会の時には会社のPRばかりでなく、業界の魅力や仕事のやりがいをしっかり伝えることも意識しているという。選考中は学生と面談する場を多く設け、アドバイスをしたり相談に乗ったりしている。

 採用後の教育が充実しているのも重要なポイントだ。現場でのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)として、新入社員一人一人に指導員(先輩指導役)を付けて育成する。

 加えて入社式後2週間の「新入社員研修」や、6月には富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)で合宿形式の「実践型研修」を1~4週間実施。職種ごとにコースを分け、必要な知識と経験を醸成している。黒川さんは「座学だけではなく、配筋や足場の組み立てなど、通常は専門工事会社が手掛ける作業を体験することで、どこに危険が隠れているか、そして、どれほどの苦労があるのかを身をもって経験できるコースを組み込んでいる。現場に出てから必ず役に立つと確信している」とする。

 入社2年目には、「2年目研修」を設け、1年間を振り返りこれからの目標を明確化している。

 黒川さんは、これから就職活動を行う学生に対し「今は容易に情報を取得できる半面、多くの情報に翻弄(ほんろう)される危険性がある」と指摘する。その上で、「自分の耳で聞き、目で見たもの、体で感じたことを信頼し、企業を選んでほしい。価値観は人それぞれだが、動いた分だけ必ず自分に返ってくる。就職活動は自分のために行うものと思うので、ぜひ『情熱』を持って頑張ってほしい」と期待を込める。

 《新卒採用概要》
 
 【新卒採用者数】 男性110人、女性32人
 
 【3年以内離職率】13・8%(14年度新卒)
 
 【平均勤続年数】 男性18・1年、女性6・4年(17年3月末時点)
 
 【平均年齢】   42・3歳(17年3月末時点)

2018年1月23日火曜日

【回転窓】経営者の言葉が持つ力

ビットコインやリップルなどの仮想通貨が今月17日に大きく値を下げ、投資家に冷や水を浴びせた。韓国当局などが規制強化を検討しているとの報道がきっかけ▼先月に約2万ドルだった1ビットコインの価格が半分程度に下落した。市場の不安定さが再認識された格好だが、書店に並ぶ投資関連の本には大抵、こう書いてある。「短期的な動きに一喜一憂せず、巨視的に市場を見ることが重要だ」▼「東京五輪関連や首都圏の再開発が活発だ。2~3年は良い状態が続く」。都内で開かれている業界の賀詞交歓会を取材すると、多くのトップがそう切り出す。不況の影が業界を覆っていた10年ほど前、「業界を取り巻く環境は厳しく、景気の先行きも不透明」と悲観的な言葉で始まることが多かったのとは対照的だ▼言葉の力は大きい。かつての後ろ向きの言辞が若者の建設業離れの遠因になった可能性もある。景気は移ろいやすく制御することも難しい。経営者がすべきことは、景気の動きをただ見えるままに語ることではないだろう▼現実を見据えつつも、多様な言説に惑わされず巨視的に経営のかじを取ることが求められる。

【記者手帖】夢に応える働き方改革を

年明けから早くも3週間が過ぎた。毎年この時期は各団体の賀詞交歓会を数多く取材する。その中で今年は、昨年以上に担い手の確保・育成への対応が必要という言葉を耳にすることが多く、業界の危機感は確実に高まっていると改めて感じた◆ある専門工事業団体は、手弁当で高校などへの出張授業を続けているにもかかわらず、新卒者を確保するのが非常に難しいという。そうした状況の中でも、「今年はものづくりへの夢を持った若者が入ってくれた」とうれしそうに語るある企業のトップの笑顔が強く印象に残った◆時代が変わっても、ものづくりへの憧れが薄れることはないと思いたい。だが、労働人口が確実に減っていくという現実を考えれば、労働に見合う賃金が得られ、週休2日を確保できるなど、就労環境の改善は欠かせない◆IoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)といった最新技術を活用して生産性を高めながら、就職先の選択肢として建設業界が外せないような環境をどう整備するか。官民一体で働き方改革を進めることがこれまで以上に求められる。(高)

【技・人づくり専門工事業ファイル】中屋敷左官工業(札幌市)/新入社員が笑顔でいられる会社めざす

 ◇6年前に採用と教育を抜本改革◇

 札幌市を拠点に一般住宅やマンション、大規模ビルなどの左官工事を手掛ける中屋敷左官工業。社員の平均年齢は現在40代で、今春に新卒者が入ると30代に下がるという。

 離職者が後を絶たない状況に苦慮していた中屋敷剛社長が、あることをきっかけに一念発起したのが6年前。採用と教育を抜本的に見直すことで、高齢化が進行する業界内にあって社員の若返りを図り、事業の活性化につなげている。

 先代の父が急死したのに伴い、ゼネコン社員だった中屋敷氏が社長に就任したのは1995年。28歳の時だった。だがその後、売り上げは伸ばしつつも、採用した若者がすぐに辞めてしまうという悩みを抱えていた。

 ある日、女性事務員に頼んで作成した5年後、10年後の従業員名簿を見て、高齢化の進行にがくぜんとした。「これでは未来がない」。中屋敷氏は、これまでの求人のやり方を抜本的に改めようと考えた。

 まず取り組んだのが、新しい会社案内作り。「お客さまと共に喜びや感動を創造」「左官の伝統技術を継承しながら常に新しいことに挑戦」「左官の素晴らしさを世の中に広めていく」。そんな企業理念を前面に押し出し、人材育成手法や独自工法によるトラブル解決、2008年に開かれた洞爺湖サミット(第34回主要国首脳会議)の会食会場の施工実績などを紹介した冊子を北海道内すべての工業高校に配布した。

 その効果で5年前、高卒者を中心に18、19歳の若者6人の採用に成功。以来18人の若手が入ってきた。今では採用人数よりも応募人数の方が多い。この間に辞めたのはわずか1人。3年で半数が離職するといわれる業界の中で抜群の定着率を誇る。

 ◇現代版「仕事は見て盗む」実践◇

 中屋敷社長が作成した新入社員向けの即戦力プログラムには、自社の職長たちに「新人を預かるなら、何ができていてほしいか」をヒアリングした成果を落とし込んだ。

 プログラムでは、入社から1カ月間は現場に出さずに研修に充てる。午前中の座学で「働くとは」「学生と社会人の違い」「左官の仕事」などから始め、学んだことをその場ですぐに実践するスタイルで身に付けさせる。そして午後は、「モデリング手法」による塗り壁トレーニング。映像に収めた一流職人の動きをまねながら、目の前のボードに塗っては剥がす作業をひたすら繰り返す。目標は1時間で20回。中屋敷社長はこれを「『仕事は見て盗むもの』の現代版」という。

 少子高齢化が加速する今後は、「自分を育ててくれそうな会社」がキーワードになるとみる中屋敷社長は昨年、札幌市の隣の石狩市内に自前の左官技能研修センターを開設した。入社5年目をターゲットにした中期プログラムの実践を含め、職人としてさらなる高みを目指せる「場」と位置付けている。

 新入社員向けの即戦力プログラムは現在、札幌左官高等職業訓練校に移し、同業他社の新入社員を含めた教育に役立てている。中屋敷社長が本部長を務める日本左官業組合連合会(日左連)青年部のメンバーとも共有しながら、「左官業界全体を元気にすることにつなげていければ」と考えている。

【小学生とゼネコン技術者がコラボ】未来の土木コンテスト、最優秀賞に「遊びと笑顔で発電公園」

 子どものアイデアを土木技術者が実現します-。

 小学生の描く未来の街のアイデアを技術者が一緒に考える「未来の土木コンテスト」(土木学会主催)の公開最終選考会が20日に都内で行われ、福島市内の小学校に通う遠藤萌花さんと準大手ゼネコン6社の技術者で編成した「チーム遠藤」のプレゼンテーション案が最優秀賞を受賞した。

 遠藤萌花さんが提案したのは「遊びと笑顔で発電公園」。災害時の避難所となる公園の遊具などに緊急時にも活用できる発電機能を持たせるという遠藤さんのアイデアに対して、6社の技術者は滑り台やブランコなどに床振動発電装置を取り付ける方法や、遊び回る子どもの声を利用して発電するシステムを採用した。

 さらに一つの公園だけでなく、全国の公園に導入して電力をマイクロ波送電システムで集め、大規模地震などの緊急時に各地で活用するという提案も行った。
遠藤萌花さんが提案した「遊びと笑顔で発電公園」

2018年1月22日月曜日

【回転窓】「伝統美」も次世代に

年初に一年の工事の安全と事業の繁栄を祈って行われる伝統の祭事・儀式。団体や企業がこれから始まる工事の安全を祈る年頭儀式の様子が1月の本紙には数多く紹介される▼東京・霞が関の国土交通省では先日、日本鳶工業連合会(日鳶連)が新年行事の一つ「祝い木遣り」を披露。今年もはんてん姿のりりしい木遣り師たちが、張りのある伸びやかな声で伝統の労働歌を歌い上げた▼木遣りは建設資材を運搬すること。その時に歌われるのが「木遣り歌」である。建設機械がなかった時代に大勢の労働者が大木や巨石などを人力で運ぶ際、力を一つにして士気を高めるための「呼び声」として使ったという▼起源は諸説ある。古来、家を共同で造る風習があり、そのころから歌われてきたともいわれる。一説には1202年の京都・建仁寺の造営で歌われたものが始まりとも。種類は120曲程度。中には無形文化財に指定されている曲もある▼伴奏も音符もなく、口伝えによって現代までメロディーが受け継がれてきた。技術や技能の継承が叫ばれて久しい。建設文化が培ってきた「伝統美」も次世代に引き継いでいきたい。

【アジア大会開催へ収容人数3・5万に拡張】瑞穂陸上競技場、改築に民活導入検討

名古屋市教育委員会は19日、「瑞穂陸上競技場改築にかかる民間活力導入可能性調査業務」の一般競争入札を公告した。事後審査型。2月5日に市役所西庁舎12階の入札室で入・開札する。

 参加できるのは、「建築設計・監理」または「調査(社会系)」の競争入札参加資格がある建設コンサルタント。単体企業、共同企業体のいずれも可能。市内に本店・支店・営業所、同種業務実績が条件。

 瑞穂区山下通5にある同競技場は1941年の完成で、その後に何度か改修された。愛知県内唯一の第1種公認陸上競技場だが、老朽化が目立つほか、国際的・全国的な大会実施に必要な諸室も不足している。加えて、2026年に愛知・名古屋で開催される第20回アジア競技大会のメイン会場になることから市は、収容人員を2万7000人から3万5000人(可動席含む)へ増やすなどの大規模な改築を計画している。

 同業務では、3案程度の基本計画図を作成、工事計画や概算工事費、維持管理経費を検討する。その上で、民間事業者に対し、意向調査(サウンディング調査)を行い、収益向上策として民間商業施設や大型イベント誘致の可能性などをヒアリングする。

 それを踏まえ、民間活力活用策を探る。具体的には事業内容、事業範囲、事業形態、事業方式、事業期間、官民リスク分担を検討し、民活手法の定性評価、定量評価を行う。その後、民間事業者の参入意向などを調査し、最も適性が高い民活導入策を提案する。履行期限は10月31日。

【凜】西松建設関東建築支社・林伸子さん

 ◇海外での活躍を夢見て日々奮闘◇

 初めての女性総合職として採用され、入社2年目。作業所での庶務や事務、会議の資料作りなどを担当し、現場運営を一生懸命に支える日々を過ごす。

 大学では文系を専攻していたが「人が集まる空間を造りたい」という目標を持って就職活動に取り組んだ。人事担当者との会話の中で、仕事に愛着を持つ社員が多いと感じたという理由から、同社への入社を決断した。

 信条は、できなくても投げ出さないこと。「諦めなければいつか絶対乗り越えられると思って業務に臨んでいる」と話す。

 建設業特有の事務作業にまだ慣れていない面があり、上司や先輩に間違いを正されることも。「ミスを指摘してくれるのは気に掛けてくれている証拠。とてもありがたいと思っている」と前向きだ。

 昨年12月には、入社後初めて担当した施設が竣工を迎えた。「入社当初から目にしてきた建物が次第に形を変えて完成した姿を見ると、やり切ったという充実感で満たされる。同時に、今まで一緒に頑張ってきた仲間と散り散りになってしまう寂しさも感じる」。休日はインターネットで動画を見るなど、のんびりしながら英気を養う。

 総合職ということで勤務地は全国津々浦々にある。国内にとどまらず、海外勤務という夢も描いており、発展の伸びしろがある国で、人材の活用や育成に携わりたいという。

(東関東事務管理室、はやし・のぶこ)

【中堅世代】それぞれの建設業・189

若い社員の獲得が大きな悩み。
子どもの頃から建設業に親しんでもらう必要がある
 ◇〝このまま〟を維持するために◇

 地場建設会社の2代目として、日々奔走する神田憲広さん(仮名)。10年後の目標を聞くと、「今の売り上げや利益を現状のまま維持していくこと」という答えが返ってきた。それが、従業員やその家族を守ることにつながると考えている。

 もともとは建設会社を継ぐつもりなどなかった。大学では理学部に進み、就職先は製造業関係の大企業を選んだ。だが、仕事に慣れたころに、父から連絡が来た。「若手の技術者が育ってきた。若い子たちの未来を考えると、自分の代で会社をたたむことはできない」。地元に戻って、建設会社の仕事を一緒にやってほしいと、頭を下げられた。覚悟を決めるまで、1年ぐらいかかった。

 相当な決意での転職だったが、入ってみて、がくぜんとした。現場は雑然としていて、はっきり言って汚い。仕事のレベルも低いと感じた。公共事業が減少し、業界を取り巻く環境が悪化している時期だった。このままでは将来はない-。危機感ばかりが募った。

 前職の製造業の現場では、整理整頓が徹底されていた。無駄やミスを防ぎ、品質や生産性を高める上で極めて重要だからだ。現場の仮囲いやカラーコーンを、まっすぐに同じ高さで並べる。そういうところから始めた。徹底していくと、住民から「ここの現場はきれいだね」と言ってもらえるようになった。すると、安全パトロールで不備を指摘されることが無くなり、工事成績も上がっていった。発注者からの見方も変わった。

 だが、正直なところ、現場を褒められることに違和感も覚える。かつての自分たちのような低レベルの企業が多いことの裏返しだからだ。「どこから来たかも分からない人が、自分の家の前で工事をやっているのだから、嫌がられるのが当たり前」。だから、あいさつをして顔を覚えてもらい、現場もきれいに整える。その積み重ねが、建設業のイメージを良くしていくと思う。

 建設現場の生産性向上策i-Constructionには、真っ先に取り組んだ。生産性革命や働き方改革など国土交通省の動きにしっかりと追随していかなければ生き残れないと、強く感じている。

 だが、会社の規模を大きくすることは目指していない。「売り上げが10倍になったら、従業員の幸せも10倍になるかというと、そうではないと思う。本当に信頼できる社員たちと、しっかりと仕事をしていくだけだ」。淡々とした語り口で話す。一つ一つの工事で、発注者に評価される成果を残すことが、最大の生き残り戦略。そのためには、少数精鋭の方がやりやすい。

 地域建設業では、「後継者がいない」とよく言われるが、少し違うと思う。子どもが継ぎたくなるような会社に進化させる努力が必要なのだ。「自分たちが変わろうと思えば、会社も評価も必ず変わる。だから、建設業は本当に面白い」とも。人間は、細胞が新陳代謝しなければ生きていけない。それと同じで、今の姿を保つために変わり続ける。そこに進むべき道がある。

【サークル】中日本高速道路グループ・フットサル愛好者の集い「速猿CUP」

 ◇人と人のつながり広める◇

 2008年末、新入社員らのフットサル同好会「FC速猿(はやざる)」が社内の他チームに声掛けして行った小さな大会を機に、翌年8チーム参加の「速猿CUP」を初開催した。

 現在、中日本高速道路グループ内では各職場や同期単位でフットサルチームが多数結成されている。速猿CUPには毎回8~14チーム(約100~200人)が参加。今春の第15回大会では試合形式以外に、PK合戦などの実施も検討中だ。

 社内のフットサル熱をさらに高めるため、若手同期チーム限定の大会「速猿スピンオフ」も合宿スタイルで毎年秋に開催する。

 活動のモットーは「フットサルを通じて人と人とのつながりを広めていく」。

 3代目幹事を務める佐藤啓介さん(東京支社厚木工事事務所伊勢原西工事区)は「グループ内でこれだけの人が集まってスポーツをする機会は少なく、『速猿CUP』は貴重な大会」と説明。大会のレベルが年々上がる一方、初心者が入りづらく感じるのか、新規参入チームが少ないという課題も。今後は「大会内容を見直すなど、気軽に参加できる雰囲気を醸成していきたい」と抱負を語る。

【駆け出しのころ】春山建設専務取締役・金山太氏


 ◇会社立て直しへ戦いの日々◇

 東京の私立大学を卒業して1994年に大和ハウス工業に入社し、札幌支店でマンション販売の営業マンとして社会人の第一歩を踏み出しました。仕事を覚え、成績も残せるようになった2年半後のある日、「30歳まで外の企業で勉強して来い」と言っていた父(金山正一社長)から急きょ「あと半年で戻れ」と連絡がありました。後ろ髪を引かれる思いで97年3月31日に退社し、4月1日に春山建設(宮城県岩沼市)に入ることになりました。

 戻ってみると会社は危機的状況でした。同族企業の悪い面がまん延し、工事の受注は伸びているのに利益が上がらない。社長は、私を呼び戻すことで社を立て直す突破口を開きたかったのでしょう。

 配置部署や待遇を検討する余裕もなく、グループ企業の春山運輸に出向のような形で席を置きましたが、することが無い。翌月から94年の集中豪雨による五間堀川の激甚災害関連護岸工事の現場に回されましたが、やはり私の仕事がありません。せめて自分の給料分は働かなければと居ても立ってもいられず、現場で自らスコップを握りました。

 激甚災害の関連工事を多数受注し、過去最高の売り上げがあるにもかかわらず、利益が出ない。本来はあり得ないことです。97年といえば、折しも消費税率が5%に上がって景気が急速に悪化し、金融機関が相次いで破綻するなど先行き不透明な時代の始まりでした。経営を変えなければ会社がどうなってしまうかは明白です。社内に風穴を開けることが自分の役目だと理解し、この現場が終わった後、経理と購買を任せてもらいました。

 ここからは「若造と大人の戦い」。社内外の百戦錬磨の大人たちとの意地と意地とのぶつかり合いです。生き残りを懸け、なめられたり脅されたりしながらも決して屈しませんでした。同様に危機的状況だった春山運輸でも既得権益を必死に守ろうとする大人たちと戦い、徹底した合理化改革で管理職を刷新し、翌年の決算までには利益が出る体質に改善しました。

 2001年以降、宮城県の入札制度改革が続き、公共事業費の大幅削減も相まって多くの建設会社が倒産しました。当社でも保有する建設機械の処分が議論されましたが、オペレーターも社員、機材運搬も燃料供給もすべて自社でできることが当社の財産で、それこそが、私が見て育った「春山」そのものでした。処分を踏みとどまったことで、東日本大震災では初動対応に当たることができ、「復興のトップランナー」と呼ばれる岩沼を下支えできたのではないかと思います。

 入社後の約10年は、駆け出すと言うより立て直しへの奔走。怖いもの知らずでしたが、応援してくれる社員に支えられ、負けたくない一心と「金山家の血」に突き動かされた日々です。

 (かなやま・まさる)大和ハウス工業を経て、97年春山建設入社。00年6月春山運輸専務取締役、03年春山建設取締役、06年春山建設常務取締役、10年から春山建設専務取締役、16年から春山運輸社長。宮城県出身、47歳。
表情が険しかった春山建設入社の頃

2018年1月19日金曜日

【回転窓】現代版「背中を見て学ぶ」

陸上や水泳、スケートのような100分の1、1000分の1秒を争う世界では、体をいかに無駄なく動かすかが記録を左右する。記録保持者と同じ動きができればおのずと記録は伸びる▼記録保持者の動きを映像で分析してまねる。現代のアスリートは、そうした科学的トレーニングを積んだ結果、フォームがしっかりしており、大きなスランプに陥ることも少ないと聞いた▼アスリートほど精緻ではなくても、職人の世界で一流と呼ばれる人たちと同じように動くことができれば、技能を高めることができよう。憧れの職人の技を徹底的にまねることは、技能習得の近道ともいえる▼スマートフォンやタブレット端末などが普及した今は、映像を手軽に撮ったり見たりすることができる。一流の職人の技を収めた動画を技能習得に役立てようという活動を先日取材した▼国土交通省も、生産性向上の一環としてそうした活動を後押ししようと、職人の基礎的な技能を撮影した映像コンテンツを制作するなどの支援に乗りだした。「親方の背中を見て学べ」というかつての教育手法を現代版に置き換えた取り組みに期待しよう。

【コンプリートに挑戦を!!】横須賀市、トンネルカードの配布開始へ

1月22日から配布する全10種類の「トンネルカード」
(写真提供:横須賀市)
神奈川県横須賀市は観光振興策の一環で、市内のトンネルを紹介する「トンネルカード」を発行する。カードにはトンネルの写真とともに、所在地や特徴、歴史などを記載。22日から市内の飲食店10店舗で配布を開始する。自治体がトンネルをテーマとしたカードを発行するのは全国で初めてという。

 「日本一トンネルの多い街」と呼ばれる横須賀市には100カ所以上のトンネルが点在。そのうち、大正時代に造られた「船越隧道(ずいどう)」や東京湾唯一の無人島・猿島にあるトンネルなど10カ所を厳選し、製作した。

 カードは企画に賛同した飲食店10店舗で、トンネルをイメージした商品「トンネルグルメ」を購入すると入手できる。全種類を集めるとレアカードがもらえる。

 市の担当者によると、以前発行した市内のトンネルを紹介する「トンネルマップ」が好評だったことから、トンネルの観光資源としての魅力を認識し、カードの発行を決めたという。

【試作6作品、学生モデルがお披露目】全建協連とモード学園、2月に学生デザインユニの発表会

全国建設業協同組合連合会(全建協連、青柳剛会長)は、東京モード学園と行っている「ユニフォームデザインプロジェクト」の発表会を2月15日に東京・西新宿にある同校のコクーンホールで開く。

 約500作品の応募の中から選定した最優秀賞(男性・女性用各1作品)、優秀賞(同各2作品)の計6作品の試作品を同校の学生がモデルとなって着用し、お披露目する。

 全建協連は、働き方改革の一環として「誰もが着たくなるユニフォームで業界のイメージを刷新!」をコンセプトにプロジェクトを実施中。同校に協力要請し、「おしゃれでかっこいい」と感じられる現場のユニホームを学生にデザインしてもらった。

 現在、ミドリ安全が6作品を実際のユニホームに仕立てている。発表会は、青柳会長の意向でテーマを「自信と誇りを着る」に設定した。デモンストレーションも行う予定で、行政や団体など建設業の関係者を招き、「身の回りからの働き方改革」を促すユニホームをアピールする

【自立飛行ドローンやAI画像解析の実験展開】三菱地所、東京・丸の内エリアを先端技術の実証フィールドに

三菱地所は、東京・丸の内エリアを先端技術の実証フィールドにする取り組みを展開している。

 自立飛行するドローン(小型無人機)を使ったインフラ点検業務や、人工知能(AI)による画像解析を活用した来街者対応といった技術の有効性を検証する。

 昨秋の「総合防災訓練」では、今後発展が予想される無線通信技術「LPWA(ローパワーワイドエリア)回線」で社員の位置情報を把握する実験も実施した。

 インフラ点検業務の実証は丸の内熱供給(東京都千代田区、辻正太郎社長)と、ドローンの安全飛行管理システムの開発などを手掛けるブルーイノベーション(同、熊田貴之社長)との共同で2月6日に実施する。

 JR東京駅近くの丸の内オアゾ周辺の地下にある熱供給用洞道内に自立飛行型ドローンを飛ばし、洞道内を往復させたり動画を撮影させたりする。衛星利用測位システム(GPS)が活用できない地下空間で、ドローンが自らの位置を認識しながら狭小な洞道内を自動航行するため、実験の難易度が高いという。

 22日には新丸の内ビルディング(東京都千代田区)で、ビル内のカメラで撮影した映像をAIが解析し、道に迷って辺りを見回すなど来街者の「困っている動き」を自動検知するシステムを検証する。従来は警備員が目視で行っていた見回りをAI分析で補助。きめ細かい状況把握や対応の実現などを目指す。実験は綜合警備保障らと共同で実施する。

 昨年のLPWA回線の実証実験では、大手町ビル(東京都千代田区)に設置した受信機で、ビルの内外にいるGPS端末を持った社員の位置情報を把握することに成功した。現在は、同回線の技術を他分野でも活用する方向で検討しているという。

2018年1月18日木曜日

【阪神・淡路大震災から23年】兵庫県ら「1・17安全の日のつどい」開く


 ◇次世代に経験と教訓語り継ぐ◇

 6435人が犠牲となり、2人が行方不明となった阪神・淡路大震災は17日、発生から丸23年がたった。

 兵庫県内の各地で追悼行事が行われ、県などが主催する「ひょうご安全の日 1・17のつどい」には、国や県、神戸市のほか東日本大震災や熊本地震の関係自治体などが参列。震災の記憶を風化させることなく経験と教訓を次世代に語り継いで、将来発生が予想される自然災害に立ち向かっていくことで誓いを新たにした。

 安全の日のつどいのテーマは「1・17は忘れない-『伝える』『備える』『活かす』」。恒例のメモリアルウオークをはじめ防災啓発展示や防災訓練が行われたほか、東北3県や熊本県の観光情報発信コーナーも設けられた。HAT神戸(神戸市中央区)の人と防災未来センター慰霊のモニュメント前で開かれた1・17のつどいには約1000人が参加。市内の震災未経験者が4割を超えるなか、小中高生など若者の参加も目立った。

 式典は午前11時50分に始まり、兵庫県議会の黒川治議長による開会の言葉に続き、正午の時報とともに犠牲者に黙とうをささげた。

 主催者代表の井戸敏三兵庫県知事は「これまでわれわれが積み重ねてきた復旧復興の歩みのなかに、今後の社会作りに生かすべき大切なものが凝縮されている。大震災を乗り越えてきた知恵と力を結集し、希望に満ちた兵庫の新時代を切り開いて行こう。震災の悲しみを風化させずに教訓と経験を語り継いで、安全安心な社会づくりに生かしていくことが被災地兵庫の使命だ」と力強く呼び掛けた。

 政府を代表して山下雄平内閣府大臣政務官は「災害が発生しやすい我が国では、防災は国家の基本的かつ重要な任務だ。災害から国民の生命・財産・生活を守り、安心して暮らせる社会を実現するために全力を注いでいく」と述べた。

地元の小中高生もメッセージを披露し、県立舞子高校3年の後藤謙太さんは「私たちのような震災未経験の世代が語り継ぎを始め、過去の教訓を未来に生かさなければなりません。今後必ず発生する災害からより多くの命を救うために、一人一人が防災に関心を持てるように私自身が語り継ぎます」と語り、神戸市立なぎさ小の児童らが被災者を勇気付ける曲「しあわせ運べるように」を合唱した。

 最後に、人と防災未来センターの河田恵昭センター長が「新たな災害に備えるには、さらに対策を進めなければならない。震災の教訓はすべての災害に通じる知恵だから」と「ひょうご安全の日宣言」を読み上げ、参列者が献花台に花をささげた。